Salesforceとは何か?初心者が知るべき基本
B2B企業の営業責任者や情報システム担当の方から、「Salesforceとは何か?」「何ができるのか?」といった質問をいただくことがあります。
Salesforceは世界で12年連続トップシェアを維持するクラウドベースのCRMプラットフォームですが、機能が多岐にわたるため、初心者にはわかりづらい面もあります。本記事では、Salesforceの基本から主要機能、料金体系、導入メリット・デメリットまで、初心者向けにわかりやすく解説します。
この記事のポイント:
- Salesforceはクラウドベースの顧客管理(CRM)プラットフォーム
- Sales Cloud(営業支援)・Service Cloud(カスタマーサポート)など多彩なサービスを提供
- 料金は月額3,000円/ユーザー〜、企業規模に応じてプラン選定
- 顧客情報の一元管理と部門間連携が主なメリット
- 機能過多で使いこなせないリスクもあるため、スモールスタートが推奨される
(1) Salesforceの定義(クラウドベースCRMプラットフォーム)
Salesforceは、クラウドベースの**CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)**プラットフォームです。
CRMとは:
- 顧客情報や行動履歴を一元管理し、良好な関係を構築・促進する仕組み
- 営業・マーケティング・カスタマーサポートなど、部門をまたいで顧客情報を共有
- 顧客との接点を増やし、満足度向上・リピート購入・アップセルを目指す
Salesforceの特徴:
- クラウドベースのため、インターネット経由でどこからでもアクセス可能
- オンプレミス(自社サーバー設置)と比べて初期費用が低く、導入期間も短い
- 営業支援(SFA)・カスタマーサポート・マーケティング分析など、多様なサービスを統合的に提供
(2) 世界シェア12年連続No.1の実績と導入企業数
Salesforceは、2024年時点で12年連続世界トップシェアを維持しています。
導入実績:
- 世界で15万社以上が導入
- 日本国内でも大手企業から中小企業まで幅広く利用されている
- 業種を問わず、製造業・金融・小売・IT・医療などで活用
最新動向:
- 2024年にAI機能「Agentforce」が強化され、リードの引き渡しやミーティング予約提案が可能に
- MFA(多要素認証)が2024年4月以降の新規組織で自動有効化され、セキュリティが強化されている
こうした実績と継続的な機能改善により、Salesforceは世界標準のCRMプラットフォームとして認知されています。
(3) CRM・SFA・MAの違いとSalesforceの位置づけ
Salesforceを理解するには、CRM・SFA・MAの違いを知ることが重要です。
CRM(Customer Relationship Management):
- 顧客関係管理の総称
- 営業・マーケティング・カスタマーサポート全体を統合的に管理
SFA(Sales Force Automation):
- 営業支援システム
- 商談管理・案件進捗管理・営業活動の効率化に特化
MA(Marketing Automation):
- マーケティング自動化ツール
- リード獲得・育成・スコアリング・メール配信などを自動化
Salesforceの位置づけ:
- CRMプラットフォームとして、SFA・MA・カスタマーサポートを統合的に提供
- Sales Cloud(SFA機能)、Marketing Cloud(MA機能)、Service Cloud(サポート機能)などを組み合わせて利用可能
このため、Salesforceは「CRMプラットフォーム」と呼ばれますが、実際にはSFA・MA・サポートツールの機能を包含しています。
Salesforceの主要機能とサービスラインナップ
(1) Sales Cloud(営業支援・顧客管理)
Sales Cloudは、Salesforceの中核となる営業支援・顧客管理サービスです。
主な機能:
- リード管理: 見込み客情報を一元管理、営業活動の効率化
- 商談管理: 商談の進捗状況・成約確度をリアルタイムで可視化
- 活動履歴: 営業担当者の訪問・メール・電話履歴を記録
- レポート・ダッシュボード: 売上予測・案件進捗状況をグラフ化
- モバイル対応: スマートフォン・タブレットからアクセス可能
向いている企業:
- 営業チームが複数名いる企業
- 商談情報を部門間で共有したい企業
