Salesforce開発を始めたいけれど、どのツールを使えばいいか分からない...
Salesforce開発者やシステム管理者として働き始めた方の多くが、公式開発ツールの種類の多さに戸惑います。「Developer Console、VS Code、Salesforce CLI、DevTools…どれを使えば効率的に開発できる?」「それぞれどう使い分ければいいの?」といった疑問は尽きません。
この記事では、Salesforce公式開発ツールとサードパーティツールの機能・特徴を整理し、開発タスク別の使い分け、開発環境のセットアップ手順、2024-2025年の最新トレンドを解説します。
この記事のポイント:
- Salesforce開発ツールは公式ツール(Developer Console、VS Code、CLI等)とサードパーティツール(DevTools等)に分類される
- 2024-2025年の推奨標準環境はVS Code + Salesforce Extension Pack + Salesforce CLI
- DevTools Chrome拡張機能は完全無料で、SOQL自動生成・ER図作成・オブジェクト定義書生成が可能
- 開発環境の構築はJDKインストール→VS Code→CLI→プロジェクト作成の4ステップ
- 2024年最新トレンドはLWC Local Development(リアルタイム更新)とAgentforce for Developers(AI駆動支援)
Salesforce開発ツールとは|開発効率を左右するツール選定の重要性
Salesforce開発ツールは、Apex・Visualforce・Lightning Web Components(LWC)等のコード開発、デバッグ、デプロイ、データ操作を効率化するソフトウェアです。適切なツール選定により、開発時間の短縮、コード品質の向上、チーム開発の円滑化が実現します。
(1) Salesforce開発におけるツールの役割
Salesforce開発ツールは、以下の役割を担います:
コード編集:
- Apex(サーバーサイド言語)の記述・編集
- Visualforce(UIフレームワーク)の開発
- Lightning Web Components(フロントエンドフレームワーク)の構築
- 構文ハイライト・自動補完によるコーディング効率化
デバッグ・ログ解析:
- 実行ログの確認・解析
- ブレークポイントを使ったステップ実行
- 変数の値の確認・パフォーマンス測定
デプロイ・メタデータ管理:
- コード・設定のSalesforce環境への反映
- バージョン管理(Git等)との連携
- 本番環境・テスト環境間のデプロイ
データ操作・SOQL実行:
- SOQL(Salesforce Object Query Language)によるデータ検索
- レコードの作成・更新・削除
- データのエクスポート・インポート
(2) 開発環境の種類|Developer Edition・Sandbox・Trailhead Playground
Salesforce開発では、以下の環境を使い分けます(出典: Salesforce公式サイト):
| 環境名 | 用途 | 費用 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Developer Edition | 個人開発者向け学習・検証環境 | 無料 | 1組織あたり1アカウント、データ容量制限あり |
| Sandbox | 企業向けテスト環境 | 有料(本番環境の契約に含まれる場合あり) | 本番環境のコピー、データ・メタデータを含む |
| Trailhead Playground | 学習用環境 | 無料 | Trailhead(公式学習プラットフォーム)で使用、期限あり |
初心者はDeveloper EditionまたはTrailhead Playgroundから始め、企業でのプロジェクト開発ではSandboxを使用するのが一般的です。
主要な開発ツール一覧|公式ツールとサードパーティツールの全体像
Salesforce開発ツールは、公式ツールとサードパーティツール(非公式)に分類されます。
(1) 公式ツール|Developer Console・VS Code・Salesforce CLI・Code Builder
Salesforceが公式に提供・推奨する開発ツールは以下の通りです:
Developer Console:
- ブラウザベースの統合開発環境(IDE)
- Salesforce環境に標準搭載、追加インストール不要
- Apexコード編集、デバッグ、SOQL実行、ログ解析が可能
- 初心者向けの学習ツールとして推奨される
VS Code + Salesforce Extension Pack:
- Visual Studio Code(Microsoft製エディタ)にSalesforce拡張機能をインストール
- 2024-2025年時点での推奨標準開発環境
- Apex・LWC開発、デバッグ、Git連携、コード補完が可能
- 無料で高機能、多くのプロジェクトで採用されている
Salesforce CLI:
- コマンドラインインターフェース(CLI)で、Salesforce環境との対話を可能にする
- プロジェクト作成、メタデータのデプロイ・取得、データ操作、テスト実行が可能
- CI/CD(継続的インテグレーション/デリバリー)との連携に必須
- VS Codeと組み合わせて使うのが一般的
Agentforce Vibes IDE(旧Code Builder):
- ブラウザ上で動作するWebベースIDE
