リード獲得施策を増やしても商談化できない企業の共通課題
リード獲得戦略は、施策の選定だけでなく、獲得後の育成・営業連携を見据えたMA/SFA設定を一体的に設計することで、商談化率を高められる——本記事ではこの結論を詳しく解説します。
2025年のBtoBリード獲得課題分析によると、48.6%のBtoB企業がリードの質の観点で理想通りの獲得ができていないと回答しています(2024年比7.6ポイント増)。リード獲得施策を実施しているにもかかわらず、獲得したリードが商談につながらないという課題は多くの企業に共通しています。
リードジェネレーションとは、自社商品・サービスに興味を持つ見込み顧客(リード)の情報を収集するマーケティング活動です。
よくある失敗パターンとして、リード獲得施策を次々と実施するものの、獲得したリードがMAに放置され、営業への引き渡し基準も不明確なまま、商談化につながらないケースがあります。施策の数を増やせば成果が出ると考え、MA/SFA設定や育成フローの設計を後回しにするのは、成果が出ない典型的なパターンです。
この記事で分かること
- リード獲得単価(CPA)の相場感と費用対効果の考え方
- オンライン・オフラインのリード獲得施策の特徴と選び方
- リード品質が上がらない原因と対策
- 獲得したリードを商談化するための育成・MA/SFA連携フローの設計方法
リード獲得の基本と獲得単価(CPA)の考え方
CPA(Cost Per Acquisition) とは、1件のリードを獲得するために要したコストを指し、リード獲得単価とも呼ばれます。リード獲得戦略を立てる際に、コスト指標としてCPAを把握することは重要です。
2025年のBtoB企業のCPA高騰実態調査によると、BtoB企業のリード獲得単価は「5,000円~10,000円未満」が最多で、目標CPA・実績CPAともに約21%がこの帯域となっています。ただし、企業規模・業種・事業形態により大きく異なるため、この数値は参考値として捉え、自社での検証が必要です。
同調査では、44.4%のBtoB企業が直近1年間でCPA高騰を実感(「非常に高騰」8.9% + 「やや高騰」35.6%)していると回答しています。リード獲得コストの上昇傾向は多くの企業にとって課題となっており、費用対効果の改善が求められています。
CPA高騰への対応としては、SNS施策強化55.9%、SEO施策強化52.4%、CRM施策強化47.6%を検討している企業が多いという調査結果も出ています。広告費だけに依存しない多角的なリード獲得戦略の構築が重要です。
オンライン・オフラインのリード獲得施策と特徴
主要なリード獲得施策を比較し、自社に合った施策選定の判断材料を提供します。
2025年BtoB経営者のリード獲得課題調査(n=107、小規模調査のため傾向として参考)によると、リード獲得施策でSNSの実施率が36.4%と最多、次いで広告29.0%、展示会27.1%となっています。
【比較表】リード獲得施策比較表(オンライン・オフライン)
| 施策カテゴリ | 施策名 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている企業 |
|---|---|---|---|---|---|
| オンライン | Web広告 | 検索連動型・ディスプレイ広告等 | 即効性が高い、ターゲティング可能 | CPA高騰傾向、運用スキル必要 | 短期で成果を出したい企業 |
| オンライン | SEO/コンテンツ | ブログ・オウンドメディア運営 | 長期的な資産化、CPA抑制 | 成果まで時間がかかる | 中長期視点で投資できる企業 |
| オンライン | SNS | X、LinkedIn等での情報発信 | 認知拡大、低コストで開始可能 | 成果測定が難しい、継続が必要 | 発信力のある担当者がいる企業 |
| オンライン | ウェビナー | オンラインセミナー開催 | 地理的制約なし、録画活用可能 | 集客にコストがかかる | 専門性をアピールしたい企業 |
| オンライン | ホワイトペーパー | ノウハウ資料のダウンロード提供 | 関心度の高いリード獲得 | 制作コスト、継続的な更新必要 | 専門知識を資産化したい企業 |
| オフライン | 展示会 | 業界展示会への出展 | 対面での関係構築、認知拡大 | 出展コスト高、準備工数大 | 業界内で認知を高めたい企業 |
| オフライン | セミナー | 自社主催のオフラインセミナー | 関係構築、高品質リード獲得 | 会場コスト、集客負担 | 深い関係構築を重視する企業 |
| オフライン | 共催イベント | 他社との共催カンファレンス等 | コスト分担、リード拡大 | 調整コスト、ブランド希薄化 | リソースを効率化したい企業 |
ホワイトペーパーとは、ノウハウや調査結果をまとめた資料で、ダウンロード時にリード情報を取得するリード獲得施策です。ホワイトペーパー活用ガイドによると、直近12カ月で71%が導入決定に寄与したと回答しています。
共催カンファレンスの事例として、リード獲得単価54%改善、参加者30%が商談進展、目標150%達成という成果が報告されています(個別企業の事例であり再現性を保証するものではありません)。
生成AIの活用も進んでおり、同調査では63.6%のBtoB企業がリード獲得施策で生成AIを活用しています。コンテンツ作成27.1%、広告最適化26.2%、チャットボット24.3%が主な活用領域です。
オンライン施策の特徴と使い分け
オンライン施策は、ターゲティングの精度とスケーラビリティが特徴です。
