導入事例 作り方|MA/SFA連携で商談獲得率を高める実践手順

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1513分で読めます

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導入事例の作成が求められる背景と本記事の目的

最も重要なのは、BtoB企業における導入事例は作成して終わりではなく、MA/SFAと連携したリードナーチャリング施策の中核コンテンツとして活用することで、商談獲得率の向上につなげられることです。

多くの企業が導入事例をWebサイトに掲載していますが、「ただ掲載するだけで満足している」というケースが少なくありません。しかし、導入事例の真の価値は、マーケティングオートメーション(MA)やSFA(営業支援システム)と連携させ、リードナーチャリングの武器として活用することで初めて発揮されます。

導入事例とは、自社製品・サービスを実際に導入した顧客の活用状況を、導入背景・選定理由・課題解決プロセス・成果でまとめたコンテンツです。

この記事で分かること

  • 読者が求める導入事例の条件と必須の4要素
  • 導入事例の基本構成テンプレートと作成手順
  • 顧客インタビューの進め方と具体的な質問項目
  • MA/SFA連携による導入事例活用フローと成功事例
  • 商談獲得につなげるための実践的なチェックリストとフロー図

導入事例とは何か|効果的な導入事例の要件

導入事例は、顧客の成功体験を通じて自社製品・サービスの価値を伝えるコンテンツです。しかし、どんな事例でも効果的というわけではありません。読者が求める事例の特徴を理解することが、商談獲得につながる導入事例作成の第一歩です。

BtoB製品導入検討時に読みたい事例として「同じ業種・業界の事例」を62.7%が希望、「自社と同じ課題解決事例」を54.7%が希望しているという調査結果があります(2023年GAXマーケティング調査)。さらに、「自社と同規模の企業事例」を48.0%が希望しています(同調査)。

これらのデータが示すのは、読者は自社と類似した環境での成功事例を最も参考にするという事実です。導入事例の「件数」よりも「業種・課題・規模の網羅性」が重要であることが分かります。

導入事例で必須の4要素

効果的な導入事例には、以下の4要素が必要です。

1. 導入背景(Before)

顧客がどのような課題を抱えていたのか、なぜ解決が必要だったのかを具体的に記述します。読者は「自社と同じ課題」を持つ事例を求めているため、課題の具体性が重要です。

2. 選定理由

なぜ自社の製品・サービスを選んだのか、競合との比較検討でどのような点が決め手になったのかを記述します。これは読者の選定プロセスに直接影響する情報です。

3. 課題解決プロセス

導入からどのように活用し、どのような工夫をしたのかを記述します。単なる導入手順ではなく、実際の運用ノウハウが読者の参考になります。

4. 成果(After)

導入によってどのような成果が出たのかを、可能な限り数値化して記述します。Before/Afterで変化を明確化することが、説得力を高める鍵です。成果の数値化がない事例は説得力に欠けるため、定量的な成果の提示が重要です。

読者が求める事例の条件

前述の調査結果から、読者は以下の条件に当てはまる事例を強く求めていることが分かります。

同業種・同業界の事例(62.7%が希望)

業種特有の課題や商習慣を理解している事例は、読者にとって最も参考になります。製造業なら製造業、SaaSならSaaSの事例を業種別に整理して掲載することで、読者は自社に近い事例を見つけやすくなります。

同じ課題を解決した事例(54.7%が希望)

「営業の属人化」「リードナーチャリングの仕組み化」など、課題軸で事例を整理することも効果的です。読者は自社の課題と照らし合わせて事例を探すため、課題別の分類が重要になります。

同規模の企業事例(48.0%が希望)

企業規模が近い事例は、予算感や導入体制の参考になります。中小企業の読者にとって、大企業の事例は参考にしづらいケースがあるため、従業員数や売上規模を明記することが推奨されます。

