営業とはどんな仕事?基本から知りたい...
「営業職ってどんな仕事?」「種類が多くて違いが分からない」「デジタル化で営業の仕事はどう変わる?」といった疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。営業は企業の売上を支える重要な職種ですが、その種類や求められるスキルは多岐にわたります。
この記事では、営業の定義から種類、必要なスキル、キャリアパス、デジタル化の最新トレンドまで、営業の全体像を詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 営業とは顧客に製品・サービスの価値を伝え、購買につなげる仕事
- 法人/個人、新規/既存、インサイド/フィールドなど、様々な分類がある
- コミュニケーション力、ヒアリング力、課題発見力が重要なスキル
- AI活用やセールスイネーブルメントが2024年の営業トレンド
- デジタル化が進んでも、顧客との関係構築は人間の役割として残る
1. 営業とは?定義と役割・セールスとの違い
まず、営業の基本的な定義と企業における役割を理解しましょう。
(1) 営業の定義と企業における役割
営業とは、顧客に製品・サービスの価値を伝え、ニーズに合わせて購買につなげる仕事です。企業の売上を直接生み出す部門として、ビジネスの根幹を担っています。
営業の主な役割:
- 顧客の課題やニーズを把握する
- 自社の製品・サービスで課題を解決できることを伝える
- 契約・購買につなげる
- 顧客との長期的な関係を構築する
- 市場の声を社内にフィードバックする
営業は単に「モノを売る」だけでなく、顧客の課題解決に焦点を当てた活動です。
(2) 営業とセールス・マーケティングの違い
営業とセールス、マーケティングは混同されやすい概念ですが、それぞれ異なる役割を持っています。
営業:
- 顧客の課題解決に焦点を当てる
- 個別の顧客と直接コミュニケーションを取る
- 関係構築から提案、クロージングまでを担当
セールス:
- 販売活動そのものを強調する表現
- 営業とほぼ同義で使われることが多い
- 英語圏では「Sales」が一般的
マーケティング:
- 市場全体を対象に、見込み客を創出する
- ブランディング、広告、コンテンツ制作などを担当
- 営業にリード(見込み客)を渡す役割
近年は営業とマーケティングの連携が重視され、「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス」という分業体制が増えています。
2. 営業の種類と分類(法人/個人・新規/既存・インサイド/フィールド)
営業には様々な分類があります。自社や転職先の営業スタイルを理解するために、主な分類を押さえましょう。
(1) 法人営業(B2B)と個人営業(B2C)の違い
顧客の属性による分類です。
法人営業(B2B):
- 企業や団体を顧客とする営業
- 意思決定者が複数、購買プロセスが長い傾向
- 論理的な提案、ROI(投資対効果)の説明が重視される
- 例:ITシステム、業務用機器、コンサルティング
個人営業(B2C):
- 個人(消費者)を顧客とする営業
- 意思決定が早い、感情的な要素も影響
- 信頼関係、親しみやすさが重視される傾向
- 例:保険、不動産、自動車、金融商品
(2) 新規営業と既存営業(ルート営業)の違い
顧客との関係性による分類です。
新規営業:
- まだ取引のない企業・個人にアプローチする営業
- リード獲得、アポイント獲得が重要
- 断られることも多く、精神的なタフさが求められる
- 成約時の達成感が大きい
既存営業(ルート営業):
- すでに取引のある顧客を担当する営業
- 関係維持、追加提案(アップセル・クロスセル)が重要
- 顧客の業界知識、長期的な信頼関係が求められる
- 安定した売上を維持する役割
(3) インサイドセールスとフィールドセールスの違い
営業活動の場所による分類です。
インサイドセールス:
- オフィス内で電話・メール・Web会議を使って営業
- 効率的に多くの見込み客にアプローチできる
- リードの育成、商談化までを担当することが多い
- 近年、SaaS企業を中心に導入が進んでいる
フィールドセールス:
- 顧客先を訪問して対面で営業
- 複雑な商談、高額案件に向いている
- 信頼関係の構築、非言語コミュニケーションが強み
- 移動時間がかかる反面、対面の説得力がある
