SalesforceにRPAが必要な理由と背景
Salesforceを運用している企業の多くが、日々のデータ入力や外部システムとの連携業務に多くの工数を費やしています。「Salesforceには自動化機能があるのに、なぜRPAが必要なのか」「どのような業務がRPAで効率化できるのか」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、SalesforceとRPAの連携方法、活用事例、導入ステップを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- Salesforce Flowとの使い分けが重要(外部システム連携はRPA、Flow内完結はFlow)
- 月50時間以上の業務削減事例も存在する
- MuleSoft RPAはSalesforce公式、サードパーティRPAは汎用性が高い
- API連携型を優先することでバージョンアップリスクを回避できる
- 定型的なデータ入力・転記作業が最も効果が高い
1. SalesforceにRPAが必要な理由と背景
(1) Salesforce標準の自動化機能との違い
Salesforceには「Salesforce Flow」というノーコード/ローコード自動化プラットフォームが標準搭載されています。それでもRPAが必要とされる理由は何でしょうか。
Salesforce Flowが得意な業務:
- Salesforce内のデータ更新・作成
- 承認プロセスの自動化
- 通知・アラートの送信
- Salesforce内のレコードトリガー処理
RPAが得意な業務:
- 外部システムとの連携(API未対応)
- レガシーシステムの画面操作
- OCR処理を含む紙書類のデジタル化
- 複雑な画面操作を伴う業務
つまり、Salesforce内で完結する処理はFlowで、外部システムとの連携や画面操作が必要な業務はRPAで自動化するという使い分けが適切です。
(2) RPAが得意な業務とSalesforce Flowとの使い分け
Salesforce公式ブログによると、RPAは「パソコン上の事務作業を自動化するロボット技術」と定義されています。データ入力や定型業務を自動化し、業務効率化とヒューマンエラー削減を実現します。
使い分けの基準:
| 業務タイプ | 推奨ツール | 理由 |
|---|---|---|
| Salesforce内のデータ処理 | Salesforce Flow | 標準機能で完結、追加コスト不要 |
| 外部システムとの連携(API対応) | MuleSoft / API | 安定性・保守性が高い |
| 外部システムとの連携(API未対応) | RPA | 画面操作で連携可能 |
| 紙書類のデジタル化(OCR含む) | RPA | 物理的な作業の自動化が可能 |
(3) レガシーシステム連携の課題解決
MuleSoft RPAの公式サイトによると、RPAは「レガシーシステムとSalesforceを接続」する役割を担います。API連携が困難な古いシステムでも、画面操作によるデータ連携が可能になります。
ただし、画面操作型RPAはシステムのバージョンアップにより停止するリスクがあるため、可能な限りAPI連携を優先することが推奨されています。
2. SalesforceとRPA連携の主な活用シーン
(1) データ入力・転記作業の自動化
Salesforceへのデータ入力・転記作業は、RPAで最も効果が高い業務とされています。AUTORO社の事例紹介によると、月50時間以上の業務削減を実現した企業もあります。
自動化例:
- 外部システムからのデータ取得→Salesforceへの登録
- Excelファイルの内容をSalesforceに一括転記
- 名刺管理ツールからSalesforceへの自動連携
(2) 反社チェック・与信業務の自動化
Salesforce登録をトリガーとした外部連携業務の自動化も効果的です。
自動化例:
- Salesforceに新規取引先を登録→自動的に反社チェックサイトを検索→結果をSalesforceに記録
- Salesforceに商談を登録→与信調査サイトから情報取得→信用スコアを自動入力
BTC RPAによると、このような外部連携業務では「レポート機能を活用して処理対象データを絞り込むことで、RPA処理の効率と安定性が向上する」とされています。
(3) 外部システムとのデータ連携
API連携が困難なレガシーシステムとのデータ連携も、RPAの主要な活用シーンです。
自動化例:
- 基幹システムの受注データをSalesforceに自動転記
- Salesforceの商談データを会計システムに自動登録
- 複数の外部システムから情報収集→Salesforceに統合
(4) レポート作成とファイル処理の自動化
Salesforceからデータを抽出し、Excelレポートを作成する業務も自動化できます。
自動化例:
- 毎週月曜にSalesforceからデータ抽出→Excelレポート作成→メール送信
- Salesforceのレポートを自動的にPDF化→共有フォルダに保存
- 定期的な売上集計レポートの自動作成
3. Salesforce連携RPAツールの種類と選び方
(1) MuleSoft RPA(Salesforce公式ソリューション)
MuleSoft RPAは、Salesforceが提供する公式RPAソリューションです。
特徴:
- Salesforce Flowと直接統合され、ノーコードで自動化ワークフローを構築可能
- Anypoint Platformと統合され、API管理・インテグレーション・RPAを統合的に管理
- MuleSoft RPA Manager、Recorder、Builder、Botの4コンポーネント構成
メリット:
- Salesforceとのシームレスな統合
