Salesforce API活用ガイド|種類・使い方・連携事例を解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/6

「Salesforceと基幹システムをリアルタイムで同期したい...」

Salesforceを導入している企業の多くが、ERP・会計システム・基幹システムとの連携に課題を抱えています。「手作業でのデータ移行は限界」「リアルタイムで販売情報を配信したい」「モバイルアプリからSalesforceデータにアクセスしたい」といったニーズに応えるために、Salesforce APIの活用が求められています。

Salesforce APIは、REST API、SOAP API、Bulk API、Streaming APIなど、用途に応じて使い分けることで、多様な統合シーンに対応できます。本記事では、APIの種類と特徴、使い分けの基準、認証方法、API制限と監視方法を解説します。

この記事のポイント:

  • REST APIは軽量・高速でモバイルアプリ開発に適し、SOAP APIは安全性・信頼性重視のサーバー間統合に適する
  • Bulk APIは数万単位の大量データを高速処理し、Streaming APIはリアルタイムデータ更新を監視
  • Enterprise Editionでは1日100,000リクエストから開始し、ライセンス数に応じて増加
  • Summer '24リリースでEvent Log File Browserが追加され、API使用状況と使用バージョンを監視可能
  • 2024年5月、SalesforceはBest API賞を受賞し、最も活発なAPIパブリッシャーに選ばれた

1. Salesforce API連携の重要性と活用シーン

(1) API連携で実現できること(ERP・基幹システム統合等)

Salesforce APIを活用することで、以下のような統合が可能になります:

  • ERP・会計システムとの統合: SOAP APIでリアルタイムの販売情報やサポート情報を配信
  • 基幹システムとのマスタデータ同期: Bulk APIで基幹システムのマスタデータを高速読み込み
  • モバイルアプリ開発: REST APIでモバイルアプリからSalesforceデータにアクセス
  • リアルタイムデータ同期: Streaming APIでSalesforce内のデータ更新を監視し、条件に合うデータ更新時にプッシュ通知を実行
  • 組織マージ時のメタデータ統合: Metadata APIで組織間のメタデータを統合

これらの統合により、データの手作業による移行や二重入力を排除し、業務効率を大幅に向上できます。

(2) 2024年のAPI活用トレンド(Best API賞受賞、市場規模76.7億ドル)

2024年5月、SalesforceはPostman Public API NetworkでBest API賞を受賞し、最も活発なAPIパブリッシャーに選ばれました(20万以上のコレクションフォーク)。

また、2024年のAPI管理市場は76.7億ドルに達しており、統合はスケーリングとパーソナライズされた体験の提供に不可欠となっています。

これらのトレンドは、Salesforce APIの活用が企業のデジタルトランスフォーメーションにおいて重要な役割を果たしていることを示しています。

2. Salesforce APIの基礎知識(種類と特徴)

(1) Salesforceが提供する主要API(REST、SOAP、Bulk、Streaming等)

Salesforceは12種類のAPIを提供していますが、主要なAPIは以下の通りです:

  • REST API: 軽量なリクエスト・レスポンスフレームワーク、JSON対応
  • SOAP API: WSDLファイルを使用したサーバー間統合、XML専用
  • Bulk API: 大量データ(数万単位)の高速非同期処理
  • Streaming API: データ更新の監視とプッシュ通知
  • Metadata API: メタデータの記述・管理(カスタムオブジェクト、項目、ページレイアウト等)
  • Connect REST API(Chatter API): Chatterコミュニケーション機能の実行
  • Tooling API: カスタム開発ツール作成

(2) 各APIの特徴と対象用途の概要

API データフォーマット 処理方式 主な用途
REST API JSON 同期 モバイルアプリ、Webアプリ開発
SOAP API XML 同期 サーバー間統合、エンタープライズ連携
Bulk API CSV、JSON、XML 非同期 大量データインポート・エクスポート
Streaming API JSON プッシュ通知 リアルタイムデータ更新監視
Metadata API XML 同期 組織設定の移行、メタデータ管理

(3) API利用に必要な権限とエディション

必要な環境:

  • Trailhead Playground、または
  • Enterprise、Unlimited、Developer、Performance、Professional Edition(アドオン付き)のいずれかのorg

必要な権限:

  • 「API有効化」権限

Professional Edition(無料版)ではAPIが制限されているため、本格的な統合にはEnterprise Edition以上が推奨されます。

3. 主要APIの使い分けと選定基準

(1) REST API:軽量・高速なWeb/モバイル統合(JSON対応)

特徴:

  • JSON対応で簡略的なコーディングが可能
  • データ処理負荷が少なく高速
  • モバイルアプリやWebアプリの開発に適している

適用シーン:

  • スマートフォンアプリからのSalesforceデータアクセス
  • Webアプリケーションとの統合
  • 軽量なデータ取得・更新

(2) SOAP API:安全性・信頼性重視のサーバー間統合(XML・WSDL)

特徴:

  • XML専用で厳密な仕様に基づく
  • WSDLファイルを使用した正式な契約定義
  • 安全性・信頼性に優れる

適用シーン:

  • エンタープライズレベルの構造化統合
  • ERP・会計システムとの統合
  • サーバー間でのリアルタイムデータ同期

DataLoaderはSOAP APIとBulk APIの2種類を使用しており、処理量に応じて自動的に切り替わります。

(3) Bulk API:大量データ(数万単位)の高速非同期処理

特徴:

  • 数万単位の大量データを高速処理
  • 非同期処理で長時間の処理も対応可能
  • CSV、JSON、XMLフォーマットに対応

適用シーン:

  • 基幹システムのマスタデータ読み込み
  • 大量のレコードのインポート・エクスポート
  • 定期的なバッチ処理

(4) Streaming API:リアルタイムデータ更新とプッシュ通知

特徴:

  • Salesforce内のデータ更新を監視
  • 条件に合うデータ更新時にプッシュ通知を実行
  • リアルタイム性が求められるシーンに適する

適用シーン:

  • 営業ダッシュボードへのリアルタイム反映
  • 在庫管理システムとの即時連携
  • アラート通知の自動実行

(5) Metadata API:メタデータ管理と組織間移行

特徴:

  • Salesforceのメタデータ(カスタムオブジェクト、項目、ページレイアウト等)を記述・管理
  • 組織間のメタデータ移行に対応

適用シーン:

  • 組織マージ時のメタデータ統合
  • 本番環境へのカスタマイズのデプロイ
  • バックアップとリストアの自動化

4. API認証と実装の基本手順

(1) OAuth認証の仕組みとセキュアな接続方法

Salesforce APIへのアクセスには、OAuth認証が推奨されます。OAuthは、セキュアな認証プロトコルで、ユーザー名・パスワードを入力せずにAPIアクセスが可能です。

OAuth認証の基本フロー:

  1. アプリケーションがSalesforceに認証リクエストを送信
  2. ユーザーがSalesforceにログインし、アクセスを許可
  3. Salesforceがアクセストークンを発行
  4. アプリケーションはアクセストークンを使用してAPIにリクエスト

これにより、セキュリティリスクが低減されます。

(2) REST APIの基本的な実装パターン

REST APIでは、標準的なHTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETE)を使用してSalesforceデータにアクセスします。

基本的なリクエスト例(疑似コード):

GET https://yourInstance.salesforce.com/services/data/vXX.X/sobjects/Account/001XXXXXXXXXXXX
Authorization: Bearer {access_token}

詳細な実装手順は、Salesforce公式の開発者ドキュメントとTrailheadを参照してください。

(3) SOAP APIのWSDLファイル活用

SOAP APIでは、WSDLファイル(Web Services Description Language)を使用して、APIの正式な契約定義を取得します。

WSDLファイルの取得:

  1. Salesforce設定画面で「API」→「WSDL生成」を選択
  2. Enterprise WSDLまたはPartner WSDLをダウンロード
  3. 開発環境(Java、.NET等)でWSDLファイルをインポート

これにより、タイプセーフなAPIクライアントを自動生成できます。

(4) Trailheadを活用した学習リソース

Salesforce公式の学習プラットフォーム「Trailhead」では、API統合の基礎から応用までの実践的な学習リソースが提供されています。

推奨モジュール:

  • API Basics
  • REST API Integration Guide
  • SOAP API Implementation

これらのモジュールを活用することで、実務的なスキルを習得できます。

5. API制限の詳細と監視・対処法

(1) Enterprise Editionの制限(1日100,000リクエストから)

Enterprise Editionでは、1日あたりのAPI制限は100,000リクエストから開始します。

(2) ライセンス数に応じた制限の増加

API制限はライセンス数に応じて増加します。詳細な計算式は公式ドキュメントで確認できます。

(3) Event Log File Browserによる使用状況監視(Summer '24新機能)

Summer '24リリースで、Event Log File Browserが追加され、API使用状況と使用バージョンの監視が容易になりました。

監視項目:

  • 1日あたりのAPIコール数
  • 使用中のAPIバージョン
  • 制限に対する使用率

(4) 追加APIコールの購入(200~10,000回/日)

API制限を超えた場合、追加のAPIコールを200~10,000回/日の単位で購入できます。

(5) APIバージョン廃止への対応(バージョン21.0~30.0は2025年夏廃止)

