リードが商談につながらない|BtoB企業が直面する課題と本記事の目的
先に答えを言うと、リードが商談につながらないのは「リードの定義・スコアリング」と「マーケ・営業連携の仕組み」が整備されていないからであり、MA/SFAの設定から運用まで一貫した仕組み構築が成果の鍵となります。
2025年の調査によると、リード獲得後の商談転換率が想定を下回る企業は70.2%に達しており、多くのBtoB企業で商談化が課題となっています。国内BtoB MA市場は2023年時点で約753億円規模(事業者売上高ベース)となり、前年から約11.2%成長しています。MAツールの導入は進んでいるものの、「リードは獲得できているのに商談につながらない」という課題を抱える企業は少なくありません。
この記事で分かること
- リードが商談につながらない主な原因と構造的な課題
- MQL/SQLの定義方法とスコアリング設計の進め方
- マーケと営業の連携ルール(SLA)の設計手順
- MA/SFA連携による商談化率改善の実践ポイント
なぜリードが商談につながらないのか|主な原因を整理する
リードが商談につながらない原因は、大きく「リードの質の見極め不足」「マーケと営業の連携ルール不備」「フォローアップ不足」の3つに分類できます。
ありがちな失敗パターンとして、リードの数ばかりを追い、質の見極めや営業連携の仕組みを後回しにして、獲得したリードを放置してしまうケースがあります。この考え方は誤りであり、リードの「量」よりも「質」と「仕組み」に注力することが商談化率改善の第一歩です。
MQL(Marketing Qualified Lead) とは、マーケ施策で獲得したリードのうち、将来的に顧客になる可能性が高いとマーケが判定したリードです。属性と行動スコアが一定以上で営業に渡す状態を指します。
SQL(Sales Qualified Lead) とは、営業が商談化可能と判断したリードです。課題・予算・導入時期・決裁権限などが一定以上明確になっている状態を指します。
リードの質を見極めずに営業に送信している
リードの質を見極めずに営業へ送信していることが、商談化率低下の大きな原因です。
海外の調査では、BtoB企業の61%がすべてのリードを直接営業に送信しているが、実際に商談化可能なリード(資格のあるリード)はわずか27%しかいないとされています(日本市場では異なる可能性があります)。つまり、大半のリードは商談化の見込みが低い状態で営業に渡されており、営業リソースの非効率な消費につながっています。
マーケと営業の連携ルールが曖昧
マーケと営業の連携ルールが曖昧だと、「どのリードをいつ、誰に渡すか」が不明確になり、対応の遅れや放置が発生します。
SLA(Service Level Agreement) とは、マーケと営業間でMQL/SQLの定義や対応期限を合意・明文化した取り決めです。連携の齟齬を防ぐ仕組みとして機能します。
SLAがない場合、以下のような問題が発生しがちです。
- マーケが「商談化できる」と判断したリードを営業が「まだ早い」と差し戻す
- 営業がリードを受け取っても対応期限が決まっておらず、放置される
- 受注・失注の結果がマーケにフィードバックされず、スコアモデルが改善されない
フォローアップの回数・タイミングが不足している
フォローアップの回数・タイミングが不足していることも、商談化率低下の要因です。
海外の調査によると、営業担当者の48%はフォローアップコールを1回も試みておらず、一方で売上の80%は少なくとも5回のフォローアップが必要とされています(日本市場では異なる可能性があります)。フォローアップを2〜3回で終わらせてしまうと、商談化のタイミングを逃すリスクが高まります。
また、企業の購買担当者の85%が営業面談前に候補企業を選定しているという調査結果もあります。事前の情報提供やナーチャリングが不十分な場合、商談の機会自体を得られない可能性があります。
MQL/SQLの定義とスコアリング設計|商談化を前提としたリード分類
商談化率を改善するには、MQL/SQLの定義を明確にし、スコアリング設計によってリードの優先度を可視化することが重要です。
