外部CMOが注目される背景と、成果を出すための条件
先に答えを言うと、外部CMOの活用で成果を出すには、戦略立案だけでなくMA/SFA設定やツール活用など「実装まで伴走できる」人材・サービスを選ぶことが重要であり、選定時には対応範囲と実績を具体的に確認すべきです。
外部CMO(Fractional CMO) とは、社内に常勤CMOを置かず、業務委託・顧問形式で経営レベルのマーケティング機能を外部プロに担わせる役割・契約形態を指します。
マーケティングに力を注ぐ企業300社を対象にした調査によると、CMOなどの役員または執行役員がいる企業は33.6%にとどまっています。つまり、多くの企業がマーケティングの最高責任者不在のまま事業を運営しているのが現状です。
さらに、経済産業省の試算によると、IT・デジタル人材は2030年に最大79万人不足するとされており、社内でマーケティング専門人材を確保することがますます難しくなっています。
こうした背景から、外部CMOという選択肢が注目されています。しかし、「外部CMOを入れれば解決」という単純な期待では成果につながりません。重要なのは、どのような外部CMOを選び、どう活用するかです。
この記事で分かること
- 外部CMOとは何か、社内CMOとの違い
- 外部CMO活用のメリット・デメリット
- 戦略型と実装型、外部CMOのタイプ別の違い
- 成果を出すための外部CMO選定チェックリスト
- 導入前に整えるべき社内体制
外部CMOとは何か|定義・役割・担当範囲
CMO(Chief Marketing Officer) とは、企業のマーケティング部門を統括する最高責任者であり、マーケティング戦略の策定から実行、ブランド構築までを担う経営幹部ポジションです。
IBMのCMOスタディ2025によると、日本のCMOの63%が利益率向上の責任を担っていると認識し、51%が収益成長を牽引する責任を認識しています。CMOには単なるマーケティング施策の実行者ではなく、経営成果に直結する責任が求められているのです。
外部CMOは、こうしたCMO機能を社外から提供する形態です。契約形態としては、週1〜2日程度のコミットで複数企業を支援するフラクショナルCMO(パートタイムCMO) タイプや、特定企業に深くコミットするハンズオン型などがあります。
費用相場については、顧問型で月額20〜60万円程度、実行責任型で月額60〜150万円程度というのが民間事例ベースの相場感として知られています。ただし、これは公的統計ではなく、実際の費用は業務範囲やコミット頻度によって大きく異なるため、個別見積もりが必要です。
外部CMOと社内CMO採用の違い
社内CMOを採用する場合と外部CMOを活用する場合では、それぞれメリット・デメリットがあります。
社内CMO採用は、事業への深い理解と長期的なコミットメントが期待できる一方、採用コストが高く、適切な人材を見つけること自体が難しいという課題があります。一方、外部CMOは短期間で専門知見を導入でき、コストも柔軟に設計できますが、事業理解には時間がかかり、社内浸透に障壁が生じることもあります。
どちらが良いかは企業状況によって異なります。短期間で専門知見を導入したい場合や、固定コストを抑えたい場合は外部CMOが適しています。まずは外部CMOで検証し、その後社内化するという選択肢もあります。
外部CMOを活用するメリット・デメリット
外部CMOを活用するメリットは、短期間で高度な専門知見を導入できる点、コストの柔軟性が高い点、最新のマーケティング手法を活用できる点などが挙げられます。
電通「2023年 日本の広告費」によると、日本企業のデジタル広告費は2023年に3兆3,333億円で、総広告費の45.5%を占めています。デジタルマーケティングの重要性が高まる中、専門知識を持つ外部CMOの価値は増しています。
また、サイカの調査では、統計モデル・AI・機械学習を広告効果測定に取り入れている企業は前年から2倍以上に増加しており、高度な分析能力を持つ人材へのニーズが高まっています。
一方、デメリットとしては、事業理解の難しさ、社内浸透の障壁、そして実行体制がなければ成果が出ない点が挙げられます。MA/SFA/CRM(マーケティングオートメーション、営業支援システム、顧客関係管理システム)などのツール活用を含めた実装力がなければ、戦略だけで終わってしまうリスクがあります。
外部CMO導入でよくある失敗パターン
「外部CMOを入れれば戦略が立つ」という期待だけで導入し、戦略レポート提出後に実行フェーズが止まってしまうケースは、典型的な失敗パターンです。
