IT営業で成果が出る人・出ない人の違い
IT企業の営業の答えは明確で、IT知識の習得だけでなく、顧客課題のヒアリング力とMA/SFAを活用したパイプライン管理スキルを体系的に身につけることで成果を出すことができます。
IT営業とは、SIerやIT企業において自社のシステムやソリューションを顧客企業に提案・販売する職種です。国内IT市場規模は26兆6,412億円(前年比+8.2%)、2023-2028年のCAGR(年平均成長率)は6.3%と予測されています(IDC Japan 2025年予測)。情報サービス業においても2025年は+11.7%の成長が見込まれており、IT営業は成長市場でキャリアを築ける職種として注目されています。
しかし、IT営業を「IT知識があれば売れる」と捉え、営業プロセス管理やツール活用を軽視してしまうケースが多いのが実情です。案件管理が属人化して成果が安定しない原因の多くは、この考え方にあります。
この記事で分かること
- IT営業の定義と主な業務内容
- SIer・SaaS・クラウド営業の種類別特徴と比較
- 成果を出すIT営業に必要なスキルとMA/SFA活用法
- IT営業のキャリアパスと年収相場
- IT営業スキルセルフチェックリスト
IT営業とは|定義と主な仕事内容
IT営業は、単なる製品販売ではなく、顧客企業の課題を理解し最適なソリューションを提案するコンサルタント営業へと変化しています。SIサービスの売上高は4,878,312百万円で全体の51.0%を占め、IT業界の中心的な領域となっています(2024年JISA調査)。
ソフトウェア業界の市場規模は情報化投資全体(15.5兆円)の約6割を占めており(令和5年情報通信白書)、IT営業が担う市場は非常に大きいと言えます。
IT営業の主な業務内容
IT営業の業務は、新規顧客の開拓から提案、商談管理、受注後のフォローまで多岐にわたります。
主な業務内容には以下があります。
- 新規顧客開拓: ターゲット企業へのアプローチ、アポイント取得
- ヒアリング・課題把握: 顧客企業の現状と課題を理解
- 提案活動: 課題解決のためのソリューション提案、見積作成
- 商談管理: 案件の進捗管理、社内調整
- 契約・導入支援: 契約締結、導入時のサポート
- アカウント管理: 既存顧客との関係維持、追加提案
インサイドセールスとの連携も重要です。インサイドセールスは電話やWeb会議を活用して顧客にアプローチする内勤型営業であり、フィールドセールスと役割分担しながら効率的に商談を創出する体制が一般的になっています。
IT営業の種類別特徴|SIer・SaaS・クラウド
IT営業は、取り扱う商材や営業スタイルによって大きく異なります。主にSIer(システムインテグレーター)営業、SaaS営業、クラウド営業に分類されますが、企業によって重複があるケースも多いです。
【比較表】IT営業の種類別特徴比較表
| 種類 | 営業スタイル | 商材の特徴 | 契約形態 | 商談期間 | 求められるスキル |
|---|---|---|---|---|---|
| SIer営業 | 受託型・提案型 | 大規模カスタム開発 | プロジェクト単位 | 長期(数ヶ月〜1年以上) | 要件定義力、PM連携力 |
| SaaS営業 | ストック型・サブスク型 | クラウドソフトウェア | 月額/年額課金 | 短〜中期 | ROI提案力、解約防止力 |
| クラウド営業 | 提案型・パートナー連携 | インフラ・プラットフォーム | 従量課金/定額 | 中期 | 技術理解力、構成提案力 |
SIサービスは全体の51.0%を占める主要領域である一方、クラウド関連サービスは2.8%とまだ小さいものの急成長中です(2024年JISA調査)。
SIer営業の特徴
SIer営業は、顧客企業のシステム構築を一括して請け負う受託型営業が特徴です。SIer(システムインテグレーター) は、大規模カスタム開発を中心に、顧客ごとに最適化されたシステムを構築します。
大手SIerの売上規模を見ると、NTTデータが4兆6,387億円、富士通が3兆5,501億円となっています(2025年時点)。SIer営業では、長期的な顧客関係の構築と、複雑なプロジェクトを推進するためのPMやエンジニアとの連携力が重要になります。
SaaS・クラウド営業の特徴
SaaS(Software as a Service) は、クラウド経由でソフトウェアを提供するサービス形態です。サブスクリプション型のストック型営業が特徴で、月額・年額課金による継続的な収益モデルとなります。
