Salesforceを導入したいけれど、製品が多すぎて全体像が把握できない...
B2B企業のIT担当者や経営企画担当者の多くが、Salesforce導入を検討する際に「製品が多すぎてどれを選べばいいかわからない」という課題を抱えています。Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud...と名前を聞いても、それぞれの役割や違いが整理できず、導入に踏み切れないケースが多いのではないでしょうか。
この記事では、Salesforceの製品体系と全体像を整理し、企業規模・業種別の製品選定基準まで解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceは世界No.1のクラウドベースCRMプラットフォームで、営業・マーケティング・カスタマーサービスを統合管理できる
- 主要製品はSales Cloud(営業)、Service Cloud(サポート)、Marketing Cloud(マーケティング)の3つが中核
- エディションはEssentials〜Unlimitedまであり、企業規模・予算に応じて選択可能
- 製品体系が複雑なため、導入前に業務要件を明確にし、無料トライアルで検証することが重要
Salesforceとは?世界No.1 CRMの基本を理解する
Salesforceは、米国Salesforce社が提供する世界最大のクラウドベースCRM(顧客関係管理)プラットフォームです。営業活動の効率化を中心に、マーケティング、カスタマーサービスなど様々な業務を統合管理できることが特徴です。
日本でも日経、NTTコミュニケーションズ、パソナ、UDトラックスなど190社以上の企業が導入しており、製造、小売、金融、メディア、サービスなど幅広い業界で活用されています(Salesforce公式サイトより)。
(1) クラウドベースCRMプラットフォームの基本概念
Salesforceの最大の特徴は、クラウドベースで提供されている点です。サーバー構築やソフトウェアのインストールが不要で、インターネット接続があれば、どこからでもアクセス可能です。
Salesforceの主な機能:
- 顧客情報の一元管理: 見込み顧客、既存顧客、商談履歴などを一箇所で管理
- 営業プロセスの可視化: 商談の進捗状況、売上予測をリアルタイムで把握
- チーム間の情報共有: 営業、マーケティング、サポート間でデータを共有
- レポート・ダッシュボード: 売上状況や活動状況を視覚的に分析
(2) オブジェクト構造とデータ管理の仕組み
Salesforceは「オブジェクト」と呼ばれるデータテーブル(Excelの表のようなもの)の集合体で構成されています。顧客情報を中核として、所属企業、商談内容、対話履歴などをリンクさせることで、顧客に関するあらゆる情報を一元管理できます。
標準で用意されているオブジェクトに加えて、自社の業務に合わせたカスタムオブジェクトを作成することも可能です。この柔軟性がSalesforceの強みの一つといえます。
Salesforce主要製品の概要と役割
Salesforceには多数の製品がありますが、まずは主要な製品の役割を理解することが重要です。日立ソリューションズの資料によると、代表的な3つのプロダクト(Sales Cloud、Service Cloud、Salesforce Platform)から始めて、必要に応じて他の製品を追加していくアプローチが一般的とされています。
(1) Sales Cloud(営業支援・顧客管理)
Sales Cloudは、Salesforceの中核となる営業支援・顧客管理に特化した製品です。
主な機能:
- 見込み顧客(リード)管理
- 商談管理・パイプライン管理
- 売上予測
- 営業活動のレポート・分析
- モバイルアプリでの外出先からのアクセス
こんな企業に向いている:
- 営業チームの活動を可視化したい
- 商談の進捗管理を効率化したい
- 売上予測の精度を上げたい
(2) Service Cloud(カスタマーサポート・問い合わせ管理)
Service Cloudは、カスタマーサポート・問い合わせ管理に特化した製品です。電話、メール、チャット、SNSなど複数チャネルからの問い合わせを一元管理できます。
主な機能:
- 問い合わせ(ケース)管理
- 複数チャネルの統合管理
- ナレッジベース(FAQ)の構築
- サービスレベル管理(SLA)
- フィールドサービス管理
こんな企業に向いている:
- 顧客対応の品質を向上させたい
- 問い合わせ対応時間を短縮したい
- サポートチームの生産性を上げたい
