Salesforce(セールスフォース)とは?CRM機能と導入メリット

著者: Decisense編集部公開日: 2025/12/3

Salesforceという名前は聞いたことがあるけれど...

「Salesforceって何ができるの?」「CRMとどう違うの?」「導入にいくらかかるの?」——B2Bデジタルプロダクト企業の営業・マーケティング担当者の多くが、Salesforceという名前は知っていても、具体的な機能や導入コストのイメージが掴めていません。

Salesforceは世界シェアNo.1のCRMプラットフォームですが、機能が豊富すぎて初心者には複雑に感じられるのも事実です。また、料金体系や導入時の注意点を理解しないまま契約すると、費用対効果が見合わない場合もあります。

この記事では、Salesforceの基本概念、主要機能、導入メリット・デメリット、料金体系、他CRMとの比較を初心者向けに解説します。

この記事のポイント:

  • Salesforceは世界シェアNo.1のクラウドベースCRM(10万社以上が導入)
  • Sales Cloud・Marketing Cloud・Service Cloudなど営業・マーケ・CSの各分野に特化したプロダクトを提供
  • クラウドサービスのため初期投資不要、インターネット環境があればどこでも利用可能
  • 料金は年間契約必須で月額9,000〜36,000円/ユーザー(税抜)、ユーザー数増加でコスト増大
  • 中小企業には機能が過剰な場合があり、HubSpot・Zoho等の軽量CRMも検討すべき

1. Salesforceとは:世界シェアNo.1のCRMプラットフォーム

(1) Salesforce.com(企業名)とSalesforce(製品名)

Salesforceという言葉は、以下の2つの意味で使われます:

  • Salesforce.com(企業名): アメリカのクラウドソフトウェア企業。1999年創業、CRM領域で世界トップシェアを持つ
  • Salesforce(製品名): 同社が提供する世界最大のクラウドベースCRMソフトウェア「Salesforce Customer 360」

通常は製品名として使われることが多く、「Salesforceを導入する」と言えば、このCRMソフトウェアを契約・利用することを指します。

(2) CRM市場におけるシェアと導入実績(世界10万社以上)

SalesforceはCRM領域で世界・日本ともに第一位のシェアを誇り、世界の導入企業は10万社以上、日本でも15万社以上の導入実績があります(2025年時点)。

主な導入企業例:

  • 小売業(オイシックス・ラ・大地等)
  • 金融サービス
  • 消費財メーカー
  • IT・テクノロジー企業

この圧倒的なシェアは、豊富な機能・高いカスタマイズ性・エコシステムの充実によるものです。

2. Salesforceの基礎知識(定義・製品体系・主要機能)

(1) Salesforceの定義(クラウドベースCRM)

Salesforceは、クラウドベースのCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)ソフトウェアです。

CRMとは: 顧客情報を一元管理し、営業・マーケティング・カスタマーサービスの効率化を図るシステムです。顧客の基本情報、商談履歴、問い合わせ対応記録などを統合的に管理します。

クラウドベースの利点:

  • ハードウェアやサーバーなどの初期投資が不要
  • インターネット環境さえあればいつでもどこでも利用可能
  • ソフトウェアのアップデートや保守はSalesforce側が実施

(2) 主要プロダクト(Sales Cloud・Marketing Cloud・Service Cloud)

Salesforceは、営業・マーケティング・カスタマーサービスの各分野に特化したプロダクトを提供しています:

Sales Cloud(営業支援・CRM):

  • 顧客情報・商談管理
  • 営業活動の記録・分析
  • 売上予測レポート

Marketing Cloud(BtoC向けマーケティング):

  • メールマーケティング
  • SNS広告連携
  • リード獲得・育成

Service Cloud(カスタマーサービス):

  • 問い合わせ管理
  • チャット・メール対応
  • ナレッジベース構築

各プロダクトは単体で利用することも、統合して利用することも可能です。

(3) SFA・CRM・MA機能の統合

SalesforceはCRMとしてだけでなく、SFA(営業支援)やMA(マーケティングオートメーション)の機能も統合されており、部門横断でのデータ活用が可能です。

SFA(Sales Force Automation): 営業活動の記録・管理・分析を自動化し、営業効率を向上させるツール

MA(Marketing Automation): リード獲得・育成・スコアリングなどのマーケティング活動を自動化するツール

営業部門がSales Cloudで管理している顧客情報を、マーケティング部門がMarketing Cloudで活用する、といった連携が実現します。

(4) 2025年の最新トレンド(Agentforce・AIエージェント)

