ワークフローとは?意味・業務効率化への活用・システム導入のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

申請書の承認待ちで業務が滞っていませんか?

経費精算や稟議書の承認が紙ベースで行われている企業では、「上司が出張中で承認が進まない」「どこで承認待ちになっているか分からない」といった課題がよく聞かれます。リモートワークが普及した現在、こうした紙ベースの業務プロセスは大きなボトルネックとなっています。

ワークフローとは、業務の流れを図式化したもので、特に申請・承認プロセスをデジタル化する「ワークフローシステム」の導入が注目されています。本記事では、B2B企業の総務・情シス・業務改善担当者の方に向けて、ワークフローの基礎知識から導入のポイントまで、実務的な視点で解説します。

この記事のポイント:

  • ワークフローとは業務の流れを図式化したもので、ワークフローシステムは申請・承認プロセスをデジタル化するツール
  • 導入により業務効率化・コスト削減・プロセス可視化・内部統制強化・リモートワーク対応が期待できる
  • 経費精算・稟議書・勤怠管理など、申請・承認が発生する業務が導入に適している
  • システム選定では企業規模・予算・既存システム連携を考慮し、無料プランから試すのが推奨される
  • 導入には現状分析→システム選定→設定・テスト→社内展開で1-3ヶ月が一般的

1. ワークフローが注目される背景

ワークフローシステムの導入が進む背景には、働き方の変化と企業の管理体制強化のニーズがあります。

(1) リモートワークと業務デジタル化の必要性

コロナ禍以降、リモートワークが広く普及しました。紙ベースの申請・承認プロセスでは、承認者が出社しないと業務が進まず、承認待ちによる遅延が課題となりました。クラウド型のワークフローシステムを導入することで、場所を問わず申請・承認が可能になり、リモートワークでもスムーズな業務遂行が実現できます。

(2) 内部統制強化と業務効率化の両立

企業規模の拡大や法令対応の強化により、内部統制の重要性が高まっています。ワークフローシステムは、誰がいつ承認したかの履歴を自動で記録し、承認プロセスを可視化することで、内部統制を強化できます。同時に、承認ルートの自動化により業務効率化も実現できるため、コンプライアンスと効率化を両立したい企業に適しています。

2. ワークフロー・ワークフローシステムの基礎知識

(1) ワークフローの定義と業務プロセスとの関係

ワークフロー(workflow)は、Work(仕事)とFlow(流れ)を組み合わせた言葉で、業務の流れまたはそれを図式化したものを指します。広義では業務プロセス全般を意味しますが、本記事では主に申請・承認・決裁といった定型業務の流れに焦点を当てます。

業務プロセス管理(BPM: Business Process Management)と関連しますが、ワークフローはその中でも特に「誰が、どの順序で、何を承認するか」という手続きの流れを明確にする点が特徴です。

(2) ワークフローシステムとは(電子承認システム・稟議システム)

ワークフローシステムは、申請・承認・決裁の一連の手続きをデジタル化・自動化するシステムです。電子承認システム、稟議システム、決裁システムとも呼ばれます。

主な機能:

  • 申請フォームの作成(経費精算、休暇申請、稟議書など)
  • 承認ルートの設定(金額や内容に応じた自動振り分け)
  • 承認状況の可視化(どこで承認待ちかリアルタイム表示)
  • 承認履歴の記録(誰がいつ承認したか自動保存)
  • 既存システムとの連携(会計システム、人事システムなど)

2024年の市場動向として、富士キメラ総研の調査によれば、ワークフローシステムの導入は新規が63.1%、リプレイスが36.9%と新規導入が多い傾向にあります。(出典: ITトレンド「ワークフローシステム比較おすすめ29選」2024年版)

(3) 承認ルートと条件分岐の仕組み

ワークフローシステムの核となるのが、承認ルートの設定です。承認ルートとは、申請から決裁までの承認者と順序を定めた経路のことです。

条件分岐の例:

  • 経費精算: 5万円未満は課長承認、5万円以上は部長承認、50万円以上は役員承認
  • 稟議書: 新規契約は営業部長→法務部長→役員、継続契約は営業部長のみ
  • 休暇申請: 通常休暇は直属上司承認、長期休暇は人事部承認も必要