戦略と実装を別々に発注すると、戦略を立てた人と実行する人の間で意図が伝わらず、結果として成果につながりにくくなります。外部コンサルから受け取った戦略レポートを社内で実行しようとしても、ツールの設定方法がわからない、営業との連携がうまくいかないといった問題が発生しがちです。
このような失敗を避けるためには、「戦略レポートを納品して終わり」ではなく、「実装まで伴走できる」外部CMOを選ぶことが重要です。
「戦略型」と「実装型」外部CMOの違い
外部CMOには大きく分けて「戦略型」と「実装型」の2タイプがあり、自社の課題に応じて適切なタイプを選ぶ必要があります。
【比較表】戦略型外部CMO vs 実装型外部CMO
| 比較項目 | 戦略型外部CMO | 実装型外部CMO |
|---|---|---|
| 対応範囲 | 戦略立案・分析・レポート作成 | 戦略立案+MA/SFA設定・運用設計 |
| 主な成果物 | 戦略ドキュメント・分析レポート | 動くツール設定・運用マニュアル |
| コミット頻度 | 週1〜2日程度 | 週2〜3日以上 |
| 費用感(目安) | 月額20〜60万円程度 | 月額60〜150万円程度 |
| 向いている企業 | 社内に実行体制がある企業 | 実行体制も外部に任せたい企業 |
| 成果までの道のり | 別途実装フェーズが必要 | 戦略と実装が一気通貫 |
※費用は民間事例ベースの相場感であり、公的統計ではありません。実際の費用は業務範囲により異なります。
MA/SFA活用支援を含む外部CMOの重要性
MA/SFA/CRMの導入・運用設計まで担える外部CMOは、「戦略と実行のギャップ」を埋めることができます。
マーケティング戦略を立てても、それをMA上のスコアリング設計やメール配信シナリオに落とし込めなければ、戦略は絵に描いた餅で終わります。また、SFAと連携したリード管理やインサイドセールスへの引き渡し設計ができなければ、商談化にもつながりません。
実装型の外部CMOは、戦略立案だけでなく、こうしたツール設定やスコアリング設計、営業連携設計まで一貫して担うことができます。戦略と実装を同一人物(またはチーム)が担うことで、意図のブレが少なく、PDCAを素早く回せるようになります。
成果につなげる外部CMOの選び方
外部CMOを選ぶ際には、単に「有名かどうか」「費用が安いかどうか」ではなく、自社の課題を解決できる対応範囲と実績を具体的に確認することが重要です。
【チェックリスト】外部CMO選定チェックリスト
- 対応範囲が自社のニーズに合っているか(戦略のみ or 実装含む)
- MA/SFA/CRMの設定・運用設計まで対応できるか
- 同業種・同規模企業での支援実績があるか
- 具体的な成果事例(数値)を開示しているか
- コミット頻度・連絡手段が明確か
- 契約期間と解約条件が明確か
- 成果指標(KPI)を事前に合意できるか
- 社内担当者との連携方法が具体的か
- 営業部門との連携設計に関与できるか
- 経営層への報告・提案が可能か
「高い=良い」わけではありません。重要なのは、事業理解の深さと、社内に浸透させる力を持っているかどうかです。初回面談で自社の課題を理解しようとする姿勢があるか、過去の失敗経験も含めて率直に話してくれるかなど、コミュニケーションの質も判断材料になります。
導入前に確認すべき社内体制
外部CMOを導入しても、社内の実行体制・営業連携がなければ成果は出ません。導入前に以下の点を確認しておくことが重要です。
- 経営層のコミットメント: 外部CMOの提案を意思決定に反映できる体制があるか
- 情報共有の仕組み: 営業情報やリードデータを外部CMOと共有できるか
- 社内担当者のアサイン: 外部CMOとの窓口となる担当者が明確か
- 意思決定プロセス: 施策の承認フローが整理されているか
外部CMOは「魔法の杖」ではありません。社内と外部が連携して初めて成果につながることを理解しておく必要があります。
まとめ|外部CMO活用で成果を出すために
本記事では、外部CMOの定義から選び方、成果を出すためのポイントまでを解説しました。
重要なポイントを整理すると、以下の3点になります。
- 外部CMOには「戦略型」と「実装型」がある: 自社に実行体制がなければ、実装まで伴走できる外部CMOを選ぶべき
- よくある失敗は「戦略レポートで終わる」こと: 戦略と実装を別々に発注すると意図が伝わらず成果が出にくい
- 選定時は対応範囲と実績を具体的に確認: チェックリストを活用し、MA/SFA活用支援まで含めた対応力を見極める
外部CMOの活用で成果を出すには、戦略立案だけでなくMA/SFA設定やツール活用など「実装まで伴走できる」人材・サービスを選ぶことが重要です。本記事のチェックリストを活用し、自社に合った外部CMOの選定を進めてみてください。
