外出先でSalesforceにアクセスできない…
営業担当者が外出先で顧客情報を確認したいとき、電波状況が悪くてSalesforceにアクセスできない経験はありませんか。地下やビルの奥、地方の電波圏外エリア、飛行機の機内など、インターネット接続が不安定な場所でも顧客情報を参照できれば、商談の準備や報告がスムーズに行えます。
Salesforceモバイルアプリにはオフライン機能が搭載されており、設定を行うことで電波のない環境でもデータの閲覧・編集が可能です。この記事では、Salesforceのオフライン機能の仕組み、設定方法、活用テクニックを解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceモバイルアプリはオフラインでレコードの閲覧・作成・更新・削除が可能
- オフラインキャッシュは暗号化されて端末に保存、保存期間は2週間
- デフォルトでは最近アクセスした5オブジェクト×最大30レコードがキャッシュ
- 外出前に手動でキャッシュを更新しておくことが推奨される
- Field Serviceアプリは「オフラインファースト」設計で現場作業に特化
Salesforceオフライン機能とは:外出先でも業務を止めない仕組み
(1) オフライン機能が必要なシーン(電波圏外・機内モード)
B2B営業では、以下のようなシーンでオフライン機能が役立ちます。
オフライン機能が必要なシーン:
- 地下や高層ビル内での電波不安定な環境
- 地方出張時の電波圏外エリア
- 飛行機の機内(機内モード時)
- 海外出張でのローミング節約
- 工場・倉庫など電波が届きにくい現場
オフライン機能を有効にしておくことで、これらの環境でも顧客情報の閲覧や商談記録の入力が可能になります。
(2) Salesforce App PlusとField Serviceの違い
Salesforceには主に2種類のモバイルアプリがあり、それぞれオフライン機能の特性が異なります。
Salesforceモバイルアプリ(Salesforce App Plus):
- 一般的な営業・マーケティング向け
- オフラインでのレコード閲覧・作成・更新・削除が可能
- 管理者によるオフラインデータセットの事前設定が可能
Field Service Mobileアプリ:
- 現場作業者(フィールドサービス技術者)向け
- 「オフラインファースト」設計で、オフライン状態を前提とした機能
- 現場での作業指示書閲覧、作業完了報告などに特化
外回り営業であれば通常のSalesforceモバイルアプリ、現場作業が中心であればField Serviceアプリが適しています。
オフライン機能の基礎知識(仕組みとキャッシュ)
(1) オフラインキャッシュの仕組み(暗号化されたローカルデータ)
Salesforceモバイルアプリのオフライン機能は、「オフラインキャッシュ」という仕組みで実現されています。
オフラインキャッシュの特徴:
- 端末のローカルストレージにデータを保存
- データは暗号化されて保存(セキュリティ対策)
- オンライン復帰時に自動でサーバーと同期
- ユーザーの権限に基づいたデータのみがキャッシュ
キャッシュされたデータは端末上で暗号化されるため、万が一端末を紛失しても情報漏洩のリスクが軽減されます。
(2) キャッシュの保存期間(2週間)と更新タイミング
保存期間: キャッシュの保存期間は2週間です。2週間を超えるとキャッシュが無効になり、オンライン接続時に再取得が必要になります。
キャッシュがクリアされるタイミング:
- ログアウト時
- アプリのアンインストール時
- 保存期間(2週間)経過時
注意点: ログイン直後はすぐにキャッシュが作成されないことがあります。外出前には手動でキャッシュを更新しておくことが推奨されます。
(3) デフォルト設定:最近5オブジェクト×最大30レコード
キャッシュをカスタマイズしない場合のデフォルト設定は以下の通りです。
デフォルト設定:
- 対象オブジェクト: 最近アクセスした5個のオブジェクト
- レコード数: 各オブジェクト最大30レコード
- 含まれる情報: レコードの全項目
