MA定着の方法|形骸化を防ぐ運用ルールと仕組みづくり

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1810分で読めます

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MAが定着しないと悩む企業の課題

MA定着は導入やツール操作の習熟だけでなく、SFA連携を前提とした運用ルールの標準化と、入力を「使わざるを得ない状態」にするマネジメントの仕組みをセットで整備することで、形骸化を防ぎ持続的な成果につながる。これが本記事の結論です。

MA(マーケティングオートメーション) とは、マーケティング活動を自動化・効率化するツールです。リード獲得から育成、スコアリング、営業連携までを支援し、BtoB企業のマーケティング活動に欠かせない存在となっています。

国内MA市場は成長を続けており、2022年度の売上金額は269億円で前年度比14.7%増を記録し、2023年度も14.9%増と好調を維持しています。また、2023年の国内BtoB MA市場は753億円(前年比+11.2%)に達しています。市場が拡大する一方で、「MAを導入したが定着しない」「入力が形骸化して成果が出ない」と悩む企業も少なくありません。

この記事で分かること

  • MA運用が定着しない主な原因と、よくある失敗パターン
  • MA定着のための4ステップと具体的なタスク
  • SFA連携を前提とした運用ルールの標準化方法
  • 形骸化を防ぐマネジメントの仕組みの作り方
  • 自社の定着状況を確認できるフェーズ別チェックリスト

なお、この記事では従業員50〜300名規模のMA/SFA導入済み企業を主な対象としています。企業規模やMAツールの種類によって、最適なアプローチは異なる場合があります。

MA運用が定着しない主な原因

MA運用が定着しない根本的な原因は、ツールの機能や操作方法にあるのではなく、運用ルールの不在と組織的なマネジメントの仕組みの欠如にあります。

グローバル調査によると、B2Bマーケターの98%が自動化を成功の鍵と認識しており、リード獲得80%増・コンバージョン77%向上という効果が報告されています(ただし、この数値はグローバル調査ベースのため日本市場への適用には注意が必要です)。これほど多くのマーケターが自動化の重要性を認識しているにもかかわらず、なぜMA定着に失敗する企業が多いのでしょうか。

よくある失敗パターンとして、MAの定着を「ツールの使い方を教育すること」と捉え、操作研修やマニュアル整備だけで済ませようとするケースがあります。しかし、運用ルールやマネジメントの仕組みが不在のままでは、どれだけ操作に習熟しても形骸化してしまいます。「MAツールを導入すれば自動的に成果が出る」という考え方は誤りです。運用定着には人材教育と営業連携が不可欠であり、ツール選定以上に運用体制の構築が定着の鍵を握っています。

運用ルール不在と営業連携の欠如

入力ルールが明文化されていない、またはSFAとの連携が設計されていない状態でMAを運用すると、形骸化は避けられません。

MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケティング活動で獲得・育成したリードのうち、営業に引き渡す基準を満たした見込み顧客を指します。このMQLの定義が曖昧なまま運用を始めると、マーケティング部門と営業部門の間で「どのリードを渡すか」の認識がずれ、連携がうまくいきません。

「ツール選定が重要」と考えがちですが、実際には運用体制と営業連携の構築がMA定着の成否を分けます。入力ルールが属人的で、誰が・いつ・何を入力するかが明確でなければ、入力漏れや二重入力が発生し、データの信頼性が損なわれていきます。

MA定着のための基本ステップ

MA定着を実現するには、導入→設計→運用→改善のサイクルを回すことが基本です。MAシナリオ稼働後、データ変化が見え始めるまで約3ヶ月程度かかるため、短期成果を求めすぎないことが重要です。

【フロー図】MA定着のための4ステップフロー

flowchart TD
    A[ステップ1: 目標設定] --> B[共通KPIの定義]
    B --> C[MQL数・商談化率・受注率の設定]
    C --> D[ステップ2: 運用ルール設計]
    D --> E[入力ルールの明文化]
    E --> F[リード引き渡し基準の設定]
    F --> G[ステップ3: 営業連携体制構築]
    G --> H[SFA連携の設定]
    H --> I[月次定例会の設計]
    I --> J[ステップ4: 継続的改善]
    J --> K[KPIモニタリング]
    K --> L[運用ルールの見直し]
    L --> A

シナリオ設計とは、見込み顧客の行動に応じて自動配信するメールやコンテンツの流れを設計することです。ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動を指します。これらの設計がMA定着の土台となります。

ステップごとの具体的なタスク

各ステップで実施すべき具体的なタスクを整理します。

ステップ1: 目標設定

MQL数・商談化率・受注率をマーケと営業の共通KPIとして設定します。両部門が同じ指標を追いかけることで、連携の基盤が整います。

ステップ2: 運用ルール設計

リードスコアリングとは、見込み顧客の行動・属性に基づきスコアを付与し、購買意欲の高さを数値化する手法です。スコアリングの基準を明確にし、「スコア○点以上になったら営業に引き渡す」といったルールを設計します。

ステップ3: 営業連携体制構築

SFAとの連携を設定し、MAで育成したリードが自動的にSFAに連携される仕組みを構築します。併せて、月次定例会でKPIを振り返る体制を整えます。

ステップ4: 継続的改善

KPIのモニタリング結果をもとに、スコアリング基準やシナリオの見直しを行います。定着には継続的な改善サイクルが欠かせません。

SFA連携を前提とした運用ルールの標準化

MA定着を実現するには、マーケティング部門だけでなく、営業部門との連携を前提とした運用ルールの標準化が不可欠です。

MQLの定義を明確にし、「どのような条件を満たしたリードを営業に引き渡すか」を文書化します。たとえば、「スコアが一定以上かつ、直近1ヶ月以内にサービスページを3回以上閲覧したリード」といった具体的な基準を設定します。

