営業ステータス管理の方法|案件管理・進捗把握・精度向上のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/8

営業案件の進捗が見えない、売上予測が当たらないという課題

B2Bデジタルプロダクト企業の営業責任者・マネージャーから、「案件の進捗がブラックボックス化している」「月末になると売上予測と実績が乖離する」という声を聞くことがあります。

これらの課題の多くは、営業ステータス管理の仕組みに起因しています。案件の進捗を適切に区分し、可視化することで、ボトルネックの特定や予測精度の向上が実現しやすくなります。

この記事では、営業ステータス管理の基礎知識から、ステータス設計の具体的方法、SFA/CRMを活用した進捗管理、予測精度を高めるポイント、よくある失敗パターンまで実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • 営業ステータスは「初回接触」「提案」「見積提示」「商談中」「クロージング」「受注」など5〜7区分が一般的
  • パイプライン管理で営業プロセス全体を可視化し、どのフェーズで停滞しているかを特定
  • 営業メンバーが5人を超えるとExcel管理に限界を感じるケースが多く、SFA/CRM導入を検討するタイミング
  • ステータス定義の曖昧さと更新忘れが予測精度を下げる主要因
  • 放置案件を防ぐルール設定と定期更新の仕組み化が重要

1. 営業ステータス管理が売上予測を左右する理由

営業ステータス管理とは、営業活動を段階(ステータス)ごとに区分して進捗を管理することです。なぜこれが売上予測に直結するのでしょうか。

売上予測との関係:

売上予測は「案件数 × 受注確度 × 単価」で算出されるのが一般的です。この「受注確度」を正確に把握するには、各案件が営業プロセスのどの段階にあるかを明確にする必要があります。

ステータス管理が不十分な場合の問題:

問題 影響
案件の進捗が見えない マネージャーが適切なフォローができない
ステータス定義が曖昧 同じ案件を異なる担当者が違うステータスで報告
更新が遅れる 実態と管理情報にズレが生じる
放置案件が発生 商機を逃す、パイプラインが歪む

適切なステータス管理のメリット:

  • 売上予測の精度が向上する
  • 営業活動のボトルネックを特定できる
  • マネージャーによる適切なフォローが可能になる
  • 案件の放置を防げる
  • チーム全体で進捗を共有できる

2. ステータス管理の基礎知識とパイプライン管理

ステータス管理の基礎と、関連する概念であるパイプライン管理について解説します。

(1) 営業ステータス管理とは何か

営業ステータス管理は、商談の進捗を段階ごとに分類し、各案件がどの状態にあるかを把握する管理手法です。

ステータスの例(BtoB営業の場合):

ステータス 定義 次のアクション
1. 初回接触 見込み客との初回コンタクト完了 課題ヒアリング
2. 提案準備 課題把握完了、提案資料作成中 提案日程調整
3. 提案済み 提案プレゼン完了 反応確認、質問対応
4. 見積提示 見積書提出完了 条件交渉
5. 商談中 条件交渉・社内稟議中 稟議状況確認
6. クロージング 最終合意、契約準備中 契約書締結
7. 受注 契約締結完了 納品・導入準備

(2) パイプライン管理によるボトルネック特定

パイプライン管理とは、営業活動の初回接触から受注までのプロセスを管状(パイプライン)に可視化する管理手法です。

パイプライン管理のメリット:

  • 各フェーズの案件数・金額を一覧で把握
  • どのフェーズで停滞しているかを特定(ボトルネック分析)
  • 将来の売上を予測
  • フェーズごとの転換率(コンバージョン率)を計測

ボトルネック分析の例:

「提案済み → 見積提示」の転換率が低い場合、以下の原因が考えられます:

  • 提案内容が顧客課題とマッチしていない
  • 提案後のフォローアップが不十分
  • 価格感がずれている

ボトルネックを特定することで、どのフェーズに注力すべきかが明確になります。

(3) Excel管理とSFA/CRMの使い分け

案件管理には主にExcelとSFA/CRMの2つの選択肢があります。

Excel管理:

メリット デメリット
導入コストなし リアルタイム共有が難しい
自由度が高い 複数シートでデータが分散
使い慣れている 顧客情報との紐付けが手動
小規模チーム向け 集計・グラフ作成に手間

SFA/CRM:

メリット デメリット
リアルタイムで情報共有 導入・月額費用が発生
自動でレポート・グラフ生成 操作習熟に時間がかかる
顧客情報と案件を紐付け 入力の定着化が必要
スマホからも更新可能 カスタマイズに知識が必要

使い分けの目安:

  • 営業メンバー5人未満、案件数50件未満 → Excelでも対応可能
  • 営業メンバー5人以上、リアルタイム共有が必要 → SFA/CRM検討

3. ステータス設計の具体的方法(5〜7区分の設定例)

効果的なステータス管理のためには、自社に合ったステータス設計が重要です。

(1) 商談ステージの設定例(初回接触〜受注)

業界・商材によってステータス設計は異なりますが、BtoB営業では5〜7区分が一般的と言われています。

BtoB SaaS企業の設定例(7区分):

