営業マネジメントの基本と実践手法|目標達成するチーム作りとプロセス管理のポイント

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/5

営業マネジメントとは?役割と目標達成のための基本構造

(1) 営業マネジメントの定義と5つの役割

営業マネジメントとは、営業マンがそれぞれ最大限のパフォーマンスを発揮できるようサポートし、営業目標を達成できるように導くことです。

営業マネジメントの5つの役割:

  1. 営業戦略の策定: 市場分析、競合分析をもとに営業戦略を設計
  2. 目標設定・管理: チーム全体および個人の目標設定、予実管理
  3. 活動管理: 営業メンバーの活動量・質の管理、プロセス改善
  4. モチベーション管理: 1on1ミーティング、インセンティブ設計、評価制度の構築
  5. 営業環境整備: SFA/CRMツール導入、営業資料整備、研修プログラム設計

(2) 営業戦略の策定、目標設定・管理、活動管理、モチベーション管理、営業環境整備

これら5つの役割は相互に関連しており、どれか一つが欠けても営業目標の達成は困難です。

戦略の策定と目標設定:

  • 市場動向や競合状況を分析し、自社の強み・弱みを把握
  • SMART(Specific、Measurable、Achievable、Relevant、Time-bound)な目標を設定

活動管理とモチベーション管理:

  • 営業プロセスを可視化し、データドリブンに改善施策を実行
  • メンバーの自律性を引き出すコーチング、適切なフィードバック

(3) 企業規模・成長フェーズ別のマネジメント手法の違い

営業マネジメントの手法は、企業規模や成長フェーズによって異なります。

スタートアップ(従業員10-30名):

  • プレイングマネージャーが多く、マネジメント専任が少ない
  • 営業プロセスの標準化が優先課題

中堅企業(従業員30-500名):

  • 営業組織が分業化(インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス等)
  • プロセスマネジメントとデータ分析が重要

大企業(従業員500名以上):

  • 複数の営業チームの統括、部門間連携が課題
  • 営業戦略の策定と組織マネジメント力が求められる

営業マネジメントの4つの主要管理項目と実践手法

(1) 目標管理(KPI設定と予実管理)

目標管理では、チーム全体および個人の目標を設定し、定期的に進捗を確認します。

主なKPI:

  • 売上目標(年間、四半期、月次)
  • 商談件数
  • 成約率
  • 平均受注単価

予実管理では、目標に対する実績を週次・月次で確認し、未達の場合は原因を分析して対策を講じます。

(2) 行動管理(活動量と質のバランス)

行動管理では、営業メンバーの活動量(訪問件数、架電件数、商談件数等)と質(商談の質、提案内容の妥当性等)を管理します。

注意点:

  • 効率指標(訪問件数、面談時間等)の管理だけでは売上・利益向上に直結しない
  • 訪問件数が多くても成約率が低ければ意味がない
  • プロセス全体を見て、どこがボトルネックかを特定することが重要

(3) 案件管理(パイプライン分析とフォーキャスト)

案件管理では、商談の進捗状況をパイプライン(営業ファネル)で可視化し、フォーキャスト(受注予測)を行います。

パイプライン分析:

  • 初回接触 → ヒアリング → 提案 → 見積 → クロージング
  • 各段階の商談数・金額を可視化し、どの段階で停滞しているかを特定

フォーキャスト:

  • 確度の高い商談から受注予測を算出
  • 目標未達のリスクを早期に把握し、対策を講じる

(4) モチベーション管理(1on1ミーティング、インセンティブ設計)

モチベーション管理では、メンバーの自律性を引き出し、チーム全体の士気を高めます。

1on1ミーティング:

  • 週次または隔週で実施
  • メンバーの課題や悩みをヒアリングし、キャリア支援

インセンティブ設計:

  • 成果に応じた報酬制度
  • 短期的な成果だけでなく、長期的な顧客関係構築も評価

プロセスマネジメントによるボトルネック特定と改善施策

(1) データドリブン営業の実践(電話件数、商談件数、成約率の数値化)

プロセスマネジメントでは、営業活動をすべて数値化し、データに基づいて営業戦略を立てます。

数値化する項目:

  • リード獲得数
  • 架電件数
  • 商談件数
  • 提案件数
  • 成約件数
  • 成約率
  • 平均受注単価

(2) プロセスの数字を紐解き、ボトルネックを発見する方法

各プロセスの数字を分析し、どこがボトルネックかを特定します。

分析例:

  • リード獲得数: 100件
  • 商談化率: 20%(商談件数: 20件)
  • 成約率: 10%(成約件数: 2件)

この場合、成約率10%が低いことがボトルネックです。商談の質を改善する施策(デモンストレーションのブラッシュアップ、提案書のテンプレート化等)が必要です。

(3) 結果重視と効率指標の違い(訪問件数と売上の相関がない理由)

結果だけを追及する「根性マネジメント」(「なぜ売れないんだ!」)は効果がありません。訪問件数が多くても、商談の質が低ければ成約率は上がりません。

プロセス全体を可視化し、ボトルネックを特定して改善することが重要です。

(4) 具体的な打ち手の設計と実行

ボトルネックが特定できたら、具体的な打ち手を設計・実行します。

施策例:

  • 商談化率が低い場合: リードの質を改善(ターゲティング見直し、MAツール活用)
  • 成約率が低い場合: 商談の質を改善(ロールプレイング研修、提案書テンプレート化)
  • 平均受注単価が低い場合: アップセル・クロスセル施策の強化

SFA/CRMツールを活用した営業プロセスの可視化と標準化

(1) SFAとCRMの違いと使い分け

SFA(Sales Force Automation、営業支援システム):

