ISスキルを整理したが成果が出ない企業が直面する課題
インサイドセールスの成功は、スキルリスト作成だけでなく、MA/SFA活用スキルの実装を通じてデータドリブンな営業プロセスを構築し、組織としてのスキル体系を運用定着させることで実現します。
しかし、多くの企業がISスキルを整理しても成果が出ないという課題に直面しています。インサイドセールススキルを「コミュニケーション力」「ヒアリング力」などの抽象的なリストで終わらせ、MA/SFA活用スキルやツール実装、組織としてのスキル体系構築を後回しにすることは、よくある失敗パターンです。このような状態では、「スキルマップは作ったが現場で活用されない」という結果に陥ってしまいます。
この記事で分かること
- インサイドセールスに必要な基本スキルとツール活用スキルの2軸構成
- MA/SFA活用スキルの具体的な実装方法(リードスコアリング、商談管理、データ分析)
- 追客回数最適化とウェビナー活用による商談率向上の実践手法
- IS組織としてのスキル体系構築・運用定着の進め方
- ISスキル体系構築チェックリストとISスキルマップ(コピペ可能)
IS(インサイドセールス) とは、電話・メール等の非対面手段で見込み顧客にアプローチし、商談化・育成を行う営業職です。MA(マーケティングオートメーション) はリード獲得・育成・スコアリングを自動化するツールで、メール配信やWebトラッキング機能を持ちます。SFA(セールスフォースオートメーション) は営業活動を管理・自動化するツールで、商談管理・顧客情報管理・売上予測機能を持ちます。
これらのツールを活用したスキル実装まで含めて初めて、ISの成果が最大化されるのです。
インサイドセールスに必要なスキルとは|基本スキルとツール活用スキル
インサイドセールスに必要なスキルは、大きく2つの軸で整理できます。1つ目は基本スキル(コミュニケーション、ヒアリング、提案力)、2つ目はツール活用スキル(MA/SFA)です。
一般的に求められるISスキルは、この2軸を網羅することで体系化されます。さらに、ポータブルスキル(特定の企業や職種に限定されず、他社・他職種で活用可能な汎用スキル)の重要性も高まっています。ポータブルスキル習得を重視する学生が78.7%という調査結果(2026年3月卒予定学生150名、学情調査2025年後半推定)があり、転職市場の流動化を反映しています。
基本スキル|コミュニケーション・ヒアリング・提案力
IS業務の基盤となる基本スキルは、コミュニケーション力、ヒアリング力、提案力の3つです。
IS担当者の平均架電件数は34件/日で過去最高を更新(2024年12月18日〜2025年1月8日調査、immedio「インサイドセールス白書2025」、IS職202名対象)しており、効率的なコミュニケーションが求められています。また、コールドコール(事前接点のない見込み顧客への初回架電)の成功率は平均2%(2025年版販売統計)という現実があり、限られた成功確率の中で成果を出すためには、コミュニケーションスキルの向上が不可欠です。
ヒアリングスキルは、顧客の課題を引き出し、適切な提案につなげる能力です。表面的なニーズだけでなく、潜在的な課題を掘り起こすことで、顧客にとって価値のある提案が可能になります。
提案力は、ヒアリング内容を基に、顧客のニーズに合った提案を行う能力です。顧客の課題に対する解決策を明確に示し、納得感のある提案を行うことで、商談化率が向上します。
ツール活用スキル|MA/SFA活用で業務効率化
MA/SFAツールの活用スキルは、IS業務の効率化と成果向上に不可欠です。
リード1件あたり平均追客回数は5.1回、5回以上で成約率8%(1回のみ2.3%比、ハーバードビジネスレビュー調査引用)という調査結果があり、継続的な追客管理が重要であることが分かります。この追客をツールで効率的に管理することが、IS業務の生産性向上につながります。
ただし、「MA/SFA導入だけで営業効率化が進む」という誤解があります。実際には、導入後の実装と運用定着まで含めた一気通貫の取り組みが必要です。ツールを導入しても、適切な設定や運用ルールがなければ、現場では活用されず、成果は出ません。
リードナーチャリング(見込み顧客を育成し、購買意欲を高めて商談化に導く一連のマーケティング活動)をMA/SFAで自動化し、ISチームが効率的にフォローできる仕組みを構築することが、ツール活用スキルの目安となります。
ポータブルスキル|他職種でも活かせる汎用スキル
ポータブルスキルの重要性は、キャリア形成において高まっています。
ポータブルスキル習得を重視する学生が78.7%(2026年3月卒予定学生150名、学情調査2025年後半推定)という調査結果があり、転職市場の流動化を反映しています。
