Salesforceを導入したけど、メールと連携できていないという悩み
Salesforceを導入したBtoB企業の営業担当者から、「CRMにメール履歴を残すのが手間」「メール対応とSalesforce入力を行き来するのが非効率」という声を聞くことがあります。
Salesforce Inboxは、GmailやOutlookとSalesforceを連携し、メール画面からSalesforceのレコードを操作できるアドオン機能です。メールの送受信履歴を自動で記録したり、開封確認で適切なフォローアップタイミングを把握したりと、営業活動の効率化に貢献します。
この記事では、Salesforce Inboxの概要から初期設定、基本機能の使い方、営業効率を高める活用テクニックまで実践的に解説します。
この記事のポイント:
- Salesforce InboxはGmail/Outlookとの連携で営業活動を効率化するアドオン機能
- ライセンス費用は月額$25/ユーザー(年間契約)、Sales Cloud Enterprise Edition以上での利用が推奨される
- Read Receipts(開封確認)やInsert Availability(空き時間共有)でフォローアップと会議調整を効率化
- Einstein Activity Captureを併用することで、メール・カレンダーの自動同期が可能
- Salesforce for Outlookは2024年6月に廃止済み、新しいOutlook統合への移行が必要
1. Salesforce Inboxで営業活動を効率化する理由
営業担当者の日常業務では、メール対応とCRM入力が大きな時間を占めています。Salesforce Inboxを導入することで、以下のような課題を解決できる可能性があります。
解決できる課題:
| 課題 | Inboxでの解決方法 |
|---|---|
| メール履歴の手動入力が手間 | 送信メールの自動記録・紐付け |
| フォローアップのタイミングがわからない | Read Receipts(開封確認)で把握 |
| 会議調整のやり取りが多い | Insert Availabilityで空き時間を共有 |
| メールとSalesforce画面の切り替えが多い | メール画面内でSalesforceレコードを確認・操作 |
| 顧客情報を見ながらメールを書きたい | サイドパネルで取引先・商談情報を表示 |
導入効果の目安:
手動でのデータ入力が削減されることで、営業担当者1人あたり1日30分〜1時間程度の時間削減が見込めるケースがあると言われています。ただし、効果は企業の業務フロー・メール量により異なります。
2. Salesforce Inboxとは:主要機能と対応クライアント
Salesforce Inboxの概要と、Einstein Activity Captureとの違いを解説します。
(1) Inboxで実現できること(メール追跡・テンプレート・予定調整)
Salesforce Inboxの主要機能は以下の通りです。
主要機能一覧:
| 機能 | 説明 | 活用シーン |
|---|---|---|
| Read Receipts | 送信メールの開封状況を追跡 | フォローアップのタイミング判断 |
| Insert Availability | 空き時間をメールに挿入し相手が選択 | 会議調整の効率化 |
| メールテンプレート | よく使う文面をテンプレート化 | 定型メールの作成時間短縮 |
| Salesforceレコード連携 | メール画面で取引先・商談を確認・更新 | 画面切り替えの削減 |
| クリックトゥコール | メール画面から電話発信 | 電話番号の手入力不要 |
| 送信メールの自動記録 | 送信メールをSalesforceに自動紐付け | 活動履歴の自動蓄積 |
(2) Einstein Activity Captureとの違いと使い分け
Salesforce Inboxと混同されやすい機能として、Einstein Activity Captureがあります。
違いと使い分け:
| 項目 | Salesforce Inbox | Einstein Activity Capture |
|---|---|---|
| 主な目的 | メール管理UIの強化 | 活動の自動記録・AI分析 |
| メール送信機能 | あり | なし(記録のみ) |
| Read Receipts | あり | なし |
| Insert Availability | あり | なし |
| 自動同期 | 限定的 | メール・カレンダーを自動同期 |
| AIインサイト | なし | Einstein AIによる分析 |
使い分けの目安:
- メール画面での操作性向上が目的 → Salesforce Inbox
- 活動の自動記録・AI分析が目的 → Einstein Activity Capture
- 両方を組み合わせると、操作性向上と自動記録を両立可能
(3) 対応エディションとライセンス費用(月額$25〜)