  • 営業プロセス全般の効率化と売上向上が目的
  • 商談管理、案件管理、営業活動の可視化

CRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理):

  • 顧客とのコミュニケーション強化と顧客満足度・LTV(顧客生涯価値)向上が目的
  • 顧客情報の一元管理、顧客対応履歴の記録

多くの企業は、両機能を統合したツール(Salesforce、HubSpot、Mazrica等)を選択しています。

(2) 主要ツールの比較(Salesforce、HubSpot、Mazrica等)

Salesforce:

  • グローバルシェアNo.1、多機能で拡張性が高い
  • 大企業向け、導入コストが高い

HubSpot:

  • 中小企業向け、直感的なUI
  • CRM・MA・SFAを統合、無料版あり

Mazrica(旧Senses):

  • 国内企業に強い、日本語サポート充実
  • AI分析機能で商談の勝率予測

(3) ツール選定基準(既存システム連携、機能、コスト)

選定基準:

  • 既存システム(基幹システム、MA等)との連携
  • 必要な機能(商談管理、レポート作成、モバイル対応等)
  • コスト(初期費用、月額費用、ユーザー数課金等)
  • サポート体制(日本語サポート、導入支援)

(4) 営業ダッシュボードの活用と進捗の可視化

SFA/CRMツールの営業ダッシュボードを活用し、営業プロセスをリアルタイムで可視化します。

ダッシュボード表示項目:

  • 売上目標と実績
  • 商談件数・金額(ステージ別)
  • 成約率
  • 営業活動量(訪問件数、架電件数等)

チーム全体で進捗を共有し、課題を早期に発見・改善します。

営業マネージャーに必要なスキルとよくある課題への対処法

(1) 6つの必要スキル(戦略設計力、組織マネジメント力、コーチング力、コミュニケーション力、フィードバック力、リーダーシップ)

営業マネージャーに必要なスキルは以下の6つです:

  1. 戦略設計力: 市場分析、競合分析をもとに営業戦略を設計
  2. 組織マネジメント力: チーム体制の構築、目標設定、プロセス管理
  3. コーチング力: メンバーの自律性を引き出し、成長を支援
  4. コミュニケーション力: メンバーとの信頼関係構築、部門間連携
  5. フィードバック力: 適切なタイミングで建設的なフィードバックを提供
  6. リーダーシップ: チームを牽引し、目標達成に向けて導く

(2) よくある課題:日常業務に追われて戦略立案・人材育成ができない

営業マネージャーがプレイングマネージャーを兼務している場合、日常業務に追われて戦略立案や人材育成に時間を割けないことがあります。

対処法:

  • SFAツールで営業プロセスを標準化・自動化し、管理業務を効率化
  • 週次・月次で戦略立案の時間を確保(カレンダーに固定)
  • 1on1ミーティングをカレンダーに固定し、人材育成の時間を確保
  • 役割分担を明確化し、マネジメント業務に集中できる体制を構築

(3) 「根性マネジメント」と「強いマネジメント」の違い

根性マネジメント:

  • 結果だけを追及(「なぜ売れないんだ!」)
  • プロセスを無視
  • メンバーのモチベーション低下、離職率増加

強いマネジメント:

  • プロセスを可視化し、ボトルネックを特定
  • データドリブンに改善施策を実行
  • メンバーの自律性を引き出すコーチング

(4) メンバーの自律性を引き出すマネジメント手法

メンバーの自律性を引き出すには、マイクロマネジメント(細かい指示・管理)を避け、目標と期待値を明確に伝え、メンバー自身に考えさせることが重要です。

実践手法:

  • 目標設定時にメンバーと対話し、納得感のある目標を設定
  • 定期的な1on1でメンバーの課題や悩みをヒアリング
  • 適切なタイミングで建設的なフィードバックを提供
  • 成功体験を共有し、チーム全体で学び合う文化を醸成

まとめ:データドリブンと人間的コミュニケーションのバランス

営業マネジメントは、データドリブンなプロセス管理と人間的なコミュニケーションのバランスが重要です。SFA/CRMツールで営業プロセスを可視化し、ボトルネックを特定して改善施策を実行する一方で、1on1ミーティングでメンバーの課題や悩みをヒアリングし、自律性を引き出すコーチングが求められます。

次のアクション:

  • 4つの管理項目(目標管理、行動管理、案件管理、モチベーション管理)をバランス良く実施
  • プロセスの数字を紐解き、ボトルネックを特定して改善施策を実行
  • SFA/CRMツールを導入し、営業プロセスを可視化・標準化
  • 週次・月次で戦略立案の時間を確保し、1on1ミーティングをカレンダーに固定

営業マネジメントの基本を理解し、チーム全体で目標達成を実現しましょう。

よくある質問

Q1営業マネジメントで具体的に何をすればいい?

A14つの管理項目(目標管理、行動管理、案件管理、モチベーション管理)をバランス良く実施します。特にプロセスの数字を紐解いてボトルネックを発見し、具体的な打ち手を打つプロセスマネジメントが重要です。

Q2SFAとCRMの違いは?どちらを選ぶべき?

A2SFAは営業プロセス全般の効率化と売上向上が目的、CRMは顧客とのコミュニケーション強化と顧客満足度・LTV向上が目的です。営業プロセスの標準化が優先ならSFA、顧客関係深化が優先ならCRMです。多くの企業は両機能を統合したツールを選択しています。

Q3営業マネージャーが日常業務に追われて戦略立案や人材育成ができない場合の対処法は?

A3SFAツールで営業プロセスを標準化・自動化し、管理業務を効率化します。週次・月次で戦略立案の時間を確保し、1on1ミーティングをカレンダーに固定します。プレイングマネージャーの場合は役割分担を明確化し、マネジメント業務に集中できる体制を構築します。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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