ABM KPIを設定しても成果が出ない企業の共通点
ABM(アカウントベースドマーケティング) とは、ターゲットアカウント(顧客企業)単位でマーケティング・営業活動を最適化し、アカウントごとのROI最大化を目指す手法です。ABMを知る企業の70.6%が実践し、うち約80%が成果を実感している(BtoB企業調査、FNN、2024年頃)一方で、残り2割は期待した成果を得られていません。
実はABM KPIの成功は、指標を決めるだけでなく、MA/SFA設定と部門間データ連携を実装まで行えるパートナーを選ぶことで実現します。
よくある失敗パターンは、ABM KPIを設定しただけで満足し、MA/SFA実装やデータ連携を後回しにして、結果的にKPIが形骸化してしまうことです。指標を決めただけで実装が進まず、部門間でKPIがバラバラでデータが繋がらないという状況に陥ります。
この記事で分かること
- ABM KPI設定から実装・データ連携まで一気通貫で推進する方法
- 各部門(マーケティング・営業・カスタマーサクセス)のABM KPI具体例
- MA/SFA実装とデータ連携の具体的なステップ
- ABM KPIのモニタリングとPDCAサイクルによる改善方法
- KPI形骸化を防ぐためのチェックリストと実践ガイド
ABM KPIの基本 - KGI・KPI・主要指標の理解
KPI(Key Performance Indicator) とは、重要業績評価指標のことで、KGI達成に向けた中間指標です。ABMではアカウントごとの商談化率・受注率などを設定します。一方、KGI(Key Goal Indicator) は最終的な成果目標で、ABMではアカウントごとの総売上最大化や年間売上目標などが典型的です。
ABMは従来のリード数重視から「アカウント単位の質重視」へのシフトを意味します。ICP(Ideal Customer Profile) とは、理想顧客プロファイルのことで、ABMでターゲットアカウント選定の基準となる顧客像を指します。
KGI(最終目標)とKPI(中間指標)の違い
KGIは組織が最終的に達成したい大目標を定量的に示すもので、売上高や利益率などが該当します。一方、KPIはKGI達成のために超えていく必要のある中間目標を定量化したものです。
(例)
- KGI:年間売上目標額達成
- KPI:アカウント別商談化率、受注率、平均受注単価
ABMでは、リード獲得数という従来のKPIから、アカウント単位の質重視指標へシフトすることが重要です。
ABMで重視される主要指標(接点化率・商談化率・成約単価)
ABMでは接点化率、商談化率、成約単価が主要KPIとなります。
接点化率とは、ターゲットアカウントとの接点(ウェブ訪問、コンテンツDL、商談等)を構築できた割合を指します。商談化率は、リードまたはアカウントのうち、具体的な商談に発展した割合で、ABMではアカウント単位で測定します。
ABM導入企業の成功相場として、事例では接点化率60%、商談化率40%、成約単価1.6倍(マクロミル、日本BtoB事例)というデータがあります。ただし、これは単一事例ベースのため、業界平均ではなく目安として捉える必要があります。
リード獲得数という量的指標から、アカウント単位の質重視指標へのシフトが、ABM成功の鍵となります。
部門別ABM KPI設定の具体例(マーケティング・営業・カスタマーサクセス)
MA/SFAとは、MA(マーケティングオートメーション)とSFA(セールスフォースオートメーション)のことで、ABM実践ではデータ連携が重要です。
部門間でKPIを統一し、共通ゴールに向かうことが重要です。「部門別にバラバラのKPIを設定してもよい」というのは誤解で、マーケティング・営業・カスタマーサクセスで共通KPIを設定し、CRM/MAツールで統合管理することが成功の鍵となります。
【比較表】部門別ABM KPI一覧表
以下は、各部門で設定すべきABM KPIの一覧表です。事例では接点化率60%、商談化率40%、成約単価1.6倍という相場感がありますが、業種や企業規模によって最適な目標値は異なります。
| 部門 | 主なKPI例 | 目標値・相場感(事例) | 測定方法 |
|---|---|---|---|
| マーケティング | エンゲージメントスコア | アカウント単位で測定 | MAツールで自動集計 |
| 接点化率 | 60%程度(事例) | ターゲットアカウント数÷接点構築数 | |
| パイプライン貢献額 | アカウント別に追跡 | MA→SFA連携で自動集計 | |
| 営業 | アカウント別商談化率 | 40%程度(事例) | 商談数÷リード数 |
| 受注率 | アカウント単位で測定 | SFAで追跡 | |
| 平均受注単価 | 1.6倍向上(事例) | 受注金額の平均値 | |
| 滞留期間 | アカウント別に短縮目標 | SFAで追跡 | |
| カスタマーサクセス | 契約更新率(リテンション率) | アカウント別に測定 | SFAで追跡 |
| アップセル率 | アカウント別に測定 | 追加売上÷既存売上 | |
| NPS(顧客満足度) | アカウント別に調査 | 定期サーベイ | |
| LTV貢献 | アカウント別に算出 | 全期間収益の合計 |
部門間で共通のターゲットアカウントを設定し、各部門のKPIが連携することで、横断的な成果管理が可能になります。
ABM KPI設定からMA/SFA実装・データ連携までの推進体制
ABM KPIの成功は、指標を決めるだけでなく、MA/SFA設定と部門間データ連携を実装まで行えるパートナーを選ぶことで実現します。
KPI設定だけで満足し、実装を後回しにすると、KPIが形骸化してしまいます。MA/SFA連携で行動データを共有する仕組みを構築し、部門間でKPIを統一することで、横断的な成果管理が可能になります。
