ユニバーサルアナリティクスが使えなくなって困っている...
Webサイトのアクセス解析に長年使われてきたユニバーサルアナリティクス(UA)は、2024年7月1日に完全終了しました。「過去のデータはどうなったの?」「GA4への移行は何をすればいい?」と悩んでいるB2B企業のWeb担当者は少なくありません。
この記事では、ユニバーサルアナリティクス終了後の対応として、過去データの取り扱い方とGA4への移行手順を実践的に解説します。
この記事のポイント:
- UAは2024年7月1日に完全終了し、データは永久削除された
- UAとGA4はデータ構造が全く異なり、自動移行はできない
- GA4はイベントベースの計測で、セッションベースのUAとは分析の視点が変わる
- GA4への移行は既に必須であり、早急な対応が求められる
- GA4では機械学習による予測機能やBigQuery連携など新機能が利用可能
1. ユニバーサルアナリティクス終了の背景とスケジュール
(1) UAとは何だったのか(2014年〜2024年)
ユニバーサルアナリティクス(UA)は、2014年4月に正式リリースされたGoogleアナリティクスの旧版です。Webサイトのアクセス解析ツールとして世界中の企業で広く使われ、セッションやページビューを軸とした分析を提供してきました。
UAの主な特徴は以下の通りです:
- セッションベースの計測:訪問から離脱までを1セッションとして記録
- Webサイト専用:Webサイトのみの計測に対応
- 直帰率:サイトを訪問後、他のページを見ずに離脱した割合を計測
(2) 終了のスケジュール(2023年7月1日計測終了、2024年7月1日完全終了)
2022年3月16日、Googleは公式にUAのサポート終了を発表しました。終了のスケジュールは以下の通りです:
2023年7月1日: UAでのデータ処理終了
- この日以降、新しいデータの計測が停止
- 過去データの閲覧は可能
2024年7月1日: UAの完全終了
- すべてのUAプロパティとAPIが完全にアクセス不可
- データが永久削除され、復元不可能に
※出典:Web担当者Forum「さよならUAまで3か月! 2024年7月1日以降、Google アナリティクスは完全終了」(2024年4月3日)
(3) なぜ終了したのか(プライバシー保護への対応)
UA終了の背景には、プライバシー保護への対応があります。近年、GDPRやCCPAなどの個人情報保護規制が強化される中、Cookie依存の計測からイベントベース計測へと移行する必要性が高まっていました。
GA4は、プライバシー重視の設計により、以下のような対応が可能です:
- Cookieに依存しない計測:ユーザーIDやデバイスIDを活用
- データ保持期間の設定:企業のプライバシーポリシーに合わせた設定が可能
- IPアドレスの匿名化:デフォルトで有効
2. ユニバーサルアナリティクスとGA4の主な違い
(1) 計測の軸:セッションベース vs イベントベース
UAとGA4の最も大きな違いは、計測の軸です。
ユニバーサルアナリティクス(UA):セッションベース
- 訪問から離脱までを1セッションとして計測
- ページビュー数、セッション数、直帰率などが主要指標
Google アナリティクス 4(GA4):イベントベース
- ユーザーのあらゆる行動を個別のイベントとして計測
- ページビューもイベントの1つとして扱われる
- より柔軟なデータ分析が可能
※出典:Data-be「UAとGA4の違い比較まとめと両方併用する方法」
(2) 対象:Webのみ vs Webとアプリの統合
UAはWebサイトのみの計測に対応していましたが、GA4ではWebサイトとモバイルアプリの両方を統合して計測できます。これにより、以下のような分析が可能になります:
- クロスデバイス分析:同一ユーザーがPCとスマホでどう行動するか
- クロスプラットフォーム分析:Webとアプリをまたいだユーザージャーニーの把握
(3) 主要指標の違い(直帰率 → エンゲージメント率)
UAの「直帰率」は、サイトを訪問後、他のページを見ずに離脱した割合を示していました。GA4では、この指標が「エンゲージメント率」に置き換えられています。
エンゲージメント率とは: 10秒以上の滞在、2ページ以上の閲覧、コンバージョンのいずれかが発生したセッションの割合を示します。直帰率よりも、ユーザーの関与度を正確に測定できると言われています。
(4) データ構造の違いと過去データとの比較の注意点
UAとGA4はデータ構造が全く異なるため、過去データとの直接比較はできません。
注意点:
- セッション定義の違い:UAとGA4ではセッションの定義が異なる
- 指標の違い:直帰率とエンゲージメント率は計算方法が異なる
- 比較する場合は:同じ期間をUAとGA4の両方で計測し、傾向を把握する
3. UAの過去データの確認・エクスポート方法
(1) 2024年7月1日以降のデータアクセス状況
2024年7月1日以降、UAのすべてのプロパティとAPIが完全にアクセス不可となり、データは永久削除されました。事前にエクスポートしていなかった場合、過去データへのアクセスはできません。
※出典:ミツエーリンクス「2024年に7月1日以降にデータが削除!UAのデータのエクスポートはお済みですか?」(2024年3月18日)
(2) エクスポートが間に合わなかった場合の対応
エクスポートが間に合わなかった場合、以下の対応が考えられます:
1. 社内に保存されたレポートを確認
