CRM独自開発ガイド|費用相場と判断基準チェックリスト

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2026/1/1610分で読めます

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CRM独自開発を検討する前に知っておくべきこと

多くの方が悩むCRMの独自開発。結論は、CRM独自開発の成否は「開発技術」だけでなく「MA/SFAとの連携設計」と「業務BPRを含めた要件定義」によって決まるということです。

日本国内CRMアプリケーション市場は2023年に前年比13.4%増の2,497億8,600万円に達し、2028年には3,950億8,200万円(CAGR 9.6%)に成長すると予測されています(IDC Japan調査、2028年は予測値)。CAGR(年平均成長率) とは、Compound Annual Growth Rateの略で、一定期間における年平均の成長率を示す指標です。

市場の成長に伴い、既製品のCRMでは対応しきれない独自の業務フローを持つ企業が独自開発を検討するケースが増えています。しかし、「CRMを独自開発すれば業務にフィットする」という考え方は誤りです。要件定義やMA/SFA連携設計を曖昧にしたまま開発を進めた結果、結局活用されないシステムができあがるケースが少なくありません。

この記事で分かること

  • CRM導入の選択肢(クラウド型・オンプレミス型・独自開発)の違いと特性
  • CRM独自開発のメリット・デメリットと向き不向きの判断基準
  • 独自開発を進める際の要件定義項目とMA/SFA連携設計のポイント
  • 開発パートナー選定の基準と失敗を防ぐチェックリスト

CRM導入の選択肢と独自開発の位置づけ

CRM導入の選択肢は、大きくクラウド型・オンプレミス型・独自開発の3つに分類されます。それぞれの特性を理解した上で、自社の業務フローやMA/SFA連携要件に適した選択をすることが重要です。

CRM・SFAのクラウド基盤利用率は35.3%(2025年調査、453社対象)で、販売管理領域では自社開発割合が相対的に高い傾向にあります(矢野経済研究所調査)。また、中堅・中小企業CRM市場では外資2強が優位を保っており、多くの企業が既製品のCRMを選択している現状があります。

CRM独自開発(個社開発型) とは、自社の業務フローに合わせてフルスクラッチで構築するCRMシステムです。高いカスタマイズ性と引き換えに初期費用・保守コストが高くなります。

クラウド型・オンプレミス型・独自開発の比較

クラウド型CRM(SaaS) は、ベンダーが提供するクラウドサービスを利用する方式です。初期費用が低く迅速な導入が可能ですが、カスタマイズに制限があります。導入費用は初期無料~10万円、月額1人1,000~3,000円が相場とされています(2025年調査)。

オンプレミス型CRMは、自社サーバーにシステムを構築する方式です。セキュリティとカスタマイズ性が高いですが、初期費用50~200万円とサーバー維持コストが発生します。

独自開発型は、業務フローに完全に最適化できる反面、初期費用200万~500万円程度が相場で、保守費用も別途必要になります。どの選択肢が最適かは、企業の業務フローの独自性、MA/SFA連携要件、予算、保守体制によって異なります。

観点 クラウド型 オンプレミス型 独自開発
初期費用 無料~10万円 50~200万円 200~500万円
月額/ランニング 1人1,000~3,000円 サーバー維持費 保守費別途
カスタマイズ性 限定的 高い 非常に高い
導入期間 短い 中程度 長い
MA/SFA連携 API依存 柔軟 自由設計

CRM独自開発のメリット・デメリット

独自開発の最大のメリットは、自社の業務フローに完全に最適化できることです。一方で、初期費用・保守コストが高く、開発期間も長くなります。メリットとデメリットを正しく理解した上で判断することが重要です。

メリット

  • 業務フローへの完全な最適化が可能
  • MA/SFAとの連携を自由に設計できる
  • 将来的な機能拡張の自由度が高い
  • 他社との差別化につながる独自機能を実装できる

デメリット

  • 初期費用が高い(日本市場では200万~500万円程度が相場、ただし企業規模・要件により±50%変動する可能性があります)
  • 保守費用が別途発生し、長期的なコスト負担が大きい
  • 開発期間が長く、すぐには利用開始できない
  • 開発パートナーの選定を誤ると失敗リスクが高まる

よくある失敗パターンとして、「独自開発すれば自動的に業務効率が上がる」と考え、要件定義を曖昧にしたまま開発を進めるケースがあります。この考え方は誤りです。要件定義の明確化とMA/SFA連携設計を先に固めなければ、開発後に「結局使われないシステム」になってしまいます。

独自開発が向いているケース・向いていないケース

独自開発が向いているケース

  • 既製品では対応できない独自の業務フローがある
  • MA/SFAとの複雑な連携要件がある
  • 長期的に使用し、独自機能の拡張を予定している
  • 開発・保守のための予算と体制を確保できる

独自開発が向いていないケース

  • 業務フローが標準的で、既製品で十分対応できる
  • 予算が限られており、初期費用を抑えたい
  • すぐにCRMを利用開始したい
  • 社内にシステムの運用・保守を担当できる人材がいない

クラウド基盤利用率35.3%という数字が示すように、多くの企業はクラウド型を選択しています。独自開発は、明確な要件と予算・体制がある場合に限り検討すべき選択肢です。

CRM独自開発の判断基準チェックリスト

独自開発を進めるべきかどうかを判断するためのチェックリストを用意しました。以下の項目を確認し、自社の状況を整理してください。

【チェックリスト】CRM独自開発の判断基準チェックリスト

  • 既製品のCRMでは対応できない独自の業務フローがある
  • MA/SFAとの連携要件が複雑で、API連携だけでは不十分
  • 初期費用200万~500万円程度の予算を確保できる
  • 保守費用を継続的に負担できる体制がある
  • 開発期間(3~6ヶ月以上)を許容できる
  • 要件定義を主導できる担当者がいる
  • MA/SFA連携の仕様を整理できる
  • 開発パートナーの選定基準を明確にしている
  • 導入後の運用・保守体制を計画している
  • 既製品のカスタマイズでは対応できないことを検証済み
  • 業務プロセスの棚卸しと標準化を実施している
  • 長期的なROIを試算している

