問い合わせフォームからのリード獲得が思うように伸びない...なぜ?
B2Bマーケティングを担当していると、「Webサイトに問い合わせフォームを設置したのにリードが増えない」「フォームまで来た訪問者が途中で離脱してしまう」といった悩みを抱えることが多いのではないでしょうか。
実は、フォーム離脱率の平均は75%程度と高く、最適化をしないと多くのコンバージョン機会を逃してしまいます(formrun, 2024)。しかし、EFO(入力フォーム最適化)施策を実施することで、離脱率を改善しリード獲得を大幅に増やすことができます。
この記事では、フォームの基礎知識から種類、設計のポイント、作成ツールの選び方、セキュリティ対策まで、B2B企業の実務担当者が知っておくべき内容を解説します。
この記事のポイント:
- フォームはWebサイト上でユーザー情報を入力・送信する仕組みで、24時間365日リード獲得の窓口として機能
- フォーム離脱率は平均75%と高く、EFO施策で改善できる
- 入力項目を11個から5個に減らすだけで離脱率が15%改善する
- フォーム作成ツールを使えばプログラミング知識不要で簡単に作成可能
- SSL/TLS暗号化は必須、WAF導入やSQLインジェクション対策も推奨
- B2Bは法人情報入力が必要で、段階的なCVポイント設定が有効
1. フォームがB2B企業のリード獲得で重要な理由
(1) 24時間365日リード獲得の窓口として機能
フォームは、Webサイトやランディングページ上でユーザーが情報を入力して送信する画面の仕組みです(HubSpot, 2024)。
B2B企業にとって、フォームは以下のような重要な役割を果たします。
24時間365日対応 フォームを設置することで、営業時間外でも問い合わせや資料請求を受け付けることができます。見込み客は自分の都合の良いタイミングで情報を入力でき、企業側も対応コストを削減できます(formrun, 2024)。
データの一元管理 フォームから送信された情報は自動的にデータベースに保存され、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)ツールと連携することで、リード管理が効率化されます。
効果測定が可能 フォームのアクセス数・送信完了数・離脱率などを計測することで、どこで訪問者が離脱しているかを把握し、改善につなげることができます。
(2) フォーム離脱率75%:最適化しないと機会損失
フォーム離脱率とは、フォームに到達したユーザーが入力を完了せずにページを離れる割合のことです。
平均的なフォーム離脱率は75%程度とされており、BtoB最適値は25-30%の完了率(離脱率70-75%)とされています(formrun, 2024)。
つまり、100人がフォームに到達しても、実際に送信を完了するのは25-30人程度ということになります。
離脱の主な原因:
- 入力項目が多すぎる
- エラーメッセージが分かりにくい
- 入力支援機能がない(住所自動入力など)
- ページの読み込みが遅い
- セキュリティに不安を感じる(SSL化されていない等)
これらの課題を解決するEFO(入力フォーム最適化)施策を実施することで、離脱率を大幅に改善できます。
2. フォームの基礎知識:定義・種類・主な用途
(1) フォームとは:ユーザー情報を入力・送信する仕組み
フォームとは、Webサイト上で利用者からの入力を受け付ける操作要素の集合です(formrun, 2024)。
代表的な入力要素には以下のようなものがあります。
- テキストボックス: 氏名・会社名・メールアドレスなどの入力
- テキストエリア: お問い合わせ内容など長文の入力
- ラジオボタン: 複数の選択肢から1つを選ぶ(例:役職選択)
- チェックボックス: 複数の選択肢から複数を選べる(例:興味のある商品)
- プルダウンメニュー: 選択肢が多い場合に使用(例:都道府県選択)
- 送信ボタン: 入力内容を送信する
これらの要素を組み合わせることで、目的に応じたフォームを作成します。
(2) フォームの主な種類:問い合わせ・資料請求・会員登録・アンケート
B2B企業で使われる主なフォームの種類は以下の通りです。
問い合わせフォーム 製品・サービスに関する質問や相談を受け付けるフォーム。BtoB企業では、問い合わせをきっかけに商談につながるケースが多く、最も重要なフォームの一つです。
