Salesforceの料金体系の基本
「Salesforceの導入を検討しているが、実際にいくらかかるのか分からない」「公式サイトの価格だけで判断していいのか不安」——こうした疑問を持つB2B企業の担当者は少なくありません。
Salesforceは世界No.1シェアのCRMプラットフォームですが、料金体系が複雑で、実際の導入コストが初期費用の2〜3倍になるケースもあります。この記事では、Salesforceのエディション別料金、実際にかかる費用、他CRMとの比較、コスト最適化のポイントを詳しく解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceは「ユーザー数 × エディション単価」で料金が決まる。エディションはStarter(月額3,000円)~Einstein 1 Sales(月額60,000円)の5段階
- ツール自体の初期費用は無料だが、実際には構築・カスタマイズ・データ移行等の「見えにくい費用」が発生
- 2023年に約9%の価格改定があり、最新の料金は公式サイトで確認が必要
- 他CRM(HubSpot・Zoho等)と比較すると、エンタープライズ向けCRMとしては標準的な価格帯
- コスト最適化の鍵は「誰にどのレベルのライセンスを割り当てるか」の設計
(1) ユーザー単位の課金モデル
Salesforceの料金はユーザー単位で計算されます。
料金計算式:
月額料金 = エディション単価 × ライセンス数
例: 営業部門10名でProfessionalエディションを導入
- エディション単価: 月額9,600円/ユーザー
- ライセンス数: 10名
- 月額料金: 9,600円 × 10名 = 96,000円(税別)
- 年額料金: 96,000円 × 12ヶ月 = 1,152,000円(税別)
重要な注意点:
- ライセンスはユーザー単位で発行され、複数人での共有は不可
- 営業担当者だけでなく、マネージャーやサポート部門が閲覧する場合もライセンスが必要
- ユーザー数が増えるほど月額費用も増加するため、将来的な拡張も考慮した予算計画が重要
(2) エディション(機能レベル)別の価格設定
Salesforceは機能レベルに応じて5つのエディションを提供しています(Sales Cloud)。
| エディション | 月額単価(税別) | 対象企業 |
|---|---|---|
| Starter | 3,000円 | 小規模企業(10名以下) |
| Professional | 9,600円 | 中小企業(10〜50名) |
| Enterprise | 19,800円 | 中堅〜大企業(50名以上) |
| Unlimited | 39,600円 | 大企業(100名以上) |
| Einstein 1 Sales | 60,000円 | エンタープライズ(AI活用重視) |
エディションが上がるほど、利用可能な機能が増え、カスタマイズの自由度も高まります。
(3) 契約形態(月額・年額)
Starterエディション:
- 月単位の契約が可能
- 年間契約も選択可能(割引なし)
Professional以上のエディション:
- 基本的に前払いの年間契約
- 途中解約は原則不可のため、導入前の十分な検討が必要
30日間無料トライアル: Salesforceは30日間無料でProfessional版を試用できます。自社の業務に合うか確認してから導入できるため、必ず活用しましょう。
Sales Cloudのエディション別料金
各エディションの料金・対象企業・主要機能を詳しく見ていきます(2024-2025年時点)。
(1) Starterエディション(月額3,000円/ユーザー)
対象企業:
- 小規模企業(従業員10名以下)
- CRM導入が初めての企業
- 基本的な顧客管理と営業管理のみで十分な企業
主要機能:
- 顧客情報の一元管理
- 基本的な商談管理
- メール連携(Gmail、Outlook)
- モバイルアプリ
- 最大10ユーザーまで
制約事項:
- カスタマイズの自由度が低い
- 高度なレポート・ダッシュボード機能なし
- API連携の制限あり
適しているケース: 「まずは顧客情報を一元管理したい」「エクセル管理から脱却したい」という小規模企業に最適です。
