営業データを可視化したいけれど、Salesforceダッシュボードの作り方が分からない...
B2B企業の営業マネージャーや企画担当者の多くが、「営業チームの状況を一目で把握したい」「データに基づいた意思決定をしたい」と考えています。しかし、「Salesforceダッシュボードの作り方が分からない」「どのKPIを表示すればいいか迷う」「レポートとダッシュボードの違いが不明」といった悩みを抱えるケースも少なくありません。
この記事では、Salesforceダッシュボードの作り方、効果的な設計方法、2024年の新機能、活用事例を解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceダッシュボードは複数のレポートを1つの画面にまとめ、営業データを俯瞰的に可視化できる
- レポートは詳細分析向け(1グラフ表示・自動更新)、ダッシュボードは俯瞰的可視化向け(最大20グラフ表示・手動更新)
- 作成手順は、サマリー形式レポート準備→新規ダッシュボード作成→コンポーネント追加→保存の5ステップ
- 営業KPIは受注金額・受注数・商談数・成約率などを選定し、階層別(担当者向け・マネージャー向け)に設計する
- 2024年Spring'24で検索条件が5個に拡張、リッチテキスト・画像ウィジェット追加などの新機能が追加された
1. Salesforceダッシュボードとは?営業データ可視化の役割
Salesforceダッシュボードは、営業データを可視化し、チームの状況をリアルタイムで把握するための機能です。
(1) ダッシュボードの定義と基本機能
Salesforceダッシュボードは、レポートのデータを可視化し、複数のグラフを1つの画面にまとめて表示する機能です。
ダッシュボードの基本機能:
- コンポーネント: ダッシュボード上のグラフ表示エリアのこと(最大20個まで追加可能)
- グラフの種類: 棒グラフ、折れ線グラフ、ドーナツグラフ、ゲージグラフなどから選択可能
- 検索フィルター: 期間指定や所有者別の絞り込みが可能(2024年Spring'24で最大5個に拡張)
ダッシュボードを活用することで、営業マネージャーは「今月の受注金額は目標に対してどうか」「どの商談がボトルネックになっているか」といった情報を一目で把握できます。
(2) 営業活動における3つのメリット(リアルタイム可視化・データドリブン意思決定・パフォーマンス監視)
Salesforceダッシュボードを活用することで、営業活動に以下の3つのメリットが生まれます。
メリット1: リアルタイム可視化
- 営業KPI(受注金額・商談数・成約率等)をリアルタイムで監視
- 手動更新が必要だが、更新後は最新のデータを確認可能
- 例: 月初に目標設定し、毎週ダッシュボードを更新して進捗を確認
メリット2: データドリブン意思決定
- 勘や経験に頼らず、データに基づいた営業戦略を立てられる
- 例: 成約率が低下しているステージを特定し、営業プロセスを改善
メリット3: パフォーマンス監視
- 営業担当者個人やチーム全体のパフォーマンスを監視
- 例: 訪問件数が少ない担当者にフォローアップを促す
これらのメリットにより、営業活動の効率化と目標達成率の向上が期待できます。
2. ダッシュボードとレポートの違い(使い分けのポイント)
Salesforceには「レポート」と「ダッシュボード」の2つのデータ可視化機能があり、用途に応じて使い分けることが重要です。
(1) レポート:詳細分析・1グラフ表示・自動更新
レポートは、Salesforceのデータを集計・抽出して一覧表示する機能です。
レポートの特徴:
- 詳細なデータの確認・分析: データを一覧表で表示し、詳細な集計が可能
- 1グラフのみ表示: レポート1つにつき、グラフは1つのみ表示
- 画面表示時に自動更新: レポートを開くたびに最新データが自動的に表示される
