SaaSとクラウドの違いとは?IaaS・PaaSとの比較で理解する

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/22

SaaSとクラウドの違いとは?IaaS・PaaSを含めて正しく理解する

「クラウドとSaaSって同じ意味?」「IaaS、PaaS、SaaSの違いが分からない」と悩んでいる情報システム担当者の方は多いでしょう。

クラウドはインターネット経由でアプリケーションやデータを利用する形態全般を指し、SaaSはその中でソフトウェアを提供するサービスの一種です。クラウドサービスは利用形態により、SaaS(ソフトウェア提供)、PaaS(開発環境提供)、IaaS(インフラ提供)の3種類に分類されます。

この記事では、クラウドとSaaSの違い、SaaS・PaaS・IaaSの詳細比較、導入形態の選び方まで、実践的な情報を網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • クラウドは広義のサービス全般、SaaSはその中のソフトウェア提供形態(クラウドの一種)
  • クラウドサービスは3種類:SaaS(すぐ使える業務ツール)、PaaS(アプリ開発環境)、IaaS(自由度の高いインフラ)
  • カスタマイズ自由度はIaaS > PaaS > SaaSの順に高い
  • 2024年の国内クラウド市場は9.7兆円、2029年には19.2兆円規模に成長予測
  • 主要ベンダーはAWS(31%)、Azure(24%)、GCP(11%)が世界市場を牽引

1. クラウドとSaaSの違い(基本理解)

クラウドとSaaSの違いを正しく理解するには、それぞれの定義と関係性を把握することが重要です。

(1) クラウドとは(インターネット経由でのサービス利用)

ミエルカブログの解説によれば、クラウド(クラウドコンピューティング)とは、インターネット経由でアプリケーションやデータを利用する形態全般を指します。

従来はPC本体やオンプレミスサーバーに保存していたソフトウェア・データを、インターネット上のサーバー(クラウド)で管理し、必要なときにアクセスして利用します。

クラウドの特徴:

  • インターネット接続があればどこからでもアクセス可能
  • PC・スマートフォン・タブレット等、複数デバイスで利用可能
  • サーバー構築・管理が不要(ベンダーが管理)
  • 利用量に応じた従量課金が一般的

(出典: ミエルカブログ「クラウド(Cloud)とSaaS、ASPの違いって?」2024年)

(2) SaaSとは(クラウドの一種、ソフトウェア提供)

BOXIL Magazineの解説によれば、SaaS(Software as a Service)は、ソフトウェアをインターネット経由で提供するクラウドサービスです。

従来は各PCにソフトウェアをインストールして使用していましたが、SaaSではブラウザ等からアクセスするだけで利用できます。

SaaSの具体例:

  • 業務ツール: Gmail、Microsoft 365、Slack、Chatwork
  • 会計・経費精算: freee、マネーフォワード、楽楽精算
  • 営業支援(SFA/CRM): Salesforce、HubSpot
  • マーケティング: Mailchimp、SATORI

(出典: BOXIL Magazine「SaaSとは?PaaS・IaaSとの違いや意味」2024年)

(3) クラウドとSaaSの関係性

KDDIのThink with Magazineの解説によれば、クラウドは広義のサービス全般を指し、SaaSはその中のソフトウェア提供形態です。つまり、SaaSはクラウドの一種です。

関係性の整理:

  • クラウド: インターネット経由のサービス全般(SaaS、PaaS、IaaSを含む)
  • SaaS: クラウドの中で、ソフトウェアを提供するサービス
  • PaaS: クラウドの中で、開発環境を提供するサービス
  • IaaS: クラウドの中で、ITインフラを提供するサービス

「クラウドを導入する」と言った場合、SaaS・PaaS・IaaSのいずれか、または複数を組み合わせて利用することを意味します。

(出典: KDDI「改めて知りたいクラウドとSaaSの違いとは?」2021年)

2. クラウドサービスの種類(SaaS・PaaS・IaaS)

クラウドサービスは、提供する機能レベルによって3種類に分類されます。

(1) SaaS(Software as a Service)の概要

BOXIL Magazineの解説によれば、SaaSはソフトウェアをインターネット経由で提供するサービスです。

特徴:

  • すぐに使える: 契約後すぐに利用可能、インストール不要
  • 初期費用が安い: サーバー構築不要、月額・年額課金が一般的
  • 自動アップデート: 常に最新バージョンが利用可能
  • マルチデバイス対応: PC・スマホ・タブレットで利用可能