(2) Professionalエディション(月額9,600円/ユーザー)
対象企業:
- 中小企業(従業員10〜50名)
- 標準的なCRM機能が必要な企業
主要機能:
- Starterの全機能
- 高度なレポート・ダッシュボード
- ワークフロー自動化
- 見積・契約管理
- 最大無制限ユーザー
Starterとの主な差分:
- カスタマイズの自由度が向上
- ユーザー数上限なし
- API連携が可能
適しているケース: 「営業プロセスを可視化したい」「データに基づいた意思決定をしたい」という企業に推奨されます。
(3) Enterpriseエディション(月額19,800円/ユーザー)
対象企業:
- 中堅〜大企業(従業員50名以上)
- 複数部門でSalesforceを活用する企業
- 高度なカスタマイズが必要な企業
主要機能:
- Professionalの全機能
- 高度なカスタマイズ(カスタムオブジェクト、複雑なワークフロー)
- Sandbox環境(テスト環境)
- 承認プロセス(多段階承認)
- 高度なセキュリティ機能
Professionalとの主な差分:
- カスタマイズの自由度が大幅に向上
- Sandbox環境で安全にカスタマイズをテスト可能
- 複数部門での利用を想定した権限管理
適しているケース: 「既存の業務プロセスに合わせてSalesforceをカスタマイズしたい」「営業・マーケ・サポートで横断的に活用したい」という企業に最適です。
(4) Unlimitedエディション(月額39,600円/ユーザー)
対象企業:
- 大企業(従業員100名以上)
- 24時間365日のサポートが必要な企業
- 最高レベルのカスタマイズを求める企業
主要機能:
- Enterpriseの全機能
- 24時間365日の電話サポート
- ストレージ容量の大幅増加
- フルSandbox(本番環境の完全コピー)
- トランザクション処理の上限大幅増加
Enterpriseとの主な差分:
- プレミアムサポート(24時間365日)
- データ容量の制約がほぼない
- API呼び出し制限が大幅に緩和
適しているケース: 「グローバル展開でタイムゾーンをまたいだサポートが必要」「膨大なデータを扱う」という大企業向けです。
(5) Einstein 1 Sales(月額60,000円/ユーザー)
対象企業:
- エンタープライズ(従業員500名以上)
- AI・生成AIを最大限活用したい企業
主要機能:
- Unlimitedの全機能
- Einstein AI(予測分析、次善アクション提案、商談スコアリング)
- Agentforce(2024年発表の自律型AIエージェント)
- Data Cloud連携(データ統合プラットフォーム)
Unlimitedとの主な差分:
- 生成AI機能が最大限利用可能
- AI による自動化・最適化が標準装備
- 高度な予測分析
適しているケース: 「AIで営業活動を最適化したい」「予測分析で商談の勝率を高めたい」という最先端のデジタル化を目指す企業向けです。
2024年の最新トレンド: 2024年9月、Salesforceは自律型AIエージェントスイートAgentforceを発表しました。これは、サービス・営業・マーケ・コマースの業務を自動化するAI機能で、Einstein 1エディションで利用できます。
実際にかかる費用(初期費用・追加コスト)
Salesforceのツール自体の初期費用は無料ですが、実際には様々な「見えにくい費用」が発生します。
(1) 初期構築・カスタマイズ費用
初期構築費用の目安:
- 小規模導入(10名以下): 50万円〜100万円
- 中規模導入(10〜50名): 100万円〜300万円
- 大規模導入(50名以上): 300万円〜1,000万円以上
構築費用に含まれる作業:
- 要件定義(業務プロセスの整理、カスタマイズ要件の洗い出し)
- 環境構築(ユーザー登録、権限設定、カスタムオブジェクト作成)
- データ移行(既存のExcel・旧CRMからのデータ移行)
- 他ツール連携(メール、カレンダー、マーケティングツール等)
- ユーザー教育(操作トレーニング、マニュアル作成)
注意点: 初期構築を外部の導入支援企業に依頼する場合、ツールのライセンス費用とは別に構築費用が発生します。総コストは「ライセンス費用の2〜3倍」が目安です。