(3) Marketing Cloud(マーケティング自動化)
Marketing Cloudは、マーケティング活動の自動化(MA)を支援する製品群です。旧Pardot(現Marketing Cloud Account Engagement)を含みます。
主な機能:
- メールマーケティング
- リードナーチャリング
- 顧客セグメント管理
- キャンペーン管理
- SNS連携・管理
こんな企業に向いている:
- マーケティング活動を自動化したい
- リード獲得から育成までを効率化したい
- マーケティングROIを可視化したい
(4) Commerce Cloud・Data Cloud・その他製品
Commerce Cloud: B2C、B2B向けのEコマースプラットフォームです。オンライン販売システムを構築し、Salesforceの他製品と連携した統合的な顧客体験を提供できます。
Data Cloud: Salesforceとあらゆるシステムのデータを統合するプラットフォームです。顧客データを統合し、より深い顧客理解を実現します。
Agentforce(2024年リリース): 自律型AIエージェントを構築・カスタマイズ・展開できる新しいスイートです。従業員と顧客のサポートを自動化できます。
(5) Salesforce Platform(アプリケーション開発基盤)
Salesforce Platform(旧Lightning Platform)は、独自のアプリケーションを開発できる基盤です。最小限の機能からスタートし、自社の業務に特化したアプリケーションを開発・統合できます。
こんな企業に向いている:
- 既存のSalesforce機能ではカバーできない業務がある
- 自社独自のアプリケーションを開発したい
- AppExchange(マーケットプレイス)で必要なアプリを追加したい
エディション別の機能と料金体系
Salesforceの各製品には、複数のエディション(機能グレード)が用意されています。企業規模や予算に応じて選択できますが、エディションによって利用できる機能が大きく異なります。
(1) Essentials/Professional/Enterprise/Unlimitedの違い
一般的な製品(Sales Cloud、Service Cloud等)のエディション構成は以下の通りです。
Essentials(小規模向け):
- 基本的なCRM機能
- ユーザー数制限あり(通常10名まで)
- 月額3,000円/ユーザー程度から
- 初めてCRMを導入する小規模企業向け
Professional(中小企業向け):
- 標準的なCRM機能一式
- 基本的なカスタマイズが可能
- 月額9,000円〜18,000円/ユーザー程度
- 本格的な営業管理を行いたい企業向け
Enterprise(中堅企業向け):
- 高度なカスタマイズ機能
- ワークフロー自動化
- API連携の拡張
- 月額18,000円〜36,000円/ユーザー程度
- 複雑な業務プロセスに対応したい企業向け
Unlimited(大企業向け):
- 全機能が利用可能
- 無制限のカスタマイズ
- 24時間365日サポート
- 月額36,000円〜/ユーザー程度
- 大規模な導入を行う企業向け
※料金は2024年時点の目安です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
(2) 追加機能と費用の関係
Salesforceでは、基本エディションに加えて、追加機能(アドオン)を購入することで機能を拡張できます。
よく利用される追加機能:
- Einstein(AIによる予測分析、レコメンデーション)
- CPQ(見積書・契約書の自動作成)
- Inbox(メール連携の強化)
- データストレージの追加
追加機能により費用が変動するため、導入前に詳細な見積もりを取得することが推奨されます。
企業規模・業種別の製品選定基準
Salesforceの製品選定では、企業規模と業務要件を明確にすることが重要です。
(1) 従業員50-100名規模の推奨構成
基本構成:
- Sales Cloud Professional または Essentials
- ユーザー数: 5〜20名程度
- 月額予算: 5万円〜30万円程度
検討ポイント:
- まずは営業支援(Sales Cloud)から始めるケースが多い
- カスタマーサポートが重要な場合はService Cloudを追加
- Trailhead(無料学習プラットフォーム)で社内担当者を育成
(2) 100-500名規模の推奨構成
基本構成:
- Sales Cloud Enterprise