資料請求フォーム ホワイトペーパー・サービス資料・導入事例集などのダウンロードを受け付けるフォーム。見込み客の情報を取得し、リードナーチャリング(育成)につなげます。
会員登録フォーム 無料トライアル・ウェビナー参加・会員サイトへの登録を受け付けるフォーム。継続的な接点を持つための重要な入り口です。
アンケートフォーム イベント後のアンケート・満足度調査・ニーズ調査などを実施するフォーム。顧客の声を収集し、サービス改善に活用します。
(3) 主要な用語解説:EFO・CVR・フォーム離脱率・SQLインジェクション・SSL/TLS
フォーム運用で頻出する用語を解説します。
EFO(Entry Form Optimization) 入力フォームの使いやすさを向上させ、コンバージョン率を高める最適化施策。入力項目削減、自動入力、リアルタイムエラー表示などが含まれます(HubSpot, 2024)。
CVR(コンバージョン率) フォームに到達したユーザーのうち、実際に送信を完了した割合。CVRを改善することがフォーム最適化の主要な目標です。
フォーム離脱率 フォームに到達したユーザーが、入力を完了せずにページを離れる割合。平均75%程度とされています(formrun, 2024)。
SQLインジェクション フォームを通じて悪意のあるSQL文を送信し、データベースを不正操作する攻撃。適切な入力値検証とエスケープ処理で対策します。
SSL/TLS暗号化 フォーム送信時のデータを暗号化し、通信経路での盗聴や改ざんを防ぐ技術。個人情報を扱うフォームでは必須です。
3. フォーム設計のポイント:EFOで離脱率を改善する
(1) 入力項目の削減:11個→5個で離脱率15%改善
フォームの離脱率を改善する最も効果的な方法の一つが、入力項目の削減です。
入力項目を11個から5個に減らすだけで離脱率が即座に15%改善するというデータがあります(formrun, 2024)。
削減の考え方:
- 必須項目と任意項目を明確に分ける
- 後から取得できる情報は初回フォームで聞かない
- 「役に立たない項目」を削除する(取得しても活用していない項目)
削減の例:
【Before: 11項目】
- 氏名(姓・名)
- フリガナ(セイ・メイ)
- 会社名
- 部署名
- 役職
- 郵便番号
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 従業員数
- お問い合わせ内容
【After: 5項目】
- 氏名
- 会社名
- メールアドレス
- 電話番号
- お問い合わせ内容
フリガナ・部署名・役職・住所・従業員数などは、商談時や後日のヒアリングで取得すればよい情報です。初回フォームでは、最低限の情報だけを聞くことで離脱を防ぎます。
(2) 入力支援機能:住所自動入力・リアルタイムエラー表示
ユーザーの手間を減らし、エラーをすぐに修正できる仕組みを導入することで、離脱率を改善できます。
郵便番号からの住所自動入力 郵便番号を入力すると自動的に住所が入力される機能。ユーザーの手間を大きく減らせます(formrun, 2024)。
リアルタイムエラー表示 送信ボタンを押す前に、入力内容に誤りがある場合はその場でエラーを表示。「送信してからエラーが出て、もう一度入力し直す」という手間を省きます(HubSpot, 2024)。
入力例の表示 電話番号やメールアドレスなど、入力形式が決まっている項目には入力例を表示することで、ユーザーが迷わず入力できます。
例:
- 電話番号: 03-1234-5678
- メールアドレス: example@company.co.jp
(3) プログレスバーの導入:完了率12%向上
フォームが複数ページにわたる場合、プログレスバー(進捗状況を示すバー)を導入することで、完了率が12%向上するというデータがあります(formrun, 2024)。
プログレスバーの効果:
- ユーザーが「あとどれくらいで終わるか」を把握できる
- 途中で離脱するリスクが減る
- 入力のモチベーションを維持できる
例:
ステップ1/3: 基本情報入力
[==========----------] 50%完了
(4) 不要なリンク削除:ヘッダー・フッターで離脱率4pt改善
