HubSpotワークフローを「設定して終わり」にしないために
HubSpotを導入したがワークフロー機能を十分に活用できていない、設定したが期待した成果に結びついていないという課題を解決したいなら、HubSpotワークフローを成果につなげるには、設定方法の習得だけでなく、業務プロセスの整理とKPIを意識した設計を一体で行うことが重要です。
ワークフローとは、HubSpot上で条件(トリガー)に基づいてタスク生成やメール送信などを自動実行する機能です。日本のMA市場規模は2020年に約543億円(矢野経済研究所調査)、2026年には2020年比160%増の見込みとされており、マーケティング自動化への投資は拡大傾向にあります。しかし、ワークフローを「便利そうだから」と設定しただけでは、期待した成果にはつながりません。
この記事で分かること
- HubSpotワークフローの基本機能と料金プランの選び方
- ワークフロー設計前に整理すべきこと(チェックリスト付き)
- マーケティング・営業部門での活用パターン(比較表付き)
- ワークフロー構築から定着までの進め方
この記事では、従業員50〜300名のBtoB企業でHubSpotを導入済み(または検討中)のマーケティング担当者・IS責任者の方を対象に、ワークフローの設定方法から成果につなげる設計のポイントまで解説します。
HubSpotワークフローの基本機能と料金プラン
HubSpotワークフローは、トリガーとアクションを組み合わせて業務を自動化する機能です。本格的なワークフロー活用にはMarketing Hub Professional以上のプランが必要となります。
トリガーとは、ワークフローを起動する条件のことで、フォーム送信、プロパティ変更、リスト追加などを設定できます。
アクションとは、トリガー発火後に実行される処理のことで、メール送信、タスク作成、プロパティ更新などが含まれます。
Marketing Hubは、HubSpotのマーケティング自動化機能を提供するHubで、ワークフローはProfessional以上で本格利用可能です。Sales Hubは、HubSpotの営業支援機能を提供するHubで、シーケンス自動化やパイプライン管理に対応しています。
HubSpot Marketing Hub Professionalの価格は月額96,000〜106,800円(年払い割引適用時)です。価格は為替変動・契約条件により変動するため、公式サイトでの最新確認を推奨します。
BtoB MAツールの業界相場は月額5〜15万円(中小企業向け)で、中小企業の80%が月10万円以下を選択しています。HubSpotは相場の中〜上位に位置しますが、CRM・営業支援・マーケティングが統合されている点が特徴です。
プラン選びの注意点
「機能が多いほど良い」と高額プランを選ぶのはよくある失敗パターンです。使いこなせないまま高額な月額費用が発生し続けるケースがあります。
Starterプランから試用し、ワークフローの活用が本格化した段階でProfessionalにアップグレードする進め方が効果的です。自社の業務で実際に必要な機能を見極めてからプランを決定することで、無駄な投資を防げます。
ワークフロー設計前に整理すべきこと
ワークフローを構築する前に、目的・業務プロセス・KPIを整理しておくことが成功の前提条件です。この準備を怠ると、設定したワークフローが使われない・効果が見えない状態に陥ります。
よくある失敗パターンとして、ワークフローを「便利そうだから」と設定するものの、業務フローとの整合性やKPIとの連動を設計せず、結局使われない・効果が見えない状態に陥るケースがあります。この失敗を避けるためには、設計前の準備が不可欠です。
要件定義ワークショップを初期段階で実施することで、構築後の拡張時の工数増を防げます。以下のチェックリストを活用し、設計前に必要な項目を整理してください。
【チェックリスト】HubSpotワークフロー設計前チェックリスト(目的・業務・KPI整理)
- ワークフロー導入の目的が明確になっている(業務効率化/商談化率向上/フォロー漏れ防止など)
- 自動化したい業務プロセスが文書化されている
- 現状の業務フロー(As-Is)が整理されている
- 自動化後の業務フロー(To-Be)が設計されている
- ワークフローで達成したいKPIが設定されている
- KPIの測定方法と頻度が決まっている
- ワークフローの対象となるリード/顧客の条件が定義されている
- トリガーとなる行動・条件が特定されている
- 実行するアクション(メール送信/タスク作成等)が決まっている
- 営業部門との連携ポイントが明確になっている
- ワークフロー運用の担当者がアサインされている
- 運用開始後のレビュー・改善サイクルが設計されている
- 必要なHubSpotプランが確認されている
