SalesforceとTableauを連携させたいけれど、何から始めればいいか分からない...
SalesforceでCRMデータを蓄積している企業の多くが、より高度なデータ分析・可視化を検討しています。「Tableauってどんなツール?」「Salesforceとの連携は難しい?」「標準レポート機能との違いは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、SalesforceとTableauの連携方法、主要機能、導入メリット・デメリット、他BIツールとの比較を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- TableauはSalesforceが2019年に買収したBIツールで、ガートナー社のマジック・クアドラントで12年連続リーダー評価
- OAuth認証で簡単に接続でき、LWCを使えばSalesforce画面にダッシュボードを埋め込み可能
- Salesforce標準レポートで十分なケースとTableauが必要なケースがある
- Power BIやLookerなど他BIツールとの比較で自社に最適なツールを選定できる
- 2024年にはTableau EinsteinやTableau PulseなどAI機能が強化されている
1. Tableauとは?Salesforceが買収したBIツールの概要
Tableau(タブロー)は、データを視覚化・分析するためのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールです。直感的な操作でドラッグ&ドロップによるダッシュボード作成が可能で、技術者でなくてもデータ分析を行えるのが特徴です。
(1) Tableauの歴史と買収の背景(2019年、157億ドル)
Salesforceは2019年6月にTableauを約157億ドル(約1兆7000億円)で買収しました。この買収により、SalesforceはCRMデータとBIツールを統合したデータ分析プラットフォームを提供できるようになりました。
Tableauは買収以前から、ガートナー社のBIツール「マジック・クアドラント」で12年連続リーダーに選ばれるなど、業界標準のBIツールとして高い評価を受けていました。買収後もTableauは独立したBIツールとして機能し、Salesforce以外のデータソースにも幅広く対応しています。
(2) TableauとCRM Analytics(旧Tableau CRM)の違い
SalesforceのBI関連製品には「Tableau」と「CRM Analytics(旧Tableau CRM)」の2つがあり、混同されやすいため整理します。
Tableau:
- 独立したBIツールとして幅広いデータソースに対応
- 社内ネットワーク上のデータベースやローカルファイルにも接続可能
- UIが洗練されており、直感的な操作が可能
- Salesforce導入の有無を問わず活用できる
CRM Analytics(旧Tableau CRM):
- Salesforceにネイティブ統合された分析ツール
- Salesforce画面との連携が容易
- SaaSサービスのため、社内ネットワーク上のDBやローカルファイルには直接接続不可
- Salesforce CRMとの統合環境で性能を発揮
自社の利用環境やデータソースによって、どちらが適しているかを判断することが重要です。
2. SalesforceとTableauの連携方法と設定手順
SalesforceとTableauの連携は、専用のコネクタを使用することで比較的簡単に設定できます。
(1) Tableauコネクタでの接続とOAuth認証の設定
Tableau Desktopでは、データメニューからSalesforceコネクタを選択するだけで接続を開始できます。Tableau Desktop 2020.4以降では、OAuth認証に対応しており、ユーザー名とパスワードの入力が不要になりました。
基本的な接続手順:
- Tableau Desktopを起動し、「接続」から「Salesforce」を選択
- OAuth認証でSalesforceにサインイン
- 接続したいオブジェクト(取引先、商談、リードなど)を選択
- データの抽出またはライブ接続を選択
Tableauコネクタを使用すると、Salesforceのデータを瞬時に取得し、可視化・分析を開始できます。
(2) LWC(Lightning Web Component)によるダッシュボード埋め込み
Tableauで作成したダッシュボードは、LWC(Lightning Web Component)を使用してSalesforce画面に埋め込むことが可能です。これにより、営業担当者やマネージャーがSalesforceを離れることなく、Tableauの分析結果を確認できます。
