国産MAツールが注目される背景と選定の難しさ
結論から言えば、国産MAツールは日本語サポートと日本企業向け機能が強みだが、成果を出すには自社のマーケティングプロセスとSFA連携を見据えた選定基準の明確化と、導入後の活用設計が重要です。
MAツール(マーケティングオートメーションツール) とは、見込み顧客の情報一元管理、育成・スコアリング・営業引き継ぎまでのプロセスを自動化・効率化するツールです。国内MA市場規模は2024年約612億円、2033年には1,272億円への成長が予測されており(GrowthInsight調査)、BtoB MA市場規模も2022年677億円から2023年753億円へ前年比11.2%成長しています(矢野経済研究所)。
しかし、市場が拡大する一方で「国産・外国産含め多くのMAツールがあり選定に迷う」「導入しても活用できずに終わるのではないか」という声は少なくありません。「機能が多い」「有名だから」という理由だけで国産MAを選定し、導入後の活用設計やSFA連携を後回しにすると、ツールを入れただけで成果につながらない状態に陥りやすいです。この考え方は誤りです。
この記事で分かること
- 国産MAツールの特徴と外国産との違い
- 主要な国産MAツールの市場シェアと特徴
- 国産MAツール選定の判断基準とチェックリスト
- 導入後の活用定着フローと成功のポイント
国産MAツールの特徴と外国産との違い
国産MAツールの強みは、日本語サポートの充実、日本の商習慣への対応、そして比較的低価格帯の選択肢が多い点です。外国産MAツールは高機能である反面、日本語対応やサポート体制に課題があるケースがあります。
MAツール導入率は全企業で1.5%(626,003社中9,444社)、上場企業で14.6%(3,850社中562社)と、企業規模による格差が大きいことが2023年5月のNexal調査で明らかになっています。中小企業でのMA導入はまだ進んでいない状況ですが、日本語サポートが充実した国産ツールは、導入・運用のハードルを下げる選択肢として注目されています。
国産MAツールの主な強み
国産MAツールには、以下のような強みがあります。
- 日本語サポート: 操作マニュアル、ヘルプデスク、セミナーなどがすべて日本語で提供される
- 日本の商習慣への対応: 日本特有の営業プロセスや法令に対応した機能設計
- 国内ベンダーとの連携: 導入支援やカスタマイズの相談がしやすい
- 低価格帯の選択肢: 中小企業でも導入しやすい価格設定のツールが多い
外国産MAツールと比較する際は、機能の充実度だけでなく、自社の運用体制でサポートを活用できるかどうかも重要な判断軸です。
主要な国産MAツールの特徴と市場シェア
国産MAツール市場には複数の選択肢があり、それぞれ特徴が異なります。市場シェアデータは調査機関・調査時期により結果が異なるため、参考値として捉えることが重要です。
ある調査では、国産MAツールのBowNowが国内シェア23.0%でトップ、HubSpot Marketing Hubが20.3%、Marketing Cloud Account Engagementが13.4%と続いています(調査時期により変動する可能性があります)。
また、SATORIは1,500社以上の導入実績があり、匿名リード追跡(フォーム入力前のWebサイト訪問者の行動データを収集・分析する機能)が可能な点が特徴として挙げられています。
特定のツールが一律に優れているわけではなく、自社のマーケティングプロセスや予算、運用体制に合った選択が重要です。
国産MAツール選定の判断基準とチェックポイント
国産MAツールを選定する際は、機能の多さや知名度だけでなく、自社の業務プロセスに適合するか、導入後に運用できる体制があるかを重視すべきです。
SFA(営業支援システム) とは、営業プロセスの可視化・管理を行い、営業活動を効率化するシステムです。MAツールとSFAの連携は、リードを営業に引き渡す際のスムーズな情報共有に不可欠です。
【チェックリスト】国産MAツール選定チェックリスト
- 自社のマーケティングプロセスを整理している
- 導入目的(リード獲得、育成、営業連携など)を明確にしている
- 必要な機能を優先順位付けしている
- SFAとの連携可否を確認している
- 既存の顧客データベースとの連携方法を検討している
