オンライン商談での成約率を上げたいが、対面ほど信頼関係を築けない
B2B企業の営業担当の多くが、非対面営業(オンライン商談)への移行に伴い、「顧客との信頼関係をどう築くか?」「成約率が対面より低い」「顧客の温度感が把握しづらい」といった課題を抱えています。
この記事では、非対面営業の基礎知識から、2025年のオンライン商談ベストプラクティス、主要ツールの比較、ハイブリッドモデル活用まで詳しく解説します。
この記事のポイント:
- 非対面営業(インサイドセールス)は移動時間がかからず、1日20件以上の商談が可能
- 2024年時点で世界のインサイドセールス市場規模は71億8,000万米ドル(約1兆円)に達している
- 日本企業の導入率は約40%で、直近1年以内に導入した企業は半数近く
- 75.3%が対面の方が成功率が高いと感じているが、90%がオンライン商談に不満を感じていない
- 2025年はハイブリッドモデル(デジタル + 対面)が主流になり、BtoBバイヤーの83%がデジタルチャネルを好む
- Webカメラを100%オンにし、アクティブリスニング重視、9分以内にピッチを制限することが成功の鍵
非対面営業が必要な背景:市場の拡大とデジタルシフト
非対面営業が急速に普及している背景と市場動向を解説します。
コロナ禍以降の非対面営業の定着
2020年以降のコロナ禍を契機に、非対面営業(オンライン商談)が急速に普及しました。当初は一時的な代替手段と見られていましたが、2024年時点では常態化しており、今後も主要な営業手法として定着する見込みです。
普及の背景:
- リモートワーク推進による働き方の変化
- 顧客側もオンライン商談に慣れ、受容度が高まった
- 移動時間・コストの削減効果が実証された
世界のインサイドセールス市場規模(2024年71億8,000万米ドル)
2024年時点で、世界のインサイドセールス・ソフトウェア市場規模は71億8,000万米ドル(約1兆円)に達し、堅調に成長しています(スマートキャンプ調べ)。
市場規模の推移:
- 2020年: コロナ禍で急成長
- 2024年: 71億8,000万米ドル
- 今後も年率10%以上の成長が見込まれる
日本企業の導入率40%、直近1年以内の導入が半数近く
日本企業のインサイドセールス導入率は約40%で、直近1年以内に導入した企業は半数近くあり、急速に普及が進んでいます(スマートキャンプ調べ)。
日本の導入状況:
- 導入率: 約40%(米国は80%と比較してまだ成長余地が大きい)
- 新規導入: 直近1年以内に導入した企業が半数近く
- 業種別: BtoB SaaS企業、IT・ソフトウェア企業を中心に普及
BtoBバイヤーの83%がデジタルチャネルを好む(2025年)
2025年のBtoB業界では、BtoBバイヤーの83%がデジタルチャネルでの注文や支払いを好むとされており、デジタルセールス(非対面営業)の重要性がさらに高まっています(Mazrica調べ)。
デジタルシフトの理由:
- 効率性: 移動時間がかからず、短時間で情報収集・意思決定が可能
- 柔軟性: オフィスにいなくても商談・発注が可能
- 透明性: デジタルチャネルでは価格・仕様が明確に提示される
非対面営業の基礎知識:種類と対面営業との違い
非対面営業の基本概念と、対面営業との違いを解説します。
非対面営業(インサイドセールス)とは何か
非対面営業は、顧客と直接対面せずに営業を行う手法で、「内勤営業」「インサイドセールス」とも呼ばれます。主なコミュニケーション手段は以下の通りです:
主なコミュニケーション手段:
- 電話: 初回コンタクト、簡単なヒアリング
- メール: 資料送付、フォローアップ
- Web会議ツール: オンライン商談、デモ実施(Zoom、Microsoft Teams、Google Meet等)
対面営業との違い:移動時間削減と商談数の増加
非対面営業と対面営業の主な違いは、移動時間の有無です。
対面営業:
- 移動時間: 1件あたり往復1-2時間
- 1日の商談数: 3-5社が一般的
- 強み: 対面でのコミュニケーションにより信頼関係を構築しやすい
非対面営業:
- 移動時間: なし
- 1日の商談数: 10-20件以上が可能
- 強み: 遠方・海外顧客との商談も容易、移動コスト削減
非対面営業のメリット:1日20件以上の商談が可能、遠方・海外顧客との商談容易