- VS Codeの機能をブラウザで利用可能
- Salesforce環境と統合され、事前インストール済みツールを提供
- ローカル環境構築不要、すぐに開発を始められる
(2) サードパーティツール|DevTools Chrome拡張機能・Illuminated Cloud・Welkin Suite
サードパーティツールは、公式ツールを補完する機能を提供します:
Salesforce DevTools(Chrome拡張機能):
- SOQL自動生成、オブジェクト定義書自動生成、ER図生成、Excelエクスポート等の機能
- 完全無料、5万人以上の開発者が利用(出典: GitHub - xgeek-net/salesforce-devtools)
- ブラウザレベルでインストール、既存のSalesforce環境に変更を加えない
- 開発効率を大幅に向上させる定番ツール
Illuminated Cloud:
- IntelliJ IDEA(JetBrains製IDE)向けのSalesforce開発プラグイン
- 高度なコード解析・リファクタリング機能
- 有料ツール(無料試用期間あり)
Welkin Suite:
- Salesforce専用IDE
- Apexデバッグ、メタデータ管理、Git連携
- 有料ツール(無料試用期間あり)
※サードパーティツールは公式サポート対象外の場合があるため、利用時は各ツールのドキュメントを確認してください。
(3) 非推奨・廃止ツール|Force.com IDE(2019年サポート終了)
Force.com IDEは、Eclipse(統合開発環境)ベースのSalesforce開発ツールでしたが、2019年10月12日にサポートが終了しました(出典: Salesforce公式ヘルプ)。既存プロジェクトでForce.com IDEを使用している場合は、VS Code + Salesforce Extension Packへの移行が推奨されます。
ツール別の機能と使い分け|Developer Console・VS Code・CLI・DevTools
ここでは、主要ツールの具体的な機能と使い分けを解説します。
(1) Developer Console|ブラウザベースの基本開発環境
Developer Consoleは、Salesforce環境にログイン後、「設定」→「Developer Console」から起動できるブラウザベースのIDEです。
主な機能:
- Apexクラス・トリガーの作成・編集
- Visualforceページ・コンポーネントの作成・編集
- SOQLクエリの実行(Query Editor)
- デバッグログの確認・解析
- テストクラスの実行
メリット:
- 追加インストール不要、すぐに使い始められる
- 初心者向けの学習ツールとして最適
- 簡易的なデバッグ・ログ確認に便利
デメリット:
- 高度なコード補完・リファクタリング機能が限定的
- Git等のバージョン管理ツールとの連携が難しい
- 大規模プロジェクトには不向き
推奨ケース: Salesforce初心者の学習、簡易的なコード編集、デバッグログの確認
(2) VS Code + Salesforce Extensions|2024-2025年の推奨環境
VS Code(Visual Studio Code)は、Microsoftが提供する無料のコードエディタです。Salesforce Extension Packをインストールすることで、Salesforce開発に最適化されます。
主な機能:
- Apex・LWC・Visualforceの構文ハイライト・自動補完
- Apex Replay Debugger(ブレークポイント・ステップ実行)
- Salesforce CLI統合(コマンドパレットから実行可能)
- Git連携(バージョン管理)
- SOQL実行・結果表示
メリット:
- 無料で高機能、多くのプロジェクトで標準採用
- 豊富な拡張機能(Prettier、ESLint等)との連携
- チーム開発に適したバージョン管理・レビュー機能
- 2024-2025年時点でSalesforce公式が推奨
デメリット:
- 初期セットアップ(JDK、CLI、拡張機能インストール)が必要
- 初心者には学習コストがやや高い
推奨ケース: 中級者以上の開発、チーム開発、大規模プロジェクト、CI/CD導入
(3) Salesforce CLI|コマンドラインでのデプロイ・メタデータ管理
Salesforce CLIは、コマンドラインでSalesforce環境と対話するツールです。VS Codeと組み合わせて使うのが一般的です。
主な機能:
- プロジェクト作成(
sfdx project:create) - Salesforce環境への認証(
sfdx auth:web:login) - メタデータのデプロイ・取得(
sfdx force:source:deploy/retrieve) - Apexテストの実行(
sfdx force:apex:test:run) - データのエクスポート・インポート(
sfdx force:data:tree:export/import)
メリット:
- 自動化・スクリプト化が容易(CI/CDパイプライン構築)
- バッチ処理・大量データ操作に適している
- VS Codeと統合することで、GUIとCLIの両方を活用可能
デメリット:
- コマンドラインに慣れていない場合は学習コストがかかる
- エラーメッセージがわかりにくい場合がある
推奨ケース: CI/CD導入、自動デプロイ、大量データ操作、スクリプト化