導入事例の構成と作成手順

導入事例の作成には、明確な構成テンプレートと作成手順が必要です。ここでは、商談獲得につながる導入事例を作るための実践的な方法を解説します。

導入事例の基本構成テンプレート

導入事例は「課題→解決策→成果」のストーリー形式が標準です。以下のテンプレートに沿って作成することで、読者が理解しやすい構成になります。

1. 企業プロフィール

  • 企業名、業種、従業員数、事業内容
  • 導入製品・サービス名

2. 導入前の課題

  • 具体的な課題の内容
  • 課題が発生した背景
  • 課題による影響(業務負荷、機会損失など)

3. 選定理由

  • 比較検討したサービス(一般的な範囲で)
  • 自社を選定した決め手
  • 評価されたポイント

4. 導入プロセスと活用方法

  • 導入時の体制や期間
  • 運用上の工夫
  • 社内での活用方法

5. 導入後の成果

  • 定量的な成果(数値化)
  • 定性的な成果(担当者の実感)
  • 今後の展開

作成手順と準備チェックリスト

導入事例の作成は、顧客選定からインタビュー、原稿作成、確認まで、複数のステップで進めます。以下のチェックリストを活用して、準備を進めてください。

【チェックリスト】導入事例インタビュー準備チェックリスト

  • 成果が明確に出ている顧客をリストアップ
  • 顧客の業種・規模・課題を整理
  • インタビュー依頼文を作成
  • インタビューの目的と掲載方法を説明
  • 顧客側のメリット(ブランディング効果など)を提示
  • インタビュー日程を調整
  • 質問項目リストを準備(課題・選定理由・成果など)
  • 録音・記録方法を確認
  • 社内承認プロセスを確認
  • インタビュー実施(60-90分目安)
  • インタビュー内容を文字起こし
  • 導入事例の原稿を作成
  • 成果の数値を確認・検証
  • 顧客に原稿を送付して確認依頼
  • 顧客からのフィードバックを反映
  • 最終確認と承認を取得
  • Webサイトに掲載
  • MAでの配信設定を準備

各ステップで、顧客との信頼関係を維持しながら進めることが重要です。特に、成果の数値化については、顧客が開示可能な範囲を丁寧に確認してください。

顧客インタビューの進め方と質問項目設計

効果的な導入事例を作成するには、顧客インタビューの質が重要です。ここでは、顧客選定のポイントと、具体的な質問項目を解説します。

顧客選定と依頼のポイント

導入事例に協力してもらう顧客を選ぶ際は、以下の基準を考慮します。

成果が明確に出ている顧客

導入後に定量的な成果(業務時間削減、売上向上、コスト削減など)が出ている顧客を優先します。数値で示せる成果があると、事例の説得力が大きく高まります。

協力的な関係性がある顧客

日頃からコミュニケーションが取れており、自社製品・サービスに満足している顧客を選びます。担当者が事例掲載に前向きであることが、スムーズな進行の鍵です。

ターゲット層に近い顧客

今後獲得したいターゲット層(業種・規模・課題)に近い顧客を選ぶことで、事例の訴求効果が高まります。自社のマーケティング戦略と連動させて顧客を選定してください。

依頼時のインセンティブ設計

顧客に事例掲載を依頼する際は、顧客側のメリットを提示することが効果的です。例えば、事例掲載による企業のブランディング効果、業界での認知度向上、無償での追加サポートなどが考えられます。

断られた場合は、匿名化や一部情報の伏せ字対応を提案することで、再交渉の余地が生まれることがあります。

インタビュー質問項目例

導入事例インタビューでは、導入前の課題から成果まで、ストーリーを引き出す質問設計が重要です。以下は段階別の質問項目例です。

1. 導入前の課題(Before)

  • どのような課題を抱えていましたか?
  • その課題はいつ頃から認識していましたか?
  • 課題による業務への影響はどの程度でしたか?
  • 課題解決のためにどのような取り組みをしていましたか?

2. 選定理由

  • 製品・サービスを探し始めたきっかけは何ですか?
  • 比較検討したサービスはありましたか?
  • 最終的に当社を選んだ決め手は何ですか?
  • 導入時に不安だった点はありましたか?

