MAツールの導入を検討しているけれど、Marketoで具体的に何ができるのかわからない...
B2B企業のマーケティング担当者の多くが、MAツール選定に頭を悩ませています。「Marketoは高機能と聞くが、具体的に何ができるのか」「自社に必要な機能があるのか」「他のMAツールとの違いは何か」といった疑問は尽きません。
この記事では、Adobe Marketo Engageの主要機能を体系的に整理し、機能カテゴリ別の詳細と実務での活用シーンを解説します。
この記事のポイント:
- Marketo Engageは11カテゴリ17種類のアプリケーションを持つ統合的なマーケティングプラットフォーム
- リードナーチャリング・スコアリング・エンゲージメントプログラムがコア機能
- メール・モバイル・SNS・デジタル広告のクロスチャンネルマーケティングに対応
- Salesforce連携、Adobe Experience Cloud連携、生成AI機能など拡張性が高い
- エンタープライズ向けの高機能ツールで、中堅〜大企業に適している
1. Marketo Engageとは
Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)は、Adobe社が提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。全世界で5,000社以上に導入されており、B2Bマーケティングの分野で広く利用されています。
(1) Engagement Marketing Platformの全体像
Marketoは「Engagement Marketing Platform」と呼ばれる基盤の上に構築されています。このプラットフォームは、顧客エンゲージメントを中心としたマーケティング活動を統合的に支援します。
主な特徴:
- AIを活用したマーケティングオートメーション
- パーソナライズされた顧客エンゲージメントの拡大
- リアルタイムデータに基づくインサイト提供
- 複数チャネルを横断した統合管理
(2) 11カテゴリ17種類のアプリケーション構成
Marketoは、企業のニーズに合わせてカスタマイズ可能な11カテゴリ17種類のアプリケーションを提供しています。
主なカテゴリ:
- マーケティングオートメーション(コア機能)
- チャネル(メール、モバイル、ソーシャル、広告)
- リード管理(スコアリング、ナーチャリング)
- アナリティクス(レポート、ROI測定)
- コンテンツ(ランディングページ、フォーム)
- ABM(アカウントベースドマーケティング)
- 連携(CRM、Adobe製品)
これらの機能を組み合わせることで、複雑なマーケティング施策を実行できます。
2. コア機能:マーケティングオートメーションの基盤
Marketoのコア機能は、リードの獲得から育成、営業への引き渡しまでを自動化する機能群です。
(1) リードナーチャリング:段階的な育成プロセス
リードナーチャリングは、見込み顧客を段階的に育成し、購買意欲を高めるプロセスです。Marketoでは、リードの状態に応じて適切なタイミングで適切なコンテンツを自動配信できます。
主な機能:
- ドリップキャンペーン(段階的なメール配信シナリオ)
- トリガーベースの自動アクション
- コンテンツのパーソナライゼーション
- A/Bテストによる最適化
活用シーン:
- 資料ダウンロード後の段階的なフォローメール
- ウェビナー参加者へのコンテンツ配信
- 休眠リードの再活性化キャンペーン
(2) リードスコアリング:優先順位の自動判定
リードスコアリングは、リードの行動や属性に基づいてスコアを付け、優先順位を判定する機能です。Marketoのスコアリング機能は高度で、コンバージョンにつながりそうな重要なリードを自動的に特定できます。
スコアリングの対象:
- 行動スコア(メール開封、Webサイト訪問、資料DL等)
- 属性スコア(企業規模、業種、役職等)
- 適合度スコア(理想顧客プロファイルとの一致度)
活用シーン:
- スコアが閾値を超えたリードの営業への自動通知
- スコアに応じたコンテンツの出し分け
- ホットリードの優先的なフォロー
(3) ランディングページ・フォーム作成
Marketoでは、コーディングの知識がなくても簡単にランディングページやフォームを作成できます。
主な機能:
- ドラッグ&ドロップのページビルダー
- レスポンシブデザインテンプレート
- 動的コンテンツ(訪問者属性に応じた表示切替)
- プログレッシブプロファイリング(段階的な情報取得)
