CMOの年収を調べる前に知っておくべきこと
CMOの年収とは何か。CMOへのキャリアアップは、年収相場を知るだけでなく、MA/SFA活用スキルや組織マネジメント経験を実務で積むことで実現します。
マーケティング責任者としてキャリアアップを考える際、「CMOの年収はいくらなのか」という疑問を持つ方は多いでしょう。しかし、年収相場を調べるだけでは、CMOへの道は開けません。なぜなら、日本企業におけるCMOポジションは極めて希少であり、そのポジションを獲得するには相応の実務スキルと経験が求められるからです。
この記事で分かること
- CMOの年収相場(企業規模別・役職別の金額レンジ)
- CMOとマーケティング部長の役割の違い
- CMOになるために必要なスキルセット
- MA/SFA活用スキルがなぜCMOに求められるのか
- 今日から始められるキャリアアップのための具体的アクション
2019年時点で、日本の上場企業におけるCMO設置率は8%未満という調査結果があります(民間調査の目安値であり、厳密な公的統計ではない点に注意)。一方、米国では約半数の企業がCMOを設置しており、日本との間には大きなギャップが存在します。
この数字が示すのは、日本においてCMOというポジション自体が希少であるということです。そのため、CMOを目指すなら「年収相場を知る」だけでなく、「CMOになるために何が必要か」という視点を持つことが重要です。
CMOとは|役割・仕事内容の基礎知識
CMO(Chief Marketing Officer) とは、企業におけるマーケティング活動全般の責任者です。ブランド戦略やプロモーション戦略の立案・実行、顧客体験の最適化などを統括する経営ポジションに位置づけられます。
「CMO=広告・プロモーション担当」という認識は誤りです。CMOは単なるマーケティング部門の責任者ではなく、経営戦略と連動した需要創出からLTV(顧客生涯価値)の最大化まで、事業成長全体に責任を持つ経営ボードの一員です。
Demand Generation(需要創出) とは、見込み顧客を創出し育成するマーケティング活動全体を指します。BtoB企業においては、CMOが担う主要責務の一つであり、マーケティング施策がどれだけ売上に貢献しているかを経営視点で把握・改善することが求められます。
CMOが担う経営レベルの責務
CMOは経営ボードの一員として、以下のような責務を担います。
- 経営戦略とマーケティング戦略の統合・整合
- ブランド価値の向上と顧客体験の最適化
- 需要創出(Demand Generation)パイプラインの構築と管理
- マーケティングROIの可視化と経営層への報告
- マーケティング組織の構築と人材育成
CMOを設置している企業では、設置していない企業に比べて売上増収効果が4.7%あったとの報告があります。ただし、これは因果関係が明確に証明されたものではなく、相関関係として捉える必要があります。CMOの設置自体が売上を上げるのではなく、マーケティングを経営の中核に据える姿勢が成果につながっている可能性があります。
CMOとCRO|BtoB企業での役割の違い
近年、BtoB企業では CRO(Chief Revenue Officer) というポジションが増加しています。CROはマーケティング・営業・カスタマーサクセスを含むレベニュー組織全体を統括する責任者であり、CMOと類似または統合されるケースも見られます。
両者の違いを整理すると以下のようになります。
- CMO: マーケティング戦略・ブランド・需要創出に責任を持つ
- CRO: マーケティング+営業+CSを統合した「売上創出」全体に責任を持つ
BtoB企業ではこの二つの役割が統合され、MQL(Marketing Qualified Lead) から SQL(Sales Qualified Lead) 、さらに受注・顧客成功までを一気通貫で見る「Revenue組織」の設計が増えています。
CMOを目指す方は、マーケティング部門だけでなく、営業やカスタマーサクセスとの連携、共通KPIの設計といった視点も求められることを認識しておくとよいでしょう。
CMOの年収相場|企業規模別・役職別の金額レンジ
日本国内でのCMO年収に関する公的統計は存在しません。そのため、ここで示す年収相場は民間調査や転職エージェントのデータに基づく目安であることをご理解ください。
結論として、日本企業におけるCMOの年収相場は 800万〜1,500万円程度 が現実的なレンジです。外資系大企業やハイグロース企業では2,000万円以上の事例もありますが、「CMO=2,000万円以上が当たり前」という期待は一部の企業に限られます。