主な用途:

  • メール、チャット、ビデオ会議(Gmail、Slack、Zoom)
  • 会計・経費精算(freee、マネーフォワード)
  • 営業支援(Salesforce、HubSpot)
  • 人事労務(SmartHR、カオナビ)

(出典: BOXIL Magazine「SaaSとは?」2024年)

(2) PaaS(Platform as a Service)の概要

クラウドエースの解説によれば、PaaSはアプリケーション開発・実行に必要なプラットフォーム(OS、ミドルウェア、開発ツール等)を提供するサービスです。

特徴:

  • 開発に集中できる: インフラ管理が不要、アプリ開発に専念可能
  • スケーラブル: アクセス増加に応じて自動でリソース拡張
  • 短期間で開発可能: 環境構築の時間を削減

主な用途:

  • Webアプリケーション開発
  • モバイルアプリ開発
  • データベース管理

代表例:

  • Google App Engine(GCP)
  • AWS Elastic Beanstalk
  • Azure App Service
  • Heroku

(出典: クラウドエース「IaaS、PaaS、SaaS とは 概要や用途を5分で入門」2024年)

(3) IaaS(Infrastructure as a Service)の概要

クラウドエースの解説によれば、IaaSは仮想サーバ、ストレージ、ネットワーク等のITインフラを提供するサービスです。

特徴:

  • カスタマイズ自由度が最も高い: OS・ミドルウェアを自由に選択・設定可能
  • 柔軟なリソース管理: 必要に応じてサーバー・ストレージを増減
  • 物理サーバー不要: ハードウェア購入・保守が不要

主な用途:

  • 自由度の高いシステム開発
  • 大規模なデータ処理・分析
  • オンプレミス環境からのマイグレーション

代表例:

  • AWS EC2、S3
  • Azure Virtual Machines
  • Google Compute Engine(GCP)

(出典: クラウドエース「IaaS、PaaS、SaaS とは」2024年)

3. SaaS・PaaS・IaaSの詳細比較(責任範囲・用途・カスタマイズ性)

SaaS・PaaS・IaaSの違いを、責任範囲・カスタマイズ性・用途の観点から比較します。

(1) 提供範囲と責任範囲の違い

情シスマンの解説によれば、SaaS・PaaS・IaaSは提供範囲と責任範囲が異なります。

項目 SaaS PaaS IaaS
アプリケーション ベンダー管理 ユーザー管理 ユーザー管理
ミドルウェア ベンダー管理 ベンダー管理 ユーザー管理
OS ベンダー管理 ベンダー管理 ユーザー管理
仮想化・サーバー ベンダー管理 ベンダー管理 ベンダー管理
ストレージ・ネットワーク ベンダー管理 ベンダー管理 ベンダー管理

責任範囲の特徴:

  • SaaS: すべてベンダーが管理。ユーザーはアプリケーションを使うだけ
  • PaaS: アプリケーション開発はユーザー、インフラ管理はベンダー
  • IaaS: インフラのみベンダー、OS・ミドルウェア・アプリはユーザー管理

(出典: 情シスマン「IaaS、PaaS、 SaaSとは?」2024年)

(2) カスタマイズ自由度の違い(IaaS > PaaS > SaaS)

情シスマンの解説によれば、カスタマイズ自由度はIaaSが最も高く、PaaS、SaaSの順に低くなります。

IaaS(自由度:高):

  • OS・ミドルウェアを自由に選択・設定可能
  • システム要件に合わせて柔軟にカスタマイズ
  • 専門知識が必要(インフラエンジニア)

PaaS(自由度:中):

  • アプリケーション開発に集中できる
  • OSやミドルウェアはベンダーが提供(選択肢が限定)
  • 開発者向け

SaaS(自由度:低):

  • すぐに使える反面、カスタマイズは限定的
  • 設定変更の範囲が制限される
  • 非エンジニア・ビジネスユーザー向け

目的に応じて、自由度とシンプルさのバランスを考慮して選択することが重要です。

(出典: 情シスマン「IaaS、PaaS、 SaaSとは?」2024年)

(3) 代表的なサービス例(AWS、Azure、GCP等)

理解テクノロジーの調査によれば、2024年の世界市場では、AWS(31%)、Azure(24%)、GCP(11%)が主要ベンダーとして市場を牽引しています。

AWS(Amazon Web Services):