埋め込みのメリット:
- ドラッグ&ドロップで簡単にダッシュボードを配置
- Salesforceのレコードページから直接分析結果を確認
- Tableauダッシュボードから直接Salesforceレコードを開いてアクション実行可能
管理者権限があれば、Lightning App Builderから設定できます。
(3) Sandbox環境での連携時の注意点
テスト環境(Sandbox)でTableauとSalesforceを連携する場合、いくつかの注意点があります。
注意事項:
- Sandbox作成時はカスタムドメインでの設定が必要になる場合がある
- 本番環境とSandbox環境でデータ形式が異なる場合、連携設定を調整する必要がある
- 定期的なデータ同期を設定し、データの一貫性を確保することが重要
SalesforceとTableauはデータの管理方法や形式が異なるため、連携時にデータがうまく同期できないケースもあります。事前にテスト環境で検証することをおすすめします。
3. 主要機能とダッシュボード活用例
Tableauには、Salesforceデータを効果的に活用するための機能が豊富に用意されています。
(1) Salesforce向けダッシュボードスターターの活用
Tableauには「Salesforce向けダッシュボードスターター」が用意されており、数回のクリックで取引先トラッキングや四半期業績のダッシュボードを作成できます。テンプレートを活用することで、ダッシュボード作成の時間を大幅に短縮できます。
主なテンプレート:
- 取引先トラッキングダッシュボード
- 四半期業績ダッシュボード
- パイプライン分析ダッシュボード
- 営業活動分析ダッシュボード
(2) TableauダッシュボードからのSalesforceレコード操作
Tableauダッシュボードからは、Salesforceレコードを直接開いてアクション(編集・指示出し)を実行できます。これにより、分析結果を見ながらすぐにアクションを起こすことが可能です。
活用例:
- ダッシュボードで商談の進捗を確認し、遅れている案件をその場で編集
- 売上データを分析しながら、関連する取引先レコードを確認
- パイプラインの状況を把握し、必要なフォローアップを設定
(3) Tableau PulseによるAIインサイト機能(2024年提供開始)
2024年3月、Salesforceは生成AI搭載の「Tableau Pulse」の一般提供を開始しました。Tableau Pulseは、全Tableau Cloudと埋め込み分析に無料で組み込まれており、AIがデータからインサイトを自動生成します。
また、2024年9月のDreamforceでは「Tableau Einstein」が発表されました。Agentforceを搭載したAI活用のデータアナリティクス機能で、データ駆動型の業務フローを支援します。
4. 導入メリット・デメリットとSalesforce標準レポートとの違い
Tableau導入を検討する際は、メリット・デメリットを理解し、Salesforce標準レポート機能との違いを把握することが重要です。
(1) ガートナー12年連続リーダー評価の可視化能力
メリット:
- 直感的なUIでドラッグ&ドロップによるダッシュボード作成が可能
- 複雑なデータも視覚的にわかりやすく表現できる
- Salesforce以外のデータソースも統合して分析可能
- Customer 360プラットフォームのデータをブレンドして顧客可視性を向上
ガートナー社のマジック・クアドラント12年連続リーダーという評価は、Tableauの可視化能力の高さを示しています。
(2) データ形式の違いによる同期の注意点
デメリット・注意点:
- SalesforceとTableauはデータの管理方法や形式が異なるため、連携時にデータがうまく同期できないことがある
- 別途ライセンス費用が発生する(Salesforceライセンスとは別)
- 導入・運用には一定の学習コストがかかる
- 複雑な設定が必要な場合、専門知識が求められる
定期的なデータ同期の設定や、データ形式の調整が必要になる場合があります。
(3) 標準レポートで十分なケースとTableauが必要なケース
Salesforce標準レポートで十分なケース:
- 基本的な集計・可視化で十分な場合
- Salesforceデータのみを分析する場合
- シンプルなダッシュボードで要件を満たせる場合
- 追加コストを抑えたい場合
Tableauが必要なケース:
- 複雑な分析(クロス集計、トレンド分析、予測分析など)が必要な場合
- 大量データを高速に処理・可視化したい場合
- Salesforce以外のシステム(ERP、会計システムなど)とデータを横断分析したい場合
- 高度なビジュアライゼーションが求められる場合
5. 他BIツール(Power BI・Looker)との比較
