Salesforceで承認申請を自動化したいけれど、フローの設定方法が分からない…
Salesforceを活用するB2B企業では、見積承認、商談承認、経費申請など、さまざまな承認プロセスが発生します。従来の承認プロセスでは、ユーザーが手動で「承認申請」ボタンを押す必要がありましたが、フローを組み合わせることで自動申請や条件分岐が可能になります。
「フローから承認プロセスを起動するにはどうすればいいか」「従来の承認プロセスとの違いは何か」「Summer '25の新機能はどう変わったのか」といった疑問を持つSalesforce管理者は少なくないでしょう。
この記事では、Salesforceフローを使った承認申請の設定方法、従来の承認プロセスとの違い、具体的な活用事例を解説します。
この記事のポイント:
- フローと承認プロセスを組み合わせることで、レコード保存時の自動申請やカスタムボタン名の設定が可能
- フローから承認プロセスを呼び出すには「承認プロセス名またはID」と「レコードID」を指定
- Summer '25で「フロー承認プロセス」という新機能が追加され、より柔軟で構築しやすくなった
- 商談の割引承認、経費申請、休暇申請など、さまざまな業務で活用可能
- 複雑な条件設定は設定ミスやメンテナンス困難になるリスクがあるため注意が必要
Salesforceの承認申請とは何か
Salesforceの承認プロセス(Approval Process)は、レコードの承認ワークフローを自動化する標準機能です。
承認プロセスでできること:
- 指定した条件に基づく承認者の割り当て
- 承認・却下時のアクション自動実行(レコード更新、メール通知など)
- 複数ステップの承認フロー構築
- 承認履歴の記録と追跡
活用例:
- 商談の割引率が一定以上の場合、上長承認を要求
- 経費申請の金額に応じた承認者の振り分け
- 休暇申請の承認フロー
- 見積書の承認プロセス
従来の承認プロセスの課題:
- ユーザーが手動で「承認申請」ボタンを押す必要がある
- ボタンの表示名を変更できない(固定で「承認申請」)
- 起動条件の柔軟性に限界がある
これらの課題を解決するのが、フローと承認プロセスの組み合わせです。
フローで承認申請を自動化するメリット
フロー(Flow)はSalesforceの自動化ツールで、承認プロセスと組み合わせることで柔軟な承認申請が実現できます。
(1) レコード保存時の自動申請と条件分岐
レコードトリガーフローを使うと、レコードの作成・更新時に自動で承認申請を起動できます。
メリット:
- ユーザーが「承認申請」ボタンを押す手間を省ける
- 条件に応じて自動的に承認プロセスが開始される
- 入力漏れや申請忘れを防止できる
例:商談の割引承認
- 商談の割引率が15%を超えた場合に自動で上長承認を申請
- ユーザーは割引率を入力するだけで、自動的に承認フローが開始
(2) カスタムボタン名と柔軟な起動条件
画面フローを使うと、カスタムボタンから承認プロセスを起動できます。
メリット:
- ボタンの表示名を「商談承認申請」「見積承認」など自由に設定可能
- 画面フローで入力した内容に応じて、起動する承認プロセスを切り替え可能
- ユーザーにとって分かりやすいUI/UXを実現
フローから承認プロセスを起動する設定手順
フローから承認プロセスを呼び出す具体的な手順を解説します。
(1) 承認プロセスIDとレコードIDの指定方法
フローから承認プロセスを起動するには、以下の2つの情報を指定します。
必要な情報:
- 承認プロセス名またはID - 起動したい承認プロセスを特定
- 申請したいレコードのID - 承認対象のレコードを特定
設定手順(概要):
- Salesforce設定で承認プロセスを作成(または既存のものを確認)
- 承認プロセスのAPI名またはIDをメモ
- Flow Builderで「アクション」要素を追加
- 「承認の申請」アクションを選択
- 承認プロセス名とレコードIDを設定
- フローを有効化
(2) レコードトリガーフローと画面フローの違い
フローから承認プロセスを起動する方法は、主に2つあります。
レコードトリガーフロー:
- レコードの作成・更新・削除時に自動実行
- 条件を満たした場合のみ承認プロセスを起動
- ユーザーの操作は不要
- 例:「商談の割引率が15%超の場合に自動申請」
画面フロー:
- ユーザーがボタンをクリックして起動
- 画面で入力した内容に応じて処理を分岐可能
- カスタムボタンから起動できる
