Salesforce Sales Cloudの料金体系を理解すべき理由
BtoB企業の営業責任者や情報システム担当者にとって、Salesforce Sales Cloudの導入は営業活動のデジタル化において重要な選択肢です。しかし、「料金体系が複雑で実際にどの程度の費用がかかるか分からない」「月額料金だけでなく、導入費用やサポート費用も含めた総コストを把握したい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、Salesforce Sales Cloudのエディション別料金プラン、導入・運用・サポートにかかる費用、総所有コスト(TCO)の考え方を徹底解説します。企業規模や目的に応じた最適なエディション選定の判断材料を得ることができます。
この記事のポイント:
- Salesforce Sales Cloudは5つのエディション(Starter 3,000円~Einstein 1 Sales 60,000円/ユーザー/月)があり、Enterpriseが事実上の標準
- 月額ライセンス料金以外に、導入構築費用(3ヶ月で600万円前後、半年で1,000万円以上のケースも)やサポート費用(ライセンス総額の約30%)がかかる
- 中小企業向けにはStarter(3,000円/月)や低コスト導入パッケージ(99万円・2ヶ月)がある
- 2023年8月に約7年ぶりの料金改定(平均9%値上げ)が実施された
- Salesforceは10年連続世界1位、日本でもシェア22.1%で1位の市場ポジション
(1) Salesforce Sales Cloudの市場ポジション(10年連続世界1位、日本でもシェア22.1%で1位)
Salesforce Sales Cloudは、CRM/SFA市場で圧倒的なポジションを占めています。
市場シェア: IDC調査によると、Salesforceは10年連続で世界CRM市場のトップであり、日本でも22.1%のシェアで1位を獲得しています。CRM/SFAツール利用者1,829人の調査では、Salesforce Sales Cloudが38.82%のシェアでトップ、次いでSansan(16.13%)、eセールスマネージャー(11.21%)が続きます。
市場規模: 日本のCRM市場は、2023年に前年比13.4%増の2,497.8億円に達しました。2024年には2,278.2億円、2025年には2,567.5億円に達すると予測され、**年平均成長率10.0%**で拡大が続く見通しです。
この市場ポジションは、Salesforceが多くの企業に選ばれている信頼性と実績を示しています。
(2) 料金体系が複雑な理由(エディション・アドオン・サポート・導入費用の組み合わせ)
Salesforce Sales Cloudの料金体系が複雑に感じられる理由は、以下の要素が組み合わさっているためです。
料金体系の構成要素:
- エディション別ライセンス料金: 5つのエディション(Starter、Professional、Enterprise、Unlimited、Einstein 1 Sales)
- アドオン料金: Einstein for Sales(9,000円/月)、Sales Program(12,000円/月)など
- サポートプラン: Premier Success Plan(ライセンス総額の約30%)
- 導入構築費用: 3ヶ月で600万円前後、半年で1,000万円以上のケースも
- 運用費用: カスタマイズ、AppExchange、API連携、トレーニングなど
これらの組み合わせにより、実際の総コストは月額ライセンス料金の数倍になるケースも少なくありません。
(3) 2023年8月の価格改定(約7年ぶり、平均9%値上げ)
2023年8月、Salesforceは約7年ぶりの料金改定を実施しました。
価格改定の内容:
- 平均9%の値上げが実施された
- 既存顧客の契約更新時に新料金が適用される
- 今後も市場環境や為替レートの影響により、料金が変更される可能性がある
注意点: 料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認することが重要です。本記事は2024年11月時点の情報を基にしています。
エディション別の料金プランと機能比較
(1) 5つのエディション概要(Starter、Professional、Enterprise、Unlimited、Einstein 1 Sales)
Salesforce Sales Cloudには、5つのエディションがあります。
| エディション | 料金(/ユーザー/月) | 対象企業 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Starter | 3,000円 | 小規模企業 | エントリープラン、基本機能のみ |
| Professional | 9,600円 | 中小企業 | 標準的な営業支援機能 |
| Enterprise | 19,800円 | 中堅〜大企業 | 事実上の標準、高度なカスタマイズ可能 |
| Unlimited | 39,600円 | 大企業 | 無制限サポート付き |
| Einstein 1 Sales | 60,000円 | 大企業 | AI機能フル活用 |
(2) Starter(3,000円/ユーザー/月)- 中小企業向けエントリープラン
Starterエディションの特徴:
- 料金: 3,000円/ユーザー/月(年間契約)
- 対象: 小規模企業(従業員10名未満)
- 主な機能: 基本的なリード管理、商談管理、レポート機能
向いている企業:
- 営業活動をデジタル化したい小規模企業
- 予算が限られているが、Salesforceを試したい企業
- 複雑なカスタマイズが不要な企業
制約事項:
- カスタマイズ機能が限定的
- ユーザー数が最大10名まで
- 高度なレポート・ダッシュボード機能が制限される
(3) Professional(9,600円/ユーザー/月)- 標準的な営業支援機能
Professionalエディションの特徴:
- 料金: 9,600円/ユーザー/月(年間契約)
- 対象: 中小企業(従業員10〜50名)
- 主な機能: リード管理、商談管理、ワークフロー自動化、基本的なレポート・ダッシュボード