(4) DevTools Chrome拡張機能|SOQL生成・ER図・オブジェクト定義書
Salesforce DevToolsは、Chrome拡張機能として提供される無料ツールです(出典: sustainalead.com)。
主な機能(7つ):
- SOQL自動生成: オブジェクト・項目を選択するだけでSOQLクエリを自動生成
- オブジェクト定義書自動生成: オブジェクト・項目の定義をExcel形式で出力
- ER図自動生成: オブジェクト間のリレーションを可視化
- Excelエクスポート: SOQLクエリ結果をExcel形式でダウンロード
- ユーザー一括更新: 複数ユーザーの権限セット・プロファイルを一括変更
- 選択リスト値一括更新: 選択リスト項目の値を一括編集
- 数式項目チェック: 数式項目のエラー・警告を検出
メリット:
- 完全無料、5万人以上の開発者が利用
- ブラウザレベルでインストール、既存環境に影響しない
- SOQL自動生成・ER図作成で開発時間を大幅削減
- オブジェクト定義書作成の自動化(手作業から解放)
デメリット:
- Chrome専用(他ブラウザでは使用不可)
- 公式サポート対象外(コミュニティベースのサポート)
推奨ケース: SOQL頻繁実行、オブジェクト定義書作成、ER図作成、データ分析
開発環境の構築手順|VS Code + Salesforce Extension Pack + CLIのセットアップ
2024-2025年推奨の開発環境(VS Code + Salesforce Extension Pack + Salesforce CLI)のセットアップ手順を解説します。
(1) 前提条件|JDKインストールと必要なソフトウェア
開発環境構築には、以下のソフトウェアが必要です:
必須:
- JDK(Java Development Kit): Salesforce CLIの実行に必要
- 推奨バージョン: JDK 11以上
- ダウンロード: Oracle JDK または OpenJDK
- Node.js: Salesforce CLIのインストールに必要
- 推奨バージョン: LTS(Long Term Support)版
- ダウンロード: nodejs.org
オプション:
- Git: バージョン管理ツール(チーム開発では必須)
- ダウンロード: git-scm.com
(2) VS CodeとSalesforce Extension Packのインストール
ステップ1: VS Codeのインストール
- 公式サイト(code.visualstudio.com)からVS Codeをダウンロード
- インストーラーを実行し、指示に従ってインストール
- VS Codeを起動
ステップ2: Salesforce Extension Packのインストール
- VS Codeの左サイドバーから「拡張機能」(Extensions)を選択
- 検索欄に「Salesforce Extension Pack」と入力
- 「Salesforce Extension Pack」(公式)を選択し、「インストール」をクリック
- インストール完了後、VS Codeを再起動
含まれる拡張機能:
- Salesforce CLI Integration
- Apex
- Apex Replay Debugger
- Visualforce
- Lightning Web Components(LWC)
- Aura Components
(3) Salesforce CLIのセットアップとプロジェクト作成
ステップ1: Salesforce CLIのインストール
- 公式サイト(developer.salesforce.com/tools/sfdxcli)からSalesforce CLIをダウンロード
- インストーラーを実行し、指示に従ってインストール
- ターミナル(コマンドプロンプト)で以下のコマンドを実行し、インストール確認:
(バージョン情報が表示されればインストール成功)sfdx --version
ステップ2: プロジェクトの作成
- VS Codeでコマンドパレット(Ctrl+Shift+P または Cmd+Shift+P)を開く
- 「SFDX: Create Project」と入力し、選択
- プロジェクトテンプレート(Standard)を選択
- プロジェクト名を入力し、保存先フォルダを選択
- プロジェクトが作成される
ステップ3: Salesforce環境への接続
- コマンドパレットで「SFDX: Authorize an Org」を選択
- 環境タイプ(Production、Sandbox、Developer Edition等)を選択
- ブラウザが開き、Salesforceのログイン画面が表示される
- ログイン後、VS Codeに認証情報が保存される
※詳細な手順はQiita等のコミュニティサイトに多数公開されています(例: 「Salesforce開発環境構築メモ」)。
開発タスク別ツール選定|コード編集・デバッグ・デプロイ・データ操作
開発タスクごとに最適なツールを選定することで、開発効率を最大化できます。
(1) コード編集・Apex/LWC開発|VS Code推奨、Developer Consoleも可
推奨ツール: VS Code + Salesforce Extension Pack
- 構文ハイライト・自動補完が強力
- Git連携によるバージョン管理
- Prettier・ESLintによるコードフォーマット・静的解析
代替ツール: Developer Console
- 簡易的なコード編集に適している
- 初心者の学習用途に推奨