2025年はAIエージェント「Agentforce」が最大のトピックです。

Agentforce: Salesforceが2025年に発表したAIエージェントプラットフォーム。AIを単なる自動化ツールではなく、判断・行動できる自律的なチームメイトとして組織に組み込む構想(「Agentic Enterprise」)

主なイベント:

  • Dreamforce 2025(10月14-16日、サンフランシスコ)で「Agentic Enterprise」構想を発表
  • Agentforce World Tour Tokyo(11月20-21日)で「Agentforce 360プラットフォーム」を発表
  • Agent Script機能が2025年12月にベータリリース予定

ただし、この機能は2025年12月時点でベータ版であり、正式版とは仕様が異なる可能性があることに注意してください。

3. Salesforceの導入メリット

(1) クラウドサービスによる初期投資削減と柔軟なアクセス

クラウドサービスのため、以下のメリットがあります:

  • 初期投資不要: ハードウェア購入・サーバー構築が不要
  • 柔軟なアクセス: インターネット環境があればどこでも利用可能(テレワーク対応)
  • 自動アップデート: ソフトウェアのアップデートや保守はSalesforce側が実施

(2) 営業データの集約・一元管理・分析・可視化

日々の営業活動で収集したデータを集約・一元管理し、それらを分析・可視化して活用できることが最大の強みです。

具体的な機能:

  • 顧客情報・商談履歴の一元管理
  • 売上予測レポートの自動生成
  • ダッシュボードでの視覚的なデータ分析

(3) 部門横断でのデータ活用(営業・マーケ・CS連携)

営業・マーケティング・カスタマーサービスの各部門が同じプラットフォームでデータを共有することで、以下が実現します:

  • マーケティング部門が獲得したリードを営業部門がフォロー
  • 営業部門が受注した顧客をカスタマーサービス部門が継続サポート
  • 各部門の活動を統合的に分析し、ボトルネックを特定

(4) 豊富な機能とカスタマイズ性

導入規模や用途に応じてエディションを選択可能で、以下のように幅広いニーズに対応できます:

  • Professional版: 中小企業向けの包括的CRM
  • Enterprise版: 細かいカスタマイズが可能(ワークフロー自動化、高度なレポート等)
  • Unlimited版: 無制限のCRM機能とサポート

4. 導入時の注意点(コスト・複雑性・運用体制)

(1) 料金体系(年間契約必須、月額9,000〜36,000円/ユーザー)

Salesforceの料金は年間契約が必須で、月額料金は1ユーザーあたり9,000円〜36,000円(税抜)と幅広くなっています。

Sales Cloudの料金プラン(2025年時点):

  • Lightning Professional: 月額9,000円/ユーザー(包括的なCRM)
  • Lightning Enterprise: 月額18,000円/ユーザー(細かいカスタマイズ可能)
  • Lightning Unlimited: 月額36,000円/ユーザー(無制限のCRM機能とサポート)

※最新の料金は公式サイトでご確認ください(価格は変更される場合があります)

(2) ユーザー数増加に伴うコスト増大

利用ユーザー数が増えると費用が膨らむため、事前に費用対効果を検証する必要があります。

コスト試算例(Professional版、月額9,000円/ユーザーの場合):

  • 10ユーザー: 月額9万円 → 年間108万円
  • 50ユーザー: 月額45万円 → 年間540万円
  • 100ユーザー: 月額90万円 → 年間1,080万円

(3) カスタマイズに専門知識が必要

カスタマイズ性が高い反面、導入・設定には専門知識が必要な場合があり、初期の導入支援やトレーニングコストを考慮すべきです。

追加コストの例:

  • 導入支援コンサルティング
  • カスタマイズ・設定代行
  • 社内向けトレーニング

(4) 機能の豊富さゆえの初期の使いこなしにくさ

機能が豊富すぎて、最初は使いこなせない可能性があります。段階的な導入と社内教育が重要です。

推奨アプローチ:

  1. まずは基本機能(顧客情報管理、商談管理)のみ導入
  2. 運用に慣れてから高度な機能(ワークフロー自動化、レポート等)を追加
  3. 社内でSalesforce担当者を設置し、継続的に社内教育を実施

