Pardotトラッキング完全ガイド|設定方法と活用のベストプラクティス

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

Pardotで顧客の行動を追跡できていますか?

Account Engagement(旧Pardot)を導入している企業の多くが、「見込み顧客がどのページを閲覧しているか分からない」「トラッキングが正常に動作しない」という課題に直面しています。実際、トラッキングコードの設定ミスや、Cookie規制への対応不足により、貴重なデータを取りこぼしているケースは少なくありません。

この記事では、Pardotトラッキングの仕組み、トラッキングコードの取得・設置方法、Cookie規制への対応、トラブルシューティングまでを詳しく解説します。

この記事のポイント:

  • Pardotトラッキングは見込み顧客の行動(ページ閲覧、訪問頻度)を追跡する仕組み
  • Cookieでビジターを識別し、visitor_idを付与してアクティビティを記録
  • トラッキングコードは「Website Tracking」キャンペーンから取得し、Googleタグマネージャーで一括設置可能
  • ファーストパーティとサードパーティの両方を併用してCookie規制に対応
  • visitor_id未付与、Cookieブロック、実装ミスが主なトラブル原因

Pardotトラッキングの基礎知識

(1) トラッキングコード(測定タグ)とは

トラッキングコードは、Webサイトに設置することで、訪問者の行動を追跡・計測するコードです。Account Engagement(旧Pardot)のトラッキングコードは、自社サイトを訪れた見込み顧客のアクティビティを追跡するために使用され、Google Analyticsに似た測定タグの役割を果たします。

追跡できる情報:

  • ページ閲覧履歴: どのページを閲覧したか
  • 訪問頻度: サイトにどのくらいの頻度で訪問したか
  • 滞在時間: 各ページでどれだけ時間を過ごしたか
  • リファラー情報: どこから流入したか(検索エンジン、SNS、広告等)

活用方法:

  • リードスコアリング: 行動に基づいてスコアを付与し、ホットリード(購買意欲の高い見込み客)を抽出
  • Salesforce連携: 営業担当者が顧客の関心度を事前に把握し、適切なタイミングでアプローチ
  • レポート作成: どのコンテンツが効果的かを分析し、マーケティング戦略を最適化

(2) Cookieによるビジター識別の仕組み

Account Engagementは、Cookieを使用して訪問者を識別します。Cookieにはvisitor_idというユニーク識別子が記憶されます。

仕組み:

  1. 訪問者が初めてサイトを訪れると、トラッキングコードがvisitor_idを生成し、Cookieに保存
  2. 再訪問時には、Cookieに保存されたvisitor_idを読み取り、同一ビジターとして認識
  3. ビジターの行動履歴(ページ閲覧、ダウンロード等)が蓄積される

重要な注意点:

  • visitor_idは個人を特定する情報ではなく、単なるユニーク識別子
  • Cookieをブロックする拡張機能が有効な場合、トラッキングが動作しない
  • EU圏内ではGDPR対応として、Cookieを取得する前にサイト訪問者に明示的に許可を求めるトラッキングオプトインの表示が義務化

(3) ビジターからプロスペクトへの変換

Account Engagementでは、訪問者の状態を以下のように区別します:

状態 定義 識別方法
ビジター(Visitor) まだ個人情報が紐付いていない匿名の訪問者 visitor_idのみ
プロスペクト(Prospect) メールアドレスや氏名などの個人情報が紐付いた見込み顧客 visitor_id + 個人情報

ビジターからプロスペクトへの変換:

  • フォーム送信(資料ダウンロード、問い合わせ等)で個人情報を取得
  • メールリンクのクリックでメールアドレスと紐付け
  • 営業担当者が手動で情報を追加

プロスペクトになると、個人情報とアクティビティ履歴が統合され、より詳細な分析が可能になります。

Pardot(Account Engagement)トラッキングの重要性

Pardotトラッキングが重要とされる背景には、以下のような課題があります:

BtoB購買プロセスの変化:

  • 購買意思決定の70-80%が営業接触前に完了
  • 顧客は自らWebサイトで情報収集し、比較検討
  • 営業担当者が知らない間に競合比較が進んでいる

見込み客の優先度判断:

