レコメンドとは?仕組み・種類・BtoB活用事例をわかりやすく解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/18

「この記事もおすすめ」を見て、興味のある情報が見つかったことはありませんか?

Webサイトやアプリで「あなたにおすすめ」「この商品もチェック」といったレコメンド機能を目にすることが増えました。ECサイトでの購入提案だけでなく、BtoB企業のWebサイトやSaaS製品でも活用が広がっています。

この記事では、レコメンドの基本的な仕組みから主要アルゴリズム、BtoB企業における活用シーン、導入時の注意点まで実践的に解説します。

この記事のポイント:

  • レコメンドはユーザーの行動履歴や嗜好に基づいて興味のある情報を推薦する機能
  • 協調フィルタリング、コンテンツベース、ハイブリッドなど複数のアルゴリズムがある
  • BtoB企業では関連記事推薦、製品提案、ナーチャリングで活用されている
  • 導入には最低100点以上の商品数が目安、データ蓄積期間も考慮が必要
  • コールドスタート問題や少カバー率問題への対策が重要

1. なぜレコメンドが重要なのか

(1) 顧客体験向上とクロスセル・アップセル

レコメンドは、ユーザーが求める情報や商品を適切なタイミングで提案することで、顧客体験を向上させます。ECサイトでは、購入した商品に関連する商品を提案することで、クロスセル(関連商品の追加購入)やアップセル(より高額な商品への誘導)を促進します。

具体的な効果:

  • サイト内回遊率の向上
  • 購入単価の向上
  • 顧客満足度の向上

(2) 情報過多時代における「発見」の支援

インターネット上には膨大な情報が溢れており、ユーザーが自力で最適な情報を見つけるのは困難です。レコメンドは、ユーザーの行動履歴や嗜好を分析し、「次に興味を持ちそうな情報」を自動的に提案することで、情報の「発見」を支援します。

(3) BtoC・BtoB両方で活用が拡大

レコメンドは、当初ECサイトを中心にBtoC領域で普及しましたが、近年はBtoB企業でも活用が広がっています。Webサイトでの関連記事推薦、SaaS製品内での機能提案、MA/CRMツールでの顧客提案など、幅広い場面で活用されています。

2. レコメンドとは?基本的な仕組みを理解する

(1) レコメンドの定義

レコメンド(Recommend)とは、ユーザーの行動履歴や嗜好に基づいて、興味を持ちそうな商品やコンテンツを推薦する機能です。

※出典:総務省統計局「レコメンド機能

主な活用場面:

  • ECサイト:「この商品を買った人はこんな商品も買っています」
  • 動画配信サービス:「あなたにおすすめの動画」
  • Webサイト:「関連記事」「おすすめ記事」
  • SaaS製品:「次に使うべき機能」

(2) レコメンドの3つのプロセス(情報収集・モデル化・マッチング)

レコメンドエンジンは、以下の3つのプロセスで動作します。

1. 情報収集 ユーザーの行動データ(閲覧履歴、購入履歴、評価など)を収集します。

2. モデル化 収集したデータを分析し、ユーザーの嗜好や商品の特徴をモデル化します。統計学や機械学習の手法を用います。

3. マッチング モデル化したデータに基づいて、ユーザーに最適な商品やコンテンツを提案します。

※出典:SILVER EGG TECHNOLOGY「レコメンドとは?基本の仕組み・活用・導入方法

(3) 従来の検索との違い

従来の検索は、ユーザーが明示的にキーワードを入力して情報を探す「プル型」のアプローチです。一方、レコメンドは、ユーザーの行動履歴を分析して自動的に情報を提案する「プッシュ型」のアプローチです。

検索とレコメンドの違い:

  • 検索:ユーザーが明確なニーズを持っている場合に有効
  • レコメンド:ユーザーが潜在的に興味を持つ情報を「発見」させる

3. 主要なレコメンドアルゴリズムの種類

(1) ルールベースフィルタリング

あらかじめ設定したルールに基づいてレコメンドを行う方法です。最もシンプルで理解しやすいアルゴリズムです。

例:

  • 「商品Aを購入したら商品Bを推薦」
  • 「新着記事を優先的に表示」
  • 「閲覧数の多い記事を推薦」

メリット:

  • 実装が容易
  • 結果が予測しやすい

デメリット:

  • ユーザーの個別の嗜好に対応できない
  • パーソナライズされていない

(2) コンテンツベースフィルタリング

商品やコンテンツの属性(カテゴリ、タグ、キーワードなど)の類似性に基づいてレコメンドを行う方法です。

例:

  • 「マーケティング」カテゴリの記事を閲覧したユーザーに、同じカテゴリの他の記事を推薦
  • 「赤いドレス」を閲覧したユーザーに、「赤い」または「ドレス」の商品を推薦