Salesforce Inboxを利用するには、対応エディションとライセンスの追加購入が必要です。
対応クライアント:
- Gmail(Chrome拡張機能)
- Outlook(新しいOutlook統合)
対応Salesforceエディション:
- Sales Cloud
- Service Cloud
- Lightning Platform
ライセンス費用:
- 月額$25/ユーザー(年間契約)
- 別途Google WorkspaceまたはMicrosoft 365の有料アカウントが必要
※料金は2025年12月時点の目安です。最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。
注意点:
- Salesforce Inboxモバイルアプリは2024年2月に廃止済み
- Salesforce for Outlookは2024年6月に完全廃止済み
- モバイルでの利用には、デスクトップ統合機能の活用が必要
3. 初期設定の手順(Gmail・Outlook連携)
Salesforce Inboxの設定手順を解説します。設定はシステム管理者権限が必要な場合があります。
(1) Gmail連携の設定ステップ
設定手順:
Inboxライセンスの割り当て
- Salesforce管理画面で「ユーザ」→「権限セット」を開く
- 「Inbox」権限セットを対象ユーザに割り当て
Chrome拡張機能のインストール
- Chromeウェブストアで「Salesforce Inbox」を検索
- 拡張機能をインストール
Salesforceアカウントとの接続
- Gmailを開き、Salesforce Inboxアイコンをクリック
- Salesforceアカウントでログイン
- 接続を許可
Einstein Activity Captureの有効化(推奨)
- 設定画面で「Einstein Activity Capture」を検索
- 機能を有効化し、同期対象のメールアカウントを設定
(2) Outlook連携の設定ステップ
重要: Salesforce for Outlookは2024年6月に完全廃止されています。新規設定の場合は「新しいOutlook統合」を使用してください。
設定手順:
Inboxライセンスの割り当て
- Salesforce管理画面で権限セットを割り当て
Outlook統合の設定
- Salesforce設定で「Outlookインテグレーション」を検索
- 新しいOutlook統合を有効化
Outlookでのアドイン追加
- Outlookの「アドインを取得」でSalesforceを検索
- アドインをインストール
アカウント接続
- Outlookを開き、Salesforceパネルで接続
- 認証を完了
(3) 権限セットの割り当てと有効化
Inbox機能を利用するには、適切な権限セットの割り当てが必要です。
権限セットの種類:
| 権限セット | 機能 |
|---|---|
| Inbox | 基本的なInbox機能 |
| Einstein Activity Capture | 自動同期機能 |
| Lightning Dialer | クリックトゥコール機能 |
確認方法:
- Salesforce設定で「権限セット」を検索
- 対象ユーザの割り当て状況を確認
- 必要に応じて権限セットを追加
4. 基本機能の使い方とSalesforceレコード連携
初期設定完了後に使える基本機能を解説します。
(1) Read Receipts(開封確認)でフォローアップを最適化
Read Receiptsを使うと、送信したメールが開封されたかどうかを追跡できます。
使い方:
- メール作成時に「追跡」オプションを有効化
- 送信後、開封状況がSalesforceに記録される
- 開封通知を受け取る設定も可能
活用のポイント:
- 開封直後のフォローアップは効果的と言われている
- 未開封が続く場合は件名を変えて再送を検討
- 開封率の傾向を分析し、件名のA/Bテストに活用
注意点:
- 相手のメールソフトや設定によっては追跡が機能しない場合がある
- 過度なフォローアップは逆効果になる可能性もある
(2) Insert Availabilityで会議調整を効率化
Insert Availability機能を使うと、自分の空き時間をメールに挿入し、相手がその中から時間を選択できます。
使い方:
- メール作成画面で「空き時間を挿入」をクリック
- 提示したい日時範囲を選択
- メール本文に空き時間リンクが挿入される
- 相手がリンクをクリックして時間を選択
- 自動的にカレンダーに予定が追加される
メリット:
- 「いつがご都合よいですか」のやり取りを削減
- ダブルブッキングを防止
- 会議調整のメール往復回数を削減
(3) 送信メールのSalesforceレコード自動紐付け
Inboxを使うと、送信メールを適切なSalesforceレコード(リード、取引先責任者、商談など)に自動で紐付けできます。
紐付けの仕組み:
- 送信先メールアドレスでSalesforceレコードを検索
- 一致するリード・取引先責任者を特定
- 活動履歴として自動記録
手動紐付けも可能:
- 送信時に紐付け先を選択
- 複数のレコード(例: 取引先責任者 + 商談)に紐付け
5. 営業効率を高める活用テクニック
基本機能を理解した上で、さらに効率を高める活用テクニックを紹介します。
(1) メールテンプレートの作成と活用
繰り返し使用する文面をテンプレート化することで、メール作成時間を短縮できます。
テンプレート活用の例:
| シーン | テンプレート例 |
|---|---|
| 初回アプローチ | 会社紹介 + 面談依頼 |
| 資料送付後フォロー | 資料の感想確認 + 質問対応案内 |
| 商談後お礼 | お礼 + 次回アクション確認 |
| 長期フォロー | 業界情報共有 + 状況確認 |
テンプレート作成のポイント:
- 差し込み項目(宛名、会社名など)を活用
- 複数バージョンを作成し効果を比較
- 定期的に内容を見直し・更新
(2) メール to Salesforceによる自動記録
Salesforce Inboxと併用できる便利な機能として「メール to Salesforce」があります。
メール to Salesforceとは:
- BCCに専用のメールアドレスを入れるだけで、送信メールがSalesforceに自動記録される機能
- Inbox未導入の環境でも利用可能
- 外出先やモバイルからのメール送信時に便利
設定方法:
- Salesforceの「私のメール設定」を開く
- 「メール to Salesforce」を有効化
- 専用のBCCアドレスを取得
- メール送信時にBCCに追加
Inboxとの使い分け:
- デスクトップ(Gmail/Outlook): Inboxを使用
- モバイル・他のメールクライアント: メール to Salesforceを使用
6. まとめ:Salesforce Inbox導入のチェックリスト
Salesforce Inboxは、GmailやOutlookとSalesforceを連携し、営業活動の効率化を支援するアドオン機能です。メール画面からのSalesforceレコード操作、開封確認、会議調整の効率化など、日々の営業活動をサポートします。
Salesforce Inbox導入チェックリスト:
- Sales Cloud等の対応エディションを利用しているか確認
- Inboxライセンス(月額$25/ユーザー)の予算を確保
- Google WorkspaceまたはMicrosoft 365の有料アカウントがあるか確認
- システム管理者に権限セット割り当てを依頼
- Gmail(Chrome拡張)またはOutlook統合を設定
- Einstein Activity Captureの有効化を検討
- メールテンプレートを作成
次のアクション:
- Salesforce公式ヘルプで最新の設定手順を確認する
- システム管理者にInboxライセンスの購入・割り当てを依頼する
- 無料トライアルがある場合は試用してみる
- チーム内でテンプレートの共有ルールを決める
※機能・料金は変更される可能性があります。最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。
よくある質問:
Q: Salesforce Inboxは無料で使えますか? A: Salesforce Inboxは有料アドオンで、月額$25/ユーザー(年間契約)が必要です。Sales Cloud Enterprise Edition以上での利用が推奨されます。また、Gmail連携にはGoogle Workspace、Outlook連携にはMicrosoft 365の有料アカウントが別途必要です。
Q: モバイルアプリはありますか? A: Salesforce Inboxモバイルアプリは2024年2月に廃止されています。現在はデスクトップ統合(Chrome拡張機能やOutlook統合)での利用が推奨されています。モバイルでメールをSalesforceに記録したい場合は「メール to Salesforce」機能の活用を検討してください。
Q: 既存のSalesforce for Outlookからの移行は必要ですか? A: はい、移行が必要です。Salesforce for Outlookは2024年6月に完全廃止されています。Outlook連携を継続する場合は、新しいOutlook統合機能への移行が必要です。Salesforce公式ヘルプで移行手順を確認することをお勧めします。
Q: Einstein Activity Captureと両方必要ですか? A: 目的によります。Inboxはメール画面での操作性向上(開封確認、テンプレート、会議調整など)に、Einstein Activity Captureは活動の自動記録・AI分析に特化しています。両方を組み合わせることで、操作性向上と自動記録を両立できますが、まずは自社の優先課題に合わせて導入を検討することをお勧めします。