BIツールにはTableau以外にも選択肢があります。代表的なPower BIとLookerを比較します。
(1) Power BIとの機能・価格・連携性の比較
Power BI(Microsoft):
- Microsoft製品との連携が強み(Excel、Teams、Azure)
- 比較的安価なライセンス体系
- Microsoft 365ユーザーには馴染みやすいUI
- Salesforceコネクタも提供
Tableauとの違い:
- Tableauはより高度なビジュアライゼーション機能
- Power BIはMicrosoftエコシステムとの親和性が高い
- 料金体系はプランにより異なるため、公式サイトで確認推奨
(2) Looker(Google Cloud)との機能・価格・連携性の比較
Looker(Google Cloud):
- Google Cloud製品との連携が強み(BigQuery、Google Analytics)
- LookMLによるデータモデリングが特徴
- エンタープライズ向けの高度な分析機能
Tableauとの違い:
- Tableauはより直感的なUIで非技術者にも使いやすい
- LookerはデータエンジニアリングチームがいるDB管理組織に強い
- Google Cloudユーザーにはエコシステム統合のメリット
(3) シーン別おすすめBIツールの選び方
以下は一般的な選定基準ですが、実際の選定では自社の要件を精査し、無料トライアルで試すことをおすすめします。
Tableau:
- Salesforceを中心にデータ分析を行いたい
- 高度なビジュアライゼーションが必要
- 複数のデータソースを統合したい
Power BI:
- Microsoft製品を中心に業務を行っている
- コストを抑えたい
- ExcelやTeamsとの連携を重視
Looker:
- Google Cloudを中心にシステムを構築している
- BigQueryで大量データを分析したい
- LookMLによるデータモデリングを活用したい
※料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
6. まとめ:Tableau導入に向いている企業と次のステップ
SalesforceとTableauの連携により、CRMデータの高度な可視化・分析が可能になります。ただし、すべての企業にTableauが必要というわけではありません。
Tableau導入に向いている企業:
- Salesforceデータと他システムのデータを横断分析したい
- 複雑な分析・高度なビジュアライゼーションが必要
- 大量データを高速に処理・可視化したい
- データドリブンな意思決定を組織全体で推進したい
次のアクション:
- Salesforce標準レポート機能で自社の要件を満たせるか確認する
- Tableau、Power BI、Lookerの公式サイトで最新の料金・機能を確認する
- 無料トライアルで実際の操作性を試す
- 導入事例を参考に、同業種・同規模企業での活用方法を調査する
自社のデータ分析ニーズを明確にし、最適なBIツールを選定することで、CRMデータの価値を最大限に引き出しましょう。
※この記事は2025年11月時点の情報です。最新の料金・機能は各社公式サイトをご確認ください。
よくある質問:
Q: TableauとCRM Analytics(旧Tableau CRM)の違いは何ですか? A: Tableauは独立したBIツールで幅広いデータソースに対応し、社内ネットワーク上のDBやローカルファイルにも接続可能です。CRM AnalyticsはSalesforceにネイティブ統合された分析ツールで、Salesforce画面との連携が容易ですが、SaaSサービスのため社内ネットワーク上のDBには直接接続できません。
Q: SalesforceとTableauの連携設定に必要なものは何ですか? A: Tableau Desktop 2020.4以降ではOAuth認証でサインインできるため、Salesforceのアカウント情報があれば数クリックで接続可能です。管理者権限でセキュリティ設定の確認が必要な場合があります。
Q: Salesforce標準レポートで十分な企業とTableauが必要な企業の違いは? A: 標準レポートは基本的な集計・可視化に対応しており、Salesforceデータのみをシンプルに分析する場合は十分です。複雑な分析、大量データ処理、複数システム横断分析が必要な場合はTableauが有効です。
Q: TableauダッシュボードをSalesforce画面に埋め込む方法は? A: LWC(Lightning Web Component)を使用して、Lightning App Builderからドラッグ&ドロップで埋め込み可能です。管理者権限があれば設定できます。