- 定期的にダウンロードしていたレポート(Excel、PDF)
- スクリーンショットや記録資料
2. 過去の意思決定資料を活用
- 月次・四半期レポート
- 経営会議資料
3. GA4で新たに計測開始
- 過去データは失われたが、今後のデータをGA4で蓄積
- 年次比較は1年後から可能に
(3) 今後のデータバックアップの重要性
GA4でも、定期的なデータバックアップが重要です。以下の方法が推奨されます:
定期的なエクスポート:
- 月次または四半期ごとにレポートをエクスポート
- BigQuery連携で自動的にデータを保存(無料枠あり)
長期保存が必要なデータ:
- 年間・四半期の集計データ
- 主要KPIの推移データ
- コンバージョンデータ
4. GA4への移行手順と注意点
(1) GA4プロパティの作成
GA4への移行は、まずGA4プロパティの作成から始めます。Google公式の移行ガイド(※)に従って、以下の手順で作成できます:
手順:
- Googleアナリティクスにログイン
- 管理画面から「プロパティを作成」を選択
- プロパティ名を入力し、GA4を選択
- トラッキングIDを取得
※出典:Google公式ヘルプ「[UA→GA4] 移行ガイド: 初心者向け」
(2) タグの設定と計測の開始
GA4のトラッキングタグを、Webサイトの全ページに設置します。以下の方法があります:
方法1: Googleタグマネージャー(GTM)を使う
- 推奨される方法
- タグの一元管理が可能
方法2: 直接HTMLに埋め込む
- GTMを使わない場合の方法
- すべてのページに手動で追加する必要がある
(3) 目標(コンバージョン)の移行
UAで設定していた目標(ゴール)は、GA4では「コンバージョン」として設定します。
手順:
- UAで設定していた目標を確認
- GA4で「イベント」として同様の行動を計測
- イベントを「コンバージョン」としてマーク
注意: UAとGA4では目標の定義方法が異なるため、完全に同じ設定にはなりません。UAでの目標達成数とGA4でのコンバージョン数は、定義の違いにより差異が出る可能性があります。
(4) UAとGA4の併用期間の活用
移行期間中は、UAとGA4を併用しながら徐々にGA4のみの運用へ移行していくのが推奨されていました(※)。しかし、2024年7月以降は既にUAが完全終了しているため、GA4のみでの運用となります。
※出典:PLAN-B「ユニバーサルアナリティクス(UA)とは? GA4への移行の必要性や違いについて解説」
(5) データ自動移行はできない点に注意
UAからGA4へのデータ自動移行はできません。これは、UAとGA4でデータ構造が全く異なるためです。必要な過去データは、事前にエクスポートして別途保存する必要がありました。
5. GA4で実現できる新機能と活用法
(1) BigQuery連携による高度な分析
GA4では、Googleのクラウドデータウェアハウス「BigQuery」との連携が標準機能として提供されています(無料枠あり)。これにより、以下のような高度な分析が可能になります:
BigQuery連携のメリット:
- 生データの直接分析
- SQLクエリによる柔軟なデータ抽出
- 他のデータソースとの統合分析
- 長期間のデータ保存
(2) 機械学習による予測機能
GA4では、機械学習を活用した予測機能が利用できます。
主な予測機能:
- 購入予測:今後7日間で購入する可能性の高いユーザーを予測
- 離脱予測:今後7日間で離脱する可能性の高いユーザーを予測
- 収益予測:今後28日間で得られる収益を予測
これらの予測データをもとに、リターゲティング広告やメール配信のセグメントを作成できます。
(3) クロスデバイス・クロスプラットフォーム計測
GA4では、Webサイトとモバイルアプリをまたいだユーザー行動を統合して計測できます。
活用例:
- スマホアプリで商品を閲覧したユーザーが、後日PCで購入したかを追跡
- アプリとWebの両方を利用するユーザーのLTV(顧客生涯価値)を分析
(4) プライバシー重視の計測設計
GA4は、プライバシー保護を重視した設計になっています。
プライバシー保護機能:
- IPアドレスの自動匿名化
- データ保持期間の設定(2ヶ月、14ヶ月、自動削除なしから選択)
- Cookieに依存しない計測オプション
※出典:Advertimes「Googleユニバーサルアナリティクスが完全終了したのはなぜ?GA4で実現できることとは」(2024年8月30日)
6. まとめ:GA4時代のデータ分析に向けて
ユニバーサルアナリティクス(UA)は2024年7月1日に完全終了し、データは永久削除されました。GA4への移行は既に必須となっており、早急な対応が求められます。
GA4はイベントベースの計測に変わり、UAと比べて学習コストは高めですが、機械学習による予測機能やBigQuery連携など、高度な分析が可能になります。
次のアクション:
- GA4プロパティを作成し、トラッキングタグを設置する
- UAで設定していた目標(ゴール)をGA4のコンバージョンとして設定する
- Google公式の移行ガイドや各種学習リソースを活用する
- BigQuery連携を検討し、データのバックアップ体制を整える
GA4での計測を開始し、新しい時代のデータ分析に対応していきましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。最新の機能や料金については、Google アナリティクス公式サイトをご確認ください。