- 運用担当者をアサインしている
- 担当者のスキル・経験を把握している
- 導入後のサポート体制(日本語対応)を確認している
- 無料トライアルの有無を確認している
- 初期費用と月額費用を把握している
- 契約期間と解約条件を確認している
- 導入事例が自社と近い業種・規模かを確認している
- 段階的な機能拡張の可能性を検討している
- データ移行の方法と工数を見積もっている
- 社内への導入説明・教育計画を立てている
よくある選定の失敗パターン
「機能が多い」「有名だから」という理由だけで国産MAを選定し、導入後の活用設計やSFA連携を後回しにすると、ツールを入れただけで成果につながらない状態に陥りやすいです。これは典型的な失敗パターンです。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 機能過多で運用負荷が高まる: 自社に不要な高機能ツールを選び、設定や運用に時間がかかりすぎる
- SFA連携を考慮せず導入: 営業部門への情報連携がスムーズにできず、リードを活かせない
- 運用体制を確保せず導入: 専任担当者がおらず、ツールが放置される
回避策として、まず基本機能(リード管理、メール配信)から運用を開始し、段階的に機能を拡張するアプローチが推奨されます。
国産MA導入後の活用定着フローと成功のポイント
国産MAツールを導入しただけでは成果は出ません。導入後の活用定着に向けた設計と段階的な運用が成功の鍵です。
SHANON MARKETING PLATFORMの導入事例では、ある物流会社で受注件数が前年比264%に増加したという報告があります(ただし、これは個別企業の事例であり、すべての企業で同様の成果が出ることを保証するものではありません)。
【フロー図】国産MA導入〜活用定着フロー
flowchart TD
A[ステップ1: 導入準備] --> B[ステップ2: 初期設定]
B --> C[ステップ3: 基本機能の運用開始]
C --> D[ステップ4: 効果測定と改善]
D --> E[ステップ5: 機能拡張]
A --> A1[目的・KPIの明確化]
A --> A2[運用担当者のアサイン]
A --> A3[SFA連携方針の決定]
B --> B1[リードデータの移行]
B --> B2[フォーム・メール設定]
B --> B3[SFA連携の設定]
C --> C1[リード管理の開始]
C --> C2[メール配信の実施]
C --> C3[営業への引き渡し運用]
D --> D1[KPIの確認]
D --> D2[改善点の洗い出し]
D --> D3[運用ルールの見直し]
E --> E1[スコアリングの導入]
E --> E2[ナーチャリング施策の拡充]
E --> E3[高度な分析機能の活用]
導入初期の運用設計
導入初期は、すべての機能を使いこなそうとせず、基本機能から始めることが重要です。
リードスコアリングとは、見込み顧客の行動や属性に点数をつけ、購買意欲の高さを数値化する手法です。リードナーチャリングは、見込み顧客を育成し、購買検討段階まで引き上げるマーケティング活動を指します。
これらの機能は便利ですが、導入初期から高度な設定を行うと運用負荷が高くなります。まずはリード管理とメール配信を軸に運用を開始し、データが蓄積されてからスコアリングやナーチャリング施策を拡充するアプローチが推奨されます。
まとめ|国産MA選定は活用設計まで見据えて判断する
本記事では、国産MAツールの特徴、主要ツールの市場シェア、選定の判断基準、導入後の活用定着フローについて解説しました。
重要なポイントを整理すると、以下のようになります。
- 国内MA市場は成長を続けており、国産ツールは日本語サポートや日本の商習慣対応が強み
- MAツール導入率は全企業で1.5%と低く、中小企業での活用はこれから
- 選定時は機能の多さや知名度だけでなく、SFA連携や運用体制を重視すべき
- 導入後は基本機能から始め、段階的に機能を拡張するアプローチが効果的
改めて結論として、国産MAツールは日本語サポートと日本企業向け機能が強みですが、成果を出すには自社のマーケティングプロセスとSFA連携を見据えた選定基準の明確化と、導入後の活用設計が重要です。
自社に合った国産MAツールの選定や活用設計に迷う場合は、専門家への相談も有効な選択肢です。