非対面営業の主なメリット:
効率性:
- 商談数の増加: 移動時間がかからないため、1日に20件以上の電話をかけることが容易
- 遠方・海外顧客: 物理的な距離を問わず商談が可能
コスト削減:
- 移動コスト: 交通費、宿泊費が不要
- 顧客獲得コスト(CAC): 移動コスト削減により、CACが低減
柔軟性:
- リモートワーク: 営業担当者がオフィスにいなくても営業活動が可能
- 顧客の都合に合わせやすい: 移動時間がかからないため、急な商談設定にも対応可能
非対面営業のデメリット:75.3%が対面より成功率が低いと感じる、信頼関係構築の難しさ
一方、非対面営業には以下のデメリットもあります:
成功率の課題:
- 75.3%が対面の方が成功率が高いと感じている(Manegy調べ)
- 対面と比較して、顧客の温度感が把握しづらい
- 信頼関係構築に時間がかかる
コミュニケーションの制約:
- 非言語コミュニケーションの欠如: 表情・身振り手振りが見えにくい(Webカメラをオンにすることで一部解決)
- 注意散漫: オンライン商談では見込み客の注意が散漫になりやすい
技術的課題:
- ツール・インターネット環境のトラブル: 通信障害、音声・映像の不具合が商談に影響
※ただし、90%がオンライン商談に不満を感じておらず、高い受容性があることも示されています(Manegy調べ)。
オンライン商談の成功法則:2025年のベストプラクティス
2025年のオンライン商談で成果を上げるためのベストプラクティスを解説します。
Webカメラを100%オンにして信頼関係を構築(アイレベル配置)
営業担当者はWebカメラを100%オンにして通話することで信頼関係を構築できます。特にアイレベルにカメラを配置すると効果的です(SPOTIO調べ)。
Webカメラ活用のポイント:
- 100%オン: 顔が見えることで信頼性が大幅に向上
- アイレベル配置: カメラを目の高さに設置し、自然な目線を実現
- 背景の整理: 専用ワークスペースを準備し、プロフェッショナルな印象を与える
専用ワークスペースと高品質カメラ・照明で信頼性を高める
専用のプロフェッショナルなワークスペースを準備し、高品質なWebカメラと照明を設置することで信頼性を高めます(SPOTIO調べ)。
設備投資のポイント:
- 高品質Webカメラ: HD(720p)以上の解像度
- 照明: リングライトや卓上ライトで顔を明るく照らす
- マイク: クリアな音声を届けるため、高品質なマイクを使用
- 背景: 無地の壁またはバーチャル背景で整理された印象
アクティブリスニング重視(見込み客の発言時間を長くする)
アクティブリスニングを重視し、営業担当者よりも見込み客の発言時間が長くなるよう心がけることで成功率が向上します(SPOTIO調べ)。
アクティブリスニングの実践:
- 聞く時間 > 話す時間: 営業担当者が話すのは30-40%、見込み客が60-70%が理想
- 質問の工夫: オープンエンドな質問(「どのような課題がありますか?」)で相手に話させる
- 相槌・要約: 相手の発言を要約し、理解を示す(「つまり〇〇ということですね」)
9分以内にピッチを制限し、ストーリーテリング・短い動画で注意をリセット
オンライン商談では9分以内にピッチを制限し、ストーリーテリングや短い動画、複数の話者を活用して見込み客の注意をリセットすることが重要です(SPOTIO調べ)。
注意維持のテクニック:
- 9分ルール: 9分ごとに話題を変え、見込み客の注意をリセット
- ストーリーテリング: 成功事例をストーリー形式で伝える
- 短い動画: 製品デモや顧客の声を1-2分の動画で紹介
- 複数の話者: 営業担当者とSE・導入支援担当を交代させ、変化をつける
複数の話者を活用して見込み客の関心を維持
複数の話者(営業担当者 + SE、営業担当者 + カスタマーサクセス等)を活用することで、見込み客の関心を維持できます。
複数話者の効果:
- 多様な視点: 営業視点と技術視点、導入後のサポート視点など、多角的に訴求
- 注意のリセット: 話者が変わることで、見込み客の注意が再び集中
- 専門性の訴求: 各分野の専門家が登場することで、信頼性が向上
オンライン商談ツールの比較:機能・料金・選び方
2025年時点で利用可能な主要オンライン商談ツールを比較します。
2025年のオンライン商談ツール市場(全25製品)