5. 他CRMとの比較と選定のポイント

(1) 企業規模別の向き・不向き

Salesforceは機能が豊富で大企業向けですが、中小企業には過剰な場合があります:

大企業(従業員500名以上)向け:

  • Salesforce(機能豊富、カスタマイズ性高、コスト高)
  • Microsoft Dynamics 365(Officeとの統合性高)

中堅企業(従業員50-500名)向け:

  • Salesforce Professional版
  • HubSpot CRM(無料版〜、使いやすさ重視)

小規模企業(従業員50名以下)向け:

  • HubSpot CRM(無料版あり)
  • Zoho CRM(低コスト、軽量)

(2) HubSpot・Microsoft Dynamics・Zoho等との公平な比較

主要CRMの特徴を公平に比較します:

Salesforce:

  • メリット: 機能豊富、高いカスタマイズ性、世界最大シェア
  • デメリット: 高コスト、複雑性、初期設定に専門知識が必要

HubSpot CRM:

  • メリット: 無料版あり、使いやすさ重視、マーケティング機能が強い
  • デメリット: 高度なカスタマイズは有料プランが必要

Microsoft Dynamics 365:

  • メリット: Office製品との統合性高、大企業向け
  • デメリット: 複雑性、Salesforceと同等の高コスト

Zoho CRM:

  • メリット: 低コスト、軽量、中小企業向け
  • デメリット: 機能はSalesforceより限定的

(3) 費用対効果の検証ポイント

CRM導入の費用対効果は、以下で評価します:

効果指標:

  • 営業効率化(商談管理の時間削減)
  • リード管理の改善(リード→受注への転換率向上)
  • 部門間連携の円滑化

費用:

  • 年間ライセンス料
  • 導入支援コスト
  • トレーニングコスト

中小企業では、予算月50万円以下・従業員50名以下なら、まずHubSpot CRMの無料版やZoho CRMで試し、必要に応じてSalesforceに移行するアプローチも検討すべきです。

6. まとめ:企業規模・予算に応じた選定基準

Salesforceは世界シェアNo.1のCRMプラットフォームで、営業・マーケティング・カスタマーサービスを統合的に管理できる豊富な機能を持ちます。クラウドサービスのため初期投資不要、柔軟なアクセスが可能です。

一方で、年間契約必須で月額9,000〜36,000円/ユーザーとコストが高く、ユーザー数増加に伴い費用が膨らみます。機能が豊富すぎて初期は使いこなせない可能性もあるため、段階的な導入が推奨されます。

次のアクション:

  • 自社の企業規模・予算を整理する(従業員数、CRM予算)
  • Salesforce、HubSpot、Zohoの公式サイトで料金を比較する
  • 無料トライアルで実際に操作性を試す(HubSpot CRMは無料版あり)
  • 導入実績のある同業種企業の事例を参考にする

企業規模・予算に応じて最適なCRMを選定し、営業・マーケティング活動の効率化を実現しましょう。

※この記事は2025年12月時点の情報です。料金プランや機能は頻繁に更新されるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1Salesforceとは何か?企業名なのか製品名なのか?

A1両方を指します。Salesforce.com(企業名)または同社が提供する世界最大のクラウドベースCRMソフトウェア「Salesforce Customer 360」(製品名)です。通常は製品名として使われることが多く、「Salesforceを導入する」と言えば、このCRMソフトウェアを契約・利用することを指します。

Q2SalesforceとSFA・CRMの違いは?

A2SalesforceはCRMプラットフォームの製品名で、SFA(営業支援)・CRM(顧客関係管理)・MA(マーケティングオートメーション)の機能を統合しています。CRMはカテゴリ、Salesforceはそのカテゴリのトップシェア製品です。

Q3Salesforceの料金体系は?年間契約が必要?

A3年間契約が必須です。Sales Cloudの場合、Professional版は月額9,000円/ユーザー、Enterprise版は月額18,000円/ユーザー、Unlimited版は月額36,000円/ユーザー(いずれも税抜)です。ユーザー数により総額が変動します。最新の料金は公式サイトでご確認ください。

Q4中小企業でも導入できる?費用対効果は?

A4導入可能ですが、機能が豊富すぎて過剰になる場合があります。従業員50名以下・予算月50万円以下ならHubSpot CRM(無料版あり)やZoho CRMなど軽量CRMも検討すべきです。費用対効果は営業効率化とリード管理の改善度で評価します。

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Decisense編集部

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