Web広告は即効性がある一方、2025年BtoB Web広告予算調査によると、Web広告運用の課題として「費用対効果の向上」47.2%、「質の高いリードの獲得」46.2%、「リード獲得単価の低下」30.5%が挙げられています。広告だけに依存せず、SEOやSNS、コンテンツマーケティングと組み合わせた施策設計が重要です。
SEO/コンテンツは成果が出るまで時間がかかりますが、長期的にはCPA抑制に貢献します。ウェビナーやホワイトペーパーは、関心度の高いリードを獲得しやすい施策です。
オフライン施策の特徴と使い分け
オフライン施策は、対面での関係構築と高品質リードの獲得が強みです。
展示会は業界内での認知拡大に有効ですが、出展コストと準備工数がかかります。自社セミナーは深い関係構築が可能ですが、会場コストと集客負担があります。
共催イベントは、コスト分担とリード拡大を両立できる施策として注目されています。他社との連携により、単独では接点を持ちにくい層へのリーチも可能になります。
リード品質が上がらない原因と対策
リード獲得施策を次々と実施するが、獲得したリードがMAに放置され、営業への引き渡し基準も不明確なまま、商談化につながらない——これは多くの企業が陥る失敗パターンです。施策の数を増やせば成果が出るという考え方は誤りです。
前述のとおり、48.6%のBtoB企業がリードの質の観点で理想通りの獲得ができていないと回答しています。この数字は2024年比7.6ポイント増であり、リード品質の課題は深刻化傾向にあります。
BtoBリード獲得課題分析2025によると、リード品質課題の原因は「リードの育成が難しい」29.9%、「リードのフォローアップが不十分」28.8%が上位となっています。リード獲得施策だけでなく、獲得後の育成・フォローの仕組みが成果を左右します。
リードナーチャリングとは、獲得したリードを育成し、商談・受注につなげるためのマーケティング活動です。リード獲得と育成は一体で設計する必要があります。
商談化率とは、獲得したリードのうち、実際に商談に至った割合を指します。リード品質を測る重要指標であり、単なるリード数だけでなく商談化率を追うことが成果改善につながります。
リード獲得後の育成・営業連携フローの設計
獲得したリードを商談化するためには、育成フローとMA/SFA連携の設計が不可欠です。以下のチェックリストで自社の状況を確認してください。
【チェックリスト】リード獲得戦略の設計・実装チェックリスト
- ターゲットペルソナが明確に定義されている
- 獲得したいリードの質と量の目標が設定されている
- リード獲得施策の優先順位が決まっている
- 各施策のCPA目標と予算配分が設計されている
- MAツールでリード情報が一元管理されている
- リードスコアリングの基準が設定されている
- 属性スコア(役職、企業規模、業種等)が定義されている
- 行動スコア(メール開封、Web閲覧、資料DL等)が定義されている
- MQL(マーケ起点の有望リード)の定義が明確になっている
- SQL(営業が商談可と判断したリード)の定義が明確になっている
- 営業への引き渡し基準(スコア閾値等)が設定されている
- 引き渡し後のフォロー漏れを検知する仕組みがある
- リードのフェーズ別に育成シナリオが設計されている
- 育成メールのコンテンツが準備されている
- SFAでの商談管理フローが設計されている
- リード獲得から商談化までのKPIが設定されている
- 定期的な効果検証と改善サイクルが計画されている
リードスコアリングと営業引き渡し基準の設計
リードスコアリングは、属性スコアと行動スコアの2軸で設計することが一般的です。
属性スコアは、リードの企業属性(企業規模、業種、役職等)に基づいて付与するスコアです。自社のターゲット顧客像に近いほど高スコアとなるよう設計します。
行動スコアは、リードの行動(メール開封、Webページ閲覧、資料ダウンロード、ウェビナー参加等)に基づいて付与するスコアです。購買検討が進んでいることを示す行動ほど高スコアとなるよう設計します。
MQL(Marketing Qualified Lead)は、マーケティング部門が育成し「営業にパスしてよい」と判断したリードです。SQL(Sales Qualified Lead)は、営業部門が「商談化の可能性がある」と判断したリードです。両者の定義と引き渡し基準を事前に合意しておくことが重要です。
具体的なスコア閾値は企業によって異なりますが、まずは仮の基準を設定し、運用しながら調整していくアプローチが現実的です。
まとめ:リード獲得戦略を商談化につなげる一気通貫設計
本記事では、リード獲得戦略の設計方法について、施策選定から育成・営業連携までを解説しました。
記事の要点
- BtoB企業のリード獲得単価は5,000円〜10,000円未満が最多帯域(企業規模・業種により異なる)
- 48.6%のBtoB企業がリード品質に課題を感じており、前年比で増加傾向
- リード品質課題の原因は「育成が難しい」「フォロー不十分」が上位
- リード獲得施策単独ではなく、育成・営業連携の設計が商談化の鍵
次のアクション
- 本記事のチェックリストで自社のリード獲得〜商談化フローの状況を確認する
- リードスコアリングと営業引き渡し基準を見直す
- MA/SFA設定を育成・連携フローに合わせて最適化する
リード獲得戦略は、施策の選定だけでなく、獲得後の育成・営業連携を見据えたMA/SFA設定を一体的に設計することで、商談化率を高められます。施策を増やすことよりも、獲得したリードを確実に商談化する仕組みの構築を優先することが成果につながります。