- 例:「承認申請ボタンを押すと、選択した承認タイプに応じたプロセスが起動」
使い分けの目安:
| 要件 | 推奨フロー |
|---|---|
| 条件を満たしたら自動で申請 | レコードトリガーフロー |
| ユーザーに確認画面を表示してから申請 | 画面フロー |
| カスタムボタンを配置したい | 画面フロー |
| 複数の承認プロセスを切り替えたい | 画面フロー |
Summer '25の新機能「フロー承認プロセス」とは
Summer '25リリースで、「フロー承認プロセス(Flow Approval Process)」という新機能が追加されました。
(1) 従来の承認プロセスとの違い
フロー承認プロセスの特徴:
- Flow Builderから直接作成・管理できる
- プロセス全体を一つの画面で視覚的に確認できる
- 従来の承認プロセスより柔軟性が高い
- 構築のしやすさが大きく改善
従来の承認プロセスとの比較:
| 項目 | 従来の承認プロセス | フロー承認プロセス(Summer '25〜) |
|---|---|---|
| 設定画面 | 承認プロセス専用画面 | Flow Builder |
| 視覚的な管理 | 制限あり | 視覚的に管理しやすい |
| 柔軟性 | 中程度 | 高い |
| 構築のしやすさ | やや複雑 | 改善された |
(2) Flow Builderからの直接呼び出し
Summer '25以降、Flow Builderから直接フロー承認プロセスを呼び出せるようになりました。
変更点:
- 承認プロセスの設定画面を開くと「フロー承認プロセスをお試しください!」と表示される
- 従来の承認プロセスは今後非推奨になる可能性がある
- 新規構築はフロー承認プロセスを検討することを推奨
※仕様は更新される可能性があります。最新情報はSalesforce公式ドキュメントをご確認ください。
承認申請の具体的な活用事例
フローと承認プロセスを組み合わせた活用事例を紹介します。
(1) 商談の割引承認と経費申請
商談の割引承認:
- 条件:商談の割引率が15%を超えた場合
- 動作:自動で上長に承認申請を送信
- メリット:営業担当者の手間を削減、承認漏れを防止
経費申請:
- 条件:経費レコードが作成された場合
- 動作:金額に応じて承認者を自動振り分け(例:10万円未満は課長、10万円以上は部長)
- メリット:申請者が承認者を選ぶ手間を削減
休暇申請:
- 条件:休暇申請レコードが作成された場合
- 動作:直属の上長に自動で承認申請
- メリット:申請フローの標準化
(2) 動的承認プロセスの実装例
承認プロセスとフロー、公開グループを組み合わせることで、「動的承認プロセス」を実装できます。
動的承認プロセスとは:
- 条件に応じて承認者を動的に変更する仕組み
- 例:商談の商品カテゴリに応じて、担当部門の上長を自動設定
実装のポイント:
- フローで条件を判定し、承認者を格納する項目を更新
- 承認プロセスで「項目に格納されたユーザー」を承認者に指定
- Spring '22で導入されたFlow Orchestratorを活用すると、より複雑なワークフローも構築可能
まとめ:フローと承認プロセスの使い分け
Salesforceでの承認申請は、フローと組み合わせることで柔軟性と自動化が大きく向上します。
使い分けの基準:
| 要件 | 推奨方法 |
|---|---|
| シンプルな承認フロー | 従来の承認プロセスのみ |
| 自動申請が必要 | レコードトリガーフロー + 承認プロセス |
| カスタムボタンが必要 | 画面フロー + 承認プロセス |
| 複雑な条件分岐 | フロー承認プロセス(Summer '25〜) |
| 高度なワークフロー | Flow Orchestrator |
注意点:
- 複雑な条件設定は設定ミスやメンテナンス困難になるリスクがある
- Summer '25で「フロー承認プロセス」が推奨されるようになり、従来の承認プロセスは非推奨になる可能性がある
- 公式ドキュメントで最新の仕様を確認することを推奨
次のアクション:
- 自社の承認プロセスの課題を整理する(手動申請の手間、条件分岐の複雑さなど)
- Salesforce公式ドキュメントでフロー承認プロセスの詳細を確認する
- 小規模な承認フローから試験的に構築してみる
- 必要に応じてSalesforceパートナーに相談する
フローと承認プロセスの組み合わせは、業務効率化の強力な手段です。まずは自社の承認フローを見直し、自動化できる部分から着手してみてください。