上記の半数以上にチェックが入らない場合は、まずクラウド型CRMの導入・カスタマイズを検討することをお勧めします。独自開発は要件が明確で、予算・体制が整っている場合に適した選択肢です。

CRM独自開発の進め方と要件定義のポイント

独自開発を進める際、最も重要なのは要件定義です。開発技術よりも、「何を実現したいのか」を明確にすることが成功の鍵となります。

要件定義では、以下の項目を整理する必要があります。MA/SFA連携を前提とした設計では、データ連携の仕様を先に固めることが特に重要です。

【比較表】独自開発CRMの要件定義項目一覧(MA/SFA連携含む)

カテゴリ 要件定義項目 検討ポイント
顧客管理 顧客情報の項目設計 必須項目・任意項目の整理
顧客管理 顧客セグメント分類 MA連携を見据えた分類設計
商談管理 商談ステージの定義 SFAとの整合性
商談管理 パイプライン管理 レポート要件の整理
MA連携 リード同期の仕様 同期タイミング・頻度
MA連携 スコアリング連携 スコア取得・活用方法
MA連携 キャンペーン履歴連携 履歴の保持期間・項目
SFA連携 活動履歴の同期 双方向 or 一方向
SFA連携 商談情報の連携 更新トリガーの設定
SFA連携 レポート・ダッシュボード 必要な集計軸の整理
セキュリティ アクセス権限設計 部門・役職別の権限
セキュリティ データ暗号化 個人情報保護対応
運用 データバックアップ 頻度・保持期間
運用 保守・サポート体制 ベンダー対応範囲

MA/SFA連携を前提とした設計のポイント

MA/SFA連携設計で特に重要なのは、データの整合性と同期タイミングです。連携設計を曖昧にしたまま開発を進めると、「データが連携されない」「同期タイミングがずれる」といった問題が発生し、結局手作業が残ってしまいます。

連携設計で確認すべき項目

  • APIの互換性とバージョン管理
  • データ同期の頻度(リアルタイム or バッチ処理)
  • 項目マッピング(CRMとMA/SFAの項目対応表)
  • エラー発生時のハンドリング
  • 重複データの処理ルール

これらの項目を開発前に整理し、MA/SFAベンダーとも連携仕様を確認しておくことが重要です。

開発パートナー選定の基準

独自開発をベンダーに委託する場合、パートナー選定が成功を左右します。以下の観点で複数のベンダーを比較検討することをお勧めします。

選定時の確認ポイント

  • CRM開発の実績(類似業種・規模での開発経験)
  • MA/SFA連携の経験と技術力
  • 要件定義フェーズへの関与姿勢
  • 保守・サポート体制の充実度
  • コミュニケーションの円滑さ
  • 見積もりの透明性(追加費用の発生条件)

特定のベンダーを推奨することはできませんが、複数社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。価格だけでなく、要件定義への関与度合いや保守体制も含めて総合的に判断してください。

まとめ:CRM独自開発は要件定義とMA/SFA連携設計で決まる

CRM独自開発は、業務フローへの最適化という大きなメリットがある一方で、初期費用200万~500万円程度、保守費用別途という高いコストが発生します。

本記事で解説したように、独自開発の成否は開発技術だけでなく、MA/SFAとの連携設計と業務BPRを含めた要件定義によって決まります。「独自開発すれば業務にフィットする」という安易な考えではなく、判断基準チェックリストを活用して自社の状況を整理し、要件定義項目一覧に沿って仕様を明確にすることが成功への第一歩です。

次のステップ

  1. 判断基準チェックリストで自社の状況を確認
  2. 要件定義項目一覧をベースに、自社の要件を整理
  3. 複数のベンダーから見積もりを取得し、比較検討
  4. 要件定義フェーズを丁寧に進め、MA/SFA連携仕様を先に固める

CRM独自開発の成否は「開発技術」だけでなく「MA/SFAとの連携設計」と「業務BPRを含めた要件定義」によって決まります。この点を念頭に置き、計画的に進めてください。

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よくある質問

Q1CRM独自開発の費用相場はどのくらいですか?

A1日本市場では初期費用200万~500万円程度が相場とされています。ただし、企業規模や要件によって±50%程度変動する可能性があるため、複数ベンダーへの見積もり比較が必要です。保守費用は別途発生します。

Q2クラウド型CRMと独自開発、どちらを選ぶべきですか?

A2業務フローの独自性が低くMA/SFA連携要件がシンプルならクラウド型、独自業務が多く高度なカスタマイズが必要なら独自開発を検討してください。クラウド基盤利用率は35.3%(2025年調査)で、多くの企業はクラウド型を選択しています。クラウド型は初期無料~10万円、月額1人1,000~3,000円が相場です。

Q3CRM独自開発で失敗しないためのポイントは何ですか?

A3要件定義の明確化とMA/SFA連携設計を先に固めることが重要です。「開発すれば業務にフィットする」と安易に考えず、業務プロセスの棚卸しと連携仕様の整理を徹底してください。開発パートナーの選定も成功を左右する重要な要素です。

Q4CRM市場の動向と独自開発の位置づけは?

A4日本国内CRM市場は2023年に2,497億円、2028年には3,950億円に成長予測(CAGR 9.6%)です。中堅・中小企業では外資2強が優位を保っており、独自開発は特定業務への最適化が必要な企業に選択される傾向があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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