Webトラッキングとは?仕組み・ツール・Cookie規制への対応を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/21

Webトラッキングとは?デジタルマーケティングで重要な理由

「Webサイトの訪問者がどのページを見て、どこで離脱しているのかわからない…」「広告効果を測定したいけれど、適切なツールがわからない…」こうした課題を抱えるWebマーケティング担当者は少なくありません。

Webトラッキングとは、サイトを訪れたユーザーのネット上での行動を記録・追跡することです。ユーザーの興味関心を把握し、ターゲティング広告の最適化やパーソナライズされた体験の提供に活用されます。

この記事では、Webトラッキングの基礎知識・仕組み・主要ツール・Cookie規制対応・セキュリティリスクを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • Webトラッキングはユーザー行動を記録し、ターゲティング広告・パーソナライズに活用される
  • Cookieには自社サイト用のファーストパーティと広告用のサードパーティの2種類がある
  • Google Analyticsは上場企業の84%が利用、2023年7月からGA4が主流
  • GDPR・改正個人情報保護法・AppleのITPなどのプライバシー規制への対応が必須
  • セキュリティリスク(セッションハイジャック・XSS)への対策と利用者の同意取得が重要

(1) Webトラッキングの定義(ユーザー行動の記録・追跡)

Webトラッキングとは、Webサイトを訪れたユーザーの行動を記録・追跡する技術です。具体的には、以下のような情報を収集します:

収集される情報:

  • 訪問日時・閲覧ページ・滞在時間
  • クリックした場所・スクロール位置
  • 参照元(どこから来たか)
  • デバイス情報(PC・スマホ・タブレット)
  • 地域情報(IPアドレスから推定)

これらの情報は、ユーザーの興味関心や行動パターンを分析するために活用されます。

(2) ターゲティング広告・パーソナライズへの活用

Webトラッキングは以下のような用途で活用されます:

ターゲティング広告:

  • ユーザーの興味に合わせた広告配信
  • リターゲティング広告(一度訪問したユーザーへの再アプローチ)
  • 広告効果測定(どの広告から購入に至ったか)

パーソナライズ:

  • おすすめ商品の表示
  • ユーザーごとにカスタマイズされたコンテンツ
  • 閲覧履歴に基づく関連記事の提案

Webサイト改善:

  • ユーザー行動の分析によるUI/UX改善
  • 離脱率の高いページの特定
  • A/Bテストによる最適化

(3) 市場規模(2023年7月~2024年6月で387億件以上のトラッカー)

Kasperskyの調査によると、2023年7月~2024年6月の1年間で、ウェブトラッカーのインスタンスは387億件以上に達しました。

市場の特徴:

  • Google系サービスが圧倒的なシェアを持つ
  • アジア地域ではGoogle Display & Video 360が最大シェア(南アジア25.47%、東アジア24.45%)
  • 日本ではYahoo! Japan、Geniee等の独自トラッキングサービスも存在

Webトラッキングは、デジタルマーケティングにおいて不可欠な技術となっています。

Webトラッキングの仕組み(Cookie・タグ・技術的メカニズム)

Webトラッキングの中心的な技術がCookieです。Cookieの仕組みと種類を見ていきましょう。

(1) Cookieとは(Webサイト閲覧時にブラウザに保存される記録)

Cookieとは、Webサイト閲覧時にブラウザに保存される小さなテキストファイルです。ユーザーの閲覧履歴や設定情報を記録します。

Cookieの役割:

  • ログイン状態の保持(再訪問時に自動ログイン)
  • ショッピングカートの内容保存
  • ユーザー設定の記憶(言語・地域等)
  • 閲覧履歴の記録

Cookieはユーザーの利便性向上に役立つ一方、プライバシー保護の観点から規制の対象となっています。

(2) ファーストパーティCookieの仕組みと用途

ファーストパーティCookieとは、ユーザーが訪れたWebサイトのドメインから発行されるCookieです。

特徴:

  • 自社サイト内でのみ有効
  • サイトの利便性向上に使用
  • プライバシー規制の影響を受けにくい

用途:

  • ログイン状態の保持
  • ショッピングカートの内容保存
  • サイト内のユーザー行動分析
  • A/Bテストの実施

ファーストパーティCookieは、自社サイトのユーザー体験向上に不可欠です。

(3) サードパーティCookieの仕組みと用途

サードパーティCookieとは、ユーザーが訪れたWebサイト以外の第三者(広告ネットワーク等)から発行されるCookieです。

特徴:

  • 複数のサイトをまたいで有効
  • 広告ネットワークが発行
  • プライバシー規制の主な対象

用途:

  • リターゲティング広告
  • クロスサイトトラッキング
  • ユーザーの興味関心の分析

サードパーティCookieは、プライバシー保護の観点から規制が強化されています。Appleのサファリでは既に制限されており、Googleも当初は廃止を予定していましたが、2024年に方針を転換し継続利用を決定しました。

(4) トラッキングコードの埋め込みと動作メカニズム

Webトラッキングを実施するには、トラッキングコードをWebサイトのHTMLに埋め込む必要があります。

実装手順:

  1. トラッキングツール(Google Analytics等)でアカウント作成
  2. トラッキングコード(JavaScriptタグ)を取得
  3. Webサイトの全ページの<head>または<body>タグ内に埋め込み
  4. ブラウザがページを読み込むとトラッキングコードが実行
  5. ユーザー行動データがトラッキングツールのサーバーに送信

動作メカニズム:

  • ページ読み込み時にJavaScriptコードが実行
  • Cookieが設定され、ユーザーを識別
  • ユーザーの行動(ページビュー・クリック等)がイベントとして記録
  • データがトラッキングツールのサーバーに送信

このメカニズムにより、ユーザーの行動がリアルタイムで記録されます。

主要なWebトラッキングツールと市場シェア

2024年時点で、主要なWebトラッキングツールと市場シェアは以下の通りです。

(1) Google Analytics(上場企業の84%が利用、2023年7月からGA4が主流)

Google Analyticsは、最も広く利用されているWebトラッキングツールです。

特徴:

  • 無料で利用可能(有料版のGA360もあり)
  • 上場企業の約84%が利用
  • 詳細なユーザー行動分析
  • リアルタイムレポート
  • Google広告との連携

GA4(Google Analytics 4)への移行:

  • 2023年7月にGA4が主流に
  • 従来のUniversal Analytics(UA)はデータ収集を停止
  • プライバシー保護に配慮した設計
  • イベントベースの計測に変更

Google Analyticsは、無料でありながら高機能なため、多くの企業が導入しています。

(2) Google Display & Video 360(アジア地域で最大シェア)

Google Display & Video 360は、広告配信とトラッキングを統合したプラットフォームです。

特徴:

  • ディスプレイ広告・動画広告の配信
  • 複数のチャネルを統合管理
  • 高度なターゲティング機能

市場シェア:

  • アジア地域で最大シェア(南アジア25.47%、東アジア24.45%)
  • 特に大規模な広告キャンペーンで利用

(3) その他のツール(HubSpot、MAツール等)

HubSpot:

  • マーケティングオートメーション(MA)ツール
  • Webトラッキング・リード管理・メール配信を統合
  • 中小企業~中堅企業に人気

Adobe Analytics:

  • エンタープライズ向けの高機能分析ツール
  • リアルタイム分析・セグメント分析
  • 大企業での導入が多い

その他のMAツール:

  • Marketo、Pardot、SATORI等
  • Webトラッキング機能を内蔵

(4) 日本独自のトラッキングサービス(Yahoo! Japan、Geniee等)

日本市場には独自のトラッキングサービスも存在します:

Yahoo! Japan:

  • Yahoo!タグマネージャー
  • Yahoo!広告との連携

Geniee:

  • 国産のWebトラッキング・広告配信ツール
  • 国内企業に特化したサポート

User Local:

  • ヒートマップ機能付きのトラッキングツール
  • 視覚的にユーザー行動を分析

これらのツールは、国内企業のニーズに特化したサービスを提供しています。

Cookie規制とプライバシー対応(GDPR・改正個人情報保護法・ITP)

Webトラッキングは便利な一方、プライバシー保護の観点から規制が強化されています。

(1) GDPR(EU一般データ保護規則)とユーザー同意

GDPR(一般データ保護規則)は、EUの個人データ保護に関する法規制です。

主な要件:

  • Cookie利用前にユーザーの明確な同意が必要
  • 同意なしでのトラッキング禁止
  • データ削除権(ユーザーは自分のデータ削除を要求可能)
  • 違反時は高額な罰金(最大2,000万ユーロまたは全世界売上の4%)

対応方法:

  • Cookieバナーの設置(同意確認)
  • プライバシーポリシーの明記
  • ユーザーの同意管理システムの導入

(2) 改正個人情報保護法(日本、2022年4月施行、Cookieは個人関連情報)

日本では2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、Cookieが「個人関連情報」と定義されました。

主な要件:

  • Cookieを第三者に提供する際は本人の同意が必要
  • トラッキングの目的を明示
  • オプトアウト(利用停止)の仕組みを提供

対応方法:

  • Cookie利用についてプライバシーポリシーに明記
  • ユーザーが同意・拒否を選べる仕組みの実装
  • 第三者提供時の同意取得

(3) AppleのITP(Intelligent Tracking Prevention)とSafariでの制限

Appleは、Safariブラウザに「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」というトラッキング防止機能を実装しています。

ITPの機能:

  • サードパーティCookieを自動的にブロック
  • ファーストパーティCookieも一定期間後に削除
  • クロスサイトトラッキングの制限

影響:

  • Safari経由のトラッキング精度が低下
  • リターゲティング広告の効果が減少
  • ファーストパーティデータの活用が重要に

(4) Googleのサードパーティクッキー廃止方針の転換(2024年、継続利用を決定)

Googleは、Chromeブラウザでサードパーティクッキーを廃止する計画を進めていましたが、2024年に方針を転換しました。

経緯:

  • 当初は2022年に廃止予定
  • 3度の延期を経て、2024年に廃止を断念
  • 引き続きサードパーティクッキーの利用を継続すると発表

影響:

  • 広告業界に猶予が与えられた
  • ただし、プライバシー規制の流れは継続
  • ユーザー同意の取得とファーストパーティデータの活用が依然重要

プライバシー保護の流れは今後も継続すると予想されます。

トラッキングのセキュリティリスクと対策

Webトラッキングには、セキュリティリスクも存在します。

(1) セッションハイジャックのリスクと対策

セッションハイジャックとは、Cookie情報を盗用して他人のログインセッションを乗っ取る攻撃です。

リスク:

  • Cookie情報が盗まれると、なりすましログインが可能
  • 個人情報や決済情報が漏洩

対策:

  • HTTPS通信の使用(Cookie情報の暗号化)
  • HttpOnly属性の設定(JavaScriptからのアクセス防止)
  • Secure属性の設定(HTTPS通信時のみCookie送信)
  • セッションIDの定期的な再生成

(2) クロスサイトスクリプティング(XSS)のリスクと対策

クロスサイトスクリプティング(XSS)とは、Webサイトに不正なスクリプトを挿入する攻撃です。

リスク:

  • Cookie情報の盗用
  • 不正な広告の表示
  • マルウェアの配布

対策:

  • 入力値のサニタイズ(特殊文字のエスケープ)
  • Content Security Policy(CSP)の設定
  • フレームワークのセキュリティ機能の活用

(3) ユーザーに許可を求める仕組みの実装

プライバシー保護とユーザー信頼を確保するために、トラッキング許可を求める仕組みが重要です。

実装方法:

  • Cookieバナーの設置(初回訪問時に表示)
  • 「同意する」「拒否する」の選択肢を提供
  • プライバシーポリシーへのリンク
  • 同意内容の管理(いつでも変更可能に)

(4) 適切なセキュリティ設定とプライバシー保護

継続的な対策:

  • セキュリティパッチの定期適用
  • 脆弱性情報の収集・対応
  • トラッキングツールの最新版への更新
  • プライバシー規制の動向監視

セキュリティ対策は継続的に見直し・改善することが重要です。

まとめ:Cookie規制時代のトラッキング戦略

Webトラッキングは、ユーザー行動を記録し、ターゲティング広告やパーソナライズに活用される重要な技術です。一方で、プライバシー保護の観点から規制が強化されています。

この記事のまとめ:

  • Webトラッキングは2023年7月~2024年6月で387億件以上のトラッカーが稼働
  • Cookieにはファーストパーティ(自社サイト用)とサードパーティ(広告用)の2種類がある
  • Google Analyticsは上場企業の84%が利用、2023年7月からGA4が主流
  • GDPR・改正個人情報保護法・AppleのITPなどのプライバシー規制への対応が必須
  • セキュリティリスク(セッションハイジャック・XSS)への対策とユーザー同意取得が重要

Cookie規制時代のトラッキング戦略:

  • ファーストパーティデータの活用を優先
  • ユーザー同意の適切な取得
  • プライバシーポリシーの明確化
  • セキュリティ対策の継続的な実施
  • 規制動向の継続的な監視

次のアクション:

  • 自社サイトのトラッキング状況を確認する
  • Cookie利用についてプライバシーポリシーを整備する
  • ユーザー同意を求める仕組みを実装する
  • セキュリティ設定を見直す

プライバシー保護とマーケティング効果のバランスを取りながら、適切なWebトラッキング戦略を構築しましょう。

※Webトラッキング技術やプライバシー規制は急速に変化しています。最新情報は各ツールの公式サイトや関連法規制をご確認ください。

よくある質問

Q1ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違いは?

A1ファーストパーティCookieはユーザーが訪れたWebサイトのドメインから発行され、サイト内のユーザー体験向上に使われます。サードパーティCookieは第三者(広告ネットワーク等)から発行され、複数サイトをまたいだトラッキングに使われます。規制対象となるのは主にサードパーティCookieです。

Q2Webトラッキングのセキュリティリスクと対策は?

A2主なリスクはセッションハイジャック(Cookie情報の盗用)とクロスサイトスクリプティング(XSS、不正スクリプトの挿入)です。対策としてHTTPS通信の使用、適切なセキュリティ設定、ユーザーへのトラッキング許可確認が重要です。最新のセキュリティ対策を継続的に適用する必要があります。

Q3Googleがサードパーティクッキー廃止を断念した影響は?

A3Googleは2024年にサードパーティクッキーの廃止を断念し、引き続き利用を継続すると発表しました。ただし、プライバシー規制の流れは継続しており、GDPR、改正個人情報保護法、AppleのITPなどへの対応は引き続き必要です。ファーストパーティデータの活用とユーザー同意の取得が重要です。

Q4Google Analyticsの無料版と有料版の違いは?

A4無料版(GA4)は月間1,000万ヒットまで利用可能で、ほとんどの中小企業には十分です。有料版(GA360)は月間10億ヒット以上に対応し、高度なセグメント分析、カスタムレポート、専任サポートが提供されます。大企業や大規模サイト向けです。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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