- 用途: 特定の商談リストの確認、月次の受注データの集計など
(2) ダッシュボード:俯瞰的可視化・最大20グラフ表示・手動更新
ダッシュボードは、複数のレポートを1つの画面にまとめて表示する機能です。
ダッシュボードの特徴:
- 複数データの俯瞰的可視化: 最大20個のコンポーネント(グラフ)を表示可能
- 最後の更新時のデータ表示: 手動で更新ボタンを押すまで、前回更新時のデータを表示
- 多角的な分析: 複数の指標(受注金額・商談数・成約率等)を同時に確認
- 用途: 営業チームの全体状況の把握、経営層への進捗報告など
(3) 使い分けの基準
レポートとダッシュボードは、以下のように使い分けると効果的です。
レポートが適している場合:
- 特定の商談リストを詳細に確認したい
- 月次の受注データを集計したい
- 1つの指標を深掘りして分析したい
ダッシュボードが適している場合:
- 営業チーム全体の状況を一目で把握したい
- 複数の指標(受注金額・商談数・成約率等)を同時に監視したい
- 経営層や上司に進捗を報告したい
ダッシュボードは「森を見る」、レポートは「木を見る」という使い分けが推奨されます。
3. Salesforceダッシュボードの作り方(5つのステップ)
Salesforceダッシュボードの作成手順を5つのステップで解説します。
(1) ステップ1:サマリー形式またはマトリックス形式のレポート準備
ダッシュボードを作成する前に、サマリー形式またはマトリックス形式のレポートを準備する必要があります。
レポート形式の種類:
- 表形式: データを一覧表示(ダッシュボードに使用不可)
- サマリー形式: グループ化して集計(ダッシュボードで使用可能)
- マトリックス形式: 行と列でクロス集計(ダッシュボードで使用可能)
サマリー形式のレポート作成手順:
- 「レポート」タブから「新規レポート」を選択
- レポートタイプ(商談・リード等)を選択
- 表示項目・フィルター条件を設定
- グループ化(例: 商談のステージ別、営業担当者別)を設定
- 集計項目(例: 予想金額の合計)を設定
- 「保存」ボタンでレポートを保存
例: 「商談ステージ別の予想金額合計」というサマリー形式のレポートを作成する。
(2) ステップ2:新規ダッシュボードの作成
レポート準備が完了したら、ダッシュボードを作成します。
ダッシュボード作成手順:
- 「レポート」タブまたは「ダッシュボード」タブを開く
- 「新規ダッシュボード」ボタンをクリック
- ダッシュボードビルダーが起動される
- ダッシュボード名、説明、保存先フォルダを入力
- 「作成」ボタンをクリック
例: 「営業チーム月次ダッシュボード」という名前で新規作成する。
(3) ステップ3:コンポーネント(グラフ)の追加
ダッシュボードにコンポーネント(グラフ)を追加します。
コンポーネント追加手順:
- ダッシュボードビルダーで「+ コンポーネント」ボタンをクリック
- 「ソースレポート」を選択(ステップ1で作成したサマリー形式レポート)
- グラフの種類を選択(棒グラフ・折れ線グラフ・ドーナツグラフ等)
- コンポーネントのタイトルを入力
- 「追加」ボタンでダッシュボードに配置
最大20個までコンポーネントを追加できます。
(4) ステップ4:グラフの種類とサイズの調整
グラフの種類とサイズを調整し、ダッシュボードを見やすくします。
グラフの種類:
- 棒グラフ: 商談ステージ別の件数・金額などの比較に最適
- 折れ線グラフ: 月別の受注金額推移など、時系列データの可視化に最適
- ドーナツグラフ: 商談の構成比(ステージ別・担当者別)の可視化に最適
- ゲージグラフ: 目標達成率(例: 今月の受注金額が目標の70%)の可視化に最適
サイズ調整:
- コンポーネントの枠をドラッグして、サイズや配置を調整
