ワークフローソフトとは?選び方・主要製品比較・導入ポイントを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/16

稟議書の回覧に時間がかかる...業務効率化の課題を感じていませんか?

「紙の稟議書が承認者の机で止まっている」「承認状況が分からず確認に時間がかかる」「テレワークで押印のためだけに出社している」——こうした課題を抱えるB2B企業は少なくありません。

ワークフローソフトは、申請・承認プロセスを電子化し、業務効率化とペーパーレス化を実現するツールです。この記事では、ワークフローソフトの基礎知識から選定ポイント、主要製品の比較、導入時の注意点までを解説します。

この記事のポイント:

  • ワークフローソフトは申請・承認プロセスを電子化し、業務効率化を実現するツール
  • クラウド型は月額300-500円/人程度で導入可能、初期投資を抑えられる
  • 選定時は業務適合性、既存システム連携、電帳法対応をチェックする
  • 導入には業務プロセスの再設計が必要で、段階的な移行計画が重要
  • 企業規模・目的に応じて適切な製品を選定することが成功の鍵

1. なぜ今、ワークフローソフトが必要なのか

ペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、ワークフローシステムの導入が加速しています。国内企業の52.5%が既に電子ワークフローを導入しているとの調査結果もあり、業務効率化の重要なツールとして認識されています。

ワークフローソフト導入の背景:

  • テレワーク対応: 場所を問わず申請・承認が可能になる
  • ペーパーレス化: 紙の印刷・保管・郵送コストを削減
  • 業務効率化: 承認状況の可視化、リマインド機能で滞留を防止
  • コンプライアンス強化: 証跡管理、監査対応の効率化
  • 電帳法対応: 2024年以降、電子取引データの電子保存が義務化

導入による効果例:

  • 決裁時間の大幅短縮(報告例:40%削減など)
  • 年間工数の削減(報告例:1,600時間削減など)
  • 紙・印刷コストの削減

※効果は企業の状況や導入方法により異なります。

2. ワークフローソフトの基礎知識:種類・機能・相場

(1) クラウド型とオンプレミス型の違い

ワークフローソフトは、大きく「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類に分かれます。

クラウド型:

  • 特徴: インターネット経由でサービスを利用。サーバー管理不要
  • 初期費用: 低い(導入支援費用程度)
  • 月額費用: 300-500円/人程度が目安
  • メリット: 初期投資を抑えられる、導入が早い、自動アップデート
  • デメリット: カスタマイズ性に制限がある場合も、月額費用が継続的に発生

オンプレミス型:

  • 特徴: 自社サーバーにシステムを構築・運用
  • 初期費用: 高い(サーバー、ライセンス、構築費用)
  • 月額費用: 保守費用のみ(ライセンス費は初期に一括)
  • メリット: カスタマイズ性が高い、長期運用ではコスト逆転の可能性
  • デメリット: 初期投資が大きい、サーバー管理・メンテナンスが必要

選定の目安:

  • 中小企業、導入スピード重視 → クラウド型
  • 大企業、セキュリティ要件が厳しい、高度なカスタマイズ必要 → オンプレミス型

(2) 主要機能と導入コストの目安

ワークフローソフトの主要機能:

機能 内容
申請フォーム作成 稟議書、経費精算、休暇申請などのフォームを作成
承認ルート設定 承認者、承認順序、条件分岐を設定
承認状況管理 リアルタイムで承認状況を確認、滞留アラート
代理承認 承認者不在時の代理設定
証跡管理 申請・承認履歴の記録、監査対応
システム連携 会計システム、人事システム、グループウェアとの連携
電帳法対応 タイムスタンプ付与、検索要件対応

導入コストの目安:

項目 クラウド型 オンプレミス型
初期費用 0円〜数十万円 数百万円〜
月額費用 300-500円/人 保守費用のみ
導入期間 1-3ヶ月 3-6ヶ月

※料金は製品・プランにより異なります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

3. 選定のポイント:比較軸とチェック項目

(1) 業務適合性(申請・承認フローのカスタマイズ性)

自社の申請・承認プロセスに合った製品を選ぶことが重要です。製品によってカスタマイズ性に大きな差があります。

チェックポイント:

  • 申請フォームの柔軟性: 自社の稟議書フォーマットを再現できるか
  • 承認ルートの設定: 条件分岐(金額による承認者変更など)に対応できるか
  • 並列承認・飛ばし承認: 複雑な承認パターンに対応できるか
  • フォーム作成の難易度: IT部門以外でもフォーム作成・変更ができるか

製品タイプ別の傾向:

  • シンプル型: 基本的な申請・承認に特化、設定が簡単、カスタマイズ性は限定的
  • 高機能型: 複雑な承認ルートに対応、設定の自由度が高い、学習コストあり

(2) 既存システム連携と電帳法対応

既存システム連携:

  • 会計システム連携: 経費精算データを会計システムに自動連携
  • 人事システム連携: 組織情報、従業員情報を同期
  • グループウェア連携: 通知をSlack、Teams、メールで受信
  • API対応: 自社システムとのカスタム連携が可能か

電帳法対応: 2024年1月以降、電子取引データの電子保存が義務化されています。請求書・契約書などをワークフローで扱う場合は、電帳法対応が必要です。

電帳法対応のチェックポイント:

  • タイムスタンプ付与機能があるか
  • 検索要件(取引年月日、取引先、取引金額)に対応しているか
  • 訂正・削除の履歴管理ができるか
  • 電帳法対応を謳っている製品かどうか

4. 主要ワークフローソフトの比較

主要なワークフローソフトの特徴を紹介します。製品選定の際は、自社の要件に合わせて比較検討することをおすすめします。

(1) 大企業向け:高機能・カスタマイズ重視型

製品名 特徴 向いている企業
AgileWorks 大企業向け高機能、複雑な承認ルート対応 大企業、複雑なワークフローが必要
X-point Cloud 紙の帳票イメージをそのまま電子化 既存帳票を活かしたい企業
ServiceNow ITサービス管理と統合、グローバル対応 グローバル企業、IT部門主導
SAP Signavio SAP連携、プロセスマイニング機能 SAP導入済み企業

(2) 中小企業向け:シンプル・低コスト型

製品名 特徴 向いている企業
ジョブカンワークフロー 低コスト、シンプルな操作性 中小企業、初めての導入
kintone ノーコードでアプリ作成、柔軟なカスタマイズ 中堅企業、内製化したい企業
rakumo ワークフロー Google Workspace連携が強み Google Workspace利用企業
Microsoft Power Automate Microsoft 365連携、自動化に強み Microsoft 365利用企業
コラボフロー 直感的なフォーム設計、中堅企業向け 中堅企業、使いやすさ重視

選定時のポイント:

  • 利用中のグループウェア(Google Workspace、Microsoft 365など)との親和性
  • 必要な機能と予算のバランス
  • 無料トライアルで実際の操作感を確認

※各製品の機能・料金は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

5. 導入時の注意点とよくある失敗パターン

(1) 業務プロセス再設計の工数見積もり不足

ワークフローソフトの導入は、単なるツール導入ではなく、業務プロセスの再設計を伴います。この工数を過小評価すると、導入が長期化したり、期待した効果が得られなかったりするケースがあります。

よくある失敗:

  • 現行プロセスを詳細に分析せずに導入を開始した
  • 紙の稟議書をそのまま電子化しただけで、プロセス改善につながらなかった
  • 承認ルートの設計に想定以上の時間がかかった

対策:

  • 導入前に現行プロセスを詳細に文書化する
  • 電子化を機に、不要な承認ステップがないか見直す
  • シンプルなプロセスから始めて、段階的に拡大する
  • 主要なステークホルダー(実際の利用者)を巻き込む

(2) 紙と電子の混在期間の混乱対策

導入初期は、紙と電子のワークフローが混在する期間が発生します。この期間の混乱を最小限に抑えるための計画が重要です。

よくある失敗:

  • 紙と電子の使い分けルールが曖昧で、現場が混乱した
  • 一部の部門だけ電子化が進み、部門間連携で問題が発生した
  • トレーニング不足で、利用者が操作に迷った

対策:

  • 移行計画を明確にし、段階的に電子化を進める
  • 紙と電子の使い分けルールを文書化して周知する
  • 十分なトレーニングとサポート体制を整える
  • パイロット部門で試行し、問題点を洗い出してから全社展開する

