Salesforceの強みを知りたいけれど、他のCRMと何が違うのか分からない...
CRM(顧客関係管理)ツールの導入を検討しているB2B企業の中で、「Salesforceの名前はよく聞くけれど、実際何が優れているの?」「高いコストに見合う価値はあるの?」と疑問を感じる方は少なくありません。
この記事では、世界シェア20.7%を誇るSalesforceの強みを、競合CRMとの比較を交えながら解説します。導入を検討する際の判断材料として、メリットだけでなくデメリットや適する企業の条件も公平に提示します。
この記事のポイント:
- Salesforceは世界シェア20.7%、12年連続でCRM市場トップシェアを維持
- 部門横断的な顧客情報統合、AI機能、年3回のバージョンアップが主な強み
- マルチテナント方式により中小企業でも初期投資を抑えて導入可能
- 多機能ゆえに学習コストが高く、トータルコストが想定の2〜3倍になることもある
- 企業規模・目的に応じてZoho CRM・HubSpot・国産SFAの方が適する場合もある
1. Salesforceとは|世界No.1 CRMの基礎知識
Salesforceは1999年に創業したクラウド型CRM(顧客関係管理)プラットフォームです。営業支援(SFA)、マーケティング、カスタマーサポート、データ分析など、顧客との関係構築に必要な機能を統合的に提供しています。
(1) 世界シェア20.7%、12年連続トップシェア
2024年時点でCRM市場において世界シェア20.7%を占め、12年連続で世界トップシェアを維持しています。IDC(国際データコーポレーション)が2023年5月に発表した調査でも、10年連続で世界No.1のCRMプロバイダーに選出されています。
(出典: IDC調査、2024年時点)
(2) 多くの企業が導入する実績
世界で多くの企業がSalesforceを導入しており、業種や企業規模を問わず幅広く採用されています。国内でも大手企業から中小企業まで、多くの企業が営業活動やマーケティング活動の基盤として活用しています。
(3) 予定稼働率99.9%の信頼性
Salesforceは予定稼働時間に対する達成稼働率99.9%を誇り、ミッションクリティカルな事業や政府サービスにも採用されるほどの信頼性を持っています。クラウドベースであるため、自社でサーバーを管理する必要がなく、セキュリティやバックアップもSalesforceが担保します。
2. Salesforceの主な強み
Salesforceが長年にわたって選ばれ続けている理由は、以下の5つの強みにあります。
(1) 部門横断的な顧客情報の一元管理
Salesforceの最大の強みは、マーケティング・営業・カスタマーサポートなど、複数の部門が扱う顧客情報を一元管理できることです。
従来の課題:
- マーケティング部門はMAツール、営業部門は営業支援システム、サポート部門は問い合わせ管理システムと、部門ごとにバラバラなツールを使用
- 顧客情報が分散し、「営業がマーケの施策を知らない」「サポートが過去の商談内容を把握していない」といった問題が発生
Salesforceの解決策:
- 顧客データを全社で共有する「Customer 360」戦略により、顧客接点のすべてを統合
- 営業担当者が過去のマーケティング施策や問い合わせ履歴を確認でき、より的確な提案が可能に
(2) マルチテナント方式による初期投資の抑制
Salesforceはマルチテナント方式を採用しており、複数の企業が同じシステム基盤を共有する形で利用します。これにより、中小企業でも大企業と同じシステムを「割り勘」で利用でき、初期投資を大幅に抑えられます。
従来のオンプレミスCRM:
- 自社専用サーバーの購入・設置が必要(数百万円〜数千万円)
- 保守・運用コストも継続的に発生
Salesforceのマルチテナント方式:
- クラウド型で初期費用ゼロからスタート可能
- Starterエディションなら月額3,000円/ユーザーからスモールスタート可能(2025年11月時点。最新情報は公式サイトをご確認ください)
- システムメンテナンスやセキュリティ対策はSalesforceが一括で実施
(3) 年3回のバージョンアップと継続的機能改善
Salesforceは年3回(Spring・Summer・Winter)のバージョンアップを実施し、常に最新機能が追加されます。15年間のビジネスノウハウが蓄積されており、ユーザーのフィードバックを元に継続的に機能改善が行われています。
主な改善内容:
- 新機能の追加(AI機能強化、UI改善など)
- セキュリティ強化
- パフォーマンス向上
- ユーザー要望への対応
既存ユーザーは追加費用なしで新機能を利用でき、常に最新のシステムを使い続けられます。
(4) AppExchangeによる高い拡張性
Salesforceには「AppExchange」というアプリケーションマーケットプレイスがあり、無料・有料のアプリを追加することで機能を拡張できます。
AppExchangeの特徴:
- 数千以上のアプリが公開されている
- 会計システム、マーケティングツール、名刺管理、データ分析など多様なカテゴリ