フォームページのヘッダーやフッターにあるリンク(ナビゲーションメニュー、SNSアイコンなど)を削除することで、フォーム離脱率が4ポイント下がるという結果があります(formrun, 2024)。
理由: フォームに到達した訪問者の目的は「フォームを送信すること」です。ヘッダーやフッターにリンクがあると、他のページに移動してしまい、そのまま離脱するリスクが高まります。
推奨: フォーム専用のランディングページを作成し、ヘッダー・フッターのリンクを最小限にする、またはフォーム送信完了までは非表示にする設計が効果的です。
(5) B2B特有の設計ポイント:法人情報入力・複数担当者対応
B2BとB2Cでは、フォーム設計のポイントが異なります。
法人情報の入力項目 B2Bでは、個人情報だけでなく法人情報(会社名・部署名・役職)の入力項目が必要です。これらの情報は、リードの優先順位付け(スコアリング)に活用されます。
複数担当者への対応 B2Bは意思決定者が複数いることが多いため、「担当者を追加」ボタンを設置し、複数の担当者情報を一度に送信できる設計も検討できます。
段階的なCVポイント設定 B2Cに比べて検討期間が長いため、いきなり「お問い合わせ」ではなく、「資料ダウンロード」「無料トライアル」など段階的なCVポイントを設定することで、心理的ハードルを下げることができます。
4. フォーム作成ツールの選び方と比較のポイント
(1) プログラミング不要のツールで簡単作成
HTMLやCSSの知識がなくても、フォーム作成ツールを使えば簡単に問い合わせフォームを作成できます(formrun, 2024)。
ツールの主な機能:
- ドラッグ&ドロップで項目を配置
- テンプレートから選んで編集
- 自動返信メール設定
- CRM・MAツールとの連携
- セキュリティ対策(SSL暗号化、スパム対策など)
代表的なフォーム作成ツールには以下のようなものがあります(formrun, 2024; アスピック, 2024)。
- formrun
- Googleフォーム
- HubSpot
- Zoho Forms
- Typeform
- SPIRAL
それぞれ機能や料金プランが異なるため、自社の用途に合わせて選定することが重要です。
(2) 選定の比較軸:機能・料金・セキュリティ・連携
フォーム作成ツールを選ぶ際は、以下の比較軸を検討します。
機能
- 必要な入力項目に対応しているか(ファイルアップロード、日付選択など)
- EFO機能(住所自動入力、リアルタイムエラー表示など)
- 自動返信メール・管理者通知メール
- レスポンシブデザイン(スマホ対応)
料金
- 無料プランの有無と制限内容
- 有料プランの価格帯(月額数千円〜数万円)
- 送信件数制限・保存件数制限
セキュリティ
- SSL/TLS暗号化対応
- スパム対策(reCAPTCHA等)
- IPアドレス制限・アクセス制御
連携
- CRM・MAツールとの連携(Salesforce、HubSpot、Marketo等)
- Slack・Chatwork等への通知連携
- Googleスプレッドシート連携
複数のツールを比較し、無料トライアルで実際に操作性を試してから導入を決定することをおすすめします。
(3) 無料プランと有料プランの違い
多くのフォーム作成ツールは、無料プランと有料プランを提供しています。
無料プランの制限例:
- 月間送信件数制限(例:月100件まで)
- 広告表示あり(「Powered by 〇〇」等)
- 保存件数制限(例:最大500件まで)
- 連携機能が限定的
有料プランのメリット:
- 送信件数・保存件数が無制限または大幅に増加
- 広告非表示
- 高度なEFO機能(住所自動入力、条件分岐等)
- CRM・MAツールとの連携
- 優先サポート
まずは無料プランで試し、送信件数が増えてきたら有料プランに切り替えるという段階的なアプローチが一般的です。
ツールの機能や料金は変更される可能性があるため、執筆時点を明記し、公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします(2025年1月時点の情報)。
5. フォームのセキュリティ対策:リスクと対策方法
(1) 主なリスク:SQLインジェクション・XSS・OSコマンドインジェクション
