ワークフロー申請システムとは?導入メリットと選定ポイントを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/18

ワークフロー申請システムとは:紙・メール依存からの脱却

経費精算や稟議書、休暇申請など、企業では日々さまざまな申請業務が発生します。これらを紙やメール、Excelで管理していると、「承認者が不在で決裁が遅れる」「申請書がどこまで進んでいるか分からない」「過去の申請を探すのに時間がかかる」といった課題に悩まされることが少なくありません。

こうした課題を解決するのが、ワークフロー申請システムです。この記事では、ワークフロー申請システムの基本的な定義から、紙ベースの申請業務が抱える課題、システム導入のメリット、主要機能、選定のポイントと導入ステップまで、BtoB企業の総務・情報システム部門担当者向けに詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • ワークフローシステムは申請・承認・決裁をデジタル化し、承認時間短縮とペーパーレス化を実現
  • 紙ベースの申請業務は承認遅延、状況不透明、保管・検索の手間、テレワーク停滞などの課題がある
  • システム導入により、申請状況の可視化、マルチデバイス対応、電子帳簿保存法対応(2024年完全義務化)が実現
  • 経費精算、稟議、休暇申請など承認プロセスが発生する業務全般に適用可能
  • 月額料金は1名あたり300〜500円が相場。スモールスタートで段階的に導入するのが成功のコツ

(1) ワークフローシステムの定義と役割

ワークフローシステムとは、申請・承認・決裁といった一連の手続きをデジタル化し、自動化するためのシステムです。紙の申請書を電子フォームに置き換え、承認者への通知や承認ルートの自動設定を行うことで、業務効率を大幅に向上させます。

desknet's NEOの解説でも、ワークフローシステムは「業務プロセスの効率化と可視化を実現する基盤」として位置付けられています。特にテレワークが普及した2024年現在、場所を選ばず申請・承認できるクラウド型ワークフローシステムの需要が急増しています。

(2) 対象となる申請業務(経費精算・稟議・休暇申請等)

ワークフローシステムが対象とする主な申請業務は以下の通りです。

承認が必要な業務全般:

  • 経費精算: 交通費・宿泊費など従業員が立て替えた経費の精算
  • 購買申請: 物品やサービスの購入申請
  • 稟議書: 契約・投資などの意思決定書類
  • 休暇申請: 有給休暇・特別休暇の申請
  • 出張申請: 出張の事前承認と精算
  • 契約書承認: 取引先との契約書の社内承認

これらの業務は、複数段階の承認が必要なケースが多く、ワークフローシステムの導入効果が特に高い領域です。

紙ベースの申請業務が抱える課題

紙やメール、Excelで申請業務を管理している企業では、以下のような課題が発生しがちです。

(1) 承認の遅延(担当者不在・書類紛失)

紙の申請書は、承認者が出張や休暇で不在の場合、承認が滞ります。また、書類が紛失したり、担当者の机に埋もれたりすることで、さらに遅延が発生します。

アスピックの調査でも、紙ベースの承認業務では「承認に1週間以上かかるケースが全体の3割以上」という結果が報告されています。

(2) 申請状況の不透明さ

申請書が今どこにあり、誰の承認待ちなのかが分からないため、申請者は進捗確認のために電話やメールで問い合わせる必要があります。これは申請者と承認者の双方にとって負担となります。

(3) 保管・検索の手間とコスト

紙の申請書は物理的に保管する必要があり、保管スペースのコストが発生します。また、過去の申請を探す際には、ファイルキャビネットから該当書類を探し出す手間がかかり、時間と労力が浪費されます。

(4) テレワーク環境での業務停滞

テレワークが普及した現在、紙ベースの申請業務は大きな障壁となっています。出社しないと申請書を提出できない、承認者が出社しないと承認できないといった状況では、業務が停滞してしまいます。

PandaDocの解説でも、テレワーク環境での業務継続性の観点から、デジタル化された承認ワークフローの重要性が強調されています。

ワークフロー申請システム導入のメリット

ワークフローシステムを導入することで、以下のようなメリットが得られます。

(1) 申請から承認完了までの時間短縮

システムが自動的に承認者に通知し、承認ルートを管理するため、承認時間が大幅に短縮されます。承認者はスマホやタブレットからも承認できるため、外出先でも迅速に対応できます。