- 既存の業務ツールとの連携要件が整理されている
- テスト実行の計画が立てられている
HubSpotワークフローの活用パターンと設定例
ワークフローの活用パターンは、部門・目的によって異なります。自社の課題に合った活用パターンを選択することで、効果的な自動化が実現できます。
公開事例では、IT企業がHubSpot活用でリード管理強化・CRM統合を行い、営業効率30%向上を達成した報告があります(具体的な企業名・条件は非公開のため、一般化には注意が必要です)。
また、シップマン・アンド・グッドウィン(海外企業)がHubSpot CRMとON24を統合し、ワークフローでエンゲージメントデータを自動反映した結果、イベント参加者20%増、リード生成30%増を達成した事例もあります(海外企業の事例のため、日本市場への適用時は業種・規模の違いを考慮してください)。
【比較表】HubSpotワークフロー活用パターン比較表(部門×目的×トリガー例)
| 部門 | 目的 | トリガー例 | アクション例 | 期待効果 |
|---|---|---|---|---|
| マーケティング | リードナーチャリング | フォーム送信 | ステップメール配信 | リード育成の自動化 |
| マーケティング | イベントフォロー | イベント参加 | お礼メール・資料送付 | フォロー漏れ防止 |
| マーケティング | スコアリング | ページ閲覧・メール開封 | リードスコア加算 | ホットリード特定 |
| 営業 | フォロー漏れ防止 | リードステータス変更 | タスク自動生成 | 対応遅延の削減 |
| 営業 | 案件管理 | 商談ステージ変更 | 上司への通知 | 進捗の可視化 |
| 営業 | 再アプローチ | 一定期間未接触 | リマインドタスク生成 | 休眠リードの掘り起こし |
| カスタマーサクセス | オンボーディング | 契約開始日 | ウェルカムメール配信 | 初期定着支援 |
マーケティング部門での活用例
マーケティング部門では、リードナーチャリングやイベントフォローの自動化が主な活用パターンです。
フォーム送信をトリガーに、お礼メールの自動送信→数日後のフォローアップメール→関連コンテンツの案内というステップメールを自動配信することで、手動対応の工数を削減しながら一貫したコミュニケーションが実現できます。
また、ウェブサイト訪問やメール開封をトリガーにリードスコアを加算し、一定スコア以上になったリードを営業に自動通知する仕組みも効果的です。
営業部門での活用例
営業部門では、タスク自動生成やフォロー漏れ防止が主な活用パターンです。
リードステータスが「商談中」に変更されたタイミングで、フォロータスクを自動生成することで、対応遅延を防止できます。また、一定期間接触がないリードに対してリマインドタスクを自動生成し、休眠リードの掘り起こしを促進することも可能です。
ワークフロー構築から定着までの進め方
ワークフロー構築から運用定着までには、一定の期間と計画的な進め方が必要です。HubSpot Sales Hub構築(ワークフロー自動化含む)の標準期間は3〜6ヶ月(要件定義ワークショップ込み)とされています。
「ワークフロー設定だけで自動化完了」という考えは誤りです。運用定着には継続的な改善が不可欠です。以下の進め方を参考に、計画的に構築を進めてください。
Step 1: 要件定義(1ヶ月目)
前述のチェックリストを活用し、目的・業務プロセス・KPIを整理します。この段階で要件定義ワークショップを実施することで、後工程の手戻りを防げます。
Step 2: 初期構築(1〜2ヶ月目)
優先度の高いワークフローから構築を開始します。パイプラインレポートの整備も並行して進め、効果測定の基盤を作ります。
Step 3: 改善サイクル(3ヶ月目以降)
運用データをもとにワークフローの効果を検証し、改善を繰り返します。KPIの達成状況を定期的にレビューし、トリガーやアクションの調整を行います。
まとめ:業務プロセスとKPIを意識した設計で成果につなげる
本記事では、HubSpotワークフローの設定方法から成果につなげる設計のポイントまで解説しました。
本記事の要点
- ワークフロー活用にはMarketing Hub Professional以上のプランが必要(月額96,000〜106,800円)
- 設計前に目的・業務プロセス・KPIを整理することが成功の前提条件
- 部門・目的に合った活用パターンを選択し、構築から定着まで3〜6ヶ月を見込む
HubSpotワークフローを成果につなげるには、設定方法の習得だけでなく、業務プロセスの整理とKPIを意識した設計を一体で行うことが重要です。
次のアクションとして、本記事のチェックリストで自社の準備状況を確認し、Starterプランでの試用から始めてみてください。