BANTとは、リードの質を判定する4要素の頭文字です。Budget(予算)、Authority(決裁権)、Need(必要性)、Timeline(導入時期)を確認することで、商談化可能性を評価します。BANT情報を完全に持つリードの商談化率は70%以上に達するとされています。
チャネル別の商談化率目安は以下の通りです(2025年時点、業種・商材・営業体制により変動するため参考値として捉えてください)。
- インバウンドリード:35〜40%
- 展示会・セミナー経由:25〜30%
- アウトバウンド・コールドリード:10〜15%
【比較表】MQL/SQL定義基準表
| 項目 | MQL(マーケティング基準) | SQL(営業基準) |
|---|---|---|
| 定義 | 属性+行動スコアが一定以上で営業に渡せる状態 | BANT情報が明確で商談化可能と営業が判断した状態 |
| 属性スコア | 業種・従業員規模・役職が合致 | 左記に加え、決裁権の有無を確認済み |
| 行動スコア | 資料DL・セミナー参加・複数ページ閲覧 | 個別相談申込・見積依頼・デモ依頼 |
| Budget(予算) | 不明でも可 | 予算枠の確認済み |
| Authority(決裁権) | 不明でも可 | 決裁者または決裁ルートを把握 |
| Need(必要性) | 課題認識あり | 具体的な課題と解決意欲を確認 |
| Timeline(導入時期) | 不明でも可 | 導入検討時期を確認済み |
| 引き渡しタイミング | スコアが閾値到達時 | 営業確認後、商談フェーズへ移行 |
| 対応期限の目安 | 営業への引き渡しから24〜48時間以内にコンタクト | 商談化判断から1週間以内に初回提案 |
MQLとSQLの違いと定義の進め方
MQLとSQLの定義は、マーケティング部門だけで決めるのではなく、営業部門と共同で進めることが重要です。
定義の進め方としては、以下のステップが一般的です。
- 過去の受注・失注データを分析し、商談化しやすいリードの特徴を抽出する
- マーケと営業で「MQLの条件」「SQLの条件」を言語化する
- スコアの閾値(何点以上でMQL認定するか)を設定する
- SLAとして合意し、運用を開始する
- 定期的に振り返り、定義を見直す
BANTを活用したスコアリング設計
BANTの各要素に点数を割り当て、合計スコアでリードの優先度を判断するのが基本的な設計です。
BANT情報を完全に持つリードの商談化率は70%以上に達するとされているため、BANT確認を軸にしたスコアリングは有効なアプローチです。ただし、BANTの全項目を初回接点で確認するのは難しいため、段階的に情報を収集し、スコアを更新していく運用が現実的です。
マーケと営業の連携強化|SLAと引き渡しルールの設計
マーケと営業の連携を強化するには、SLA(Service Level Agreement)を設計し、引き渡しルールを明文化することが不可欠です。
企業の購買担当者の85%が営業面談前に候補企業を選定しているという調査結果があります。商談の機会を得るためには、マーケからの適切な情報提供と、営業への迅速な引き渡しが求められます。
一方で、マーケティング施策の投資対効果において「受注金額」まで追っている企業は全体の30.2%にとどまるという調査もあります。マーケと営業のデータがつながっていないと、どの施策が商談・受注に貢献しているかが見えず、改善が進みません。
【チェックリスト】リードが商談につながらない原因診断チェックリスト
- MQL/SQLの定義が営業と合意されている
- スコアリングの閾値が明確に設定されている
- MQL認定から営業への引き渡し期限が決まっている
- 営業がリードを受け取ってからのコンタクト期限が決まっている
- 営業からマーケへのフィードバックルールがある
- 受注・失注理由がデータとして記録されている
- スコアモデルを定期的に見直す運用がある
- MA/SFA間でリードステータスが自動連携されている
- ナーチャリングシナリオが設計・稼働している
- マーケ・営業間で定期的なレビュー会議を実施している
- フォローアップ回数・タイミングの目安が決まっている
- 商談化率を定期的にモニタリングしている