入力ルールについても、誰が・いつ・何を入力するかを明文化します。属人的な運用を排し、誰でも同じ基準で入力できる状態を目指します。

入力が「使わざるを得ない状態」を作る仕組み

形骸化を防ぐためには、「入力しないと業務が進まない」状態を意図的に設計することが有効です。

具体的には、以下のような仕組みが考えられます。

  • 会議体でのKPI確認: 週次・月次の営業会議でMAのデータを確認する時間を設け、入力がなければ進捗が報告できない状態を作る
  • 入力率のモニタリング: 担当者ごとの入力率を可視化し、未入力が続く場合はアラートを出す
  • 商談化の前提条件: SFAで商談を作成する際、MAからのリード情報が紐づいていることを必須条件にする

これらの仕組みにより、MAへの入力が「任意」ではなく「必須」になり、定着が促進されます。

MA定着のためのフェーズ別チェックリスト

自社のMA定着状況を確認するためのチェックリストを用意しました。導入フェーズ・運用フェーズ・定着フェーズの3段階に分けて、現状を診断してみてください。

ある国内MAツールでは、導入2,000社超で継続率99%を達成しています。この高い継続率の背景には、伴走サポートによる運用支援があるとされています(ただし、ベンダー公表データのため、プロモーションバイアスがある可能性があります)。伴走サポートを重視するMAツールが中小企業で定着率を高めている傾向がみられ、ツール選定時にはサポート体制も重要な判断基準となります。

【チェックリスト】MA定着フェーズ別確認チェックリスト

  • 導入目的と達成すべきKPIを明文化している
  • MQLの定義を営業部門と合意している
  • リードスコアリングの基準を設定している
  • 入力ルール(誰が・いつ・何を)を明文化している
  • SFAとのデータ連携を設定している
  • リード引き渡しのタイミングと方法を決めている
  • 担当者への操作研修を実施している
  • シナリオ設計を完了している
  • 週次または月次の定例会を設定している
  • 定例会でMAのKPIを確認する時間がある
  • 入力率をモニタリングする仕組みがある
  • 未入力者へのフォロー体制がある
  • マネージャーがMAデータを活用して意思決定している
  • 営業部門がMQLの質にフィードバックしている
  • スコアリング基準を定期的に見直している
  • シナリオの効果測定と改善を行っている
  • 入力が形骸化していないか定期的に確認している
  • 成功事例を社内で共有する仕組みがある
  • MAデータを経営報告に活用している
  • 運用ルールの改訂履歴を管理している

上記のチェックリストで、チェックが付かない項目が多い場合は、そのフェーズの課題に優先的に取り組むことをお勧めします。

まとめ:MA定着は運用ルールとマネジメントの仕組みで実現する

本記事では、MA定着を実現するための方法を解説しました。重要なポイントを整理します。

  • MA市場は年率10%以上の成長を続けているが、導入後の定着に課題を抱える企業が多い
  • 定着しない原因は、ツールの問題ではなく運用ルールの不在と営業連携の欠如にある
  • 「ツールの使い方を教育する」だけでは形骸化を防げない
  • MA定着には4ステップ(目標設定→運用ルール設計→営業連携体制構築→継続的改善)のサイクルを回すことが基本
  • SFA連携を前提とした運用ルールの標準化が不可欠
  • 「入力しないと業務が進まない」仕組みを設計することで形骸化を防ぐ
  • MAシナリオ稼働後、データ変化が見え始めるまで約3ヶ月程度かかるため、短期成果を求めすぎない

明日から取り組めるアクション

  1. チェックリストで自社のMA定着状況を確認する
  2. 営業部門と共通KPI(MQL数・商談化率・受注率)を設定する
  3. 月次定例会でMAのKPIを確認する時間を設ける

MA定着は導入やツール操作の習熟だけでなく、SFA連携を前提とした運用ルールの標準化と、入力を「使わざるを得ない状態」にするマネジメントの仕組みをセットで整備することで、形骸化を防ぎ持続的な成果につながります。本記事のチェックリストとフローを参考に、自社のMA定着に取り組んでみてください。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
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よくある質問

Q1MA定着までどのくらいの期間がかかりますか?

A1MAシナリオ稼働後、データ変化が見え始めるまで約3ヶ月程度かかります。短期成果を求めすぎず、一定期間運用を続けながらスコアリング基準やシナリオを改善していくことが定着への近道です。

Q2MA定着でよくある失敗パターンは何ですか?

A2ツールの使い方を教育することだけに注力し、運用ルールやマネジメントの仕組みを整備しないパターンが代表的な失敗例です。操作研修やマニュアル整備だけでは、入力が形骸化しやすくなります。SFA連携と運用ルールの標準化がセットで必要です。

Q3MA運用を定着させるために最初に取り組むべきことは何ですか?

A3MQL数・商談化率・受注率など、マーケティング部門と営業部門の共通KPIを設定することが第一歩です。両部門が同じ指標を追いかけることで連携の基盤が整い、月次定例会で振り返る仕組みを作ることで継続的な改善が可能になります。

Q4リード数が少ない場合でもMA定着は可能ですか?

A4リード母数が少ない場合は、MA投入前に集客施策を優先することをお勧めします。一定のリード数がないとスコアリングやナーチャリングの効果が見えにくく、成果実感が得られないまま形骸化するリスクがあります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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