Salesforceを導入したけれど、独自の用語が多すぎて理解できない...
Salesforceを使い始めたばかりの方は、「オブジェクトとレコードって何が違うの?」「リードと取引先責任者の使い分けがわからない」「取引先って何?会社のこと?」といった疑問を抱くことが多いのではないでしょうか。Salesforceは独自の日本語訳を使用しており、一般的なビジネス用語と異なるため、初心者は混乱しやすい傾向があります。
この記事では、Salesforce初心者が押さえるべき基本用語と略語を、実務上の利用場面と紐付けて体系的に解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceは独自の日本語訳(取引先=Account、取引先責任者=Contact、商談=Opportunity等)を使用しており、英語との対応を覚えることが重要
- 基本構造は「オブジェクト(データの分類単位)」「レコード(具体的なデータ)」「項目(データ項目)」の3階層で理解する
- 営業活動では「リード」「取引先」「取引先責任者」「商談」の4つの標準オブジェクトが中心となる
- カスタマイズには「カスタムオブジェクト」「カスタム項目」、自動化には「ワークフロー」「プロセスビルダー」「Flow」が使われる
- 主要製品はSales Cloud(営業支援)、Service Cloud(カスタマーサービス)、Force.com(開発プラットフォーム)
- 開発者向け用語(Apex、Visualforce)は一般ユーザー・管理者には必須ではない
1. Salesforce用語を理解する重要性
Salesforce用語を理解することで得られるメリットと、初心者が戸惑う理由を解説します。
(1) Salesforce独自の訳語が初心者を戸惑わせる
Salesforceは一般的なビジネス用語と異なる独自の日本語訳を使用しています。例えば:
- 取引先(Account): 顧客企業のこと。一般的には「顧客」「取引先企業」と言うことが多い
- 取引先責任者(Contact): 取引先企業内の担当者。一般的には「担当者」「窓口」と言うことが多い
- 商談(Opportunity): 営業案件のこと。一般的には「案件」「商談」と言うことが多い
これらの独自訳語は、英語版Salesforceと日本語版Salesforceの整合性を保つために採用されていますが、初心者は混乱しやすいため、英語との対応を把握することが重要です。
(2) 用語を理解することで得られるメリット
Salesforceの用語を理解することで、以下のメリットが得られます:
- 必要なリソースを見つけやすい: 公式ヘルプやTrailhead(学習プラットフォーム)で情報を検索する際、正しい用語を使うことで目的の情報に素早くアクセスできる
- サポートとの円滑なコミュニケーション: サポートに問い合わせる際、正しい用語を使うことで誤解なく伝えられる
- 設定変更がスムーズ: 用語の意味を理解していれば、設定画面で何をすべきかが明確になり、誤操作を避けられる
(3) 英語と日本語の対応関係を把握する
英語版と日本語版で用語の対応が異なる場合があるため、公式ヘルプで確認することが推奨されます。主要な対応関係は以下の通りです:
- Account → 取引先
- Contact → 取引先責任者
- Opportunity → 商談
- Lead → リード
- Field → 項目
- Record → レコード
- Object → オブジェクト
英語と日本語の両方を覚えておくことで、海外の情報やマニュアルも活用しやすくなります。
2. Salesforceの基本構造|オブジェクト・レコード・項目
Salesforceのデータ構造を理解するための基本概念を解説します。
(1) オブジェクト(データの分類単位)とは
オブジェクトは、Salesforceで扱う情報やデータを分類する入れ物です。Excelのシートに相当する概念で、「リード」「取引先」「商談」などがオブジェクトに該当します。
オブジェクトには以下の2種類があります:
- 標準オブジェクト: Salesforceがあらかじめ用意しているオブジェクト(リード、取引先、取引先責任者、商談、ケースなど)
- カスタムオブジェクト: ユーザーが独自に作成できるオブジェクト。業務に応じた独自のデータ構造を定義可能
(2) レコード(具体的なデータ)とは
レコードは、オブジェクト内に保存される具体的なデータの単位です。Excelの1行分のデータに相当します。