  • すべての見込み客に同じリソースを割けない
  • トラッキングデータで購買意欲を判定し、ホットリードに集中
  • スコアリングで効率的にリード育成

マーケティングROIの可視化:

  • どのコンテンツが効果的かをデータで判断
  • 無駄な施策を削減し、効果の高い施策に投資
  • A/Bテストで継続的に改善

トラッキングが正常に動作しないと、これらのメリットを享受できず、マーケティング活動の効果が大幅に低下します。

トラッキングコードの取得と設置方法

(1) トラッキングコードの取得手順(Website Trackingキャンペーン)

トラッキングコードを取得するには、まずAccount Engagementでキャンペーンを作成する必要があります。ただし、デフォルトで「Website Tracking」キャンペーンが作成されているため、新規作成は不要です。

取得手順:

  1. Account Engagementにログイン
  2. [マーケティング] → [キャンペーン] に移動
  3. 「Website Tracking」 キャンペーンを選択
  4. [トラッキングコードを表示] をクリック
  5. 表示されたコードをコピー

注意点:

  • キャンペーンごとに一意のコードが生成される
  • 複数のキャンペーンを使い分ける場合は、それぞれのコードを取得

(2) Webサイトへの直接設置方法

設置場所:

  • トラッキングコードは、計測対象のすべてのページの**タグの直前**に設置

設置手順:

  1. Webサイトのソースコードを編集
  2. 取得したトラッキングコードをタグの直前に貼り付け
  3. すべてのページに同じコードを設置

注意点:

  • 改行の位置に注意: 不適切な場所に改行が入っていると、トラッキングが動作しない
  • 実装後は必ず動作確認: トラッキングコードがWebページのソースに存在するか確認

(3) Googleタグマネージャーを使用した設置方法

Googleタグマネージャー(GTM)を使用すると、計測対象のすべてのページに一括でトラッキングコードを設置できます。

設置手順:

  1. Googleタグマネージャーにログイン
  2. [タグ] → [新規] をクリック
  3. タグの種類: 「カスタムHTML」を選択
  4. HTML: 取得したトラッキングコードを貼り付け
  5. トリガー: 「All Pages」を選択(すべてのページで発火)
  6. 保存して公開

メリット:

  • 一括設置で作業効率化
  • ソースコード編集不要
  • タグの追加・変更が容易

ファーストパーティとサードパーティトラッキング

(1) ファーストパーティCookieとサードパーティCookieの違い

Account Engagementが扱うCookieには、以下の2種類があります:

ファーストパーティCookie:

  • 定義: 訪問しているWebサイトのドメインが直接発行するCookie
  • 用途: Webトラッキングの目的(ページ閲覧、訪問頻度)
  • リリース: 2021年2月に正式リリース
  • メリット: ブラウザのプライバシー保護機能の影響を受けにくい

サードパーティCookie:

  • 定義: 訪問しているWebサイト以外のドメインが発行するCookie
  • 用途: その他の目的(メールリンククリック追跡等)
  • 課題: プライバシー保護の観点から制限される傾向

(2) Cookie規制の最新動向(2024年のサードパーティCookie廃止)

Googleの発表:

  • 2023年12月: プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieをChromeで2024年末までに廃止すると発表
  • 2024年4月: 3回目の延期が行われ、正確な廃止時期は未定
  • 2024年1月4日: Chrome利用者の1%に対してサードパーティCookie制限のテストを開始(段階的に廃止準備)

サードパーティCookieの現状:

  • 既に多くのシナリオで動作しないケースが存在
  • SafariやFirefoxは既にサードパーティCookieをデフォルトでブロック

影響:

  • サードパーティトラッキングのみに依存していると、トラッキングが機能しなくなる可能性
  • ファーストパーティトラッキングへの移行が推奨

(3) 両方を併用するメリットと推奨設定

推奨設定:

  • ファーストパーティトラッキングとサードパーティトラッキングの両方を使用することで、以下のメリットが得られます:

メリット:

  • Cookie規制への対応: サードパーティCookie廃止後もトラッキングを継続
  • カバー範囲の拡大: 一方が動作しない環境でも、もう一方で補完
  • データの信頼性向上: 複数の手段でトラッキングすることで、データの正確性を確保