2025年時点で、オンライン商談ツールは全25製品以上が提供されており、BtoB企業の多様なニーズに対応しています(ITreview調べ)。
市場の特徴:
- 汎用型: Zoom、Microsoft Teams、Google Meet(Web会議全般に対応)
- 営業特化型: bellFace、V-CUBE、Meet in(営業活動に最適化された機能)
主要ツールの比較(Zoom、V-CUBE、bellFace、Meet in、Microsoft Teams、Google Meet)
主要なオンライン商談ツールの特徴を比較します:
Zoom:
- 強み: 高い普及率、安定した接続品質、豊富な機能
- 料金: 無料版あり、有料版は月額2,000円〜
- 適用場面: 汎用的なWeb会議、大規模なウェビナー
Microsoft Teams:
- 強み: Microsoft 365との統合、ビジネスチャット機能
- 料金: Microsoft 365ユーザーは追加費用なし
- 適用場面: Microsoft製品を利用中の企業
Google Meet:
- 強み: Google Workspaceとの統合、シンプルな操作性
- 料金: 無料版あり、Google Workspaceユーザーは追加費用なし
- 適用場面: Google Workspaceを利用中の企業
bellFace(ベルフェイス):
- 強み: 営業特化型、トークスクリプト表示、名刺交換機能
- 料金: 要問い合わせ(月額数万円〜)
- 適用場面: BtoB営業に特化した機能が必要な企業
V-CUBE:
- 強み: 高品質な映像・音声、セキュリティ対策
- 料金: 要問い合わせ(月額数万円〜)
- 適用場面: 大企業、セキュリティ要件が厳しい企業
Meet in(ミートイン):
- 強み: 営業支援機能、録画・文字起こし機能
- 料金: 要問い合わせ(月額数万円〜)
- 適用場面: 営業プロセスの可視化・改善を重視する企業
機能比較:録画機能、画面共有、名刺交換、トークスクリプト表示
主要ツールの機能比較:
録画機能:
- Zoom、Teams、Meet、bellFace、V-CUBE、Meet inすべてに搭載
- 商談後の振り返り、上司への報告、トレーニングに活用
画面共有:
- すべてのツールに搭載
- 資料提示、デモ実施に必須
名刺交換機能:
- bellFace、Meet inなど営業特化型ツールに搭載
- オンライン上で名刺情報を交換し、CRMに自動登録
トークスクリプト表示:
- bellFaceなど営業特化型ツールに搭載
- 営業担当者の画面にトークスクリプトを表示し、商談の進行をサポート
料金比較と無料版の有無
主要ツールの料金比較:
無料版あり:
- Zoom(40分/回の制限あり)
- Microsoft Teams(Microsoft 365ユーザーは追加費用なし)
- Google Meet(Google Workspaceユーザーは追加費用なし)
有料版:
- Zoom: 月額2,000円〜(ビジネス版)
- bellFace: 要問い合わせ(月額数万円〜)
- V-CUBE: 要問い合わせ(月額数万円〜)
- Meet in: 要問い合わせ(月額数万円〜)
※料金は執筆時点(2025年11月)の情報です。最新の料金は各社公式サイトをご確認ください。
選定基準:使いやすさ、機能、料金、既存ツールとの親和性
オンライン商談ツールを選定する際の基準:
使いやすさ:
- 営業担当者が直感的に操作できるか
- 顧客側の導入ハードルが低いか(アプリインストール不要等)
機能:
- 自社の営業プロセスに必要な機能が揃っているか(録画、名刺交換、トークスクリプト表示等)
料金:
- 初期費用・月額費用が予算内か
- 無料版で試せるか
既存ツールとの親和性:
- SFA/CRMとの連携が可能か
- Microsoft 365やGoogle Workspaceを利用中か
無料トライアルで実際に試し、営業チーム全体で使いやすさを確認が重要です。
ハイブリッドモデルの活用と運用上の注意点
2025年のトレンドであるハイブリッドモデル(デジタル + 対面)の活用方法と注意点を解説します。
2025年のトレンド:ハイブリッドモデル(デジタル + 対面)の普及