例えば、「取引先」オブジェクトに「A社」「B社」「C社」といったレコードが保存されます。各レコードは固有のIDを持ち、他のオブジェクトのレコードと関連付けることができます。
(3) 項目・フィールド(データ項目)の種類
**項目(フィールド)**は、レコード内の個別のデータ項目です。Excelの列に相当し、テキスト、数値、日付などのデータ型を持ちます。
項目には以下の2種類があります:
- 標準項目: 標準オブジェクトに最初から用意されている項目(取引先の「取引先名」「電話」「業種」など)
- カスタム項目: ユーザーが独自に追加できる項目。業務に応じた独自の情報を管理可能
項目のデータ型には、テキスト、数値、日付、選択リスト、チェックボックスなどがあります。
3. 営業活動で使う標準オブジェクト用語
営業活動の基本となる4つの標準オブジェクトを解説します。
(1) リード|見込み客情報の管理
リードは、見込み客の情報を管理するオブジェクトです。営業活動の初期段階で使用され、展示会やウェビナーで獲得した名刺情報、問い合わせフォームからの情報などを管理します。
リードは「1人1レコード」で管理され、商談化が確定したら「取引先」「取引先責任者」「商談」に変換(リード変換)されます。
よくある使い方:
- 展示会で獲得した名刺をリードとして登録
- リードスコアリングで優先度を判断
- インサイドセールスがリードを育成(ナーチャリング)
(2) 取引先・取引先責任者|顧客企業と担当者
**取引先(Account)**は、顧客企業の情報を管理するオブジェクトです。法人営業の基本単位で、「会社名」「業種」「従業員数」「売上規模」などを管理します。
**取引先責任者(Contact)**は、取引先企業内の担当者情報を管理するオブジェクトです。1つの取引先に複数の取引先責任者を紐付けることができます。
よくある使い方:
- 既存顧客を取引先として管理
- 担当者が異動・退職した際、取引先責任者を更新
- 取引先単位で売上・商談数を集計
(3) 商談|営業案件の進捗管理
**商談(Opportunity)**は、営業案件の進捗を管理するオブジェクトです。受注予測や売上管理に使用され、「商談名」「金額」「フェーズ(見積提示、契約交渉など)」「完了予定日」などを管理します。
商談は必ず取引先に紐付けられ、1つの取引先に複数の商談を作成できます。
よくある使い方:
- 案件ごとに商談を作成し、進捗を管理
- フェーズごとの受注確度を設定し、売上予測を算出
- 失注した場合も「失注理由」を記録し、改善に活用
4. カスタマイズ・自動化に関する用語
Salesforceをカスタマイズ・自動化するための用語を解説します。
(1) カスタムオブジェクト・カスタム項目
カスタムオブジェクトは、ユーザーが独自に作成できるオブジェクトです。標準オブジェクトでカバーできない業務データ(例:セミナー管理、プロジェクト管理など)を管理する際に使用します。
カスタム項目は、標準オブジェクトやカスタムオブジェクトに独自に追加できる項目です。業務に応じた独自の情報を管理できます。
注意: 標準オブジェクトとカスタムオブジェクトでは利用できる機能や制限が異なります。カスタムオブジェクトの削除は慎重に行う必要があります。
(2) ワークフロー・プロセスビルダー・Flow
Salesforceの自動化ツールには以下の3つがあります:
ワークフロー(Workflow Rules):
- 簡単な自動化(メール送信、項目更新など)を実現
- 新規機能の追加は終了しており、Flowへの移行が推奨される
プロセスビルダー(Process Builder):
- 複数のアクションを組み合わせた自動化を実現
- 新規機能の追加は終了しており、Flowへの移行が推奨される
Flow:
- 最新の自動化ツールで、複雑なビジネスロジックも実装可能
- ノーコードで作成でき、画面フローやレコードトリガーフローなど多様な用途に対応
一般ユーザーや管理者は、これらのノーコードツールで十分に業務自動化が可能です。
(3) レポート・ダッシュボード
レポートは、Salesforceのデータを集計・分析する機能です。「今月の商談金額」「リード獲得数」などを一覧表やグラフで表示できます。
ダッシュボードは、複数のレポートを1つの画面にまとめて表示する機能です。経営層や営業マネージャーがKPIを一目で確認するために活用されます。
レポートとダッシュボードは、データドリブンな営業活動に不可欠なツールです。
5. 主要製品と開発者向け用語