フォームは外部からの攻撃対象となりやすく、適切なセキュリティ対策を実施しないと以下のようなリスクがあります。
SQLインジェクション フォームを通じて悪意のあるSQL文を送信し、データベースを不正操作する攻撃。顧客情報の漏洩や改ざんにつながります(配配メール, 2024; スパイラル, 2024)。
XSS(クロスサイトスクリプティング) フォームに悪意のあるスクリプトを埋め込み、他のユーザーに実行させる攻撃。セッション情報の窃取やフィッシングサイトへの誘導などが行われます(配配メール, 2024)。
OSコマンドインジェクション フォームを通じてサーバー上で任意のOSコマンドを実行させる攻撃。サーバーの乗っ取りやデータ破壊につながります(配配メール, 2024)。
これらの攻撃を防ぐため、適切なセキュリティ対策が必須です。
(2) 必須対策:SSL/TLS暗号化・WAF導入
SSL/TLS暗号化(必須) フォーム送信時のデータを暗号化し、通信経路での盗聴や改ざんを防ぎます。SSL/TLS暗号化を導入しないと個人情報漏洩のリスクが高まります(配配メール, 2024)。
確認方法:URLが「https://」で始まっていること、ブラウザに鍵マークが表示されていることを確認します。
WAF(Web Application Firewall)導入(推奨) WAFは、Webアプリケーションへの攻撃を検知・遮断するセキュリティ対策です。SQLインジェクション、XSS、OSコマンドインジェクション等の攻撃を防ぎます(配配メール, 2024)。
2024年はWebフォームのセキュリティ対策がより重要になり、WAF導入や常時SSL化が標準化されています(配配メール, 2024)。
入力値検証とエスケープ処理 フォームから送信されたデータを信頼せず、サーバー側で厳格な入力値検証を実施します。また、データベースに保存する際はエスケープ処理を行い、SQLインジェクションを防ぎます(スパイラル, 2024)。
(3) 2024年のトレンド:reCAPTCHA突破bot対策
reCAPTCHA(bot対策) Googleが提供する、bot(自動プログラム)とユーザーを区別するセキュリティ機能。スパムメール送信や自動攻撃を防ぎます。
しかし、2023-2024年にはreCAPTCHAを突破するbotが登場し、自動返信メールの悪用リスクが増加しています(配配メール, 2024)。
対策:
- 自動返信メールに入力内容を含めない(悪用リスク軽減)
- 送信IPアドレスのログ取得と監視
- 異常な送信パターンを検知する仕組みの導入
セキュリティ対策は常に進化するため、最新の脅威情報を公式サイトやセキュリティ専門メディアで確認し、適切な対策を実施することが重要です。
6. まとめ:フォーム導入・最適化を始める前のチェックリスト
フォームは、B2B企業のリード獲得において24時間365日機能する重要な窓口です。しかし、離脱率は平均75%と高く、EFO施策を実施しないと多くのコンバージョン機会を逃してしまいます。
入力項目の削減、住所自動入力、リアルタイムエラー表示、プログレスバーの導入など、具体的なEFO施策を実施することで、離脱率を大幅に改善し、リード獲得を増やすことができます。
フォーム導入・最適化を始める前のチェックリスト:
- フォームの目的を明確にする(問い合わせ、資料請求、会員登録、アンケート等)
- 入力項目を最小限にする(11個→5個で離脱率15%改善)
- 入力支援機能を導入する(住所自動入力、リアルタイムエラー表示)
- プログレスバーを導入する(複数ページの場合)
- ヘッダー・フッターのリンクを削除または最小化する
- B2B特有の設計ポイントを考慮する(法人情報入力、段階的CVポイント)
- フォーム作成ツールを比較する(機能・料金・セキュリティ・連携)
- セキュリティ対策を実施する(SSL/TLS暗号化、WAF導入、reCAPTCHA等)
- 無料トライアルで操作性を確認する
- 公式サイトで最新の機能・料金・セキュリティ情報を確認する
まずは無料のフォーム作成ツールで試し、効果が見えてきたら有料プランや高機能ツールに切り替えるという段階的なアプローチをおすすめします。継続的なEFO施策により、フォームのCVRを改善し、リード獲得を最大化しましょう。