向いている企業:
- 営業プロセスを標準化したい中小企業
- ワークフロー自動化で営業効率を高めたい企業
- カスタマイズは最小限に抑えたい企業
制約事項:
- 高度なカスタマイズ(Apexコード、VisualForce)は利用不可
- API連携の制限がある
(4) Enterprise(19,800円/ユーザー/月)- 事実上の標準、組織的な営業改革向け
Enterpriseエディションの特徴:
- 料金: 19,800円/ユーザー/月(年間契約)
- 対象: 中堅〜大企業(従業員50名以上)
- 主な機能: 高度なカスタマイズ(Apexコード、VisualForce)、ワークフロー自動化、詳細なレポート・ダッシュボード、API連携
向いている企業:
- 企業規模が数十名を超え、組織的な営業改革を目指す企業
- カスタマイズや外部システム連携が必要な企業
- 営業活動を詳細に分析し、PDCAを回したい企業
Enterpriseが「事実上の標準」と言われる理由: GENIEEの調査によると、企業規模が数十名を超える場合、Enterpriseエディションが事実上の標準となります。理由は、組織的な営業活動に必要な高度なカスタマイズやAPI連携が、Professional以下では制限されるためです。
(5) Unlimited(39,600円/ユーザー/月)- 無制限サポート付き
Unlimitedエディションの特徴:
- 料金: 39,600円/ユーザー/月(年間契約)
- 対象: 大企業(従業員500名以上)
- 主な機能: Enterpriseの全機能 + 無制限のサポート + 追加のストレージ
向いている企業:
- 大規模な営業組織を持つ企業
- 優先的なサポートが必要な企業
- データ量が膨大で、追加ストレージが必要な企業
(6) Einstein 1 Sales(60,000円/ユーザー/月)- AI機能フル活用
Einstein 1 Salesエディションの特徴:
- 料金: 60,000円/ユーザー/月(年間契約)
- 対象: 大企業(AI活用を重視)
- 主な機能: Unlimitedの全機能 + Einstein AI機能フル活用(商談予測、次のアクション提案など)
向いている企業:
- AI技術を営業活動に積極的に活用したい企業
- 商談予測の精度向上により売上を最大化したい企業
月額ライセンス料金以外のコスト(導入・運用・サポート)
(1) 導入構築費用の相場(3ヶ月で600万円前後、半年で1,000万円以上)
月額ライセンス料金だけでなく、導入構築費用が大きなコストとなります。
導入構築費用の相場:
- 3ヶ月程度のプロジェクト: 600万円前後
- 半年規模のプロジェクト: 1,000万円以上
費用の内訳:
- 要件定義・設計: 既存の営業プロセスの整理、Salesforceでの実現方法の設計
- カスタマイズ開発: 自社の業務に合わせたカスタマイズ(画面設計、ワークフロー設定など)
- データ移行: 既存システムからのデータ移行(顧客情報、商談履歴など)
- トレーニング: ユーザー向けの操作研修、管理者向けの運用研修
- テスト・本番稼働: システムテスト、本番稼働支援
コスト削減のポイント:
- 要件定義を明確にする: 不要な機能開発を避ける
- 段階的導入: 最小限の機能から開始し、徐々に拡張
- 実装パートナーから複数見積もり取得: 相見積もりで適正価格を把握
電通総研の調査によると、中小企業向けにはスタートプラン99万円・2ヶ月で6つのコア機能に絞った導入パッケージを提供する実装パートナーもあります。
(2) アドオン料金(Einstein for Sales 9,000円、Sales Program 12,000円等)
Salesforce Sales Cloudには、標準機能に追加できるアドオン機能があります。
主なアドオンと料金:
- Einstein for Sales: 9,000円/ユーザー/月(AI機能:商談予測、次のアクション提案など)
- Sales Program: 12,000円/ユーザー/月(営業プログラム管理)
- Revenue Intelligence: 30,000円/ユーザー/月(売上予測の高度化)
注意点: アドオンを複数利用すると、月額ライセンス料金が大幅に増加します。必要な機能を見極め、費用対効果を慎重に評価することが重要です。
(3) サポートプラン(Premier Success Plan:ライセンス総額の約30%)
Salesforceの標準サポートは基本的なものに限られるため、**有償サポート「Premier Success Plan」**への加入が推奨されます。
Premier Success Planの特徴:
- 費用: ライセンス総額の約30%
- 内容: 優先的なテクニカルサポート、定期的なヘルスチェック、専任のサクセスマネージャー
費用例:
- ライセンス料金が月額100万円の場合、サポート費用は月額30万円
- 年間では360万円の追加コスト
必要性: Salesforceの導入・運用には専門知識が必要なため、特に初めて導入する企業にはPremier Success Planへの加入が推奨されます。
(4) カスタマイズ・AppExchange・API連携・トレーニング費用
その他にも、以下の運用費用が発生します。
その他の運用費用:
- カスタマイズ: 業務変更に伴う追加カスタマイズ(数十万円〜数百万円)
- AppExchange: Salesforceのアプリマーケットプレイスでサードパーティアプリを購入(無料〜数万円/月)
- API連携: 外部システム(会計システム、MAツールなど)との連携開発(数十万円〜数百万円)
- トレーニング: 新規ユーザー向けの追加研修(数万円〜数十万円)
総所有コスト(TCO)の考え方と費用シミュレーション
(1) TCOの計算要素(ライセンス料金 + 導入費用 + アドオン + サポート + 運用)
**総所有コスト(TCO: Total Cost of Ownership)**を正確に把握することが重要です。
TCOの計算式:
TCO = ライセンス料金(年間)
+ 導入構築費用(初年度のみ)
+ アドオン料金(年間)
+ サポートプラン(年間)
+ 運用費用(年間)