Salesforceの主要製品と開発者向け用語を解説します。
(1) Sales Cloud・Service Cloud・Force.com
Salesforceの主要製品には以下があります:
Sales Cloud(セールスクラウド):
- Salesforceの営業支援(SFA)製品
- リード管理、商談管理、売上予測、レポート・ダッシュボード等の機能を提供
Service Cloud(サービスクラウド):
- Salesforceのカスタマーサービス支援製品
- 問い合わせ管理(ケース管理)、ナレッジベース、チャットサポート等の機能を提供
Force.com(フォースドットコム):
- Salesforceのアプリケーション開発プラットフォーム
- カスタムアプリケーションを構築可能
これらの製品は組み合わせて使用することもできます。
(2) Apex・Visualforce|開発言語
**Apex(エイペックス)**は、Salesforce独自のプログラミング言語です。Javaに似た構文でビジネスロジックを記述し、高度なカスタマイズを実現します。
**Visualforce(ビジュアルフォース)**は、Salesforceのユーザーインターフェース構築技術です。HTMLに似た構文でページを作成し、独自の画面を構築できます。
注意: ApexやVisualforceは開発者向けの技術で、一般ユーザーや管理者には必須ではありません。ノーコードツール(Flow、プロセスビルダー)で十分な場合が多いです。
(3) CRM Analytics|データ分析ツール
**CRM Analytics(旧称:Tableau CRM、Einstein Analytics)**は、Salesforceのビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。データ分析とビジュアライゼーション機能を提供し、高度な分析が可能です。
標準のレポート・ダッシュボードでは物足りない場合、CRM Analyticsを検討します。ただし、別途ライセンス費用が発生する場合があります。
6. まとめ:Salesforce用語の効率的な学習方法
Salesforce用語を効率的に学習する方法をまとめます。
(1) 公式リソース(Trailhead・サクセスナビ)の活用
Salesforceの公式リソースを活用することで、正確で最新の情報を学習できます:
Trailhead(トレイルヘッド):
- Salesforce公式の無料学習プラットフォーム
- ゲーム感覚で用語や機能を学べる
- バッジを獲得しながら段階的に学習できる
サクセスナビ:
- Salesforce公式の日本語リソース
- 初心者向けに体系的な用語解説が提供されている
- Sales Cloud、Service Cloud等の製品別に学習できる
公式ヘルプ・用語集:
- Salesforce公式の包括的な用語集
- 英語と日本語の対応を確認できる
これらのリソースは、バージョンアップに対応しており、常に最新の情報が提供されています。
(2) 実務で使いながら覚える
用語は実務で使いながら覚えるのが最も効果的です:
- 毎日Salesforceにログインし、リード・取引先・商談を実際に操作する
- 設定画面で項目を追加・編集してみる
- レポートを作成し、データを集計してみる
用語の意味を正しく理解しないまま設定を進めると、後から修正が困難になる可能性があるため、不明な用語は公式ヘルプで確認する習慣をつけましょう。
(3) 英語版と日本語版の併用で理解を深める
英語版と日本語版の両方を確認することで、用語の理解が深まります。特に、以下の場合は英語版も参照することを推奨します:
- 日本語の公式ヘルプで情報が見つからない場合
- 海外の事例やブログを参考にする場合
- API連携やカスタマイズの技術情報を調べる場合
英語版と日本語版で用語の対応が異なる場合があるため、公式ヘルプで確認することが重要です。
最後に: Salesforceの用語は独特ですが、基本構造(オブジェクト・レコード・項目)と主要な標準オブジェクト(リード・取引先・取引先責任者・商談)を理解すれば、他の用語も自然と理解できるようになります。公式リソース(Trailhead・サクセスナビ)を活用し、実務で使いながら段階的に学習していきましょう。
※この記事の情報は2024年時点のものです。用語の定義や機能はバージョンアップにより変更される可能性があるため、最新情報はSalesforce公式ヘルプをご確認ください。