プログレッシブプロファイリングは、訪問者が既に入力済みの項目を省略し、新しい質問を表示する機能です。これにより、複数回の訪問を通じて段階的に詳細な情報を収集できます。
(4) エンゲージメントプログラム
エンゲージメントプログラムは、Marketo特有の機能で、リードの状態に応じて自動的にコンテンツを配信するストリーム型のプログラムです。
特徴:
- 複数のストリーム(配信シナリオ)を設定可能
- リードの状態に応じて自動的にストリームを切り替え
- 消費されたコンテンツを自動的にスキップ
- ケイデンス(配信間隔)の柔軟な設定
この機能により、「認知段階」「検討段階」「意思決定段階」など、リードの段階に応じた適切なコンテンツ配信を自動化できます。
3. チャネル機能:クロスチャンネルマーケティングの実現
Marketoは、複数のマーケティングチャネルを統合的に活用するクロスチャンネルマーケティングに対応しています。
(1) メールマーケティング:パーソナライズ配信
メールマーケティングはMarketoの主要チャネルの一つです。高度なパーソナライズと配信最適化が可能です。
主な機能:
- 動的コンテンツによるパーソナライズ
- AIによる配信時間の最適化
- A/Bテスト(件名、本文、送信時間)
- 配信到達率の最適化
2024年2月からGmailとYahooの新しい送信者要件が発効しており、Marketoはこれに対応する機能を提供しています。
(2) モバイルマーケティング:ジオフェンシング・ビーコン
モバイルマーケティング機能では、ビーコンやジオフェンシング技術を活用したロケーションベースのメッセージ配信が可能です。
主な機能:
- プッシュ通知の配信
- アプリ内メッセージ
- ジオフェンシング(特定エリア内のユーザーにメッセージ配信)
- ビーコン連携(店舗来店時のアクション)
この機能は、リアル店舗やイベント会場でのマーケティングに活用できます。
(3) ソーシャルメディアマーケティング
SNSとの連携により、ソーシャルメディアマーケティングを統合的に管理できます。
主な機能:
- ソーシャルシェアボタンの設置
- ソーシャル上のエンゲージメント追跡
- リファラルプログラム
- ソーシャル広告との連携
(4) デジタル広告とABM(アカウントベースドマーケティング)
デジタル広告機能とABM機能により、ターゲット企業に対する精度の高いマーケティングが可能です。
デジタル広告機能:
- Google/Facebook広告との連携
- リターゲティングオーディエンスの自動作成
- 広告効果のアトリビューション分析
ABM機能:
- ターゲットアカウントリストの管理
- アカウント単位のスコアリング
- アカウント別のエンゲージメント分析
- 営業・マーケティング間のアカウント情報共有
ABMは、自社に大きな影響を与える可能性の高い重要顧客をターゲティングする戦略で、B2B企業で注目されています。
4. 分析・レポーティング機能
Marketoは、マーケティング活動の効果を可視化する分析機能を提供しています。
(1) アナリティクス:キャンペーン効果測定
各キャンペーンのパフォーマンスを詳細に分析できます。
主な指標:
- メール開封率・クリック率
- ランディングページのコンバージョン率
- リード獲得数・獲得コスト
- チャネル別の貢献度
(2) ROI測定とアトリビューション分析
マーケティング投資対効果(ROI)を測定し、どの施策が成果に貢献したかを分析できます。
主な機能:
- プログラム別のROIレポート
- マルチタッチアトリビューション
- ファーストタッチ・ラストタッチ分析
- パイプラインへの貢献度分析
これにより、マーケティング予算の最適配分を支援します。
(3) AIダッシュボード(Marketo Measure)
Adobe Marketo Measureは、マーケティングアトリビューションを専門に扱うツールです。2025年にはAIダッシュボードが強化され、ポイントアンドクリックのクロスフィルタリング機能が追加されました。
主な機能:
- AIによるインサイト提示
- クロスチャネルのアトリビューション分析
- ダッシュボードのカスタマイズ
5. 連携機能とエコシステム
Marketoは、外部システムとの連携機能が充実しています。
(1) Salesforce連携:営業・マーケティング統合
Salesforceとの双方向連携により、営業とマーケティングのシームレスな統合が実現します。
主な連携内容:
- リード・コンタクト情報の双方向同期
- 営業活動情報のMarketo取り込み
- スコアリング結果のSalesforce表示