Create!Webフローの導入事例では、承認時間が「平均5日→1日」に短縮されたケースが報告されています。

(2) ペーパーレス化によるコスト削減

紙の申請書が不要になることで、印刷コスト、保管スペースのコスト、書類検索の手間が削減されます。環境負荷の軽減にも貢献します。

(3) 申請状況の可視化とリアルタイム追跡

申請者は、自分の申請がどこまで進んでいるかをリアルタイムで確認できます。承認が滞っている場合も、どの段階で止まっているかが一目で分かるため、迅速なフォローアップが可能です。

(4) テレワーク対応(マルチデバイス対応)

クラウド型のワークフローシステムは、PC・スマホ・タブレットなど、どのデバイスからでもアクセスできます。テレワーク環境でも滞りなく業務を回すことができます。

ShareFileの解説でも、マルチデバイス対応が「テレワーク時代の承認業務の前提条件」として位置付けられています。

(5) 電子帳簿保存法対応(2024年完全義務化)

2024年1月から、電子帳簿保存法による電子取引データ保存が完全義務化されました。ワークフローシステムは電子データの真実性(改ざん防止)と可視性(検索性)を確保する機能を持っており、法令対応の要件を満たします。

電子帳簿保存法対応は、今やワークフローシステム選定の必須条件となっています。

(6) 内部統制の強化

承認履歴が自動的に記録されるため、誰がいつ承認したかが明確になります。これにより、内部統制(業務を適正に遂行するための体制やルール)が強化され、不正やミスの防止につながります。

ワークフロー申請システムの主要機能

ワークフローシステムには、以下のような主要機能があります。

(1) 承認ルートの柔軟な設定

申請内容や金額に応じて、承認ルートを柔軟に設定できます。例えば、「10万円以下は課長承認のみ、10万円超は部長承認も必要」といった条件分岐が可能です。

複雑すぎる承認ルートを設定すると逆に遅延するため、電子化を機に業務プロセスを見直すことが重要です。

(2) 申請フォームのカスタマイズ

経費精算、稟議書、休暇申請など、申請書ごとに専用のフォームを作成できます。必須項目の設定や入力チェック機能により、記入漏れや誤入力を防ぎます。

(3) 既存システムとの連携(グループウェア・会計ソフト・人事システム)

既存のグループウェア(サイボウズ、Garoonなど)、会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)、人事システムとの連携により、データの二重入力を防ぎ、業務効率をさらに向上させます。

アスピックの解説でも、既存システム連携が「導入成功の重要な要素」として強調されています。

(4) モバイル対応(スマホ・タブレットでの申請・承認)

スマホやタブレットから申請・承認ができることで、外出先でも業務を進められます。承認者が出張中でも、移動中にスマホで承認することが可能です。

(5) 検索・レポート機能

過去の申請をキーワードや日付で検索できます。また、申請件数や承認時間などの集計レポートを出力し、業務改善のためのデータ分析に活用できます。

選定のポイントと導入ステップ

ワークフローシステムの選定と導入を成功させるためのポイントを解説します。

(1) 選定のポイント:対象業務の明確化と既存システム連携

システム選定時には、以下のポイントを確認しましょう。

選定基準:

  • 対象業務: 自社で電子化したい申請業務がシステムでカバーできるか
  • 既存システム連携: グループウェアや会計ソフトとの連携が可能か
  • 電子帳簿保存法対応: 真実性と可視性の要件を満たしているか
  • マルチデバイス対応: スマホ・タブレットでの申請・承認が可能か
  • サポート体制: 導入支援や運用サポートが充実しているか

The Digital Project Managerの比較分析でも、「自社の業務要件とシステム機能のマッチング度」が最も重要な選定基準として挙げられています。

(2) 月額料金の相場(1名あたり300〜500円)

ワークフローシステムの月額料金は、1名あたり300〜500円が相場です。初期費用は0円〜数十万円まで幅広く、クラウド型は初期費用が安く、オンプレミス型は初期費用が高い傾向があります。

コスト比較のポイント:

総コスト = 初期費用 + (月額費用 × 利用月数)

で比較し、3年・5年といった長期的な視点で評価しましょう。また、見積もり時には、ユーザー数の増加に伴う料金変動も確認してください。

(3) 導入ステップ①:対象となる申請業務の洗い出し

まず、自社で発生している申請業務を洗い出します。経費精算、稟議書、休暇申請など、どの業務を電子化するかを明確にします。

洗い出しのポイント:

  • 月間の申請件数
  • 承認段階の数
  • 現状の承認にかかる平均時間
  • 緊急度(テレワークで業務が止まっているか)