このように金額や内容に応じて承認ルートを自動で変更する「条件分岐」機能により、適切な承認者に申請が回り、承認漏れやミスを防ぐことができます。

3. ワークフローシステム導入のメリットとデメリット

(1) 5つの主要メリット(効率化・コスト削減・可視化・内部統制・リモート対応)

ワークフローシステム導入の主要なメリットは以下の5つです。

① 業務効率化: 紙の申請書を回覧する時間や、承認者を探す手間が削減されます。承認ルートが自動化されるため、申請から承認までのリードタイムが短縮されます。

② コスト削減: 紙・印刷・保管コストが削減されます。ペーパーレス化により、書類の保管スペースや管理コストも不要になります。

③ プロセス可視化: 申請がどこで承認待ちになっているか、リアルタイムで確認できます。承認遅延の原因特定や業務改善に役立ちます。

④ 内部統制強化: 誰がいつ承認したかの履歴が自動で記録され、監査対応や不正防止に有効です。承認権限の設定により、適切な承認者のみが決裁できる仕組みを構築できます。

⑤ リモートワーク対応: クラウド型システムであれば、場所を問わず申請・承認が可能です。出張中や在宅勤務でもスムーズに業務を進められます。

(2) 導入時の注意点とリスク

メリットが多い一方で、導入時には以下の注意点があります。

現状分析が不十分だと失敗する: 現状の業務フローを十分に分析せずに導入すると、かえって非効率になる可能性があります。「何のために導入するのか」「どの業務をワークフロー化するのか」を明確にすることが重要です。

既存システムとの連携不足: 会計システムや人事システムとの連携が不十分だと、データの二重入力や整合性の問題が発生します。システム選定時には既存システムとの連携実績を確認しましょう。

運用ルールの不明確さ: システムの運用ルールを明確にしないと、承認遅延や混乱が生じます。「承認期限」「差し戻し基準」「緊急時の対応」などのルールを事前に決めておくことが推奨されます。

(3) 費用対効果の考え方

ワークフローシステムの導入コストは、初期費用0円〜数十万円、月額数万円〜数十万円が一般的です。費用対効果を評価する際は、以下の観点で検討します。

コスト削減効果:

  • 紙・印刷・保管コストの削減額
  • 業務時間の削減(時給換算)
  • 承認遅延による機会損失の削減

ROI(投資対効果): 一般的には、導入から6ヶ月〜1年で効果を評価するケースが多いです。無料プランから始めることで、初期投資を抑えながら段階的に効果を検証できます。

※料金プランは変更の可能性があるため、導入検討時には各社の公式サイトで最新情報を確認してください。

4. ワークフロー化に適した業務と具体例

ワークフローシステムは、申請・承認・決裁が発生する定型業務に適しています。

(1) 経費精算・稟議書作成の自動化

経費精算: 従業員が経費を申請し、上司・経理が承認する流れをデジタル化します。領収書をスマホで撮影して申請、金額に応じて承認者が自動で振り分けられる仕組みが一般的です。会計システムと連携することで、承認後に自動で経費データが反映され、二重入力を防げます。

稟議書作成: 新規契約や設備投資の稟議書をワークフローシステムで作成・承認します。契約金額や内容に応じて、営業部長→法務部長→役員といった承認ルートを自動設定できます。承認履歴が残るため、後から「誰がいつ承認したか」を確認できるのも利点です。

(2) 勤怠管理・休暇申請の効率化

休暇申請: 有給休暇や特別休暇の申請をワークフローで管理します。直属上司が承認し、人事部に自動で通知される仕組みにより、休暇管理の効率化と正確性が向上します。勤怠管理システムと連携することで、休暇残日数の自動計算も可能です。

勤怠管理: 出退勤の打刻や残業申請をワークフローで管理します。リモートワークでも打刻でき、承認プロセスが可視化されるため、勤怠管理の透明性が高まります。

(3) 物品購入・契約承認プロセスのデジタル化

物品購入: 備品や消耗品の購入申請をワークフローで管理します。購入金額に応じて承認者を自動で振り分け、購買管理システムと連携することで、在庫管理や予算管理の精度が向上します。

契約承認: 取引先との契約締結前に、法務部や経営層の承認を得るプロセスをワークフローで管理します。契約書のPDFをシステムに添付し、承認履歴を残すことで、コンプライアンス強化にもつながります。