- チャネル別の商談化率を把握している
- リード獲得数だけでなく商談化数・受注数も追っている
- データの一元管理(SSOT)ができている
SLAで合意すべき項目
SLAで合意すべき主な項目は以下の通りです。
- MQL/SQLの定義: どの条件を満たしたリードをMQL・SQLとするか
- 対応期限: MQL認定から営業コンタクトまでの時間(例: 24〜48時間以内)
- フォローアップ回数: 最低何回フォローするか(目安: 5回以上)
- フィードバックルール: 営業からマーケへの報告内容と頻度
- レビュー会議: 定期的な振り返りのスケジュール
営業からのフィードバックを改善に活かす仕組み
営業からのフィードバック(受注・失注理由、商談化しなかった理由など)を収集し、スコアモデルの改善に活かす仕組みが重要です。
マーケティング施策の投資対効果において「受注金額」まで追っている企業は全体の30.2%にとどまるという課題があります。営業結果がマーケにフィードバックされなければ、「どのリードが本当に商談化しやすいか」の学習が進まず、スコアリングの精度が上がりません。
フィードバックを仕組み化するには、SFA上で失注理由を必須入力項目にする、週次でマーケ・営業間のレビュー会議を設ける、といった運用ルールの整備が有効です。
MA/SFA連携による商談化率改善|仕組み構築の実践ポイント
MA/SFAの連携設定を適切に行い、運用の仕組みを構築することで、商談化率の継続的な改善が可能になります。
リードナーチャリングとは、見込み顧客の温度感を維持・向上させ、商談化タイミングまで育成するマーケティング施策です。2025年の調査によると、戦略的なナーチャリングを実行できている企業は46.1%にとどまりますが、実行企業の79.1%が成果を実感しています。MA/SFAを活用したナーチャリングの仕組み構築は、商談化率向上に有効なアプローチです。
リードステータスの自動連携設計
MA→SFAのリード連携を自動化することで、引き渡し漏れや対応遅れを防ぐことができます。
設計のポイントとしては、以下が挙げられます。
- MQL認定時にSFAへリード情報を自動連携する
- 営業担当者にアラート通知を送る(メール・Slack等)
- SFA上でリードステータス(MQL→SQL→商談→受注/失注)を管理する
- 失注時のステータス更新をMAにも連携し、ナーチャリング対象に戻す
ナーチャリングシナリオの設計と運用
ナーチャリングシナリオは、リードの行動や属性に応じて適切なコンテンツを配信し、商談化タイミングまで育成する設計です。
戦略的なナーチャリングを実行している企業の79.1%が成果を実感しているというデータがある通り、シナリオ設計と継続的な運用が成否を分けます。
シナリオ設計のポイントは以下の通りです。
- リードの課題・関心に応じたセグメント分け
- 段階的な情報提供(認知→興味→検討→比較)
- 行動トリガー(資料DL、ページ閲覧等)に応じた配信タイミング
- スコア閾値到達時の営業アラート
まとめ:リードを商談につなげるための仕組み構築
本記事では、リードが商談につながらない原因と、MQL/SQL定義・マーケ営業連携・MA/SFA連携による改善策を解説しました。
本記事のポイント
- リードが商談につながらない原因は「質の見極め不足」「連携ルール不備」「フォローアップ不足」の3つに分類できる
- MQL/SQLの定義は営業と共同で進め、SLAとして合意・運用することが重要
- BANTを活用したスコアリング設計により、商談化可能性の高いリードを優先できる
- マーケと営業の連携強化には、SLAの設計とフィードバックの仕組み化が不可欠
- MA/SFA連携を適切に設定し、ナーチャリングシナリオを運用することで継続的な改善が可能
次のアクションとして、まずは「リードが商談につながらない原因診断チェックリスト」で自社の現状を確認し、MQL/SQL定義の見直しから着手することをおすすめします。
リードが商談につながらないのは「リードの定義・スコアリング」と「マーケ・営業連携の仕組み」が整備されていないからであり、MA/SFAの設定から運用まで一貫した仕組み構築が成果の鍵です。