- 重要な指標を大きく表示し、補助的な指標を小さく表示
(5) ステップ5:共有設定と保存
ダッシュボードを保存し、チームメンバーと共有します。
共有設定手順:
- 「保存」ボタンをクリック
- 「共有」ボタンで共有設定を開く
- 共有する相手(特定のユーザー・グループ・全社)を選択
- 閲覧権限・編集権限を設定
- 「保存」ボタンで共有設定を確定
これで、Salesforceダッシュボードの作成が完了です。
4. 効果的なダッシュボード設計(KPI選定・グラフ選択・階層別設計)
ダッシュボードを効果的に活用するためには、KPI選定、グラフ選択、階層別設計がポイントです。
(1) 営業KPIの選定(受注金額・受注数・商談数・成約率・訪問件数)
営業ダッシュボードで表示すべき主要なKPIは以下の通りです。
営業KPIの例:
- 受注金額: 今月の受注金額合計、目標達成率
- 受注数: 今月の受注件数、前月比
- 平均受注金額: 1件あたりの平均受注金額
- 商談数: ステージ別の商談件数(提案中・見積提示・交渉中等)
- 成約率: 商談成約率(成約件数 ÷ 全商談件数)
- 訪問件数: 営業担当者の顧客訪問件数
- 見積件数: 今月の見積提示件数
- CAC(顧客獲得単価): 1人の顧客を獲得するためにかかったコスト
これらのKPIを選定する際は、「営業チームの目標達成に直結する指標」を優先的に表示します。
(2) グラフの種類の選び方(棒グラフ・折れ線グラフ・ドーナツグラフ・ゲージグラフ)
KPIに応じて、最適なグラフの種類を選びます。
グラフの種類と用途:
- 棒グラフ: 複数の項目を比較する際に最適(例: 営業担当者別の受注金額比較)
- 折れ線グラフ: 時系列データの推移を可視化する際に最適(例: 月別の受注金額推移)
- ドーナツグラフ: 構成比を可視化する際に最適(例: 商談ステージ別の構成比)
- ゲージグラフ: 目標達成率を可視化する際に最適(例: 今月の受注金額目標達成率70%)
例えば、「今月の受注金額目標達成率」はゲージグラフで、「営業担当者別の受注金額比較」は棒グラフで表示すると効果的です。
(3) 階層別ダッシュボード設計(担当者向け・マネージャー向け)
ダッシュボードは、階層別(担当者向け・マネージャー向け)に設計することで、活用効果が高まります。
担当者向けダッシュボード:
- 自分の商談進捗(ステージ別の商談件数・予想金額)
- 自分の活動実績(訪問件数・見積件数・成約率)
- 今月の目標達成率(受注金額・受注件数)
マネージャー向けダッシュボード:
- チーム全体の受注金額・受注件数
- 営業担当者別の実績比較(受注金額・訪問件数・成約率)
- パイプライン管理(ステージ別の商談件数・予想金額)
- ボトルネック特定(成約率が低いステージ、滞留している商談)
このように、階層別に必要な情報を表示することで、データドリブンな営業活動が実現します。
(4) 検索フィルターの活用(期間指定・所有者別絞り込み)
検索フィルター機能を活用することで、ダッシュボードのデータを柔軟に絞り込めます。
検索フィルターの用途:
- 期間指定: 今月、今四半期、今年度など、期間を絞り込んでデータを表示
- 所有者別絞り込み: 営業担当者別にデータを絞り込み、個人のパフォーマンスを確認
- 商談ステージ別絞り込み: 特定のステージ(例: 交渉中)の商談のみを表示
2024年Spring'24のアップデートで、検索条件が最大5個に拡張されたため、より柔軟なフィルタリングが可能になりました。
5. 2024年Spring'24の新機能と活用事例
2024年2月にリリースされたSpring'24アップデートで、ダッシュボード機能が強化されました。
(1) 検索条件が5個に拡張(以前は3個)
Spring'24で、ダッシュボードの検索条件が最大5個に拡張されました(以前は3個まで)。
活用例:
- 期間(今月)+ 営業担当者(A氏)+ 商談ステージ(交渉中)+ 予想金額(100万円以上)+ 成約予定日(今月末まで)といった複雑な絞り込みが可能
- これにより、「今月末に成約予定で、予想金額が100万円以上の、A氏担当の交渉中の商談」といった詳細な分析が可能になった
(2) リッチテキスト・画像ウィジェット追加
Spring'24で、リッチテキストと画像ウィジェットをダッシュボードに直接追加できるようになりました。
活用例:
- ダッシュボードにテキストや書式を追加し、グラフの説明や注意事項を記載
- 企業ロゴや製品画像を追加し、ダッシュボードのブランディングを強化
- 例: 「今月の営業目標達成に向けた重点施策」といったテキストをダッシュボード上部に配置
これにより、ダッシュボードの視覚的なカスタマイズ性が向上しました。
(3) ダッシュボード所有者譲渡の簡素化
Spring'24で、ダッシュボードの所有者譲渡が簡単になり、新しい所有者にメール通知が送信される機能が追加されました。
活用例:
- 営業マネージャーが異動する際、後任者にダッシュボードの所有権を譲渡
- 新しい所有者は自動的にメール通知を受け取り、ダッシュボードを引き継げる
これにより、組織変更時のダッシュボード管理が効率化されました。
(4) 実際の活用事例(営業チーム・個人振り返り・パイプライン管理)
Salesforceダッシュボードの実際の活用事例を紹介します。
活用事例1: 営業チーム全体の進捗確認
- 表示KPI: 今月の受注金額、受注数、平均受注金額、商談数
- グラフの種類: ゲージグラフ(目標達成率)、棒グラフ(営業担当者別の受注金額)
- 用途: 毎週の営業会議で、チーム全体の進捗を確認
活用事例2: 個人の営業活動振り返り
- 表示KPI: 訪問件数、見積件数、成約率、今月の受注金額
- グラフの種類: 折れ線グラフ(週別の活動件数推移)、ドーナツグラフ(商談ステージ別の構成比)
- 用途: 営業担当者が毎週自分の活動を振り返り、改善点を特定
活用事例3: 営業パイプライン管理
- 表示KPI: ステージ別の商談件数、予想金額、成約予定日別の商談一覧
- グラフの種類: 棒グラフ(ステージ別の商談件数)、表形式(成約予定日が迫っている商談リスト)
- 用途: マネージャーがボトルネックを特定し、営業担当者にフォローアップを促す
これらの活用事例を参考に、自社の営業プロセスに合わせたダッシュボードを設計しましょう。
6. まとめ:Salesforceダッシュボード活用の成功ポイント
Salesforceダッシュボードは、営業データを俯瞰的に可視化し、データドリブンな営業活動を実現する強力な機能です。効果的に活用するためには、KPI選定、グラフ選択、階層別設計がポイントです。
Salesforceダッシュボード活用のポイント:
- サマリー形式またはマトリックス形式のレポートを準備する(表形式は使用不可)
- 最大20個のコンポーネント(グラフ)を追加し、営業KPIを可視化する
- 階層別(担当者向け・マネージャー向け)に設計し、必要な情報を表示する
- 検索フィルター機能を活用し、期間指定や所有者別の絞り込みを行う
- 2024年Spring'24の新機能(検索条件5個、リッチテキスト・画像ウィジェット)を活用する
次のアクション:
- サマリー形式のレポートを作成する(例: 商談ステージ別の予想金額合計)
- 新規ダッシュボードを作成し、コンポーネントを追加する
- 営業KPI(受注金額・受注数・商談数・成約率)を表示する
- 階層別ダッシュボード(担当者向け・マネージャー向け)を設計する
- 毎週ダッシュボードを更新し、チームの進捗を確認する習慣をつける
Salesforceダッシュボードを活用することで、営業活動の可視化とデータドリブンな意思決定が実現します。まずは基本的なダッシュボードから始め、段階的に改善していきましょう。