- 売上予測・進捗管理を可視化したい企業
(2) Service Cloud(カスタマーサポート)
Service Cloudは、カスタマーサポートに特化したサービスです。
主な機能:
- ケース管理: 顧客からの問い合わせを一元管理
- ナレッジベース: よくある質問・トラブルシューティングをデータベース化
- チャットボット: AI機能により、よくある質問に自動回答
- オムニチャネル対応: 電話・メール・チャット・SNSからの問い合わせを統合管理
向いている企業:
- カスタマーサポート部門がある企業
- 問い合わせ対応を効率化したい企業
- 顧客満足度向上を重視する企業
(3) Marketing Cloud(マーケティング分析)
Marketing Cloudは、マーケティング分析機能に優れたサービスです。
主な機能:
- メール配信: セグメント別のメールマーケティング
- カスタマージャーニー分析: 顧客の行動履歴を可視化
- リードスコアリング: 見込み客の関心度を数値化
- 広告連携: Google Ads・Facebook広告と連携
向いている企業:
- マーケティング部門がある企業
- リード獲得・育成を強化したい企業
- データドリブンなマーケティングを実践したい企業
(4) その他のサービス(Slack連携・AI機能Agentforce等)
Salesforceは、Sales Cloud・Service Cloud・Marketing Cloud以外にも多様なサービスを提供しています。
主なサービス:
- Slack連携: Slackと統合し、CRM情報をチャット上で共有
- AI機能「Agentforce」: リードの引き渡し・ミーティング予約提案などをAIが支援
- Commerce Cloud: EC機能(オンライン販売)
- Tableau: データ可視化・分析ツール
これらのサービスを組み合わせることで、営業・マーケティング・サポート・ECまで統合的に管理できます。
料金体系とプラン選定のポイント
(1) Sales Cloudの料金プラン(Starter・Professional・Enterprise等)
Sales Cloudの料金プランは、以下の通りです(2024年時点、税抜・1ユーザーあたり月額):
Starter:
- 月額3,000円/ユーザー
- 小規模企業向け(10ユーザーまで)
- 基本的なCRM機能のみ
Professional:
- 月額9,600円/ユーザー
- 中小企業向け(ユーザー数制限なし)
- Sales Cloudの標準機能を利用可能
Enterprise:
- 月額19,800円/ユーザー
- 中堅〜大企業向け
- カスタマイズ・ワークフロー自動化・高度なレポート機能
Unlimited:
- 月額39,600円/ユーザー
- 大企業向け
- すべての機能を無制限に利用可能、24時間サポート
※料金は変更される可能性があります。最新情報はSalesforce公式サイトをご確認ください。
(2) 企業規模・業種別のプラン選定目安
小規模企業(従業員10名未満):
- Starterプランが目安
- 営業担当者が数名程度で、基本的なCRM機能があれば十分
中小企業(従業員10〜100名):
- Professionalプランが目安
- 営業チームが複数あり、レポート機能・モバイル対応が必要
中堅企業(従業員100〜500名):
- Enterpriseプランが目安
- カスタマイズやワークフロー自動化が必要
大企業(従業員500名以上):
- UnlimitedまたはEnterpriseプランが目安
- 全社的なCRM導入、24時間サポートが必要
(3) 追加コストの注意点(サポート・カスタマイズ等)
料金プラン以外に、以下の追加コストが発生する場合があります:
初期導入費用:
- データ移行費用(既存システムからの移行)
- カスタマイズ費用(自社の業務フローに合わせた設定)
- トレーニング費用(社員向けの研修)
運用コスト:
- サポート契約費用(手厚いサポートを受ける場合)
- 追加ストレージ費用(データ量が増えた場合)
- 外部ツール連携費用(Slack・Tableau等)
費用対効果の計算が重要:
- 必要な機能だけを選び、段階的に展開する
- スモールスタートで効果を検証してから全社展開
導入のメリット・デメリット
(1) メリット:顧客情報の一元管理・部門間連携・スモールスタート可能
メリット1: 顧客情報の一元管理
- 営業・マーケティング・カスタマーサポートの情報を一元管理