(4) アウトバウンド営業とインバウンド営業の使い分け
アプローチ方法による分類です。
アウトバウンド営業:
- 営業側から見込み客にアプローチする手法
- テレアポ、飛び込み営業、DM送付など
- 能動的にターゲットを選んでアプローチできる
- 断られることが多く、効率化が課題
インバウンド営業:
- オウンドメディア、広告などで情報発信し、問い合わせに対応する手法
- 興味を持った見込み客が自ら接触してくる
- 商談化率が高い傾向
- マーケティング活動との連携が重要
パンデミック後は、アウトバウンド中心だけでは成果が上がりにくくなっており、両者を組み合わせることが重要とされています。
3. 営業に必要なスキルと能力
営業で成果を出すために必要なスキルを紹介します。
(1) コミュニケーション力とヒアリング力
営業の基本となるスキルです。
コミュニケーション力:
- 相手に分かりやすく伝える力
- 信頼関係を構築する力
- 状況に応じた適切な対応力
ヒアリング力:
- 顧客の話を傾聴する力
- 潜在的なニーズを引き出す質問力
- 顧客の言葉の背景を理解する力
一方的に話すのではなく、顧客の話を聞くことが重要です。優秀な営業担当者は「聞く」時間の方が長いと言われています。
(2) 課題発見力と提案力
顧客の課題を見つけ、解決策を提案するスキルです。
課題発見力:
- 顧客が気づいていない課題を発見する力
- 業界・市場のトレンドを把握する力
- 競合との比較で強み・弱みを分析する力
提案力:
- 課題に対する解決策を論理的に説明する力
- 自社の製品・サービスの価値を伝える力
- 費用対効果(ROI)を示す力
(3) 数字管理力とPDCAを回す力
目標達成に向けた管理能力です。
数字管理力:
- 売上目標、KPIを常に意識する力
- 商談数、成約率などの指標を分析する力
- 優先順位をつけて効率的に活動する力
PDCAを回す力:
- 計画を立て、実行し、結果を振り返り、改善する力
- うまくいかない時に原因を特定し、対策を打つ力
- 成功パターンを再現し、横展開する力
4. 営業のキャリアパスと働き方
営業職のキャリアと働き方について解説します。
(1) 営業職のキャリアパス(マネージャー・スペシャリスト・他職種への転身)
営業のキャリアパスは多様です。
マネージャー(管理職):
- 営業チームを率いて目標達成を目指す
- メンバー育成、数値管理、戦略立案を担当
- 課長→部長→役員とステップアップ
スペシャリスト:
- 特定の業界・商材に精通した営業のプロ
- 大型案件、重要顧客を担当
- 高い専門性で組織に貢献
他職種への転身:
- マーケティング:顧客理解を活かして市場開拓
- カスタマーサクセス:既存顧客の成功支援
- 事業企画:市場知見を活かした新規事業立案
- 経営企画:営業数値を活かした経営判断サポート
営業経験は、顧客視点・数字意識・コミュニケーション力が身につくため、様々なキャリアに活かせます。
(2) ノルマ・目標設定とプレッシャーへの向き合い方
営業職とノルマ(目標)について整理します。
ノルマの実態:
- 企業・業界・商材により大きく異なる
- 「ノルマ」と呼ばず「目標」「クォータ」と呼ぶ企業も多い
- 達成率、評価制度、インセンティブ体系は企業ごとに異なる
プレッシャーへの向き合い方:
- 目標を細分化し、日々の行動に落とし込む
- 結果だけでなく、プロセス(行動量)を振り返る
- うまくいかない時は上司・先輩に相談する
- 達成時の喜びをモチベーションにする
転職時は、目標設定方法、達成率の実態、評価制度を事前に確認することをおすすめします。
(3) ハイブリッド営業(リモート×リアル)の普及
パンデミック以降、営業の働き方も変化しています。
ハイブリッド営業とは:
- デジタル(オンライン商談)とリアル(対面訪問)を最適に組み合わせる営業スタイル
- 初回接触・情報提供はオンライン、重要商談は対面など、場面に応じて使い分け
- 移動時間の削減と対面の説得力を両立
注意点:
- リアルのコミュニケーションは依然として優位な場面がある
- オンライン・対面の最適な判断が重要
- 企業によってオンライン許容度は異なる
5. 営業DX・デジタル化と効率化ツール(2024年トレンド)
営業を取り巻く環境は大きく変化しています。2024年のトレンドを紹介します。
(1) 営業DXとは?デジタル化との違い
営業DXとデジタル化は混同されやすい概念です。