選定基準:
- 中級者以上・チーム開発 → VS Code
- 初心者・簡易的な編集 → Developer Console
(2) デバッグ・ログ解析|Developer Console、VS Code Apex Replay Debugger
推奨ツール: Developer Console
- デバッグログの確認・フィルタリングが容易
- 実行時間・メモリ使用量の測定
- SOQLクエリのパフォーマンス分析
代替ツール: VS Code Apex Replay Debugger
- ブレークポイントを使ったステップ実行
- 変数の値をリアルタイムで確認
- ローカル環境でのデバッグワークフロー
選定基準:
- 実行ログ確認・パフォーマンス測定 → Developer Console
- ステップ実行・変数確認 → VS Code Apex Replay Debugger
(3) デプロイ・メタデータ管理|Salesforce CLI、Change Setsとの使い分け
推奨ツール: Salesforce CLI
- 自動デプロイ・CI/CDパイプライン構築
- Git連携によるバージョン管理
- 複数環境(Sandbox、本番)への一括デプロイ
代替ツール: Change Sets(GUI)
- Salesforce管理画面から操作可能
- 初心者向けのデプロイ方法
- ただし、手動操作が多く、大規模プロジェクトには不向き
選定基準:
- CI/CD導入・自動化 → Salesforce CLI
- 初心者・小規模デプロイ → Change Sets
(4) データ操作・SOQL実行|DevTools、Workbench、Developer Console
推奨ツール: Salesforce DevTools(Chrome拡張機能)
- SOQL自動生成で記述時間を短縮
- クエリ結果をExcel形式でエクスポート
- ER図・オブジェクト定義書の自動生成
代替ツール: Developer Console Query Editor
- ブラウザでSOQLを直接実行
- クエリ結果の確認・パフォーマンス測定
代替ツール: Workbench
- Web上でSOQL・SOSL実行、データエクスポート・インポート
- メタデータAPI操作
選定基準:
- SOQL頻繁実行・Excel出力 → DevTools
- 簡易的なクエリ実行 → Developer Console
- データ移行・メタデータ操作 → Workbench
まとめ|2024-2025年推奨ツールと学習パス
Salesforce開発ツールは、公式ツール(Developer Console、VS Code、Salesforce CLI)とサードパーティツール(DevTools等)を適切に組み合わせることで、開発効率を最大化できます。
(1) 初心者向けステップ|Developer Consoleで基礎→VS Codeへ移行
学習パス:
- ステップ1: Developer Edition環境を作成(無料)
- ステップ2: Developer Consoleで基礎を学ぶ(Apex・SOQL・デバッグ)
- ステップ3: Trailheadで公式学習(Salesforce Basics、Apex Basics等)
- ステップ4: VS Code + Salesforce Extension Pack + CLIをセットアップ
- ステップ5: DevToolsをインストール(SOQL自動生成・ER図作成)
- ステップ6: Git連携・CI/CD導入(中級者向け)
ツール選定の目安:
- 学習開始〜3ヶ月: Developer Console中心
- 3ヶ月〜6ヶ月: VS Code導入、Developer Console併用
- 6ヶ月以降: VS Code + CLI + DevTools(フル活用)
(2) 2024年最新トレンド|LWC Local Development・Agentforce for Developers
2024年Dreamforceで発表された最新開発ツールのトレンドは以下の通りです(出典: Concret.io):
LWC Local Development:
- Salesforce orgへのデプロイなしに、ブラウザでリアルタイム更新を表示
- 開発時間を大幅削減(従来のデプロイ待ち時間を削減)
- 2024年一般提供開始
Agentforce for Developers:
- AI駆動のコーディング支援ツール
- コード補完・エラー検出・リファクタリング提案
- 開発効率の向上とコード品質の改善
Salesforce DevOps Center無料化:
- DevOpsタスクを統合管理するプラットフォーム
- 複数Sandbox間のデプロイ管理、リリース管理
- 以前は有料だったが、2024年に無料で提供開始
次のアクション:
- 自社の開発タスク(コード編集、デバッグ、デプロイ、データ操作)を整理する
- 推奨環境(VS Code + Salesforce Extension Pack + CLI)をセットアップする
- DevTools Chrome拡張機能をインストールし、SOQL自動生成・ER図作成を試す
- Trailheadで公式学習コンテンツを受講する
- 2024年最新ツール(LWC Local Development、Agentforce for Developers)の情報を公式サイトで確認する
- 最新の機能・ツールは公式サイトで定期的に確認する
自社に合った開発ツールを選び、Salesforce開発の効率化とコード品質の向上を実現しましょう。
