Webマーケティングにおけるフォームの重要性
Webサイトから問い合わせを増やしたいのに、思うようにコンバージョンが伸びない...そんな悩みを抱えているマーケティング担当者は少なくありません。
実は、フォームの設計が不適切だと、せっかくサイトに訪れた見込み客の60-70%が途中で離脱してしまうと言われています。逆に、フォームを最適化することで、同じアクセス数でもコンバージョン数が2倍、3倍になることも珍しくありません。
この記事では、Webフォームの基本概念から設計のポイント、EFO(入力フォーム最適化)による離脱率改善手法まで、実務で使える知識を体系的に解説します。
この記事のポイント:
- フォームはWebサイト上で情報を入力・送信する画面で、問い合わせや資料請求に使用される
- 対策なしの場合、フォームの離脱率は60-70%に達し、大きな機会損失となる
- EFO(入力フォーム最適化)により、BtoBでは完了率25-30%を目標にできる
- セキュリティ対策(SSL暗号化、reCAPTCHA等)は個人情報保護のために必須
- 2024年4月からWebアクセシビリティの合理的配慮が義務化されている
フォームの基礎知識と種類
(1) フォームとは何か?基本的な定義と役割
フォーム(入力フォーム)とは、Webサイトやランディングページ上に設置された、情報を入力して送信するための画面です。
フォームの役割:
- 情報収集: 顧客の名前、メールアドレス、電話番号、会社名などの基本情報を取得
- 顧客接点の創出: 問い合わせや資料請求を通じて、見込み客との接点を作る
- リード獲得: マーケティング活動において、見込み客(リード)を獲得する重要な手段
- データの構造化: 入力された情報を自動的に構造化し、CRMやMAツールと連携
フォームは、Webマーケティングにおいて「訪問者」を「見込み客」に変換する最も重要な接点の1つです。
(出典: HubSpot「フォームとは?目的別の種類・設置メリット・7つの作成ツールをご紹介」)
(2) 用途別フォームの種類(問い合わせ・会員登録・資料請求・アンケート)
フォームは用途によって、以下のように分類されます。
1. 問い合わせフォーム
企業の公式サイトに設置され、顧客からの質問や相談を受け付けるフォームです。
含まれる項目:
- 名前、メールアドレス、電話番号
- 問い合わせ内容(テキストエリア)
- 会社名(BtoB企業の場合)
2. 会員登録フォーム
オンラインサービスやECサイトで、新規会員を登録するためのフォームです。
含まれる項目:
- ユーザー名、パスワード
- メールアドレス
- 利用規約への同意チェックボックス
3. 資料請求フォーム
BtoB企業がホワイトペーパーやサービス資料をダウンロード提供する際に設置するフォームです。
含まれる項目:
- 名前、メールアドレス、会社名、役職
- 業種、従業員数(セグメント分析のため)
4. 申し込みフォーム
セミナー参加やサービス契約の申し込みを受け付けるフォームです。
含まれる項目:
- 基本情報(名前、連絡先)
- 参加希望日時(セミナーの場合)
- 支払い方法(有料サービスの場合)
5. アンケートフォーム
顧客満足度調査やマーケティングリサーチのためのフォームです。
含まれる項目:
- 満足度評価(5段階評価など)
- 自由記述欄
- 属性情報(年齢、性別等)
用途によって、収集すべき情報や設計方針が異なるため、目的を明確にしてからフォームを作成することが重要です。
(出典: Bow-now「フォームとは?用途別の種類やおすすめツールを徹底解説」)
成果を出すフォーム設計の5つのポイント
フォームから高いコンバージョン率を得るには、ユーザビリティを重視した設計が重要です。
(1) 必須項目を最小限にする設計
フォームの入力項目が多すぎると、ユーザーは「面倒だ」と感じて離脱してしまいます。
推奨される項目数:
- 問い合わせフォーム: 3-5項目(名前、メール、電話、会社名、問い合わせ内容)
- 資料請求フォーム: 4-6項目(名前、メール、会社名、役職、業種、従業員数)
- アンケート: 5-10項目(質問内容による)
必須項目の見極め方:
- 「この情報は本当に初回接点で必要か?」を自問する
- 後から営業フォローで聞ける情報は、フォームでは任意項目にする
- 必須項目には「必須」と明示し、任意項目には「任意」と表示する
調査によると、フォーム項目を1つ減らすだけで完了率が5-10%向上することもあると言われています。
(2) 入力例表示とリアルタイムエラー通知
ユーザーが「どう入力すればいいのか分からない」と感じると、離脱の原因になります。
入力例の表示(プレースホルダー):
電話番号: 03-1234-5678
メールアドレス: tanaka@example.com
会社名: 株式会社〇〇
プレースホルダーで入力形式を明示することで、入力ミスが減り、完了率が向上します。
リアルタイムエラー通知:
従来は、送信ボタンを押した後にまとめてエラーが表示されていましたが、現在はリアルタイムで入力内容をチェックして即座にエラーを通知する設計が推奨されます。