メリット:

  • ユーザーの過去の嗜好に基づいて推薦できる
  • 新商品でも属性が定義されていれば推薦可能

デメリット:

  • ユーザーの嗜好の幅を広げることが難しい(既知の興味範囲に限定される)

(3) 協調フィルタリング(ユーザーベース・アイテムベース)

ユーザーやアイテムの類似性を分析してレコメンドを行う方法です。最も一般的なアルゴリズムとして広く採用されています。

ユーザーベース協調フィルタリング: 「あなたに似たユーザーが好んだ商品」を推薦する方法です。

例:

  • ユーザーAとユーザーBが過去に同じ商品を購入している
  • ユーザーAが購入していない商品Xをユーザー��が購入している
  • ユーザーAに商品Xを推薦する

アイテムベース協調フィルタリング: 「あなたが閲覧・購入した商品に似た商品」を推薦する方法です。

例:

  • 商品Aと商品Bを一緒に購入するユーザーが多い
  • 商品Aを購入したユーザーに商品Bを推薦する

メリット:

  • パーソナライズされた推薦が可能
  • ユーザーの嗜好の幅を広げることができる

デメリット:

  • 大量のデータが必要
  • コールドスタート問題(導入初期のデータ不足)

※出典:GENIEE SEARCH「レコメンドシステムとは?7種類のアルゴリズムと選び方を解説

(4) ハイブリッドフィルタリング

複数のアルゴリズムを組み合わせてレコメンドを行う方法です。各アルゴリズムの長所を活かし、短所を補完します。

例:

  • コンテンツベースと協調フィルタリングを組み合わせる
  • 導入初期はルールベース、データが蓄積したら協調フィルタリングに切り替える

メリット:

  • より精度の高いレコメンドが可能
  • コールドスタート問題への対策になる

(5) アルゴリズムの選び方

アルゴリズムの選択は、以下の要素を考慮して決定します:

データ量:

  • データが少ない場合:ルールベース、コンテンツベース
  • データが豊富な場合:協調フィルタリング、ハイブリッド

商品・コンテンツの特性:

  • 属性が明確な場合:コンテンツベース
  • 購入・閲覧データが豊富な場合:協調フィルタリング

目的:

  • 類似商品を推薦:コンテンツベース
  • 意外性のある推薦:協調フィルタリング

4. BtoB企業におけるレコメンド活用シーン

(1) Webサイト・オウンドメディアでの関連記事推薦

BtoB企業のWebサイトやオウンドメディアでは、「関連記事」「おすすめ記事」としてレコメンドを活用します。

効果:

  • サイト内回遊率の向上(直帰率の低下)
  • 滞在時間の延長
  • SEO評価の向上

実装方法:

  • コンテンツベース:同じカテゴリ・タグの記事を推薦
  • 協調フィルタリング:「この記事を読んだ人はこの記事も読んでいます」

(2) SaaS製品内での機能・コンテンツ提案

SaaS製品では、ユーザーの利用状況に基づいて「次に使うべき機能」や「役立つコンテンツ」を提案します。

効果:

  • 機能の利用率向上
  • ユーザーのオンボーディング支援
  • 解約率の低下

例:

  • 「このレポートを作成したユーザーは、ダッシュボード機能も利用しています」
  • 「次はこのチュートリアル動画をご覧ください」

(3) MA・SFA/CRMでの製品提案・ナーチャリング

MA(マーケティングオートメーション)やSFA/CRM(営業支援・顧客管理)ツールでは、顧客の行動履歴に基づいて最適な製品やコンテンツを提案します。

効果:

  • 提案精度の向上
  • 営業効率の向上
  • クロスセル・アップセルの促進

事例: 大手IT企業では、自社開発のAIレコメンド機能を搭載した社内SFA/CRMシステムを刷新した事例があります(2024年)。営業担当者が顧客に最適な製品を提案できるようになり、営業効率が向上しています。

(4) カスタマーサクセスでの情報提供最適化

カスタマーサクセスチームは、顧客の利用状況に基づいて最適なサポート情報やトレーニング資料を提案できます。

効果:

  • 顧客満足度の向上
  • サポート問い合わせの削減
  • 製品の活用度向上

5. レコメンドエンジンの導入方法と注意点

(1) ASP型とオープンソース型の選択

レコメンドエンジンの導入方法には、ASP型(クラウドサービス)とオープンソース型(自社構築)の2つがあります。

ASP型の特徴:

  • 初期コストが低く、導入が早い
  • 専門知識不要で運用できる
  • 月額料金が継続的に発生

オープンソース型の特徴:

  • 長期的にはコストを抑えられる
  • カスタマイズの自由度が高い
  • 専門人材の確保が必須

選び方: 自社のリソース(エンジニアの有無、予算)と長期的なコスト試算を比較検討してください。

※出典:Web幹事「【比較】おすすめのレコメンドエンジン9選|サイト規模別に選び方を解説」(2025年)