ステージ 定義 確度目安
1. リード 資料請求・問い合わせ受領 5%
2. 初回商談 初回オンラインMTG完了 10%
3. 課題合意 顧客課題と解決策を合意 20%
4. 提案 正式提案プレゼン完了 30%
5. 見積提示 見積書提出、条件提示 50%
6. 稟議・検討 顧客社内で稟議・検討中 70%
7. 契約締結 契約書締結、受注確定 100%

製造業向けBtoB営業の設定例(5区分):

ステージ 定義 確度目安
1. 引合い 引合い受領、仕様確認中 10%
2. 見積作成 仕様確定、見積作成中 25%
3. 見積提出 見積提出完了 50%
4. 交渉中 条件交渉・仕様調整中 70%
5. 受注 注文書受領 100%

※確度(%)は自社の実績データを基に設定・調整してください。

(2) ステータス定義の明確化と共有

ステータス管理で最も重要なのは、各ステータスの定義を明確にし、チーム全体で共有することです。

定義を明確にするポイント:

項目 具体例
入り口条件 何をもってこのステータスに入るか
出口条件 何をもって次のステータスに進むか
必須アクション このステータスで行うべきアクション
確度設定 このステータスの受注確率目安

良い定義の例:

「見積提示」ステータスの定義:

  • 入り口条件: 見積書を顧客に提出した時点
  • 出口条件: 顧客から見積内容への正式回答を得た時点
  • 必須アクション: 1週間以内にフォローアップ連絡
  • 確度目安: 50%

共有の方法:

  • 定義書(ドキュメント)を作成しチーム全員がアクセス可能に
  • 新メンバーのオンボーディングに含める
  • 進捗会議で定期的に確認・認識合わせ

(3) 放置案件のルール設定

案件の放置を防ぐためのルール設定が重要です。

放置案件対策ルールの例:

ステータス 放置判定期間 対応
初回商談 14日以上進捗なし インサイドセールスへ差し戻し
提案 21日以上進捗なし マネージャーがフォロー
見積提示 30日以上進捗なし 確認連絡、失注判定検討
全ステータス共通 90日以上 失注扱いでパイプラインから除外

SFA/CRMを活用すれば、放置期間を自動検知してアラートを出すことが可能です。

4. SFA/CRMを活用した進捗管理と可視化

SFA/CRMを活用した効率的な進捗管理の方法を解説します。

(1) カンバンボード形式での案件管理

多くのSFA/CRMでは、案件をカード形式で表示し、ステータスごとに列を分けて可視化する「カンバンボード」機能が提供されています。

カンバンボードのメリット:

  • 案件の進捗が一目でわかる
  • ドラッグ&ドロップでステータス変更が可能
  • 各フェーズの案件数・金額を即座に把握
  • ボトルネック(案件が滞留しているフェーズ)を視覚的に特定

主要SFA/CRMのカンバンボード対応状況:

ツール カンバンボード 特徴
Salesforce あり 高度なカスタマイズ可能
HubSpot あり 無料CRMから利用可能
Mazrica あり 直感的なUI
GENIEE SFA/CRM あり ノーコードでカスタマイズ

(2) レポート・ダッシュボードの活用

SFA/CRMの強みは、入力されたデータから自動でレポートやダッシュボードを生成できる点です。

活用できるレポート例:

レポート 活用シーン
パイプラインレポート 各フェーズの案件数・金額を一覧表示
転換率レポート フェーズ間のコンバージョン率を分析
売上予測レポート 今月・来月の着地見込みを算出
活動レポート 担当者ごとの商談・架電件数を集計
放置案件レポート 一定期間更新のない案件を抽出

ダッシュボード活用のポイント:

  • マネージャーは週次で全体状況を確認
  • 進捗会議で画面共有しながら議論
  • 個人ダッシュボードで各担当者が自分の状況を把握

(3) Excel管理からSFA/CRM移行のタイミング

Excel管理からSFA/CRMへの移行を検討すべきタイミングを整理します。

移行検討のサイン:

サイン 説明
メンバー5人超 情報共有の限界を感じ始める
シートが複数に分散 データ管理が煩雑になる
集計に時間がかかる 月次レポート作成に半日以上
顧客情報が紐付かない 同じ顧客の案件を一覧できない
外出先から更新できない スマホ対応が必要

移行の進め方:

  1. 現状の管理項目を棚卸し
  2. 複数のSFA/CRMをトライアル
  3. 少人数(3-5名)でパイロット運用
  4. 運用ルールを策定
  5. 全社展開

5. 予測精度を高めるポイントとよくある失敗

売上予測の精度を高めるためのポイントと、よくある失敗パターンを解説します。

(1) 確度設定と定期更新の仕組み化

確度設定のポイント:

確度(受注確率)はステータスごとに設定するのが基本ですが、より精度を高めるためには個別案件の状況も反映する仕組みが有効です。

確度を調整する判断材料:

確度を上げる要素 確度を下げる要素
決裁者との直接商談 担当者レベルのみの接点
予算確保済み 予算未定・来期検討
導入時期が明確 導入時期未定
競合情報なし 複数社比較検討中
既存顧客からの追加案件 新規顧客