導入の推奨ステップ:

  1. パイロット部門(1-2部門)で試行導入
  2. フィードバックを収集し、設定・ルールを改善
  3. 段階的に対象部門を拡大
  4. 全社展開、紙の廃止

6. まとめ:企業規模・目的別の選び方

ワークフローソフトは、業務効率化とペーパーレス化を実現する有効なツールです。自社の規模・目的に合った製品を選び、適切に導入することで、申請・承認プロセスの効率化を実現できます。

企業規模・目的別の選び方:

企業規模・目的 おすすめタイプ 選定のポイント
中小企業(初めての導入) クラウド型・シンプル 低コスト、操作が簡単、導入が早い
中堅企業(業務改善重視) クラウド型・中機能 カスタマイズ性と使いやすさのバランス
大企業(高度な要件あり) 高機能型・オンプレも検討 複雑な承認ルート、既存システム連携
電帳法対応が必須 電帳法対応明記の製品 タイムスタンプ、検索要件、証跡管理

導入成功のチェックリスト:

  • 導入目的(効率化、ペーパーレス、電帳法対応など)を明確にしたか
  • 現行の申請・承認プロセスを詳細に把握したか
  • 自社の要件(承認ルート、連携システム)を整理したか
  • 複数製品を比較し、無料トライアルで操作感を確認したか
  • 導入・移行計画を策定したか
  • トレーニング・サポート体制を整えたか
  • パイロット導入から段階的に拡大する計画があるか

次のアクション:

  • 自社の申請・承認プロセスを棚卸しし、課題を整理する
  • 複数の製品資料を取り寄せ、機能・費用を比較する
  • 無料トライアルで実際の操作感を確認する
  • パイロット部門を決め、段階的な導入計画を策定する

※この記事は2025年時点の情報に基づいています。製品の機能・料金は各社公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: ワークフローソフトの導入コストはどれくらいですか? A: クラウド型は月額300-500円/人程度が目安です。オンプレミス型は初期投資が大きくなりますが、長期運用ではコストが逆転する場合もあります。自社の利用人数と運用期間を考慮して試算することをおすすめします。

Q: 既存の基幹システムとの連携は可能ですか? A: 多くの製品はAPI連携やCSV連携に対応しています。ただし、連携の難易度や対応範囲は製品により異なります。導入前に技術検証(PoC)を実施し、連携可否を確認することを推奨します。

Q: 承認フローのカスタマイズはどこまでできますか? A: 製品により大きく異なります。簡易な分岐設定のみの製品から、複雑な条件分岐(金額、部門、申請種別による分岐)に対応する製品まで幅広くあります。自社の承認ルートを整理した上で、対応可能な製品を選定してください。

Q: 電子帳簿保存法への対応は必要ですか? A: 2024年1月以降、電子取引データの電子保存が義務化されています。請求書・契約書などをワークフローで扱う場合は、電帳法対応の製品を選定することをおすすめします。タイムスタンプ付与、検索要件対応、訂正・削除履歴管理が主な要件です。

よくある質問

Q1ワークフローソフトの導入コストはどれくらいですか?

A1クラウド型は月額300-500円/人程度が目安です。オンプレミス型は初期投資が大きくなりますが、長期運用ではコストが逆転する場合もあります。自社の利用人数と運用期間を考慮して試算することをおすすめします。

Q2既存の基幹システムとの連携は可能ですか?

A2多くの製品はAPI連携やCSV連携に対応しています。ただし、連携の難易度や対応範囲は製品により異なります。導入前に技術検証(PoC)を実施し、連携可否を確認することを推奨します。

Q3承認フローのカスタマイズはどこまでできますか?

A3製品により大きく異なります。簡易な分岐設定のみの製品から、複雑な条件分岐(金額、部門、申請種別による分岐)に対応する製品まで幅広くあります。自社の承認ルートを整理した上で、対応可能な製品を選定してください。

Q4電子帳簿保存法への対応は必要ですか?

A42024年1月以降、電子取引データの電子保存が義務化されています。請求書・契約書などをワークフローで扱う場合は、電帳法対応の製品を選定することをおすすめします。タイムスタンプ付与、検索要件対応、訂正・削除履歴管理が主な要件です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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