(2) 有料アドオン・サポート費用
有料アドオンの例:
- Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot): MAツール(月額15万円〜)
- Einstein Analytics: 高度なデータ分析ツール(月額数万円〜)
- プレミアムサポート: 24時間365日の電話サポート(Unlimitedエディション以上に含まれる、それ以下は別途費用)
サポート費用:
- 標準サポート: 営業時間内のメール・チャットサポート(全エディションに含まれる)
- プレミアムサポート: 24時間365日の電話サポート(Unlimitedエディション以上、またはProfessional・Enterpriseで追加購入可能)
(3) 運用・教育コスト
運用コスト:
- 専任の運用担当者: Salesforceの運用・カスタマイズ・ユーザーサポートを行う担当者(人件費)
- 継続的なカスタマイズ: 業務プロセス変更に合わせた設定変更(外部委託する場合は月額10万円〜)
教育コスト:
- 新入社員へのトレーニング
- 機能追加時のユーザー研修
Salesforceは多機能ゆえに使いこなすには一定のスキルが必要です。学習コストを軽視すると、「ツールを入れたが使われない」事態になりかねません。
(4) データ移行費用
既存のExcel・旧CRMからのデータ移行には以下の作業が必要です:
- データクレンジング(重複削除、表記ゆれ修正)
- データ形式の変換(Salesforceのデータ構造に合わせる)
- 移行テスト・検証
データ移行費用の目安:
- 小規模(データ数1万件以下): 20万円〜50万円
- 中規模(データ数1万〜10万件): 50万円〜150万円
- 大規模(データ数10万件以上): 150万円〜500万円以上
他のCRMツールとの料金比較
Salesforceと主要CRMツールの料金を比較します(2024-2025年時点)。
(1) HubSpot CRMとの比較
| 項目 | Salesforce | HubSpot |
|---|---|---|
| 月額料金 | 3,000円〜60,000円/ユーザー | 無料〜(有料版は6,000円〜) |
| 初期費用 | 無料(構築費用別) | 無料 |
| 無料版 | なし | あり(制限付き) |
| 対象企業 | 小規模〜大企業 | 中小〜中堅企業 |
Salesforceが向いている企業:
- 既に従業員50名以上
- 高度なカスタマイズが必要
- 複数部門で連携して活用したい
HubSpotが向いている企業:
- 予算が限られている(月10万円以下)
- 初めてCRMを導入する
- 使いやすさ重視
(2) Zoho CRMとの比較
| 項目 | Salesforce | Zoho CRM |
|---|---|---|
| 月額料金 | 3,000円〜60,000円/ユーザー | 1,680円〜6,240円/ユーザー |
| 初期費用 | 無料(構築費用別) | 無料 |
| 対象企業 | 小規模〜大企業 | 中小企業 |
Salesforceが向いている企業:
- グローバル展開を視野に入れている
- 最新のAI機能を活用したい
Zoho CRMが向いている企業:
- コストパフォーマンス重視
- 国内市場のみで十分
(3) Microsoft Dynamics 365との比較
| 項目 | Salesforce | Microsoft Dynamics 365 |
|---|---|---|
| 月額料金 | 3,000円〜60,000円/ユーザー | 7,070円〜22,080円/ユーザー |
| 初期費用 | 無料(構築費用別) | 無料(構築費用別) |
| 対象企業 | 小規模〜大企業 | 中堅〜大企業 |
Salesforceが向いている企業:
- CRM市場シェアNo.1のプラットフォームを使いたい
- 豊富なアドオン・連携ツールを活用したい
Dynamics 365が向いている企業:
- Microsoft製品(Office 365、Azure等)を既に利用している
- Windows環境との統合を重視