ABM KPIは少数精鋭(ターゲットアカウント10-20社)から開始し、接点化率・商談化率をアカウント単位で測定することが標準的です。スモールスタートで実績を作り、段階的にスケールすることが推奨されます。
ABM KPI設定チェックリスト(診断・設定・実装・運用)
ABM KPI設定から実装・運用までの全ステップを網羅したチェックリストです。現状診断から運用定着まで、一気通貫で推進できているかを確認しましょう。
【チェックリスト】ABM KPI設定チェックリスト
1. 診断(現状把握)
- ABM KPIが形骸化していないか(設定後に活用されていない状態でないか)
- 部門間でKPIがバラバラになっていないか
- MA/SFAツールのデータ連携が機能しているか
- KPI測定に必要なデータが取得できているか
2. 設定(KPI定義)
- KGI(最終目標)を明確に定義している
- KGI達成のためのKPI(中間指標)を設定している
- ICP(理想顧客プロファイル)を定義している
- ターゲットアカウントを10-20社程度で選定している
- 部門別KPI(マーケ・営業・CS)を設定している
- 部門間で共通のKPIを設定している
3. 実装(MA/SFA設定)
- MAツールでエンゲージメントスコア設定が完了している
- SFAツールで商談管理・受注追跡が設定されている
- MA→SFA間のデータ連携が設定されている
- アカウント行動データを部門間で共有できている
- リアルタイムKPI可視化ダッシュボードを構築している
- アカウント別のパイプライン貢献額を自動集計できている
4. 運用(モニタリング・改善)
- 週次でエンゲージメントスコア・接点化進捗をモニタリングしている
- 月次で商談化率・パイプライン貢献額をモニタリングしている
- 四半期で受注率・成約単価・LTVを評価している
- 部門横断のPDCA会議を定例化している
- 低成果アカウントへの改善施策を実施している
- 高成果パターンを他アカウントに横展開している
MA/SFA連携によるデータ統合と部門間KPI可視化
MA/SFA連携により、以下のデータフローが実現します。
- MA(リード獲得・育成): ターゲットアカウントのウェブ訪問、コンテンツDL、メール開封などの行動データを取得
- MA→SFA連携: エンゲージメントスコアが一定値を超えたアカウントを営業にパス
- SFA(商談管理・受注追跡): 商談化、受注、LTVまでをアカウント単位で追跡
- リアルタイムKPI可視化: ダッシュボードで部門横断のKPIを一元管理
MA/SFAツール(Salesforce等)でアカウント行動データを共有することで、横断的な会話機会が増え、チーム全体の成果志向が浸透します。特定のツールに依存せず、自社に最適なMA/SFAツールを選定し、データ連携を実現することが重要です。
ABM KPIのモニタリングと改善PDCAサイクル
KPIが曖昧で成果測定不能な失敗を避けるため、事前に具体的KPI(エンゲージメントスコア等)を設計し、中長期視点で評価することが重要です。ABMは成果が出るまで時間がかかるため、短期的な数値に一喜一憂せず、継続的な改善サイクルを回すことが求められます。
PDCAサイクルは以下の流れで回します。
- Plan(計画): KPI目標設定(接点化率・商談化率等)
- Do(実行): ABM施策実行(コンテンツ配信、イベント開催等)
- Check(評価): MA/SFAダッシュボードで実績を確認、目標達成度を評価
- Act(改善): 低成果アカウントの改善(リライト、CTA見直し等)、成功パターンの横展開
定期的なモニタリング会議(週次/月次)を設定し、部門横断でデータを共有することが推奨されます。
KPIモニタリングの頻度と評価指標
モニタリング頻度は、KPIの性質に応じて以下のように設定します。
- 週次: エンゲージメントスコア、接点化進捗
- 月次: 商談化率、パイプライン貢献額
- 四半期: 受注率、成約単価、LTV
MA/SFAダッシュボードでリアルタイム確認できる体制を整え、迅速な意思決定を可能にすることが重要です。
PDCAサイクルによる継続的改善の方法
PDCAサイクルを回して継続的にABM KPIを改善する具体的な方法は以下の通りです。
- Plan(計画): アカウント別にKPI目標を設定(接点化率・商談化率等)
- Do(実行): ターゲットアカウント向けのABM施策を実行(コンテンツ配信、ウェビナー開催、デモ提供等)
- Check(評価): 実績を評価(目標達成度、部門別貢献度、アカウント別の進捗状況)
- Act(改善): 改善施策を実施(低成果アカウントへの追加施策、高成果パターンの他アカウントへの横展開)
部門横断でのPDCA会議を定例化することで、データに基づく意思決定が可能になります。
まとめ - ABM KPIは設定から実装・データ連携まで一気通貫で推進する
ABM KPIの成功は、指標を決めるだけでなく、MA/SFA設定と部門間データ連携を実装まで行えるパートナーを選ぶことで実現します。
KPI設定だけで満足し、実装を後回しにすると、結果的にKPIが形骸化し、部門間でデータが繋がらず成果が見えなくなります。この失敗パターンを避けるためには、設定から実装・データ連携まで一気通貫で推進することが不可欠です。
次のアクションとして、以下を推奨します。
- ABM KPI設定チェックリスト活用: 診断・設定・実装・運用の4軸で現状を評価し、不足している項目を洗い出す
- 部門別KPI一覧表を参考に自社KPI設定: マーケ・営業・CSで共通KPIを設定し、部門横断の目標を明確化
- MA/SFA実装・データ連携の推進: 行動データを部門間で共有し、リアルタイムKPI可視化を実現
- 少数精鋭(10-20社)から開始: ターゲットアカウントを絞り、段階的にスケール
実装・納品まで一気通貫で対応できるパートナーを活用することで、KPI形骸化を防ぎ、データドリブンな意思決定が可能になります。