2025年のBtoB業界では、デジタルセールス(リモート)とフィールドセールス(対面)を組み合わせたハイブリッドモデルが注目されています(Mazrica調べ)。
ハイブリッドモデルの考え方:
- 初回接触〜商談設定: 非対面(インサイドセールス)
- 重要な商談: 対面(フィールドセールス)
- 受注後のフォローアップ: 非対面(カスタマーサクセス)
80%のB2B営業が少なくとも一部はデジタルチャネルで実施(2024年)
2024年時点で、80%のB2B営業インタラクションが少なくとも一部はデジタルチャネルで行われており、ハイブリッドセールスが新しい標準になっています(Mazrica調べ)。
デジタルチャネル活用の内訳:
- 初回接触: メール、LinkedIn等のSNS
- 情報提供: Webサイト、ウェビナー、ホワイトペーパー
- 商談: オンライン商談(平均オンライン商談率24.1%)
高額商談・複雑な取引での対面活用の重要性
75.3%が対面の方が成功率が高いと感じているため、高額商談や複雑な取引では対面との組み合わせ(ハイブリッドモデル)が推奨されます(Manegy調べ)。
対面を活用すべき場面:
- 高額商談: 数百万円〜数千万円の契約
- 複雑な取引: カスタマイズが必要な案件、複数部門が関与する案件
- 重要な顧客: 戦略的パートナーとなる可能性がある顧客
- 最終クロージング: 契約締結の最終段階
セールスオートメーションとAI活用で効率化
2025年にはセールスオートメーション(営業の自動化)の重要性が一層高まり、AIと自動化を活用した効率的な対応が求められています(Mazrica調べ)。
セールスオートメーションの活用例:
- リード自動振り分け: リードスコアに基づき、優先順位の高いリードを自動的に営業担当者に割り当て
- フォローメール自動送信: 商談後のお礼メール、資料送付を自動化
- AI文字起こし: オンライン商談の内容を自動で文字起こしし、重要ポイントを抽出
- 顧客リサーチ自動化: 企業情報・ニュース・SNS投稿をAIが収集し、アプローチのヒントを提供
ツール・インターネット環境のトラブル対策(事前テストと予備手段)
ツールやインターネット環境のトラブルが商談に影響する可能性があるため、事前のテストと予備手段の準備が重要です。
トラブル対策:
- 事前テスト: 商談の15分前に接続テストを実施
- 予備手段: メインツールに問題が発生した場合、別のツール(ZoomがダメならTeams)に切り替え
- 電話番号共有: インターネット接続が完全に途切れた場合、電話で継続
- 資料の事前送付: 画面共有ができない場合に備え、資料をメールで事前送付
まとめ:効果的な非対面営業実践のポイント
非対面営業を効果的に実践するには、ツール活用とコミュニケーション手法の両面での工夫が必要です。
非対面営業の基礎:
- 移動時間がかからず、1日20件以上の商談が可能
- 2024年時点で世界市場規模71億8,000万米ドル、日本の導入率40%
- 75.3%が対面の方が成功率が高いと感じているが、90%がオンライン商談に不満を感じていない
2025年のベストプラクティス:
- Webカメラを100%オンにして信頼関係を構築(アイレベル配置)
- 専用ワークスペースと高品質カメラ・照明で信頼性を高める
- アクティブリスニング重視(見込み客の発言時間を長くする)
- 9分以内にピッチを制限し、ストーリーテリング・短い動画で注意をリセット
ツール選定:
- Zoom、Teams、Google Meet(汎用型)
- bellFace、V-CUBE、Meet in(営業特化型)
- 機能、料金、使いやすさ、既存ツールとの親和性で選定
- 無料トライアルで実際に試す
ハイブリッドモデル:
- 初回接触〜商談設定は非対面、重要な商談は対面
- 高額商談・複雑な取引では対面を活用
- セールスオートメーションとAI活用で効率化
次のアクション:
- 現在の営業プロセスを整理し、非対面で実施可能な範囲を特定する
- オンライン商談ツールを比較検討し、無料トライアルで試す
- Webカメラ・照明・マイクなど設備投資を検討する
- 営業チーム全体で2025年のベストプラクティスを共有し、トレーニングを実施する
- ハイブリッドモデルの運用ルールを策定する(どの場面で対面、どの場面で非対面)
自社に合った非対面営業の実践で、営業効率化と成約率向上を実現しましょう。