頻繁に参照する顧客情報や商談データが自動的にキャッシュされますが、必要なデータがキャッシュに含まれるよう、外出前に該当レコードを一度開いておくことが確実です。
Salesforceモバイルアプリのオフライン設定手順
(1) 管理者による「Salesforce オフライン」有効化
オフライン機能を使用するには、まずSalesforce管理者が機能を有効化する必要があります。
有効化の手順:
- Salesforceの設定画面を開く
- 「クイック検索」で「Salesforce オフライン」を検索
- 「Salesforce オフライン」の設定画面を開く
- 必要な項目にチェックを入れて有効化
- 対象ユーザー・プロファイルに権限を付与
※詳細な設定手順はSalesforce公式ヘルプを参照してください。
(2) iOS/Androidでの設定方法
モバイルアプリ側でもオフラインアクセスの設定が必要です。
アプリ側の設定手順:
- Salesforceモバイルアプリを起動
- 設定メニューを開く
- 「オフライン」または「オフラインアクセス」を選択
- オフラインアクセスを有効化
- 必要に応じてキャッシュ対象オブジェクトを選択
iOS/Android共通の注意点:
- 十分なストレージ空き容量が必要
- 初回キャッシュ作成には時間がかかることがある
- Wi-Fi環境での初期設定を推奨
(3) Offline Briefcaseでカスタムオブジェクトを追加
デフォルトのプライミング(自動キャッシュ)対象外のカスタムオブジェクトもオフラインで利用したい場合は、Offline Briefcase機能を活用します。
Offline Briefcaseの概要:
- 標準プライミング外のオブジェクトもオフラインでアクセス可能に
- 管理者がオフラインデータセットを事前設定
- ユーザーグループに割り当てて適用
※Offline Briefcaseの設定は管理者権限が必要です。詳細はSalesforce公式ドキュメントを参照してください。
オフラインで利用可能な機能と制限事項
(1) 利用可能:レコードの閲覧・作成・更新・削除
Salesforceモバイルアプリのオフライン機能では、以下の操作が可能です。
オフラインで可能な操作:
- キャッシュされたレコードの閲覧
- 新規レコードの作成
- 既存レコードの編集・更新
- レコードの削除
- 関連リストの参照
オフライン中に行った変更は端末に保存され、「待機」状態になります。
(2) オンライン復帰時の自動同期の仕組み
オフライン中に作成・編集したデータは、オンライン復帰時に自動でサーバーと同期されます。
同期の仕組み:
- オフライン中の変更は端末に「待機」状態で保存
- インターネット接続が復旧すると自動的に同期開始
- サーバーに変更が反映される
- 競合が発生した場合はエラー通知
競合(コンフリクト)の例:
- 同じレコードを別のユーザーが同時に編集した場合
- オフライン中に削除されたレコードを編集した場合
競合が発生した場合は、アプリ上で通知され、手動での解決が必要になることがあります。
(3) 制限事項:同期タイミング・容量制限・カスタマイズ制限
オフライン機能には以下の制限があります。
主な制限事項:
| 項目 | 制限内容 |
|---|---|
| キャッシュ容量 | 端末のストレージ容量に依存 |
| 保存期間 | 2週間(超過するとキャッシュ無効) |
| 同期タイミング | オンライン復帰後に自動実行(リアルタイムではない) |
| 対象オブジェクト | デフォルトは最近5オブジェクト(カスタマイズ可能) |
| 添付ファイル | 大容量ファイルはキャッシュ対象外の場合あり |
利用できない機能(一般的なケース):
- 承認申請・承認プロセス
- Chatterへの投稿(オンライン必須)
- リアルタイムレポートの実行
- 外部システムとの連携処理
※利用可能な機能はSalesforceのバージョンやライセンスにより異なる場合があります。
外回り営業のための活用テクニック
(1) 外出前の手動キャッシュ更新