価格帯の評価: Salesforceは、エンタープライズ向けCRMとしては標準的な価格帯です。HubSpot無料版やZoho CRM等の低価格CRMと比較すると高めですが、機能・カスタマイズ性・サポート体制を考慮すると、妥当な価格と言えます。
コスト最適化のポイント
Salesforceのコストを最適化する4つのポイントを解説します。
(1) ライセンス割り当ての最適化
最も重要なコスト最適化ポイントは、「誰にどのレベルのライセンスを割り当てるか」の設計です。
最適化の例:
- 営業担当者(10名): Professionalエディション(月額9,600円/人)
- 営業マネージャー(3名): Enterpriseエディション(月額19,800円/人)
- カスタマーサポート(5名): Service Cloud Standard(月額3,000円/人)
- 経営層(閲覧のみ、3名): レポート閲覧ライセンス(月額1,500円/人)
削減効果: すべて19,800円のEnterpriseで統一すると月額415,800円ですが、最適化すると約30%削減できます。
(2) 必要な機能の見極め
**「全機能を使いたい」ではなく「必要な機能だけ」**を選ぶことで、エディションを下げられます。
機能見極めのチェックリスト:
- カスタムオブジェクト(独自のデータ項目)は必要か? → 不要ならProfessionalで十分
- Sandbox環境(テスト環境)は必要か? → 不要ならProfessionalで十分
- 24時間サポートは必要か? → 不要ならEnterpriseで十分
(3) 段階的な導入アプローチ
一度に全機能を導入するのではなく、段階的に拡張することでコストを抑えられます。
段階的導入の例:
- Phase 1(最初の3ヶ月): Professionalエディションで基本的な顧客管理・商談管理のみ
- Phase 2(3〜6ヶ月): カスタマイズを追加し、Enterpriseエディションにアップグレード
- Phase 3(6ヶ月以降): Marketing Cloud等のアドオンを追加
これにより、初期投資を抑えつつ、効果を確認しながら拡張できます。
(4) 無料トライアルの活用
Salesforceは30日間無料でProfessional版を試用できます。
トライアル期間中に確認すべきこと:
- 自社の業務プロセスに合うか
- 現場の担当者が使いこなせるか
- 既存ツール(メール、カレンダー等)と連携できるか
- データ移行がスムーズに行えるか
トライアルを活用せずに導入すると、「思っていたのと違う」というミスマッチが発生しやすいです。
まとめ:企業規模別おすすめプラン
Salesforceの料金は「ユーザー数 × エディション単価」で決まりますが、実際には初期構築・カスタマイズ・運用コストも含めた総コストで判断する必要があります。
企業規模別おすすめプラン:
小規模企業(従業員10名以下):
- おすすめ: Starterエディション(月額3,000円/ユーザー)
- 総コスト目安: 初期費用50万円 + 月額3万円(10名)= 初年度86万円
- 代替案: HubSpot無料版から始める
中小企業(従業員10〜50名):
- おすすめ: Professionalエディション(月額9,600円/ユーザー)
- 総コスト目安: 初期費用150万円 + 月額48万円(50名)= 初年度726万円
中堅企業(従業員50〜500名):
- おすすめ: Enterpriseエディション(月額19,800円/ユーザー)
- 総コスト目安: 初期費用500万円 + 月額990万円(500名)= 初年度1億2,380万円
大企業(従業員500名以上):
- おすすめ: Unlimitedエディション(月額39,600円/ユーザー)またはEinstein 1 Sales(月額60,000円/ユーザー)
次のアクション:
- 自社の営業プロセス・顧客管理の課題を整理する
- 必要な機能を明確にする(カスタマイズ、Sandbox、24時間サポート等)
- 30日間無料トライアルでProfessional版を試す
- 3社以上の導入支援企業から見積もりを取り、初期構築費用を比較する
- 段階的な導入計画を立て、初期投資を抑える
最新の料金はSalesforce公式サイトでご確認ください。(この記事は2024-2025年時点の情報です)