「ポータブルスキルは語学や資格だけ」という誤解がありますが、実際には経営・マネジメントスキルや会計・財務スキルも重要なポータブルスキルです。IS職においても、これらのスキルを身につけることで、他職種への転職やキャリアアップの可能性が広がります。
IS職で培ったデータ分析力、コミュニケーション力、マーケティング知識などは、マーケティング職やセールス職、コンサルティング職など、幅広い職種で活用できるポータブルスキルと言えます。
MA/SFA活用スキルの実装方法|リードスコアリング・商談管理・データ分析
MA/SFA活用スキルの実装方法として、リードスコアリング、商談管理、データ分析の3つが重要です。
成功事例として、SATORI株式会社のMA/SFA活用で商談化率8.5倍、コンバージョン率30%向上、成約率20%向上を達成(2023-2024年頃)した事例があります(企業自社報告事例のため、第三者検証はされていません。他社への再現性は業種・規模により異なります)。
また、エイトレッドのリードスコアリング実装でリード数6倍、月間商談化3.4倍を達成(2019年事例)、IT企業(従業員1,000名)がSFA活用で5年営業データを機械学習し、売上25%向上を達成(2023-2024年)という事例もあります。
さらに、Salesforce Einstein AI導入で成約率平均26%向上(Salesforce報告、2023年グローバルデータだが日本事例含む)という報告もあります(Salesforce自社調査でグローバルデータのため、日本市場単独の数値ではありません)。
これらは一般的な事例として紹介しますが、業種・企業規模により効果は異なるため、自社での検証が重要です。
リードスコアリングの実装とスコア基準設定
リードスコアリング(見込み顧客の属性(業種・役職)と行動(DL・閲覧)を点数化し、優先順位付けする手法)の実装とスコア基準設定は、MA/SFA活用の第一歩です。
過去商談データでスコア基準を設定し(例: 資料DL+50点、役職+30点)、SFAで閾値超え時に自動商談作成を行う実装が推奨されます。エイトレッドの事例(リード数6倍、月間商談化3.4倍、2019年事例)を参考値として紹介しますが、業種・企業規模により異なります。
「リードスコアリングを設定すれば自動的に成約率が上がる」という誤解がありますが、実際にはSFA連携と継続的な見直しが必須です。スコアリングモデルを月次で分析・更新し、成約につながる行動パターンを継続的に改善することが、実装の目安となります。
商談管理とデータ分析による継続的な改善
SFAでの商談管理とデータ分析を通じた継続的な改善方法として、過去の営業データを機械学習で分析し、成約パターンを特定する手法があります。
IT企業のSFA活用・機械学習事例(売上25%向上、2023-2024年)や、Salesforce Einstein AI導入事例(成約率平均26%向上、2023年グローバルデータだが日本事例含む)を参考事例として紹介しますが、業種・企業規模により異なります。
月次でスコアリングモデルを分析・更新し、成約につながる行動パターンを継続的に改善することが、継続的改善の方向性となります。データ分析により、どのような行動(Webサイト訪問回数、資料ダウンロード種類、ウェビナー参加など)が成約に結びつきやすいかを特定し、IS活動の優先順位を調整できます。
追客とウェビナー活用で商談率を向上させる実践スキル
追客回数の最適化とウェビナー活用による商談率向上の具体的な手法を解説します。
リード1件あたり平均追客回数は5.1回、5回以上で成約率8%(1回のみ2.3%比、ハーバードビジネスレビュー調査引用)という調査結果があり、継続的なコミュニケーションの重要性が示されています。追客回数5回超を目標にヒアリングを強化し、トークスクリプトを改善して提案力を向上させることが推奨されます。ただし、業種・商材により最適な追客回数は異なるため、自社データで検証することが重要です。
ウェビナー活用では、登録→参加57%、参加→商談10-20%、5日以内フォローで商談率2.5倍向上(ON24調べ、2025年時点)という調査結果があります。ウェビナー参加者への5日以内フォローを徹底し、商談率向上を狙うことが、追客とウェビナー活用の目安となります。
ウェビナー参加者は既に一定の関心を持っているため、迅速なフォローにより購買意欲をさらに高めることができます。5日以内という期間は、参加者の記憶が鮮明なうちにアプローチすることで、商談化率が大幅に向上するタイミングとされています。
IS組織としてのスキル体系構築・運用定着の進め方
IS組織としてのスキル体系構築と運用定着の具体的な進め方を解説します。
語学・資格・マネジメントスキルをポータブルスキル軸に位置づけ、社員の転職耐性と汎用性を高めることが推奨されます。スキル習得期間の具体的数値は根拠がないため、一般的には段階的に習得していくことになります。