3. 導入プロセス

  • 導入時の体制や期間はどのくらいでしたか?
  • 導入時に工夫した点はありますか?
  • 社内への浸透で苦労した点はありますか?
  • 現在はどのように活用していますか?

4. 成果(After)

  • 導入後、どのような成果が出ましたか?(数値で)
  • 定量的な成果以外に、どのような変化がありましたか?
  • 社内での評価はいかがですか?
  • 今後の展開や期待はありますか?

質問はオープンクエスチョン(自由回答形式)とクローズドクエスチョン(Yes/No形式)をバランスよく配置し、具体的なエピソードを引き出すことを意識してください。

MA/SFA連携による導入事例活用フロー

導入事例を作成したら、次はMA/SFA連携で商談獲得につなげる設計が重要です。よくある失敗パターンは、導入事例をWebサイトに掲載するだけで終わり、MAでのシナリオ配信やインサイドセールスでの活用に繋げられず、せっかくの事例コンテンツが商談獲得に活かされていないことです。

MA(マーケティングオートメーション) とは、見込み顧客の獲得・育成・管理を自動化するツールです。メール配信、スコアリング、行動追跡等の機能を持ちます。

SFA(営業支援システム) とは、営業活動の情報を一元管理し、商談進捗・顧客情報・売上予測等を可視化するシステムです。

ナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、購買意欲を高めていくマーケティング活動です。導入事例は中・後期のナーチャリングで特に有効とされています。

MA/SFA連携による導入事例活用の具体的なフローを以下に示します。

【フロー図】導入事例→MA→商談獲得フロー

flowchart TD
    A[リード獲得] --> B[MA登録]
    B --> C[属性・行動データ蓄積]
    C --> D{業種・課題の特定}
    D --> E[関連導入事例を自動配信]
    E --> F[事例閲覧をスコアリング]
    F --> G{スコア閾値超え}
    G -->|Yes| H[SFAに商談候補として連携]
    G -->|No| C
    H --> I[IS/FSが事例閲覧履歴を確認]
    I --> J[商談時に該当事例を活用]
    J --> K[商談獲得]

このフローでは、リードの属性(業種・規模)や行動(Webページ閲覧、資料ダウンロード)に応じて、最適な導入事例を自動配信します。事例を閲覧したリードにはスコアを加点し、一定の閾値を超えたら営業に連携する仕組みです。

実際の成功事例として、日立ソリューションズ東日本はMAでシナリオメール配信と導入事例活用により、Webアクセス4倍、サンプル請求が年間数件から100件以上、営業案件30件創出という成果を報告しています(2023-2024年、ただし代理店サイト由来で独立検証はされていません)。

また、トビー・テクノロジー株式会社はSalesforceとWeb広告データ連携、導入事例活用で有効商談率1.35倍、問い合わせ前年比145%を達成しています(2023年)。

MAによる導入事例のパーソナライズ配信

MAを活用することで、リードの属性・行動に応じて適切な導入事例を配信できます。

業種別・課題別セグメント配信

リードの業種が製造業であれば製造業の事例を、課題が「営業の属人化」であればその課題を解決した事例を配信します。これにより、読者が求める「自社と類似した事例」を届けることができます。

リードスコアリングの設計

リードスコアリングとは、見込み顧客の行動や属性に点数を付け、商談確度を判定するMAの機能です。導入事例閲覧等のアクションで加点します。

導入事例の閲覧は、リードの関心度が高まっている重要なシグナルです。事例ページを閲覧したリードに対してスコアを加点し、一定の閾値を超えたらSFAに連携することで、営業が優先的にアプローチすべきリードを特定できます。