例:
- メールアドレスの形式が不正な場合、入力欄の下に赤文字で「正しいメールアドレス形式で入力してください」と表示
- パスワードが短い場合、「8文字以上で入力してください」と即座に通知
リアルタイムエラー通知により、ユーザーは送信前に修正でき、ストレスが軽減されます。
(3) レスポンシブデザインとモバイル対応
現在、Webサイトへのアクセスの50-70%がスマートフォン経由と言われています。モバイル対応が不十分だと、多くのユーザーを取り逃がしてしまいます。
モバイル対応のポイント:
- レスポンシブデザイン: PC、スマートフォン、タブレットで適切に表示される
- ボタンサイズの最適化: 指でタップしやすい大きさ(最低44px × 44px)
- 入力欄の大きさ: スマートフォンでも見やすく、入力しやすいサイズ
- 縦スクロール設計: 横スクロールが発生しないようにする
- キーボードタイプの最適化: 電話番号入力時はテンキー、メール入力時は@キーが出るキーボード
スマートフォンでの入力体験を最適化することで、モバイルユーザーの離脱率を大幅に改善できます。
(出典: Tayori「問い合わせフォームのデザインまとめ18選!参考にしたいアイデア、機能を一挙紹介」)
EFO(入力フォーム最適化)で離脱率を改善する方法
EFO(Entry Form Optimization / 入力フォーム最適化)とは、フォームのユーザビリティを改善し、離脱率を下げてコンバージョン率を向上させる施策です。
(1) 離脱率60-70%を改善するEFOの基本施策
フォームの離脱率は、対策なしの場合60-70%に達すると言われています。以下の施策を実施することで、離脱率を大幅に改善できます。
EFOの基本施策:
1. 入力進捗の表示
複数ステップのフォームの場合、「ステップ1/3」のように進捗を表示することで、ユーザーは「あとどれくらいで終わるのか」が分かり、離脱が減ります。
2. 自動入力機能
ブラウザの自動入力機能(autocomplete属性)を有効にすることで、過去に入力した情報を再利用でき、入力の手間が省けます。
3. 外部リンクの削除
フォームページにグローバルナビゲーションや外部リンクがあると、ユーザーが途中で離脱しやすくなります。フォーム完了に集中させるため、余計なリンクは削除することが推奨されます。
4. 必須項目の明示
「必須」と「任意」を明確に表示し、どの項目が入力必須なのかを一目で分かるようにします。
5. 送信ボタンのデザイン最適化
送信ボタンは視認性を高め、クリックしやすい大きさにします。ボタンのラベルも「送信」ではなく「資料をダウンロード」「無料で相談する」など、具体的な行動を示す文言にすることで、クリック率が向上します。
(出典: Xserver「EFOとは?入力フォーム最適化の施策例20選を紹介」)
(2) 住所自動入力・ステップ分割などの具体的手法
住所自動入力機能
郵便番号を入力すると、自動的に都道府県・市区町村が入力される機能です。ユーザーの入力負担が大幅に軽減され、完了率が向上します。
実装方法:
- 郵便番号APIを使用(無料で利用可能)
- フォーム作成ツール(formrun、Tayori等)には標準機能として搭載されていることが多い
ステップ分割(マルチステップフォーム)
長いフォームを複数のステップに分割することで、ユーザーの心理的負担を軽減します。
例:
- ステップ1: 基本情報(名前、メールアドレス)
- ステップ2: 会社情報(会社名、業種、従業員数)
- ステップ3: 詳細(問い合わせ内容、希望日時)
ステップ分割により、「最初の1ステップだけ入力してみよう」という心理が働き、結果的に完了率が上がる傾向があります。
入力アシスト機能
- 全角・半角の自動変換(電話番号は半角、名前は全角など)
- ハイフンの自動挿入(電話番号を「0312345678」と入力すると「03-1234-5678」に自動変換)
これらの機能により、ユーザーは入力形式を気にせずに情報を入力でき、エラーが減少します。
(3) BtoBフォームの完了率目標25-30%を達成する方法
BtoB企業のフォームでは、完了率(フォームにアクセスしたユーザーのうち送信を完了した割合)25-30%が最適化の目標と言われています。
BtoBフォームの特性:
- BtoCよりも入力項目が多い(会社名、役職、業種、従業員数など)
- 意思決定に時間がかかるため、離脱率が高くなりがち
- 情報の質(リードの質)も重要
完了率を向上させる施策:
1. 「後で入力」の選択肢を設ける
詳細情報は後からメールで送ってもらう選択肢を用意し、初回は最小限の情報だけで登録できるようにします。
2. 信頼性の明示
フォーム周辺に以下の要素を配置し、ユーザーに安心感を与えます。
- 導入実績(「〇〇社以上の企業が利用」)
- プライバシーポリシーへのリンク
- セキュリティ対策の明示(「SSL暗号化通信」等)
3. フォーム送信後のフォローを明示
「送信後、24時間以内に担当者からご連絡します」など、送信後の流れを明示することで、ユーザーは安心して送信できます。