- Service Cloud Professional/Enterprise
- ユーザー数: 20〜100名程度
- 月額予算: 30万円〜200万円程度
検討ポイント:
- 複数部門での利用を前提にEnterprise以上を検討
- 基幹システム(ERP等)との連携が必要な場合はAPI機能を確認
- 導入パートナー(SIer)の支援を受けることが一般的
(3) 他社CRM(HubSpot・Zoho・Dynamics 365)との比較
Salesforce以外にも、CRM製品は複数存在します。導入前に比較検討することが推奨されます。
HubSpot:
- 無料版あり、中小企業に人気
- マーケティング機能が充実
- Salesforceより操作がシンプル
- 大規模・複雑な要件には向かない場合も
Zoho CRM:
- 低価格で導入しやすい
- 中小企業向けの機能が充実
- グローバルでの実績多数
- 日本語サポートはSalesforceより限定的な場合も
Microsoft Dynamics 365:
- Microsoft製品との親和性が高い
- Office 365ユーザーには導入しやすい
- エンタープライズ向けの機能が充実
- Salesforceと同等の価格帯
自社の要件、予算、既存システムとの連携を考慮して選定することが重要です。
導入時の注意点とよくある失敗
Salesforce導入において、よくある失敗パターンを事前に把握しておくことが重要です。
(1) ライセンス購入しすぎの回避
Salesforceは非常に多機能なプラットフォームのため、全体像を理解せずに導入すると、必要以上のライセンスを購入してしまうリスクがあります。
回避策:
- 導入前に業務要件を明確化する
- 必要な機能とユーザー数を精査する
- 最小限の構成から始めて、必要に応じて拡張する
- 導入パートナーに相談して適切な構成を見極める
(2) データ整備とトライアル検証の重要性
導入事例の成果は、企業規模、業種、既存システムとの統合度合いにより大きく異なります。他社の成功事例がそのまま自社に当てはまるとは限りません。
推奨事項:
- 無料トライアルで実際の操作感を確認する
- 既存データの整備(重複削除、項目統一)を事前に行う
- PoC(概念実証)で自社での効果を検証する
- 段階的に導入範囲を拡大する
まとめ:Salesforce導入の次のステップ
Salesforceは世界No.1のCRMプラットフォームであり、営業・マーケティング・カスタマーサービスを統合管理できる強力なツールです。しかし、製品体系が複雑なため、全体像を理解してから導入を検討することが重要です。
次のアクション:
- 自社の業務要件と予算を整理する
- 主要製品(Sales Cloud、Service Cloud)の違いを理解する
- Trailhead(公式無料学習プラットフォーム)で基本を学ぶ
- 無料トライアルで実際に操作してみる
- 必要に応じて導入パートナーに相談する
製品体系は継続的にアップデートされているため(2024年にはAgentforce、Einstein 1 Platformなどが追加)、最新情報はSalesforce公式サイトで確認することをお勧めします。
よくある質問
Q: Sales CloudとService Cloudの違いは何ですか? A: Sales Cloudは営業支援・顧客管理(見込み顧客管理、商談管理、売上予測)に特化し、Service Cloudはカスタマーサポート・問い合わせ管理(電話・メール・チャットの一元管理)に特化しています。営業効率化ならSales Cloud、顧客対応改善ならService Cloudが適しています。
Q: Salesforceの料金はいくらですか? A: 製品・エディションにより異なります。Essentialsは月額3,000円/ユーザー程度から、Enterprise/Unlimitedは月額18,000円〜36,000円/ユーザー程度が目安です。追加機能で費用が変動するため、導入前に詳細な見積もりを取得することを推奨します。
Q: 小規模企業でもSalesforceは必要ですか? A: 従業員50名以上で営業活動の効率化を求める場合は効果が期待できます。小規模向けにEssentialsエディション(月額3,000円/ユーザー程度から)があります。ただし、要件によってはHubSpotやZoho CRMも選択肢となるため、複数製品の比較検討を推奨します。
Q: Salesforceの学習方法は? A: 公式トレーニングプラットフォーム「Trailhead」で無料学習が可能です。初心者向けから管理者・開発者向けまで、体系的にSalesforceの使い方を習得できます。