- ドラッグ&ドロップでワークフロー編集可能
デメリット:
- 別途ライセンス費用が発生(Salesforce標準機能ではない)
- MuleSoft専用のため、他システムへの汎用性は低い
(2) サードパーティRPA(UiPath、Automation Anywhere等)
UiPath、Automation Anywhere、WinActor等のサードパーティRPAも、Salesforceと連携可能です。
UiPathの特徴:
- UiPath Add-in for SalesforceでOrchestrator連携
- 既存Salesforce環境にRPA機能を追加可能
メリット:
- 汎用的で、Salesforce以外のシステムにも対応
- 小規模導入ではコスト効率が良い場合もある
デメリット:
- Salesforce Flowとの統合は限定的
- 別途RPAツールの学習コストが発生
注目の最新情報: 2024年12月にWinActor for Salesforce(API連携ソリューション)が発表されました。
(3) API連携型vs画面操作型の選択基準
RPAには「API連携型」と「画面操作型(スクリーン操作型)」の2つの方式があります。
API連携型:
- システム間をAPIで接続
- システム変更の影響を受けにくい
- 安定性・保守性が高い
画面操作型:
- 画面のUI要素を認識して操作
- API未対応のシステムにも対応可能
- システムの画面変更により動作が停止するリスクがある
AUTOROによると、「SalesforceとRPAの連携では、画面操作よりもAPI連携を優先することでシステムバージョンアップによる影響を回避できる」とされています。
(4) コストと導入規模の比較
RPAツールのコストは、ツールにより数十万円〜数百万円/年が一般的です。
コスト比較の目安:
- MuleSoft RPA: 別途ライセンス費用が発生(詳細は公式サイトで確認)
- サードパーティRPA: ツールにより数十万円〜数百万円/年
- 小規模導入(1-2業務): サードパーティRPAの方がコスト効率が良い場合も
- 大規模導入(全社展開): MuleSoft RPAのSalesforce統合メリットが大きい
ROIは半年〜1年で評価するのが推奨されます。
4. SalesforceとRPA連携の導入事例と効果
(1) 月50時間以上の業務削減事例(NewsPicks等)
AUTOROの事例紹介によると、NewsPicks等の企業で月50時間以上の業務削減を実現した事例があります。
削減業務の例:
- Salesforceへの顧客データ入力作業
- 外部システムからのデータ取得・転記
- レポート作成業務
(2) 保険業界:申込書ペーパレス化事例
インフォテック・サービスの導入事例では、保険業界でSalesforce×RPAによる申込書ペーパレス化を実現しています。
導入内容:
- OCRスキャナとRPAで紙の申込書をPDF化・アップロード自動化
- 電話着信時に契約情報を自動ポップアップ
- 紙書類の電子化とSalesforce登録を一気通貫で実現
(3) 反社チェック・与信業務の自動化事例
AUTORO社の事例では、Salesforce登録をトリガーとした反社チェック・与信業務の自動化が紹介されています。
導入効果:
- 手動で行っていたチェック作業を完全自動化
- 登録漏れ・チェック漏れのリスクを削減
- コンプライアンス強化と工数削減を両立
5. 導入時の注意点とよくある失敗パターン
(1) 画面操作型RPAのバージョンアップリスク
Salesforceはクラウド型サービスのため、定期的にバージョンアップが行われます。画面操作型RPAは、このバージョンアップにより画面レイアウトが変更されると停止するリスクがあります。
対策:
- API連携を優先する
- 画面操作型を使用する場合は、Salesforceのリリーススケジュールを確認し、事前にテストを実施する
(2) RPA用ユーザーの権限設定ミス
BTC RPAによると、RPA用ユーザーの権限設定が不十分だと処理エラーが発生するとされています。
必要な権限:
- データ作成・更新・削除権限
- レポート閲覧権限
- 必要なオブジェクトへのアクセス権限
事前に必要な権限を洗い出し、RPA専用ユーザーを作成することが推奨されます。
(3) 例外処理・判断業務への不適用
RPAは定型業務の自動化には向きますが、判断が必要な業務や例外処理が多い業務には不向きです。
不向きな業務:
- 毎回異なる判断が必要な業務
- 例外パターンが多い業務
- 人間の経験・勘が必要な業務
自動化対象業務を選定する際は、定型的かつ繰り返し発生する業務を優先しましょう。
6. まとめ:Salesforce×RPAで業務効率化を実現するために
SalesforceとRPAの連携により、データ入力・転記作業、外部システム連携、反社チェック・与信業務などの自動化が可能です。Salesforce FlowとRPAを使い分けることで、効率的な自動化を実現しましょう。
次のアクション:
- 自動化対象業務を洗い出す(定型的・繰り返し発生する業務を優先)
- Salesforce Flow vs RPAの使い分けを判断する
- API連携可能な業務はAPI連携を優先する
- MuleSoft RPAとサードパーティRPAのコスト・機能を比較する
- ROI測定指標を明確にする(業務削減時間・ヒューマンエラー削減効果等)
Salesforce×RPAで業務効率化と品質向上を実現し、営業活動の生産性を高めましょう。
※この記事は2025年12月時点の情報です。Salesforceの機能・料金、RPAツールの仕様は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