定期更新の仕組み化:

  • 週1回のステータス更新を必須化
  • 進捗会議で各案件の状況を確認
  • 更新がない案件はマネージャーがフォロー

(2) ステータス定義の曖昧さと更新忘れへの対策

よくある失敗パターン:

失敗パターン 問題点 対策
ステータス定義が曖昧 担当者ごとに判断がバラバラ 入り口・出口条件を明文化
更新を忘れる 実態と管理情報にズレ 週次の更新を必須化、アラート設定
楽観的な確度設定 予測が過大になる 実績データに基づく確度見直し
入力項目が多すぎる 入力負担で敬遠される 必須項目を最小限に絞る
放置案件を残す パイプラインが歪む 放置ルールで自動クローズ

入力定着化のコツ:

  • 入力項目を最小限に(5項目以内が目安)
  • 入力のメリットを実感させる(フォロー支援、表彰等)
  • 進捗会議でデータを活用し、入力の意義を共有
  • マネージャーが率先して入力・活用する姿を見せる

6. まとめ:営業ステータス管理成功のチェックリスト

営業ステータス管理は、売上予測の精度向上、ボトルネック特定、案件放置防止に直結する重要な管理手法です。自社の規模・業種・商材に合ったステータス設計とツール選択が成功のカギとなります。

営業ステータス管理成功のチェックリスト:

  • ステータス区分を5〜7段階で設計したか
  • 各ステータスの入り口・出口条件を明文化したか
  • ステータス定義をチーム全体で共有したか
  • 確度(受注確率)をステータスごとに設定したか
  • 放置案件のルール(期間・対応)を設定したか
  • 週次の更新を仕組み化したか
  • Excel/SFA/CRMの選択は適切か(メンバー数・案件数で判断)
  • 入力項目を最小限に絞ったか

次のアクション:

  • 現状の案件管理方法を棚卸しする
  • 自社に合ったステータス区分を設計する
  • ステータス定義書を作成し、チームで共有する
  • 放置案件ルールを策定する
  • 必要に応じてSFA/CRMのトライアルを開始する

※ツールの料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各ツールの公式サイトをご確認ください。

よくある質問:

Q: 営業ステータスは何段階に設定すべきですか? A: BtoB営業では5〜7区分が一般的と言われています。「初回接触」「提案」「見積提示」「商談中」「クロージング」「受注」などが基本的な区分です。ただし、最適な区分数は業界・商品特性・営業プロセスにより異なるため、自社の実態に合わせて設計することが重要です。複雑すぎると入力負担が増え、単純すぎると進捗把握が粗くなります。

Q: ExcelからSFA/CRMへ移行すべきタイミングは? A: 営業メンバーが5人を超えるとExcel管理に限界を感じるケースが多いと言われています。複数のシートにデータが分散したり、集計に時間がかかったり、リアルタイムでの情報共有が難しくなったりしたら、SFA/CRM導入を検討するタイミングです。無料トライアルで操作性を確認し、少人数でパイロット運用してから全社展開するのが効果的です。

Q: 営業担当者に入力を定着させるにはどうすればよいですか? A: 入力項目を最小限に絞る(5項目以内が目安)ことが重要です。また、進捗会議でデータを活用して入力の意義を実感させる、マネージャーが率先して入力・活用する姿を見せる、入力したデータに基づくフォロー支援を行うなど、入力のメリットを実感できる仕組みを作ることが効果的です。

Q: 売上予測の精度を上げるにはどうすればよいですか? A: ステータスごとの確度(受注確率)を実績データに基づいて設定することが基本です。また、週1回のステータス更新を必須化し、実態と管理情報のズレを防ぐこと、放置案件をパイプラインから除外するルールを設けることも重要です。楽観的な確度設定を避け、四半期ごとに実績と予測を比較して確度設定を見直すことをお勧めします。

よくある質問

Q1営業ステータスは何段階に設定すべきですか?

A1BtoB営業では5〜7区分が一般的です。「初回接触」「提案」「見積提示」「商談中」「クロージング」「受注」などが基本的な区分です。業界・商品特性に応じて自社に合った区分を設計してください。

Q2ExcelからSFA/CRMへ移行すべきタイミングは?

A2営業メンバーが5人を超えるとExcel管理に限界を感じるケースが多いです。データの分散、集計の手間、リアルタイム共有の困難さを感じたら検討タイミングです。無料トライアルで操作性を確認してから導入を決めましょう。

Q3営業担当者に入力を定着させるにはどうすればよいですか?

A3入力項目を最小限(5項目以内)に絞ることが重要です。進捗会議でデータを活用して入力の意義を実感させる、マネージャーが率先して活用する姿を見せる、入力データに基づくフォロー支援を行うなどの工夫が効果的です。

Q4売上予測の精度を上げるにはどうすればよいですか?

A4ステータスごとの確度を実績データに基づいて設定し、週1回のステータス更新を必須化することが基本です。放置案件をパイプラインから除外するルールを設け、四半期ごとに実績と予測を比較して確度設定を見直しましょう。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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