- 顧客対応の履歴が可視化され、引き継ぎがスムーズに
メリット2: 部門間連携の強化
- マーケティング部門が獲得したリードを営業部門に引き渡し
- カスタマーサポートの対応履歴を営業が参照可能
メリット3: スモールスタート可能
- Starterプランなら月額3,000円/ユーザーから利用可能
- 必要な機能だけを選んで段階的に展開できる
メリット4: クラウドベースで導入が早い
- オンプレミスと比べて初期費用が低い
- インターネット経由でどこからでもアクセス可能
(2) デメリット:機能過多で使いこなせない・成果が出るまで時間がかかる
デメリット1: 機能過多で使いこなせないケースがある
- 多機能であるため、自社では不要な機能を含むプランを選択するとコスト過多になる
- 管理画面が複雑で、トレーニングに時間がかかる
デメリット2: 成果が出るまでに時間がかかる
- データがある程度蓄積されるまで成果が出ない
- 導入後6ヶ月〜1年程度の運用期間が必要
デメリット3: 海外製のため管理画面がわかりづらい
- 日本語対応はされているが、画面遷移や用語が日本の営業フローと異なる場合がある
- しっかりとしたサポートを受けるにはある程度のコストが必要
(3) 向いている企業・向いていない企業
向いている企業:
- 営業チームが複数名いる企業
- 部門間で顧客情報を共有したい企業
- 将来的に機能拡張を検討している企業
向いていない企業:
- 営業担当者が1〜2名程度の小規模企業(スプレッドシート管理で十分な場合)
- 低コストで導入したい企業(国産ツールの方が安価な場合がある)
- すぐに成果を期待する企業(中長期的な視点が必要)
導入の流れと社内体制の準備
(1) 導入前の準備(現状分析・目的設定・要件定義)
Salesforce導入を成功させるには、導入前の準備が重要です。
ステップ1: 現状分析
- 現在の顧客管理方法(スプレッドシート・エクセル・既存CRM等)
- 営業プロセスの可視化(リード獲得→商談→成約までの流れ)
- 課題の洗い出し(情報共有の遅れ・データの散在等)
ステップ2: 目的設定
- 何を実現したいのか明確にする(売上予測の精度向上・営業効率化等)
- KPIを設定(商談数・成約率・顧客満足度等)
ステップ3: 要件定義
- 必要な機能を洗い出し(リード管理・商談管理・レポート等)
- 予算と導入期間を決定
(2) 導入ステップ(初期設定・データ移行・トレーニング)
ステップ1: 初期設定(1〜2ヶ月)
- ユーザー登録・権限設定
- カスタマイズ(自社の業務フローに合わせた設定)
- 外部ツール連携(メール・カレンダー・Slack等)
ステップ2: データ移行(1〜2ヶ月)
- 既存の顧客データをSalesforceに移行
- データクレンジング(重複・誤記の修正)
ステップ3: トレーニング(1〜2ヶ月)
- 管理者向けトレーニング(カスタマイズ・運用管理)
- ユーザー向けトレーニング(日常業務での使い方)
ステップ4: 運用開始
- スモールスタート(一部の部門・チームで試験運用)
- 効果測定と改善(KPIを定期的にチェック)
(3) 必要な社内体制(管理者・推進チーム)
Salesforce導入には、以下の社内体制が必要です:
Salesforce管理者:
- カスタマイズ・ユーザー管理・トラブル対応を担当
- 1名以上の専任が推奨される
推進チーム:
- 営業・マーケティング・情報システム部門から選出
- 要件定義・運用ルール策定を担当
経営層のコミット:
- 全社的なCRM活用には経営層の理解と支援が不可欠
- 予算確保・社内周知を主導
まとめ:Salesforce導入の判断基準と次のアクション
Salesforceは、クラウドベースのCRMプラットフォームとして、営業・マーケティング・カスタマーサポートを統合的に管理できます。顧客情報の一元管理と部門間連携が主なメリットですが、機能過多で使いこなせないリスクもあるため、スモールスタートが推奨されます。
導入判断の基準:
- 営業チームが複数名いる企業
- 部門間で顧客情報を共有したい企業
- 中長期的な視点で効果を測定できる企業
次のアクション:
- 現状分析と目的設定を行う
- 必要な機能を洗い出し、予算を決定する
- Salesforce公式サイトで最新の料金・機能を確認する
- 無料トライアル(または導入支援ベンダーへの相談)で実際に試す
- スモールスタートで効果を検証してから全社展開
自社の営業プロセスと予算に合わせて、適切なプランを選択することが成功のカギです。