【比較表】企業規模別・役職別マーケティング年収比較
| 役職・ポジション | 年収レンジ(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| マーケター(一般) | 500万〜600万円 | 転職市場データに基づく平均値 |
| マーケティングマネージャー | 600万〜900万円 | チームマネジメント経験あり |
| マーケティング部長 | 800万〜1,200万円 | 部門責任者クラス |
| CMO(中堅BtoB企業) | 800万〜1,500万円 | 従業員50-300名規模 |
| CMO(大手・外資系) | 1,200万〜2,000万円以上 | 求人事例ベース |
| 執行役員(全体平均) | 1,511万円 | 労務行政研究所調査 |
| 執行役員(300-1000人企業) | 1,356万円 | 中小企業における平均 |
※上記は転職市場データ・民間調査に基づく相場感であり、公的統計ではありません。企業規模・業界・外資/日系の違いで大きく異なります。
日本企業のCMO年収レンジ
日本企業でのCMO年収は、マーケター職の平均(500万〜600万円程度)と比較すると明らかに高い水準ですが、「2,000万円以上」を期待するのは現実的ではありません。
転職市場のデータによると、CMOクラスの年収相場は800万〜1,500万円程度と推計されています(転職市場データに基づく相場感であり、公的統計ではなく、サンプルが限定的である点に注意)。
また、転職エージェントの求人事例では、CMO/最高マーケティング責任者の年収は1,200万〜2,000万円のレンジで提示されているケースがあります。ただし、これは求人の「提示レンジ」であり、実際の採用年収はスキルや経験、交渉によって異なります。
中堅BtoB企業(従業員50-300名規模)でCMOを目指す場合、800万〜1,500万円が現実的な年収レンジと考えておくとよいでしょう。
執行役員クラスの年収との比較
執行役員 とは、取締役会から業務執行の権限を委任された役職です。CMOは多くの企業で執行役員クラスまたはそれに準じる報酬帯に位置づけられます。
労務行政研究所の調査によると、執行役員全体の平均年収は1,511万円(企業規模横断)です。また、従業員数300〜1,000人未満の中小企業における執行役員の平均年収は1,356万円となっています。
このデータはCMO単体ではなく執行役員全体の数値ですが、CMOが執行役員クラスであることを踏まえると、年収1,300万〜1,500万円程度が一つの目安になると言えます。
CMOに必要なスキルとキャリアパス
CMOになるために必要なのは、年収相場やスキル要件を「調べる」ことではありません。実際に、MA/SFA活用やデータ駆動型マーケティングの経験を「積む」ことが不可欠です。
よくある失敗パターンとして、CMOの年収相場や一般的なスキル要件を調べただけで満足し、実務で経験を積まないまま時間が過ぎてしまうケースがあります。CMOはオペレーションではなく戦略と成果に責任を持つポジションであり、知識だけでなく実績が問われます。
Forrester分析によると、Fortune 500企業のうち、BtoB企業でCMO級のマーケ責任者を持つ割合は42%(前年48%から減少)となっています。ただし、これは海外大企業のデータであり、日本企業に直接当てはまるわけではありません。しかし、BtoB企業においてもマーケティング責任者の重要性が高まっていることは、日本市場でも同様の傾向が見られます。
MA/SFA活用スキルの重要性
CMOに求められるスキルの中で、特に重要なのが MA(マーケティングオートメーション) や SFA(営業支援システム) の活用スキルです。ツールを「導入している」だけでなく、「活用して成果を出している」レベルが求められます。
CMOレベルのMA/SFA活用とは、以下のような状態を指します。
- リードの獲得から商談化までのパイプラインKPIを設計・管理している
- マーケと営業で共通のKPI(MQL→SQL変換率、商談化率など)を設定している
- データに基づいてマーケティング施策のROIを可視化し、経営層に報告している
- ツールの設定・カスタマイズを主導し、業務フローを最適化している
MA/SFAを導入しているが活用しきれていない、という課題を抱えるマーケティング責任者は多いです。しかし、この課題を自ら解決し、ツール活用で成果を出した経験こそが、CMOへのキャリアアップにおける強力な武器になります。
