Salesforce AnalyticsとTableauの違い・連携方法・使い分けを徹底解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

Salesforceのデータ分析、CRM AnalyticsとTableauどちらを選ぶべき?

Salesforceを導入している企業の多くが、データ分析・可視化ツールの選定で悩んでいます。「CRM Analytics(旧Einstein Analytics)とTableau、どちらを使うべきか?」「両方を連携させる方法は?」「コストや学習コストはどれくらい?」といった疑問は尽きません。

特に2019年にSalesforceがTableauを買収(157億ドル)して以降、両製品の位置づけや使い分けが複雑化しています。この記事では、中堅〜大企業の営業企画・経営企画担当者、データアナリスト向けに、CRM AnalyticsとTableauの違い・連携方法・選択基準を徹底解説します。

この記事のポイント:

  • CRM AnalyticsはSalesforce統合分析、Tableauは汎用エンタープライズBIとして位置づけられる
  • Tableauは多様なデータソース(Google Analytics、スプレッドシート等)との連携が可能
  • 連携方法はOAuth認証・ダッシュボード埋め込み(LWC)・SSOで実現
  • Salesforce API制限に注意が必要(同時接続数・総要求数の上限がある)
  • Tableau Nextにより、Hyperforce基盤・Data Cloud統合・Agentforce AI連携が強化される見込み

1. SalesforceとTableauの連携が注目される理由

(1) Salesforce買収により実現した統合分析環境

2019年、SalesforceはTableauを157億ドルで買収しました。これにより、Salesforceユーザーは高度なビジュアライゼーション機能を持つTableauと、CRMデータに深く統合されたCRM Analyticsの両方を選択できるようになりました。

買収後、SalesforceはTableauの独立性を維持しつつ、連携機能を強化してきました。2024年には「Tableau Next」が発表され、Hyperforce基盤への移行・Data Cloud統合・Agentforce AI連携が計画されています。

(2) 営業・経営企画部門が抱えるデータ分析課題

営業企画・経営企画部門が抱える典型的な課題は以下の通りです:

データ分散の問題:

  • SalesforceのCRMデータだけでなく、Google Analytics、マーケティングツール、スプレッドシート等、複数のデータソースが分散している
  • データを統合して分析するには、手作業でのデータ抽出・加工が必要で、工数がかかる

可視化の限界:

  • Salesforceの標準レポート・ダッシュボード機能では、複雑な分析や高度なビジュアライゼーションに限界がある
  • 経営層への報告資料作成に時間がかかる

意思決定の遅れ:

  • データが分散しているため、リアルタイムでの意思決定が困難
  • 最新の経営情報を全社で共有する仕組みがない

CRM AnalyticsとTableauは、これらの課題を解決するための選択肢として注目されています。

2. CRM Analytics(旧Einstein Analytics)とTableauの基礎知識

(1) CRM Analyticsの特徴と位置づけ

CRM Analytics(旧名称: Einstein Analytics) は、SalesforceのCRMに深く統合された分析ツールです。主な特徴は以下の通りです:

Salesforce-nativeなインサイト:

  • CRMデータ(商談、リード、顧客情報等)をリアルタイムで分析
  • Salesforceの画面内で直接ダッシュボードを表示・操作可能
  • Einstein AI(機械学習)機能により、予測分析・異常検知が可能

主なユースケース:

  • 営業パイプライン分析(商談進捗、受注予測)
  • リードスコアリング(見込み客の優先順位付け)
  • 顧客セグメント分析(顧客属性別の売上分析)

メリット:

  • Salesforceとの統合が容易(追加の認証設定不要)
  • Salesforce標準オブジェクトをそのまま分析できる
  • モバイルアプリでも利用可能

デメリット:

  • 主にSalesforceデータの分析に特化(他のデータソース連携は限定的)
  • ビジュアライゼーションの自由度がTableauに比べてやや低い

※CRM Analyticsの料金は変動するため、最新情報はSalesforce公式サイトでご確認ください。

(2) Tableauの特徴と位置づけ

Tableau は、汎用エンタープライズBIツールとして世界中で利用されているデータビジュアライゼーションプラットフォームです。主な特徴は以下の通りです:

多様なデータソース連携:

  • Salesforce、Google Analytics、スプレッドシート、データベース(MySQL、PostgreSQL等)、クラウドストレージ等、数百種類のデータソースに対応
  • 複数のデータソースを統合して分析可能

高度なビジュアライゼーション:

  • ドラッグ&ドロップで直感的にダッシュボード作成
  • インタラクティブなグラフ・チャートを作成可能
  • カスタマイズ性が高い

主な製品エディション:

  • Tableau Desktop: ローカル環境で分析・ダッシュボード作成
  • Tableau Server: オンプレミス環境でのダッシュボード共有
  • Tableau Online: クラウド環境でのダッシュボード共有
  • Tableau Public: 無料版(公開ダッシュボードのみ)

メリット:

  • Salesforce以外のデータも統合分析できる
  • ビジュアライゼーションの自由度が非常に高い
  • 大規模データの処理に強い

デメリット:

  • 学習コストがかかる(特にデータビジュアライゼーション未経験者)
  • ライセンス費用が別途必要

※Tableauの料金は製品エディションにより異なります。最新情報はTableau公式サイトでご確認ください。

(3) Tableau Nextによる進化の方向性

2024年、Salesforceは「Tableau Next」を発表しました。これは、Tableauの次期バージョンであり、以下の機能強化が計画されています:

Hyperforce基盤への移行:

  • パブリッククラウド(AWS、Google Cloud、Azure)上で動作する次世代クラウド基盤
  • スケーラビリティ・セキュリティの向上

Data Cloud統合:

  • Salesforceのデータ統合プラットフォーム「Data Cloud」を統一データレイヤーとして活用
  • 複数ソースのデータを効率的に統合・分析可能

Agentforce AI連携:

  • SalesforceのAIエージェントスイート「Agentforce」と連携
  • Agentic Analytics(AIエージェントが人間と協働してデータ分析を自動化)を実現

※Tableau Nextは現在発表段階です。詳細な仕様・リリース時期は公式発表をご確認ください。

3. CRM AnalyticsとTableauの違いと使い分け

(1) 機能面の比較(汎用BI vs Salesforce統合分析)

比較項目 CRM Analytics Tableau
主な用途 Salesforce CRMデータの分析 汎用BI(複数データソース統合分析)
データソース 主にSalesforce(他ソース連携は限定的) 数百種類のデータソースに対応
ビジュアライゼーション 標準的なグラフ・チャート 高度で自由度の高いビジュアライゼーション
AI機能 Einstein AI(予測分析・異常検知) Tableau Pulse(AI駆動のインサイト発見)
学習コスト 比較的低い(Salesforce操作に慣れていれば) 中〜高(データビジュアライゼーション経験が必要)
モバイル対応 Salesforceモバイルアプリで利用可能 Tableau Mobile(別途ダウンロード必要)

(2) データソース連携の違い

CRM Analytics:

  • Salesforce標準オブジェクト(商談、リード、取引先等)をそのまま分析可能
  • カスタムオブジェクトも分析対象にできる
  • 外部データソースとの連携は、Salesforce Connect等を経由する必要がある

Tableau:

  • Salesforceコネクタを使用してOAuth認証で接続(Tableau Desktop 2020.4以降)
  • Google Analytics、スプレッドシート、データベース、クラウドストレージ等、多様なデータソースに直接接続可能
  • データブレンド機能により、複数ソースのデータを統合分析できる

(3) 企業規模・ユースケース別の選択基準

CRM Analyticsが適しているケース:

  • 主にSalesforceデータの分析に特化したい
  • 営業部門のパイプライン分析・予測分析が主な目的
  • Salesforceとの統合を最優先したい
  • 学習コストを抑えたい

Tableauが適しているケース:

  • Salesforce以外のデータ(Google Analytics、マーケティングツール、スプレッドシート等)も統合分析したい
  • 高度なビジュアライゼーション・カスタマイズが必要
  • 経営ダッシュボード・全社横断的な分析基盤を構築したい
  • データビジュアライゼーションの専門人材がいる、または育成できる

両方を併用するケース:

  • CRM Analyticsで営業部門の日常的な分析を実施
  • Tableauで経営層向けの全社ダッシュボードを作成
  • データソースに応じて使い分ける

4. SalesforceとTableauの連携方法と実装手順

(1) OAuth認証によるデータ接続手順

Tableau Desktop 2020.4以降では、OAuth認証を使用してSalesforceに接続できます。これにより、ユーザー名・パスワード入力が不要になりました。

接続手順:

  1. Tableau Desktopを起動
  2. 「接続」メニューから「Salesforce」を選択
  3. 「OAuth認証」を選択し、Salesforceのログイン画面が表示される
  4. Salesforceの認証情報(メールアドレス・パスワード)を入力
  5. 接続が完了すると、Salesforceのオブジェクト(商談、リード等)が一覧表示される
  6. 分析したいオブジェクトを選択してダッシュボード作成を開始

(2) ダッシュボードの埋め込み(LWC活用)

Tableauのダッシュボードは、Lightning Web Component(LWC)を使用してSalesforceの画面に埋め込むことができます。

埋め込み手順:

  1. Tableau ServerまたはTableau Onlineでダッシュボードを公開
  2. Salesforceの設定画面で「Lightning アプリケーションビルダー」を開く
  3. LWCコンポーネントを作成し、Tableau埋め込み用のコードを記述
  4. ダッシュボードのURLを指定
  5. Salesforceのホーム画面・レコード詳細画面等に配置

これにより、Salesforceにログインすれば、Tableauダッシュボードもシームレスに閲覧できるようになります。

(3) SSO(シングルサインオン)の設定

SalesforceのSSO機能を利用すれば、Salesforceにログインするだけで、追加のTableau認証が不要になります。

SSO設定のメリット:

  • ユーザーの利便性向上(認証情報を複数管理する必要がない)
  • セキュリティ強化(認証を一元管理)

設定方法:

  1. Salesforce側でSSO設定(SAML認証)を有効化
  2. Tableau ServerまたはTableau OnlineでSAML認証を設定
  3. Salesforceのユーザー情報とTableauのユーザー情報を同期

詳細な設定手順は、Salesforce公式ドキュメント・Tableau公式ドキュメントをご確認ください。

(4) API制限と対策方法

重要な注意点:

Salesforceには、API要求数に制限があります:

制限の種類:

  • 同時接続数の制限: 一度に接続できるAPI数に上限がある
  • 総API要求数の制限: 24時間あたりの総API要求数に上限がある(エディション・ライセンス数により変動)

TableauでSalesforceに接続する際、これらの制限に達するとエラーが発生する可能性があります。

対策方法:

  • 事前にSalesforceの設定画面で、自社のAPI制限値を確認する
  • Tableauのデータ抽出機能を使用し、リアルタイム接続ではなく定期的なデータ抽出に切り替える
  • API要求数を監視し、上限に近づいた場合はアラートを設定する
  • 必要に応じて、Salesforceのエディションをアップグレードして制限値を引き上げる

5. 導入時のコストとリスク・注意点

(1) ライセンス費用の目安

CRM Analytics:

  • ライセンス費用は変動するため、Salesforce営業に問い合わせて最新の見積もりを確認することを推奨
  • 一般的には、ユーザー数・機能に応じて月額料金が設定される

Tableau:

  • 製品エディション(Desktop、Server、Online等)により料金が異なる
  • Desktop: 買い切りまたはサブスクリプション(年額)
  • Server/Online: ユーザー数に応じた月額料金
  • 価格は変動するため、Tableau公式サイトで最新情報を確認することを推奨

両方を導入する場合:

  • CRM AnalyticsとTableauの両方のライセンスが必要
  • 総コストを事前に見積もり、ROI(投資対効果)を評価することが重要

(2) 学習コスト・運用体制の整備

CRM Analytics:

  • Salesforceの操作に慣れていれば、比較的短期間(1-2週間)で基本操作を習得可能
  • 公式トレーニング・認定資格制度を活用することで学習効率を高められる

Tableau:

  • データビジュアライゼーションの経験がある担当者なら1-2週間で基本操作を習得可能
  • 未経験者は1-3ヶ月の研修期間が必要
  • Tableau公式の無料トレーニング・認定資格制度を活用することで学習効率を高められる

運用体制:

  • データアナリスト・BIエンジニアの配置(専任または兼任)
  • ダッシュボードのメンテナンス・更新を定期的に実施する体制
  • ユーザーからの問い合わせ対応窓口の設置

(3) API制限によるエラーリスク

前述の通り、SalesforceのAPI制限により、Tableau接続時にエラーが発生する可能性があります。

リスク軽減策:

  • 無料トライアル期間中にAPI制限を確認し、自社の利用量で問題が発生しないか検証する
  • データ抽出機能を活用して、リアルタイム接続の頻度を減らす
  • API要求数を監視するダッシュボードを作成し、定期的に確認する

(4) Tableau Nextへの移行計画

Tableau Nextが正式リリースされた際、既存のTableau環境からの移行が必要になる可能性があります。

移行計画の考慮事項:

  • Tableau Nextの詳細な仕様・リリース時期は公式発表を確認する
  • 移行に伴うコスト・工数を事前に見積もる
  • ダウンタイムを最小化する移行計画を策定する

※Tableau Nextは発表段階であり、詳細は今後の公式発表をご確認ください。

6. まとめ:目的別おすすめの選択肢

CRM AnalyticsとTableauは、それぞれ異なる強みを持つ分析ツールです。自社のニーズ・予算・運用体制に応じて最適な選択肢を選びましょう。

選択のポイント:

  • Salesforceデータのみを分析したい → CRM Analyticsで十分
  • 複数のデータソースを統合分析したい → Tableauが適している
  • 高度なビジュアライゼーションが必要 → Tableauが適している
  • 学習コストを抑えたい → CRM Analyticsが適している
  • 両方を併用する → 用途別に使い分ける(営業部門はCRM Analytics、経営層はTableau等)

次のアクション:

  • 自社の分析ニーズ・データソースを整理する
  • CRM AnalyticsとTableauの無料トライアルで実際に操作性を試す
  • API制限・ライセンス費用を確認し、ROIを評価する
  • 導入実績のある企業の事例を参考にする
  • 運用体制(データアナリスト配置・トレーニング計画)を整備する

自社に合った分析ツールで、データドリブンな意思決定を実現し、営業活動・経営活動の効率化を目指しましょう。

※この記事は2025年11月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q1CRM AnalyticsとTableauのどちらから始めるべき?

A1Salesforceデータのみを分析するならCRM Analyticsで十分です。複数のデータソース(Google Analytics、スプレッドシート等)を統合分析したい場合や、より高度なビジュアライゼーションが必要ならTableauを検討してください。無料トライアルで試してから判断するのが推奨されます。

Q2TableauとSalesforceの連携にかかるコストは?

A2Tableauのライセンス費用は製品エディションにより異なります(Desktop、Server、Online等)。価格は変動するため、Salesforce営業またはTableau公式サイトで最新の見積もりを確認することを推奨します。CRM Analyticsも別途ライセンスが必要です。

Q3Tableau導入時の学習コストはどれくらい?

A3データビジュアライゼーションの経験がある担当者なら1-2週間で基本操作を習得可能です。未経験者は1-3ヶ月の研修期間が必要です。Tableau公式の無料トレーニングや認定資格制度を活用することで学習効率を高められます。

Q4SalesforceとTableauを接続する際の制限や注意点は?

A4SalesforceはAPI要求数に制限(同時接続数・総要求数)があり、上限到達時にエラーが発生する可能性があります。事前に自社のAPI制限値を確認し、必要に応じてAPI要求数の監視・最適化を行うことを推奨します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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