SaaS・クラウド営業では、迅速な導入とROI(投資対効果)の提示が導入決定の鍵となります。顧客が「導入して成果が出る」とイメージできる提案力が求められます。また、契約後も解約を防ぐためのカスタマーサクセス連携が重要です。
IT営業に必要なスキルとMA/SFA活用
成果を出すIT営業には、IT知識だけでなく、顧客課題のヒアリング力とMA/SFAを活用したパイプライン管理スキルが不可欠です。「IT知識があれば売れる」という考え方は誤りです。営業プロセス管理やツール活用を軽視すると、案件管理が属人化して成果が安定しません。
【チェックリスト】IT営業スキルセルフチェックリスト
- 顧客の業界・ビジネスモデルを事前にリサーチしている
- 顧客の課題を深掘りするヒアリング質問を準備している
- 技術的な内容をビジネス言語に変換して説明できる
- 提案書に顧客の課題と解決策の対応関係を明示している
- ROI(投資対効果)を具体的に提示できる
- 商談の進捗をMA/SFAに正確に記録している
- パイプラインの数値を週次で確認している
- 受注確度の判断基準を明確に持っている
- 失注理由を分析して次の提案に活かしている
- インサイドセールスとの連携ルールを決めている
- 既存顧客へのアップセル・クロスセル機会を把握している
- 競合との差別化ポイントを説明できる
- 導入事例を効果的に活用できる
- 契約後のカスタマーサクセス連携を意識している
- 自身のスキル向上のための学習を継続している
IT知識より重要なヒアリング力
IT営業は技術知識が必須と思われがちですが、実際には顧客課題のヒアリング力がより重視される傾向があります。技術的な詳細はエンジニアやプリセールスと連携すればカバーできますが、顧客のビジネス課題を正確に把握する力は営業担当者に求められる固有のスキルです。
「何を提案するか」の前に「顧客が何に困っているか」を深く理解することで、的確な提案につながります。
MA/SFAを活用したパイプライン管理
案件管理が属人化しないためには、MA/SFAを活用した仕組みづくりが重要です。商談の進捗や受注確度を可視化することで、チーム全体での情報共有と適切なリソース配分が可能になります。
プロセス構築力は年収の差別化要因にもなります。「売る力」だけでなく「売れる仕組みを作る力」を持つ営業担当者は、マネジメント層へのキャリアアップにおいても有利になる傾向があります。
IT営業のキャリアパスと年収相場
IT営業の年収は、経験・役職・企業規模によって大きく異なります。転職エージェントのデータによると、IT営業の平均年収は941.3万円(ボリュームゾーン650〜1,100万円)、管理職で1,119.5万円、外資系で1,323.5万円とされています(JAC Recruitment転職者データ)。ただし、これは転職エージェント経由の実績データであり、自己申告を含むため高め傾向の可能性がある点に注意が必要です。
別の調査では、IT関連製品・サービス提案営業の平均年収は654万円という数値もあり(2026年ガイド)、データソースによって差があります。IT営業の年収は成果主義のインセンティブにより大きく変動するため、一概に平均値で判断することは難しいと言えます。
キャリアアップの道筋
IT営業のキャリアパスとして、メンバークラスから管理職へのステップアップ、外資系IT企業への転職などが一般的です。外資系への転職で年収が大幅に向上する事例も報告されています。
キャリアアップの方向性としては、以下が挙げられます。
- マネジメント職: チームリーダー → マネージャー → 部長
- スペシャリスト職: 大口顧客担当、業界特化型営業
- 外資系転職: 外資系IT企業への転職によるキャリアアップ
- 起業・独立: IT営業経験を活かしたコンサルティング
いずれの道でも、プロセス構築力やMA/SFA活用スキルは差別化要因となります。
まとめ|IT営業で成果を出すために
本記事では、IT営業の定義から種類別特徴、必要なスキル、キャリアパスまでを解説しました。
国内IT市場は26兆6,412億円規模で成長を続けており、IT営業は将来性のある職種です。しかし、成果を出すためには単なるIT知識の習得だけでは不十分です。
記事内で紹介した「IT営業スキルセルフチェックリスト」を活用して、自身のスキルを客観的に評価してみてください。特に、顧客課題のヒアリング力とMA/SFAを活用したパイプライン管理スキルは、IT営業として成果を出すための重要な要素です。
IT営業で成果を出すには、IT知識の習得だけでなく、顧客課題のヒアリング力とMA/SFAを活用したパイプライン管理スキルを体系的に身につけることが重要です。この2つの軸でスキルを磨くことで、成長市場であるIT業界でのキャリアを着実に築いていくことができます。