(4) 導入ステップ②:承認ルートの調査と業務プロセスの見直し

各申請書の承認ルートを調査します。このとき、既存の業務フローをそのままシステム化するのではなく、電子化を機に非効率な部分を見直すことが重要です。

見直しのポイント:

  • 不要な承認段階はないか
  • 承認者の役割は明確か
  • 金額基準や条件分岐は適切か

System-Exeの解説でも、「業務プロセスの見直しなしにシステム化すると、非効率がそのまま残る」と警告されています。

(5) 導入ステップ③:トライアルでの検証

主要なワークフローシステムは無料トライアルを提供しています。実際に操作してみて、使いやすさや機能の適合度を検証しましょう。

トライアルで確認すべきこと:

  • 申請フォームの作成しやすさ
  • 承認ルートの設定しやすさ
  • スマホでの操作性
  • 既存システムとの連携のしやすさ

(6) 導入ステップ④:段階的な展開(スモールスタート推奨)

いきなり全社展開するのではなく、まずは1つの部門や1つの申請業務からスタートし、運用が安定してから対象を拡大するのが成功のコツです。

段階的展開の例:

  • Phase 1: 経費精算のみ導入(営業部門)
  • Phase 2: 購買申請を追加(全部門)
  • Phase 3: 稟議書を追加(全部門)

この方法により、現場の意見を聞きながら改善を重ね、定着率を高めることができます。

まとめ:段階的な導入で確実にデジタル化を進める

ワークフロー申請システムは、申請・承認・決裁をデジタル化し、承認時間短縮、ペーパーレス化、申請状況の可視化を実現します。経費精算、稟議、休暇申請など、承認プロセスが発生する業務全般に適用可能です。

2024年1月から電子帳簿保存法の電子取引データ保存が完全義務化されたこともあり、ワークフローシステムへの移行は今や企業の必須課題となっています。月額料金は1名あたり300〜500円が相場で、クラウド型は初期費用を抑えて導入できます。

導入時は、対象業務の洗い出し、承認ルートの見直し、トライアルでの検証、段階的な展開(スモールスタート)を心がけましょう。現場の意見を聞きながら改善を重ねることで、確実にデジタル化を進めることができます。

次のアクション:

  • 自社で発生している申請業務を洗い出し、電子化の優先順位をつける
  • 電子帳簿保存法対応を含む選定基準を明確にする
  • 主要なワークフローシステム(ジョブカン、楽楽精算、X-point、Garoonなど)の公式サイトで詳細を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作し、使いやすさと機能の適合度を検証する
  • 1つの部門や1つの申請業務からスモールスタートで導入し、段階的に拡大する

段階的な導入で確実にデジタル化を進め、業務効率化と内部統制の強化を実現しましょう。

※この記事は2024年時点の情報です。各システムの機能や料金は変更される可能性があるため、導入検討時は公式サイトで最新情報をご確認ください。

よくある質問

Q1ワークフローシステムはどのような業務に適用できる?

A1経費精算、購買申請、稟議書、休暇申請、出張申請、契約書承認など、承認プロセスが発生する業務全般に適用可能です。特に複数段階の承認が必要な業務で効果が高くなります。

Q2紙ベースからワークフローシステムへの移行時の注意点は?

A2既存の業務フローをそのままシステム化せず、電子化を機に非効率な部分を見直すことが重要です。現場の意見を聞いて使いやすい設計にしないと定着しません。スモールスタートで段階的に展開するのが成功のコツです。

Q3ワークフローシステムの導入コストはどのくらい?

A3月額料金は1名あたり300〜500円が相場です。初期費用は0円〜数十万円まで幅広く、クラウド型は初期費用が安く、オンプレミス型は初期費用が高いですが月額費用は不要です。総コスト(初期+月額×利用期間)で比較しましょう。

Q4電子帳簿保存法への対応はどうすればよい?

A42024年1月から電子取引データ保存が完全義務化されました。ワークフローシステムは電子帳簿保存法対応製品を選ぶことが必須です。真実性(改ざん防止)と可視性(検索性)の確保が法令上の必須要件となります。

Q5主要なワークフローシステムの違いは?

A5ジョブカン・楽楽精算・X-point・Garoon等が代表的です。経費精算特化型、汎用ワークフロー型、グループウェア統合型などタイプが異なります。自社の対象業務と既存システム連携の要件で選定すべきで、必ずトライアルで検証しましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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