- 「実現できないことはまずない」と言われるほど拡張性が高い
活用例:
- Sansan連携で名刺情報を自動的にSalesforceに取り込む
- freee・マネーフォワード連携で営業データと会計データを統合
- カスタムアプリで自社独自の業務フローを実装
(5) AI機能(Einstein)による予測分析
Salesforce Einsteinは、AIを活用した予測分析や生成AIによるコンテンツ作成が可能な機能です。
主なAI機能:
- リードスコアリング: 見込み客の関心度を自動で数値化し、優先順位をつける
- 商談予測: 過去のデータを元に、商談の成約確度を予測
- 次のベストアクション提案: AIが営業担当者に次に取るべきアクションを提案
- 生成AI: メールやレポートの自動作成
これにより、営業担当者の勘や経験だけに頼らず、データに基づいた営業活動が可能になります。
3. 競合CRMとの比較|Salesforceの優位性
Salesforceは強力なツールですが、すべての企業に最適とは限りません。競合CRMと比較して、どのような違いがあるかを見ていきましょう。
(1) Zoho CRM:低価格だが機能・拡張性はSalesforceが上
Zoho CRMの特徴:
- 月額1,680円/ユーザー〜と低価格
- 基本的なCRM機能は一通り揃っている
- 操作性がシンプルで導入しやすい
Salesforceとの違い:
- 拡張性・連携性はSalesforceが圧倒的に高い
- AIによる予測分析機能の精度はSalesforceが上
- 大規模組織での運用や部門横断的な統合はSalesforceが有利
適する企業:
- 小規模企業(従業員50人未満)
- シンプルなCRM機能で十分
- コストを抑えたい
(2) Microsoft Dynamics 365:Microsoft製品との連携性
Microsoft Dynamics 365の特徴:
- Microsoftエコシステムとの高い親和性
- Office 365・Teams・Power BIとシームレスに連携
- 月額7,070円/ユーザー〜
Salesforceとの違い:
- Microsoft製品を既に導入している企業には連携性が高い
- AppExchangeほど豊富なアプリエコシステムはない
- CRM専業ではないため、Salesforceほどの進化スピードはない
適する企業:
- Microsoft製品を全社で導入している
- Office 365・Teamsとの連携を重視
(3) HubSpot:無料プランあり・使いやすいが規模拡大に限界
HubSpotの特徴:
- 無料プランあり(機能制限あり)
- UI/UXが優れており、ITリテラシーが低くても使いやすい
- マーケティング機能が充実
Salesforceとの違い:
- 中小企業向けで、大企業向けの高度な機能はSalesforceが上
- 拡張性・カスタマイズ性はSalesforceが圧倒的
- 無料プランからスモールスタートできるのはHubSpotの強み
適する企業:
- 小〜中規模企業(従業員100人未満)
- マーケティング活動を重視
- まずは無料で試したい
(4) 国産SFA(kintone・Senses等):日本語サポート充実だが機能は限定的
国産SFAの特徴:
- 日本語サポートが充実
- 日本企業の商習慣に合わせた機能
- 月額数千円〜と比較的安価
Salesforceとの違い:
- 機能の豊富さ・拡張性・グローバル対応はSalesforceが圧倒的
- シンプルな顧客管理で十分なら国産SFAの方が使いやすく安価
- 将来的にグローバル展開を考えている場合はSalesforceが有利
適する企業:
- 国内のみで事業展開
- シンプルなCRM機能で十分
- 日本語サポートを重視
4. Salesforceが適する企業・適さない企業
Salesforceは強力なツールですが、すべての企業に最適とは限りません。適する企業と適さない企業の条件を整理します。
(1) 適する企業:大規模組織・部門横断連携重視・拡張性が必要
Salesforceが適する企業の特徴:
- 従業員100人以上の中堅〜大企業
- マーケティング・営業・カスタマーサポートの部門横断的な連携が必要
- 将来的にグローバル展開を考えている
- 既存システム(会計・MAツール等)との連携が多い
- データに基づいた営業活動を強化したい
- 年間数百万円以上のCRM投資が可能
活用例:
- 営業担当者が過去のマーケティング施策や問い合わせ履歴を確認し、より的確な提案を実施
- AI機能で商談の成約確度を予測し、優先順位をつけて営業活動を効率化
- AppExchangeで自社専用のアプリを開発し、独自の業務フローを実装
(2) 適さない企業:小規模・シンプルなCRMで十分・コスト重視
Salesforceが適さない企業の特徴:
- 従業員50人未満の小規模企業
- シンプルな顧客管理で十分(営業活動の記録・顧客リストの管理程度)
- CRMに年間数十万円以上のコストをかけたくない
- ITリテラシーが低く、多機能なシステムは使いこなせない
- 短期間で成果を求めたい
推奨される代替ツール:
- Zoho CRM: 月額1,680円/ユーザー〜、シンプルで使いやすい
- HubSpot: 無料プランあり、マーケティング機能が充実
- kintone・Senses: 国産SFA、日本語サポート充実
- スプレッドシート: リード数が月50件以下なら十分な場合もある
(3) 企業規模・業種別の選定目安
| 企業規模 | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| 従業員50人未満 | HubSpot、Zoho CRM、国産SFA | シンプルで低コスト |
| 従業員50〜100人 | HubSpot Professional、Salesforce Starter | スモールスタート可能 |
| 従業員100〜500人 | Salesforce Professional、Microsoft Dynamics 365 | 部門横断連携が必要に |
| 従業員500人以上 | Salesforce Enterprise、Salesforce Unlimited | 高度なカスタマイズ・拡張性が必要 |
※上記はあくまで目安です。業種・目的・予算により最適なツールは異なります。
5. Salesforce導入時の注意点とデメリット
Salesforceには多くの強みがある一方で、導入時に注意すべきデメリットも存在します。
(1) 多機能ゆえの学習コストの高さ
Salesforceは多機能であるがゆえに、使いこなすにはスキルが必要です。「導入したけど全然使いこなせない」という企業も少なくありません。
対策:
- まずは最小限の機能で始めて、段階的に拡張していく
- 導入支援サービスを利用する(Salesforce公式、パートナー企業)
- 社内でSalesforce管理者(アドミニストレーター)を育成する
- Trailhead(Salesforceの無料学習プラットフォーム)でトレーニングを実施
(2) ライセンス単価・SI費用が高い(トータルコスト2〜3倍も)
Salesforceはライセンス単価・システムインテグレーション(SI)費用が高めです。トータルコストが当初想定の2〜3倍になることもあります。
コスト内訳(目安):
- ライセンス費用: 月額3,000円〜18,000円/ユーザー(エディションにより変動)
- 初期設定費用: 50万円〜数百万円(カスタマイズの程度による)
- 運用・保守費用: 月額数万円〜数十万円(管理者の人件費、外部委託費用)
- トレーニング費用: 数十万円〜(社内研修、外部研修)
対策:
- まずはStarterエディション(月額3,000円/ユーザー)で小規模に始める
- 初期設定は自社で対応可能な範囲に留める(段階的にカスタマイズ)
- 公式サイトで最新の料金プランを確認し、予算を明確にする
※料金は2025年11月時点の情報です。最新情報は公式サイトをご確認ください。
(3) データ蓄積まで成果が出ない(短期効果は期待しない)
Salesforceはデータがある程度蓄積されるまで成果が出ません。AI機能による予測分析も、過去のデータがなければ精度が低くなります。
成果が出るまでの目安:
- 導入〜3ヶ月: 初期設定、トレーニング、データ移行
- 3ヶ月〜6ヶ月: データ蓄積開始、徐々に活用が進む
- 6ヶ月〜1年: データが蓄積され、AI機能の精度が向上
- 1年以降: ROI(投資対効果)が明確になる
短期での効果を期待しすぎず、中長期的な視点で導入を検討することが重要です。
(4) 社内全体での活用体制が不可欠(形骸化リスク)
Salesforceは支援ツールであり、「導入すれば自動的に成果が出る魔法の杖」ではありません。社内全体で情報を活用する体制作りがないと、ツールが形骸化するリスクがあります。
対策:
- 経営層が率先して活用し、社内に浸透させる
- 営業会議でSalesforceのデータを活用し、データドリブンな意思決定を実施
- 定期的に利用状況をレビューし、改善点を洗い出す
- 成功事例を社内で共有し、活用を促進
6. まとめ:選ばれ続ける理由と選定のポイント
Salesforceは世界シェア20.7%、12年連続でCRM市場トップシェアを維持している理由は、以下の強みにあります。
Salesforceの主な強み:
- 部門横断的な顧客情報の一元管理
- マルチテナント方式による初期投資の抑制
- 年3回のバージョンアップと継続的機能改善
- AppExchangeによる高い拡張性
- AI機能(Einstein)による予測分析
一方で、多機能ゆえの学習コストの高さ、トータルコストが想定の2〜3倍になることもある点、データ蓄積まで成果が出ない点には注意が必要です。
次のアクション:
- 自社の企業規模・予算・目的を明確にする
- Salesforce公式サイトで最新の料金プランを確認する
- 無料トライアル(または無料デモ)で実際の操作性を試す
- 競合ツール(Zoho CRM・HubSpot・Microsoft Dynamics 365・国産SFA)も比較検討する
- 導入実績のある企業の事例を参考にする
自社に合ったCRMツールで、営業活動の効率化と顧客との関係構築を強化しましょう。