前述の日立ソリューションズ東日本の事例では、MAでのシナリオメール配信と導入事例活用により、営業案件を創出しています。

SFA連携による営業活用

MAで育成したリードをSFAに連携することで、営業担当者が導入事例閲覧履歴を確認し、商談で活用できます。

閲覧履歴の可視化

リードがどの導入事例を閲覧したかをSFAで可視化することで、営業担当者はそのリードの関心領域を把握できます。同業種の事例を閲覧していれば、その事例を商談の話題に使うことができます。

インサイドセールスでの活用

インサイドセールスが架電する際に、「先日ご覧いただいた〇〇業界の導入事例について、詳しくお聞かせできます」といった切り口で会話を始めることができます。これにより、商談設定率の向上が期待できます。

前述のトビー・テクノロジーの事例では、SalesforceとWeb広告データを連携し、導入事例を活用することで有効商談率1.35倍、問い合わせ前年比145%を達成しています。

導入事例を商談獲得につなげるために

導入事例は、作成して終わりではなく、MA/SFA連携で商談獲得の武器にすべきです。本記事で解説した内容をまとめます。

要点整理

導入事例で重要なのは、読者が求める「同業種・同課題・同規模」の事例を作成し、業種別・課題別に整理して掲載することです。事例には導入背景・選定理由・課題解決プロセス・成果の4要素が必須で、特に成果の数値化が説得力を高めます。

しかし、導入事例をWebに掲載するだけでは商談獲得に直結しません。MAでリードの属性・行動に応じて事例をパーソナライズ配信し、リードスコアリングで商談確度を判定、SFAに連携することで、営業が事例閲覧履歴を活用して商談に臨むことができます。

実際に、MA/SFA連携で導入事例を活用した企業では、営業案件の創出や有効商談率の向上といった成果が報告されています(ただし企業規模・業界・導入前の状況により効果は異なります)。

BtoB企業における導入事例は、作成して終わりではなく、MA/SFAと連携したリードナーチャリング施策の中核コンテンツとして活用することで、商談獲得率の向上につなげられます。

次のアクション

本記事で提示したチェックリストを活用して、導入事例インタビューの準備を開始してください。また、フロー図を参考に、MA/SFA連携による導入事例活用の設計を検討してください。導入事例を商談獲得の武器にするために、今日から準備を始めましょう。

「記事は出してるのに商談につながらない」を解決する。
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よくある質問

Q1導入事例を依頼したが顧客に断られた場合、どうすればよいですか?

A1協力が難しい理由(社内承認プロセスや競合への開示懸念)を確認し、匿名化や一部情報の伏せ字対応を提案してください。また、事例掲載による顧客側のメリット(企業のブランディング効果、業界での認知度向上)や、インセンティブ(無償での追加サポートや広告掲載)を提示することで、再交渉の余地が生まれることがあります。

Q2導入事例に成果の数値を入れることができない場合はどうすればよいですか?

A2数値開示が難しい場合は、定性的な成果(作業時間短縮の実感、社内評価の向上、業務の効率化)や、相対的な変化(導入前比で大幅に改善、従来の数倍の効率)で代替できます。ただし、数値がない事例は説得力が低下するため、可能な限り数値化を目指すべきです。顧客が開示可能な範囲を丁寧に確認し、部分的な数値でも含められるよう交渉してください。

Q3業種別に導入事例を整理すべき理由は何ですか?

A3BtoB製品導入検討時、62.7%が同業種・業界の事例を求めており、読者は自社と類似した環境での成功事例を最も参考にするためです(2023年GAXマーケティング調査)。業種別に事例を整理して掲載することで、読者が自社に近い事例を見つけやすくなり、商談獲得効果を高めることができます。

Q4MA/SFA連携がない環境でも導入事例は有効ですか?

A4MA/SFA連携がなくても、Webサイトやメール配信で導入事例を提供することで一定の効果はあります。ただし、リードの閲覧履歴や商談確度を可視化できないため、どのリードがどの事例に関心を持っているかを把握できず、効果測定と最適化が困難になります。MA/SFA連携があれば、リードの行動に応じた事例配信と営業活用が可能になり、商談獲得効率が大きく向上します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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