  • 世界シェア31%(2024年時点)
  • IaaS: EC2(仮想サーバー)、S3(ストレージ)
  • PaaS: Elastic Beanstalk、Lambda
  • 豊富なサービスラインナップ、高い信頼性

Azure(Microsoft Azure):

  • 世界シェア24%(2024年時点)
  • IaaS: Virtual Machines
  • PaaS: App Service、Azure SQL Database
  • Microsoft製品(Office 365、Active Directory等)との連携が強み

GCP(Google Cloud Platform):

  • 世界シェア11%(2024年時点)
  • IaaS: Compute Engine
  • PaaS: App Engine、Cloud Functions
  • ビッグデータ・AI分野に強み

これらのベンダーは、IaaS・PaaS・SaaSすべてを提供しており、組み合わせて利用することも可能です。

(出典: 理解テクノロジー「2025年に世界・日本国内クラウド市場シェアと将来展望」2024年)

※市場シェアは四半期・年度により変動します。最新情報は各調査レポートをご確認ください。

4. 導入形態による分類(パブリック・プライベート・ハイブリッド)

クラウドサービスは、導入形態によっても分類されます。

(1) パブリッククラウド(複数ユーザー共有、コスト効率高)

IT Manageの解説によれば、パブリッククラウドは複数のユーザーでコンピューティングリソースを共有するクラウドサービスです。

特徴:

  • コストパフォーマンスが高い: リソース共有により低コスト
  • 初期投資不要: 従量課金が一般的
  • スケーラビリティ: 必要に応じて柔軟にリソース拡張

向いている企業:

  • 中小企業(初期投資を抑えたい)
  • スタートアップ(スピーディーに開始したい)
  • 一般的な業務ツールを利用したい企業

代表例:

  • AWS、Azure、GCP(IaaS・PaaS)
  • Gmail、Slack、Salesforce(SaaS)

(出典: IT Manage「クラウドサービスとは?種類や例をもとにメリットを解説」2024年)

(2) プライベートクラウド(専用、セキュリティ重視)

IT Manageの解説によれば、プライベートクラウドは特定のユーザー(自社内や提携企業等)専用のクラウドサービスです。

特徴:

  • セキュリティが高い: 専用環境のため、情報漏洩リスクが低い
  • カスタマイズ自由度が高い: 自社要件に合わせて柔軟に設計
  • コストが高い: 専用リソースのため、パブリックより高額

向いている企業:

  • 金融機関、医療機関(セキュリティ要件が厳格)
  • 大企業(自社要件に合わせたカスタマイズが必要)
  • 個人情報・機密情報を扱う企業

(出典: IT Manage「クラウドサービスとは?」2024年)

(3) ハイブリッド/マルチクラウド(組み合わせ)

IT Manageの解説によれば、ハイブリッドクラウドはパブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせた形態です。

ハイブリッドクラウド:

  • 機密情報はプライベート、一般業務はパブリックに配置
  • セキュリティとコストのバランスを取る

マルチクラウド:

  • 複数のクラウドプロバイダーを組み合わせて利用
  • ベンダーロックインを回避
  • 障害時のリスク分散

(出典: IT Manage「クラウドサービスとは?」2024年)

5. クラウドサービスの選び方(目的別の選定基準)

クラウドサービスは、目的に応じて最適な選択が異なります。

(1) IaaSを選ぶべきケース(自由度重視のシステム開発)

クラウドエースの解説によれば、以下のケースではIaaSが適しています:

向いているケース:

  • システム要件が複雑で、カスタマイズが必要
  • 既存のオンプレミス環境からクラウド移行(レガシーマイグレーション)
  • 大規模なデータ処理・分析
  • 特定のOS・ミドルウェアが必須

必要なスキル:

  • インフラエンジニア(サーバー構築・管理)
  • セキュリティ設定の知識

(出典: クラウドエース「IaaS、PaaS、SaaS とは」2024年)

(2) PaaSを選ぶべきケース(アプリ開発に集中)

クラウドエースの解説によれば、以下のケースではPaaSが適しています:

向いているケース:

  • Webアプリケーション・モバイルアプリ開発
  • インフラ管理に人手を割けない
  • 短期間で開発・リリースしたい
  • スケーラビリティが重要(アクセス増加に対応)

必要なスキル:

  • アプリケーション開発者(プログラミング)
  • インフラ知識は最小限でOK

(出典: クラウドエース「IaaS、PaaS、SaaS とは」2024年)

(3) SaaSを選ぶべきケース(すぐに使える業務ツール)