5. システム選定と導入のステップ

(1) 現状分析:業務フローの洗い出しと課題特定

ワークフローシステム導入の第一歩は、現状の業務フローを洗い出すことです。

洗い出しの手順:

  1. 対象業務のリストアップ(経費精算、稟議、休暇申請など)
  2. 関係者へのヒアリング(現場担当者・承認者・管理部門)
  3. プロセスマップの作成(申請→承認→決裁の流れを図式化)
  4. 課題の特定(承認遅延、二重入力、履歴不明など)

この段階で「何のために導入するのか」「どの業務をワークフロー化するのか」を明確にすることが、導入成功の鍵となります。

(2) システム選定:クラウド型 vs オンプレミス、無料 vs 有料

システム選定では、以下のポイントを比較検討します。

クラウド型 vs オンプレミス:

  • クラウド型: 初期費用が低く、リモートワーク対応が容易。中小企業に適している
  • オンプレミス: 自社サーバーで運用。セキュリティ要件が厳しい大企業向け

無料 vs 有料:

  • 無料プラン: 3-5ライセンスまで無料。小規模企業や試験導入に適している
  • 有料プラン: 利用人数・機能・サポート体制が充実。本格導入に適している

主要なワークフローシステム:

  • ジョブカンワークフロー: 2024年版ワークフローSaaS/PaaS市場でシェアNo.1(富士キメラ総研調査)
  • BtoBプラットフォームワークフロー: 無料プラン(3ライセンスまで)あり
  • その他: 各社で機能・料金・サポート体制が異なるため、複数社を比較検討することが推奨されます

※上記は2024年11月時点の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトでご確認ください。

(3) 導入と運用:設定・テスト・社内展開・改善サイクル

導入ステップは以下の流れが一般的です。

導入スケジュール(目安):

  1. 現状分析: 1-2週間(業務フロー洗い出し、課題特定)
  2. システム選定: 1-2週間(複数社比較、無料トライアル)
  3. 設定・テスト: 2-4週間(申請フォーム作成、承認ルート設定、テスト運用)
  4. 社内展開: 1-2週間(利用者説明会、マニュアル配布、本番運用開始)
  5. 改善サイクル: 運用開始後、定期的に業務フローを見直し、システム設定を最適化

合計で1-3ヶ月が目安ですが、業務フローが複雑な場合や既存システムとの連携が多い場合は、さらに時間がかかることもあります。

6. まとめ:成功するワークフロー導入のポイント

ワークフローとは業務の流れを図式化したもので、ワークフローシステムは申請・承認プロセスをデジタル化するツールです。導入により業務効率化・コスト削減・プロセス可視化・内部統制強化・リモートワーク対応が期待できます。

成功のポイント:

  • 現状の業務フローを十分に分析し、導入目的を明確にする
  • 企業規模・予算・既存システム連携を考慮してシステムを選定する
  • 無料プランから試し、段階的に本格導入を進める
  • 運用ルールを明確にし、定期的に業務フローを見直す

次のアクション:

  • 対象業務をリストアップし、現状の課題を整理する
  • 3社以上のワークフローシステムの公式サイトで詳細を確認する
  • 無料トライアルで実際の使い勝手を試す
  • 関係者(現場担当者・承認者・管理部門)にヒアリングし、導入計画を策定する

ワークフローシステムの導入により、申請・承認業務の効率化と内部統制の強化を両立し、働き方改革を推進していきましょう。

よくある質問

Q1小規模企業でもワークフローシステムは必要ですか?

A1月間の申請件数が50件以上、または承認者が複数いる場合は導入効果が見込めます。無料プラン(3-5ライセンス)から始めることで、導入リスクを抑えながら効果を検証できます。リモートワークを実施している場合は特に有効です。

Q2既存の会計システムや人事システムとの連携は可能ですか?

A2主要なワークフローシステムは会計・人事システムとAPI連携が可能です。データの二重入力を防ぎ、業務効率をさらに向上できます。選定時には既存システムとの連携実績を確認することが重要です。

Q3導入にはどれくらいの期間が必要ですか?

A3現状分析(1-2週間)→システム選定(1-2週間)→設定・テスト(2-4週間)→社内展開(1-2週間)で、合計1-3ヶ月が目安です。業務フローが複雑な場合や既存システムとの連携が多い場合は、さらに時間がかかる可能性があります。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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