機内モードや電波圏外になる前に、ナビゲーションメニューから手動でキャッシュを更新しておくことが推奨されます。
手動キャッシュ更新の手順:
- Wi-Fi環境でSalesforceモバイルアプリを開く
- 今日訪問する顧客のレコードを一通り開く
- 関連する商談・活動履歴も確認しておく
- 必要に応じてレポートも事前に表示
タイミングのポイント:
- 出社時または外出直前に実施
- 移動中の電車でも可能(電波のあるエリアで)
- 訪問先が決まったら該当顧客レコードを優先的に開く
(2) アプリ強制終了(タスクキル)を避ける
アプリを強制終了(タスクキル)すると、キャッシュが正しく更新されない場合があります。
注意すべき操作:
- タスク一覧からアプリを上にスワイプして終了
- 「すべてのアプリを終了」操作
- 端末の強制再起動
推奨される操作:
- アプリはバックグラウンドで起動したまま維持
- 端末の電源を切る前にキャッシュが最新か確認
- ログアウトはできるだけ避ける(キャッシュがクリアされるため)
(3) Field Serviceアプリの活用(現場作業向け)
現場作業が多い場合は、Field Service Mobileアプリの活用を検討することも有効です。
Field Serviceアプリの特徴:
- 「オフラインファースト」設計で、オフライン状態を前提
- 現場での作業指示書閲覧が標準機能
- 作業完了報告、部品在庫確認などに対応
- 写真撮影・署名取得もオフラインで可能
※Field Serviceを利用するには別途ライセンスが必要な場合があります。詳細はSalesforce公式サイトを確認してください。
まとめ:オフライン機能を最大限活用するポイント
Salesforceのオフライン機能を活用することで、電波状況に左右されずに営業活動を継続できます。
オフライン機能活用のチェックリスト:
- 管理者にオフライン機能の有効化を依頼した
- モバイルアプリでオフラインアクセスを有効化した
- 外出前に手動でキャッシュを更新している
- アプリの強制終了(タスクキル)を避けている
- キャッシュの保存期間(2週間)を理解している
- オフラインでできること・できないことを把握している
活用のポイント:
- 外出前のキャッシュ更新を習慣化する
- 頻繁に参照する顧客は事前に開いてキャッシュに含める
- オフライン中の変更はオンライン復帰後に自動同期される
- ログアウトするとキャッシュがクリアされるので注意
次のステップ:
- Salesforce管理者にオフライン機能の有効化を確認・依頼
- モバイルアプリでオフラインアクセスを有効化
- 次回の外出前に手動キャッシュ更新を試す
- オフライン環境で実際に動作確認
※Salesforceのバージョンアップにより、オフライン機能の仕様が変更される場合があります。最新情報はSalesforce公式ヘルプを参照してください。
よくある質問:
Q: Salesforceモバイルアプリはオフラインでどこまで使える? A: レコードの表示・作成・更新・削除が可能です。オフライン中の変更は待機状態になり、オンライン復帰後に自動同期されます。ただし、Chatterへの投稿やリアルタイムレポートの実行などはオンライン接続が必要です。
Q: オフラインキャッシュの保存期間はどれくらい? A: 2週間です。ただし、ログアウトするとキャッシュがクリアされます。また、ログイン直後はすぐにキャッシュが作成されないため、外出前に手動でキャッシュを更新しておくことが推奨されます。
Q: カスタムオブジェクトもオフラインで利用できる? A: Offline Briefcase機能を使えば、標準プライミング外のカスタムオブジェクトもオフラインでアクセス可能です。管理者による設定が必要になります。
Q: Field Serviceアプリと通常アプリの違いは? A: Field Serviceは「オフラインファースト」設計で現場作業に特化しています。現場技術者向けの機能(作業指示書閲覧、作業完了報告、部品在庫確認など)が充実しており、オフライン状態でも一通りの業務が可能です。別途ライセンスが必要な場合があります。