BOXIL Magazineの解説によれば、以下のケースではSaaSが適しています:

向いているケース:

  • すぐに使える業務ツールが必要(メール、チャット、会計等)
  • 初期投資を抑えたい(月額・年額課金)
  • ITエンジニアがいない中小企業
  • テレワーク・モバイルワークで利用したい

総務省の調査によれば、日本企業のクラウド利用目的は:

  • ファイル保存・データ共有: 59.4%
  • メール: 50.3%
  • 情報共有: 44.8%

これらの用途には、SaaSが最適です。

(出典: BOXIL Magazine「SaaSとは?」2024年、総務省「令和3年版 情報通信白書」2021年)

(4) セキュリティとベンダーロックインへの対策

クラウドサービス導入時には、セキュリティとベンダーロックインのリスクに注意が必要です。

セキュリティ対策:

  • 暗号化(データ送受信・保存時)
  • アクセス制御(多要素認証、IP制限)
  • 定期的なセキュリティ監査
  • プライベートクラウド・ハイブリッドクラウドの検討(機密情報)

ベンダーロックイン対策:

  • マルチクラウド戦略(複数ベンダーの組み合わせ)
  • データのポータビリティ確保(標準フォーマット、エクスポート機能)
  • 契約前に移行コスト・手順を確認

(出典: IT Manage「クラウドサービスとは?」2024年)

6. まとめ:目的に合わせた選択

クラウドはインターネット経由のサービス全般を指し、SaaSはその中でソフトウェアを提供するサービスです。クラウドサービスは、SaaS(すぐ使える業務ツール)、PaaS(アプリ開発環境)、IaaS(自由度の高いインフラ)の3種類に分類されます。

選定基準の整理:

  • SaaS: すぐに使える業務ツールが必要、初期投資を抑えたい、ITエンジニア不在
  • PaaS: アプリ開発に集中したい、インフラ管理を任せたい、スケーラビリティ重視
  • IaaS: 自由度の高いシステム開発、オンプレミスからの移行、特定のOS・ミドルウェアが必須

クラウド市場の成長:

  • 2024年の国内市場は9.7兆円、2029年には19.2兆円規模に成長予測(IDC Japan調査)
  • 総務省調査では、日本企業の68.7%がクラウドを利用、87.1%が「効果あり」と評価(2021年時点)

次のアクション:

  • 自社の目的・要件を整理する(業務ツール、アプリ開発、インフラ構築など)
  • SaaS・PaaS・IaaSのどれが適しているか検討する
  • 主要ベンダー(AWS、Azure、GCP等)の公式サイトで詳細を確認
  • セキュリティ要件に応じて、パブリック・プライベート・ハイブリッドを選択
  • ベンダーロックイン対策(マルチクラウド、データポータビリティ)を計画

クラウドサービスは、目的に応じて最適な選択が異なります。自社の要件・予算・スキルセットを踏まえ、適切なサービスを選びましょう。

よくある質問

Q1クラウドとSaaSは同じ意味か?

A1クラウドはインターネット経由のサービス全般を指し、SaaSはその中でソフトウェアを提供するサービスです。SaaSはクラウドの一種であり、他にPaaS(開発環境提供)、IaaS(インフラ提供)もクラウドに含まれます。

Q2IaaS、PaaS、SaaSのどれを選ぶべきか?

A2IaaSは自由度重視のシステム開発、PaaSはアプリ開発に集中したい場合、SaaSはすぐに使える業務ツールが必要な場合に適しています。カスタマイズ自由度はIaaS > PaaS > SaaSの順に高くなります。

Q3クラウドサービスは安全か?

A3セキュリティは提供事業者に依存します。パブリッククラウドは低コストですが、機密情報を扱う場合はプライベートクラウドやハイブリッドクラウドを検討しましょう。暗号化・アクセス制御・定期監査等の対策も重要です。

Q4主要クラウドベンダーは?

A42024年時点で、AWS(31%シェア)、Azure(24%)、GCP(11%)が世界市場を牽引しています。AWSは豊富なサービス、AzureはMicrosoft製品連携、GCPはビッグデータ・AI分野に強みがあります。

Q5日本企業のクラウド利用率は?

A5総務省調査(2021年)では、日本企業の68.7%がクラウドを利用し、87.1%が「効果あり」と評価しています。ファイル保存・データ共有(59.4%)、メール(50.3%)、情報共有(44.8%)が主な用途です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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