(2) 導入の目安(商品数・データ量)

レコメンドエンジンを効果的に活用するには、最低100点以上の商品数が目安となります。

データ量の目安:

  • 商品数:100点以上(協調フィルタリングを活用する場合は300点以上が理想)
  • ユーザー数:月間1,000人以上
  • 行動データ:数ヶ月分の閲覧・購入履歴

(3) コールドスタート問題への対策

コールドスタート問題とは、導入直後はデータが不足しているため、最適なレコメンドが難しい課題です。

対策:

  • 初期はルールベースを併用:人気商品や新着商品を推薦
  • 外部データの活用:類似サービスのデータを参考にする
  • 段階的な導入:データが蓄積してから協調フィルタリングに移行

※出典:BOXIL Magazine「レコメンドエンジンの仕組みとは?導入のメリットや注意点・サービス紹介

(4) 少カバー率問題への対策

少カバー率問題とは、閲覧数や購入数が少ない商品はレコメンドされにくく、ニッチな商品を求めるユーザーに届かない課題です。

対策:

  • 新着商品を優先表示:データが蓄積される前に露出を増やす
  • 多様性の確保:人気商品だけでなく、幅広い商品を推薦
  • 編集者による手動推薦:アルゴリズムだけに頼らず、編集者が選んだ商品も表示

(5) 導入コストと長期的な運用体制

ASP型の月額料金:

  • 小規模サイト:月額数万円〜
  • 中規模サイト:月額10〜30万円
  • 大規模サイト:月額50万円以上

オープンソース型の初期コスト:

  • 開発費:数百万円〜
  • サーバー費用:月額数万円〜
  • 運用・保守費用:年間数十万円〜

運用体制:

  • データ分析担当者:レコメンドの効果測定・改善
  • エンジニア:システムの保守・アップデート(オープンソース型の場合)
  • ビジネス担当者:目的・KPIの設定

※この記事は2025年12月時点の情報です。最新の料金や機能については、各サービスの公式サイトをご確認ください。

※出典:LISKUL「【2025年最新版】レコメンドエンジンおすすめ17選を比較!選び方も紹介」(2025年)

6. まとめ:レコメンド導入で顧客体験を向上させるには

レコメンドは、ユーザーの行動履歴や嗜好に基づいて興味のある情報を推薦する機能です。BtoB企業でも、Webサイトでの関連記事推薦、SaaS製品内での機能提案、MA/CRMツールでの顧客提案など、幅広い場面で活用できます。

導入には最低100点以上の商品数が目安であり、コールドスタート問題や少カバー率問題への対策も重要です。ASP型とオープンソース型のどちらを選ぶかは、自社のリソースと長期的なコスト試算を比較検討してください。

次のアクション:

  • 自社のWebサイトやSaaS製品でレコメンドを活用できる場面を洗い出す
  • 商品数・ユーザー数・データ量を確認し、導入の目安をクリアしているか確認する
  • ASP型とオープンソース型のコストを比較し、最適な導入方法を選択する
  • 段階的に導入し、データが蓄積してからアルゴリズムを高度化する

レコメンド機能を効果的に活用し、顧客体験の向上とビジネス成果の最大化を目指しましょう。

よくある質問

Q1レコメンドとは何ですか?

A1ユーザーの行動履歴や嗜好に基づいて、興味を持ちそうな商品やコンテンツを推薦する機能です。ECサイトだけでなく、BtoB企業のWebサイト・SaaS製品・MA/CRMツールなど幅広く活用されています。

Q2レコメンドの主なアルゴリズムは何ですか?

A2主なアルゴリズムは、ルールベース、コンテンツベース、協調フィルタリング、ハイブリッドの4種類です。最も一般的なのは協調フィルタリングで、ユーザーやアイテムの類似性を分析してレコメンドを行います。

Q3レコメンド導入の目安は何ですか?

A3最低100点以上の商品数が目安です。導入初期はデータが不足するため的外れなレコメンドが表示される可能性があります。データ蓄積期間を考慮し、段階的な導入を推奨します。

Q4コールドスタート問題とは何ですか?

A4導入直後はデータが不足しているため、最適なレコメンドが難しい課題です。対策として、初期はルールベースのレコメンドを併用し、データが蓄積してから協調フィルタリングに移行する方法が有効です。

Q5ASP型とオープンソース型のどちらを選ぶべきですか?

A5ASP型は初期コストが低く導入が早いですが、月額料金が継続的に発生します。オープンソース型は長期的にはコストを抑えられますが、専門人材の確保が必須です。自社のリソースと長期的なコスト試算を比較検討してください。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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