(出典: formLab「EFO(入力フォーム最適化)とは?3つの効果や具体的な施策25選・おすすめツールを解説」)
フォームのセキュリティ対策と注意点
フォームでは個人情報を収集するため、セキュリティ対策が不可欠です。対策が不十分だと、情報漏洩により企業の信頼を失い、法的責任を問われる可能性があります。
(1) SSL暗号化とreCAPTCHAの導入
SSL/TLS暗号化
SSL/TLSとは、インターネット上の通信を暗号化し、第三者からの盗聴や改ざんを防ぐセキュリティ技術です。
確認方法:
- URLが「https://」で始まっている(「http://」ではない)
- ブラウザのアドレスバーに鍵マークが表示されている
SSL証明書の取得:
- レンタルサーバー(Xserver、さくらインターネット等)では無料SSL証明書が提供されていることが多い
- Let's Encryptなどの無料証明書も利用可能
SSL暗号化は、個人情報を扱うフォームでは必須です。
reCAPTCHA(リキャプチャ)
reCAPTCHAは、Googleが提供する認証システムで、機械的な自動送信(bot)を防ぐための仕組みです。
導入効果:
- スパムメールの大量送信を防ぐ
- 悪意ある攻撃者による自動的なフォーム送信を防ぐ
reCAPTCHAは無料で利用でき、多くのフォーム作成ツールで標準搭載されています。
(出典: formrun「問い合わせフォームのセキュリティリスクとは?プロが選ぶ重要な対策5選」)
(2) 個人情報漏洩リスクと対策
主なセキュリティリスク:
1. SQLインジェクション
悪意ある攻撃者がフォームに不正なSQL文を入力し、データベースを不正に操作する攻撃です。
対策:
- プリペアドステートメント(パラメータ化クエリ)を使用
- フォーム作成ツールを使用する場合、ツール側で対策済みのものを選ぶ
2. クロスサイトスクリプティング(XSS)
攻撃者がフォームに悪意あるスクリプトを埋め込み、他のユーザーに実行させる攻撃です。
対策:
- 入力内容をサニタイジング(無害化処理)する
- 出力時にHTMLエスケープ処理を行う
3. 不正アクセス
管理画面への不正ログインにより、フォームで収集した個人情報が盗まれるリスクです。
対策:
- 管理画面には二要素認証(2FA)を導入
- IPアドレス制限で特定の場所からのみアクセス可能にする
- パスワードを定期的に変更する
フォーム作成ツールのセキュリティ対策を確認
フォーム作成ツールを選ぶ際は、以下のセキュリティ対策が実装されているかを確認しましょう。
- SSL/TLS暗号化対応
- reCAPTCHA対応
- IPアドレス制限機能
- データの暗号化保存
- プライバシーマーク取得(日本の場合)
- ISO 27001認証取得(情報セキュリティ管理)
個人情報を扱う以上、セキュリティは最優先事項です。低価格ツールでも、セキュリティ対策が不十分なものは避けるべきです。
(出典: スパイラル株式会社「フォームのセキュリティについて考えよう。主なリスクや対策とは」)
まとめ:フォーム改善で成果を出すためのチェックリスト
Webフォームは、見込み客との最初の接点であり、コンバージョン獲得の要です。適切に設計・最適化することで、離脱率を大幅に改善できます。
フォーム改善のチェックリスト:
設計段階:
- 必須項目を最小限にする(3-6項目)
- 入力例(プレースホルダー)を表示する
- レスポンシブデザインでモバイル対応する
- 外部リンクを削除し、フォーム完了に集中させる
EFO施策:
- 住所自動入力機能を実装する
- リアルタイムエラー通知を導入する
- 入力進捗を表示する(マルチステップの場合)
- 送信ボタンのデザインと文言を最適化する
セキュリティ対策:
- SSL/TLS暗号化を導入する(https化)
- reCAPTCHAを設置してbot対策をする
- プライバシーポリシーへのリンクを明示する
- フォーム作成ツールのセキュリティ対策を確認する
効果測定:
- Googleアナリティクスでフォームの完了率を測定する
- ヒートマップでユーザーの離脱ポイントを特定する
- A/Bテストで項目数や文言の効果を検証する
次のアクション:
- 既存のフォームで離脱率の高い項目を特定する
- 必須項目を見直し、1-2項目削減できないか検討する
- フォーム作成ツールの導入を検討する(formrun、Tayori、WEBCAS formulator等を比較)
- SSL化されていない場合は、レンタルサーバーの無料SSLを導入する
- BtoBフォームの場合、完了率25-30%を目標にEFO施策を実施する
フォーム改善は、一度実施すれば終わりではなく、継続的にPDCAを回すことが重要です。小さな改善を積み重ねて、自社のコンバージョン獲得を最大化していきましょう。
※この記事の情報は2025年1月時点のものです。フォーム作成ツールの機能・料金、セキュリティ対策の推奨事項は変更される可能性があるため、公式サイトや専門家に最新情報をご確認ください。