Platform APIバージョン21.0~30.0は非推奨となっており、Summer '25リリース(2025年夏)で廃止される予定です。

Event Log File Browserを使用して、使用中のバージョンを確認し、最新バージョンへの移行を計画する必要があります。

6. まとめ:Salesforce API活用のベストプラクティス

Salesforce APIは、REST API、SOAP API、Bulk API、Streaming APIなど、用途に応じた使い分けにより、多様な統合シーンに対応できます。軽量なWeb/モバイル統合にはREST API、エンタープライズレベルの構造化統合にはSOAP API、大量データ処理にはBulk API、リアルタイムデータ更新にはStreaming APIが推奨されます。

Enterprise Editionでは1日100,000リクエストから開始し、ライセンス数に応じて増加します。Summer '24リリースのEvent Log File Browserで使用状況を監視し、APIバージョン廃止に備えることが重要です。

次のアクション:

  • 自社の統合要件を整理し、適切なAPIを選定する
  • OAuth認証の実装とセキュアな接続を確立する
  • Trailheadで実践的なスキルを習得する
  • Event Log File Browserで使用状況を監視し、制限を確認する
  • APIバージョンを確認し、最新バージョンへの移行を計画する

Salesforce APIを正しく活用することで、データの手作業による移行を排除し、業務効率を大幅に向上させましょう。

よくある質問:

Q: REST APIとSOAP APIの違いは何ですか? A: REST APIはJSON対応で軽量・高速、モバイルアプリやWebアプリ開発に適しています。SOAP APIはXML専用でWSDLファイルを使用し、安全性・信頼性に優れるため、エンタープライズレベルのサーバー間統合に適しています。

Q: どのSalesforce APIを選べば良いですか? A: 軽量なWeb/モバイル統合にはREST API、エンタープライズレベルの構造化統合にはSOAP API、数万単位の大量データ処理にはBulk API、リアルタイムデータ更新監視にはStreaming APIが推奨です。用途に応じた使い分けが重要です。

Q: Salesforce APIの利用制限はありますか? A: Enterprise Editionでは1日100,000リクエストから開始し、ライセンス数に応じて増加します。制限を超えた場合は追加APIコールを200~10,000回/日の単位で購入できます。Summer '24リリースのEvent Log File Browserで使用状況を監視できます。

Q: Salesforce APIでどのような統合が可能ですか? A: ERP、会計システム、基幹システムとのリアルタイムデータ同期、モバイルアプリ開発、自動ワークフロー、サードパーティアプリ統合などが可能です。DataLoaderはSOAP APIとBulk APIを自動切り替えしてデータインポートを実行します。

Q: API使用状況をどのように監視すべきですか? A: Summer '24リリースで追加されたEvent Log File Browserを使用し、API使用状況と使用バージョンを確認できます。Platform APIバージョン21.0~30.0は2025年夏に廃止予定のため、定期的なバージョン監視が必要です。

※この記事は2025年11月時点の情報です。API仕様やバージョン廃止スケジュールは変更される可能性があるため、最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。

よくある質問

Q1REST APIとSOAP APIの違いは何ですか?

A1REST APIはJSON対応で軽量・高速、モバイルアプリやWebアプリ開発に適しています。SOAP APIはXML専用でWSDLファイルを使用し、安全性・信頼性に優れるため、エンタープライズレベルのサーバー間統合に適しています。

Q2どのSalesforce APIを選べば良いですか?

A2軽量なWeb/モバイル統合にはREST API、エンタープライズレベルの構造化統合にはSOAP API、数万単位の大量データ処理にはBulk API、リアルタイムデータ更新監視にはStreaming APIが推奨です。用途に応じた使い分けが重要です。

Q3Salesforce APIの利用制限はありますか?

A3Enterprise Editionでは1日100,000リクエストから開始し、ライセンス数に応じて増加します。制限を超えた場合は追加APIコールを200~10,000回/日の単位で購入できます。Summer '24リリースのEvent Log File Browserで使用状況を監視できます。

Q4Salesforce APIでどのような統合が可能ですか?

A4ERP、会計システム、基幹システムとのリアルタイムデータ同期、モバイルアプリ開発、自動ワークフロー、サードパーティアプリ統合などが可能です。DataLoaderはSOAP APIとBulk APIを自動切り替えしてデータインポートを実行します。

Q5API使用状況をどのように監視すべきですか?

A5Summer '24リリースで追加されたEvent Log File Browserを使用し、API使用状況と使用バージョンを確認できます。Platform APIバージョン21.0~30.0は2025年夏に廃止予定のため、定期的なバージョン監視が必要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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