デジタル化:
- 既存の業務をデジタルツールで効率化すること
- 例:紙の顧客リストをExcel化、名刺をデータ化
- 業務プロセスは変えず、ツールを導入
営業DX:
- デジタル技術を活用して営業プロセスやビジネスモデルを根本から変革すること
- 例:データ分析に基づく営業戦略立案、AI活用による予測営業
- 組織文化・働き方も含めた変革
将来的にB2B取引の8割がデジタル化するという予測もあり、営業DXへの対応は企業の競争力を左右すると言われています。
(2) SFA・CRMツールの活用(Salesforce・HubSpot等)
営業効率化の代表的なツールを紹介します。
SFA(営業支援システム):
- 営業活動を支援・効率化するITツール
- 商談管理、案件管理、活動履歴の記録
- データを可視化し、進捗や課題を即座に把握
CRM(顧客関係管理):
- 顧客情報を一元管理し、関係性を強化するシステム
- 顧客とのコミュニケーション履歴を蓄積
- マーケティング・サポートとの情報共有
代表的なツール:
- Salesforce: 世界シェアNo.1のCRM/SFAツール。カスタマイズ性が高い
- HubSpot: 無料プランあり。マーケティング機能との連携が強み
- Mazrica(旧Senses): 国産SFA。日本企業の営業スタイルに対応
※料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。
(3) AI・生成AIの活用とセールスイネーブルメント
2024年の営業トレンドとして、AI活用とセールスイネーブルメントが注目されています。
AI・生成AIの活用:
- リードの優先度付け(スコアリング)にAIを活用
- 見込み売上の予測、メッセージのパーソナライゼーション
- 生成AIでテキストベースの事務作業を効率化
- 2024年は生成AI導入の有無が競争力を左右する可能性がある
セールスイネーブルメント:
- 営業チーム全体の業績を向上させる施策
- トップパフォーマーの行動を分析し、知識を言語化
- 新人のランプタイム(戦力化期間)を短縮
- コーチングによるスキル向上
デジタルセールスルーム(DSR):
- バイヤーとのB2B取引をデジタルチャネルで実施する仕組み
- 2025年までにB2B取引の80%がデジタルチャネルで実施されるという予測もある(Gartner)
6. まとめ:営業職の将来性と変化への対応
営業は企業の売上を直接生み出す重要な職種であり、今後もその役割は変わりません。ただし、営業のやり方は大きく変化しています。
営業職の将来性:
- AI・ツールは営業活動を効率化するが、営業職は不要にならない
- 顧客との関係構築、複雑な交渉、提案は人間の役割として残る
- デジタルとリアルを使い分けるハイブリッド営業が標準に
- データ分析、AI活用のスキルが差別化要因に
次のアクション:
- 自社の営業スタイル(法人/個人、新規/既存など)を把握する
- コミュニケーション力、ヒアリング力を磨く
- SFA/CRMなどのデジタルツールに慣れる
- AI・生成AIの活用方法を学ぶ
- 業界のトレンドを常にキャッチアップする
営業職は、変化に対応し続けることで、長期的なキャリアを築ける職種です。自分に合った営業スタイルを見つけ、必要なスキルを磨いていきましょう。
※この記事は2025年11月時点の情報です。最新のトレンド・ツール情報は各社公式サイトでご確認ください。
よくある質問:
Q: 営業に向いている人の特徴は? A: 人と話すことが好き、相手の課題を理解しようとする姿勢、数字に対する意識がある人が向いていると言われています。ただし営業スタイルにより求められる適性は異なるため、自分に合った営業の種類を選ぶことが大切です。
Q: 未経験から営業職に転職できますか? A: 可能です。営業は未経験者採用が多い職種の一つです。一般的に、法人営業よりも個人営業の方が未経験採用が多い傾向にあります。
Q: 営業のノルマはきついですか? A: 企業・業界・商材により大きく異なります。転職時は、目標設定方法、達成率の実態、評価制度を事前に確認することをおすすめします。
Q: 営業DXで営業職は不要になりますか? A: 不要にはなりません。AI・ツールは営業活動を効率化しますが、顧客との関係構築、複雑な交渉、提案は人間の役割として残ります。デジタルスキルを身につけた営業担当者の価値は高まると言われています。