組織マネジメント経験の積み方
CMOは組織の責任者であるため、マネジメント経験も必須です。特にBtoB企業では、マーケティング部門だけでなく、営業やカスタマーサクセスを含めた横断的な組織運営経験が評価されます。
組織マネジメント経験を積むためのアプローチとして、以下が考えられます。
- マーケティングチームのリーダーとして、採用・育成・評価に関わる
- 営業部門との共同プロジェクトをリードし、部門横断の成果を出す
- 経営層へのレポーティングを担当し、経営視点での意思決定に参画する
- 外部パートナー(代理店・ベンダー)のマネジメントを担う
また、日本企業ではCMOという名称でのポジションが少ないため、「マーケティング本部長」「Chief Growth Officer」など異なる名称での求人も視野に入れると、キャリアの選択肢が広がります。
CMOを目指すための実践ステップ
CMOへのキャリアアップは、一朝一夕に実現するものではありません。しかし、今の職場で始められる具体的なアクションはあります。
【チェックリスト】CMOに必要なスキル自己診断チェックリスト
以下のチェックリストで、自身のCMOレベルスキルを診断してみてください。チェックが多いほど、CMOに近いスキルセットを持っていると言えます。
- マーケティング戦略を経営戦略と紐づけて立案・説明できる
- MA/SFAツールの設定・カスタマイズを自ら主導した経験がある
- リード獲得から商談化までのパイプラインKPIを設計・運用している
- マーケティングROIを数値で可視化し、経営層に報告している
- 営業部門と共通のKPI(MQL→SQL変換率など)を設定している
- マーケティングチームのメンバーの採用・育成・評価に関わっている
- 年間マーケティング予算の策定と執行管理を担当している
- 外部パートナー(代理店・ベンダー)の選定・マネジメントを行っている
- ブランド戦略やメッセージングの策定に主体的に関与している
- 顧客データを分析し、LTV向上施策を立案・実行している
- 部門横断プロジェクトをリードした経験がある
- 経営会議や取締役会でマーケティング成果を報告した経験がある
- 新規チャネルやツールの導入を主導し、成果を出した実績がある
- 競合分析や市場分析に基づいた戦略提案を行っている
- カスタマーサクセスや製品開発部門との連携施策を推進している
キャリアアップのための具体的アクション
現職でCMOを目指すために、今日から始められる具体的なアクションを紹介します。
1. 営業との共通KPIを設定する
マーケと営業が別々のKPIを追っている状態では、CMOレベルの成果は出せません。まずはMQL→SQL変換率や商談化率など、営業と共通で追えるKPIを設定し、定期的にレビューする仕組みを作りましょう。
2. 経営層へのレポーティングに参加する
マーケティング成果を経営視点で語れることはCMOの必須スキルです。経営会議や取締役会でのレポーティング機会があれば積極的に参加し、経営者がどのような視点でマーケティングを見ているかを学びましょう。
3. MA/SFAの活用レベルを上げる
ツールを導入しているだけでなく、データを活用して施策のPDCAを回し、ROIを可視化できる状態を目指しましょう。必要であれば、ツール活用の専門家の支援を受けることも検討してください。
4. 組織マネジメントの経験を積む
チームリーダーとしてメンバーの育成・評価に関わる機会を増やしましょう。小規模でも構いません。採用活動への参加も、マネジメント経験を積む良い機会です。
まとめ|CMOへのキャリアアップに必要なこと
CMOの年収相場は、日本の中堅BtoB企業(従業員50-300名規模)で800万〜1,500万円程度が現実的なレンジです。大手企業や外資系では1,200万〜2,000万円以上の事例もありますが、公的統計は存在せず、企業規模・業界・外資/日系の違いで大きく異なります。
しかし、年収相場を知るだけでは、CMOへの道は開けません。CMOへのキャリアアップは、年収相場を知るだけでなく、MA/SFA活用スキルや組織マネジメント経験を実務で積むことで実現します。
本記事で紹介したチェックリストを活用し、自身のスキルギャップを把握してください。そして、営業との共通KPI設定、経営層へのレポーティング参加、MA/SFA活用レベルの向上など、今日から始められるアクションを一つずつ実行していくことが、CMOへの最短ルートです。