- キャンペーン成果の共有
この連携により、営業がホットリードをリアルタイムで把握し、適切なタイミングでアプローチできます。
(2) Adobe Experience Cloud連携
Adobe Experience Cloudの各製品との連携により、統合的なカスタマーエクスペリエンス管理が可能です。
主な連携製品:
- Adobe Analytics(詳細なWeb分析)
- Adobe Target(パーソナライゼーション)
- Adobe Experience Manager(コンテンツ管理)
- Adobe Audience Manager(オーディエンス管理)
(3) 生成AI機能(Adobe Firefly連携)
2025年には生成AI機能が追加され、マーケターの生産性向上を支援しています。
主な機能:
- キャンペーンコピーの素早い再利用
- Adobe FireflyやAdobe Experience Manager Assetsからのカスタマイズ画像アクセス
- AIによるコンテンツ提案
この機能により、コンテンツ作成の効率化とパーソナライゼーションの強化が期待できます。
(4) LaunchPointエコシステム
LaunchPointは、Marketoと連携可能なサードパーティアプリケーションのマーケットプレイスです。
連携可能なカテゴリ:
- ウェビナーツール(Zoom、WebEx、ON24等)
- チャットツール
- データエンリッチメント
- コンテンツ管理
- 分析ツール
必要に応じて機能を拡張できる柔軟性が、Marketoの強みの一つです。
まとめ:Marketo Engageが適している企業とは
Marketo Engageは、高機能なマーケティングオートメーションプラットフォームです。リードナーチャリング、スコアリング、クロスチャンネルマーケティング、高度な分析機能など、エンタープライズレベルの機能を提供しています。
Marketoが適している企業:
- 中堅〜大企業(従業員100名以上、リード数1万件以上)
- 複雑なマーケティング施策を実行したい企業
- Salesforceを利用している企業
- Adobe製品を活用している企業
- ABMを本格的に実施したい企業
注意点:
- エンタープライズ向けの高機能ツールで、中小企業には機能過多・高コストになる可能性がある
- 高度な機能を活用するには専門知識が必要で、運用体制の構築が重要
- 料金目安:1万件のリード数で年間約200万円〜(リード数とオプションにより変動)
次のアクション:
- 自社のマーケティング課題と必要な機能を整理する
- 予算とリード規模に応じた導入可否を検討する
- 必要に応じて導入パートナーに相談する
- デモや無料トライアルで操作感を確認する
※この記事は2025年1月時点の情報です。Marketoの機能は継続的にアップデートされているため、最新情報はAdobe公式サイトをご確認ください。また、2025年に複数の機能が廃止予定(Forward to Friend機能:2025年9月29日、REST APIのaccess_tokenパラメータ:2026年1月31日)ですので、該当機能を利用している場合は対応が必要です。
よくある質問:
Q: Marketoと他のMAツール(HubSpot、Pardot等)の違いは何ですか? A: Marketoはエンタープライズ向けの高機能MAツールで、クロスチャンネルマーケティング、高度なスコアリング、ABM機能が充実しています。HubSpotは中小企業向けで使いやすさ重視、Pardot(Account Engagement)はSalesforce連携に特化しています。企業規模が大きく複雑なマーケティング施策を行うならMarketo、手軽に始めるならHubSpotが向いています。
Q: Marketoの料金はいくらですか?規模別の目安を教えてください A: リード数とオプション機能により変動します。1万件のリード数で年間約200万円が目安です。中小企業(リード数1,000〜5,000件)で年間100万円〜、中堅企業(1万〜3万件)で年間200万円〜500万円、大企業(5万件以上)で年間500万円以上が相場です。正確な見積もりは個別の問い合わせが必要です。
Q: Marketoの導入にどれくらいの期間がかかりますか? A: 基本設定(Salesforce連携、フォーム作成、初期キャンペーン設定)で1〜3ヶ月、本格運用開始までに3〜6ヶ月が一般的です。高度なカスタマイズやデータ移行を行う場合は6ヶ月〜1年かかることもあります。導入パートナーを活用することで期間短縮とスムーズな立ち上げが可能です。