【チェックリスト】ISスキル体系構築チェックリスト(基本スキル・ツール活用スキル・組織運用の3軸)
ISスキル体系構築に必要な項目をチェックリスト形式で提供します。3軸(基本スキル軸、ツール活用スキル軸、組織運用軸)でチェックリストを構成し、読者が自社の状況をチェックできるようにします。
基本スキル軸
- コミュニケーションスキル(架電、メール対応、オンライン商談)の習得
- ヒアリングスキル(課題抽出、ニーズ把握)の習得
- 提案力(ソリューション提案、価値訴求)の習得
- トークスクリプトの作成と改善
- ロールプレイング研修の実施
ツール活用スキル軸
- MA/SFAツールの基本操作の習得
- リードスコアリング設定の理解と実装
- 商談管理機能の活用(ステータス管理、進捗追跡)
- データ分析スキル(レポート作成、KPI分析)
- MA/SFA連携設定の実装
- 自動化フローの構築(ステップメール、リマインダー)
- ダッシュボードの作成と活用
組織運用軸
- ISスキルマップの作成
- スキルレベル評価基準の策定
- 研修体制の構築(OJT、外部研修、eラーニング)
- 評価制度の整備(スキル評価、成果評価)
- キャリアパスの明確化
- ナレッジ共有の仕組み構築(成功事例、トーク例)
- 定期的なスキル評価とフィードバック
- スキルギャップ分析と育成計画の策定
【比較表】ISスキルマップ(スキル項目×習得レベル×習得方法)
ISスキルマップをテーブル形式で提供します。スキル項目(行)×習得レベル(列:初級・中級・上級)×習得方法で構成し、読者が自社のスキル育成計画を立案する際のテンプレートとして活用できます。
| スキル項目 | 初級 | 中級 | 上級 | 習得方法 |
|---|---|---|---|---|
| コミュニケーション | 基本的な架電・メール対応 | 複数チャネルでの効果的な対応 | 複雑な商談での高度なコミュニケーション | OJT、ロールプレイング |
| ヒアリング | 表面的なニーズ把握 | 潜在的な課題の抽出 | 戦略的な課題分析 | 研修、フィールドセールス同行 |
| 提案力 | 標準的な提案 | カスタマイズ提案 | 戦略的な価値提案 | 提案書作成研修、事例学習 |
| MA活用 | 基本操作(リスト作成、メール配信) | セグメント設計、スコアリング設定 | 高度な自動化フロー構築 | ツールマニュアル、実践演習 |
| SFA活用 | 基本操作(商談登録、進捗更新) | レポート作成、分析 | データドリブン営業設計 | ツールマニュアル、データ分析研修 |
| リードスコアリング | スコアリングの理解 | スコア基準設定 | スコアモデル最適化 | 実装研修、PDCA運用 |
| データ分析 | 基本的なKPI確認 | データ可視化、傾向分析 | 機械学習活用、予測分析 | データ分析研修、実践演習 |
| ポータブルスキル(語学) | 基本的なビジネス英語 | ビジネスレベルの英語 | ネイティブレベルの英語 | 語学研修、実務活用 |
| ポータブルスキル(資格) | 業界基礎資格 | 専門資格 | 高度専門資格 | 資格取得支援、自主学習 |
| ポータブルスキル(マネジメント) | チーム内協力 | リーダーシップ発揮 | 組織マネジメント | マネジメント研修、実務経験 |
まとめ|ISスキル体系の実装で成果を最大化する
インサイドセールスに必要なスキルは、基本スキル(コミュニケーション、ヒアリング、提案力)とツール活用スキル(MA/SFA)の2軸で体系化できます。組織としてのスキル体系構築が重要であり、スキルマップ作成だけでなく、実装と運用定着まで含めた取り組みが求められます。
インサイドセールスの成功は、スキルリスト作成だけでなく、MA/SFA活用スキルの実装を通じてデータドリブンな営業プロセスを構築し、組織としてのスキル体系を運用定着させることで実現します。
次のアクションとして、以下の3つを推奨します。
第一に、自社のISスキル現状を把握することです。現在のISチームがどのスキルレベルにあるか、どのスキルが不足しているかを明確にします。
第二に、チェックリストでスキル体系構築を進めることです。本記事で提供したISスキル体系構築チェックリストを活用し、基本スキル軸、ツール活用スキル軸、組織運用軸の3軸で体系的に整備します。
第三に、MA/SFA活用スキルの実装まで一気通貫で対応できるパートナーを選ぶことです。戦略レポート提出で終わるコンサルではなく、MA・SFA設定からカスタムツール開発まで「動くもの」を実装・納品するパートナーと協力することで、ISスキルの実装と運用定着が加速します。
成功のための方針として、スキル習得と並行してツール実装を進め、組織全体でスキル体系を定着させることが重要です。