設定方法:

  • Account Engagementの設定画面で、ファーストパーティトラッキングを有効化
  • 既存のサードパーティトラッキングコードも維持
  • 両方が並行して動作するように設定

※Cookie規制は国・地域により異なり、今後も変動する可能性があります。最新情報はGoogleの公式発表をご確認ください。

トラッキングが正常に動作しない場合の対処法

(1) visitor_idが付与されない原因(トラッキングオプトイン設定)

問題:

  • トラッキングオプトイン設定機能が意図せずに設定されている場合、デフォルトではvisitor_idが付与されない

トラッキングオプトインとは:

  • Cookieを取得して良いかどうか、サイト訪問者に明示的に許可を求める機能
  • EU圏内ではGDPR対応として表示が義務化

対処法:

  • トラッキングオプトイン設定を確認
  • EU圏外で運用する場合は、設定をオフにすることで即座にvisitor_idが割り当てられる
  • EU圏内で運用する場合は、トラッキングオプトインを表示し、ユーザーの同意を得る

(2) Cookieブロック拡張機能の確認

問題:

  • ブラウザのCookieブロック拡張機能が有効になっていると、PardotのCookieが正常に機能しない

対処法:

  • ブラウザの拡張機能を確認し、Cookieブロック機能を無効化
  • プライベートブラウジングモード(シークレットモード)でトラッキングが動作するか確認
  • 別のブラウザでテスト

(3) トラッキングコードの実装ミス(改行・ソース確認)

問題:

  • トラッキングコードがWebページのソースに存在しない
  • 改行が不適切な場所に入っている

対処法:

  1. ソースコードを確認:

    • ブラウザで右クリック → 「ページのソースを表示」
    • Ctrl+F(Windows)またはCmd+F(Mac)で「pardot」や「pi.pardot.com」を検索
    • トラッキングコードが存在するか確認
  2. 改行の位置を確認:

    • トラッキングコードをコピー&ペーストする際、余分な改行が入っていないか確認
    • 元のコードと比較し、不要な改行を削除
  3. Googleタグマネージャーの設定確認:

    • タグが公開されているか確認
    • トリガーが「All Pages」に設定されているか確認
    • プレビューモードで正常に発火しているか確認

動作確認方法:

  • ブラウザの開発者ツール(F12)を開き、「Network」タブで「pi.pardot.com」へのリクエストが送信されているか確認
  • visitor_idがCookieに保存されているか確認(「Application」タブ → 「Cookies」)

まとめ:効果的なPardotトラッキング活用のために

Pardotトラッキングは、見込み顧客の行動を追跡し、ホットリードを抽出するための重要な機能です。一方、トラッキングコードの設定ミス、Cookie規制への対応不足、visitor_id未付与などのトラブルが発生しやすいため、正しい設定と動作確認が不可欠です。

設定のチェックリスト:

  • ✅ トラッキングコードを「Website Tracking」キャンペーンから取得
  • ✅ Googleタグマネージャーで一括設置(トリガー「All Pages」)
  • ✅ ファーストパーティとサードパーティの両方を併用
  • ✅ トラッキングオプトイン設定を確認(EU圏外ならオフ、EU圏内なら表示)
  • ✅ Cookieブロック拡張機能を無効化
  • ✅ トラッキングコードがソースに存在するか確認
  • ✅ 改行の位置を確認(余分な改行を削除)
  • ✅ visitor_idがCookieに保存されているか確認

次のアクション:

  • トラッキングコードを取得し、Googleタグマネージャーで設置
  • ファーストパーティトラッキングを有効化
  • トラッキングが正常に動作しているか確認(開発者ツールでリクエスト確認)
  • visitor_idが付与されているか確認(Cookieを確認)
  • EU圏内で運用する場合は、トラッキングオプトインを表示してGDPR対応
  • Cookie規制の最新情報をGoogleの公式発表で定期的に確認

2024年のCookie規制の動向を注視し、ファーストパーティトラッキングとサードパーティトラッキングの両方を併用することで、規制の影響を最小化してください。トラッキングデータを活用し、効果的なリード育成と営業連携を実現しましょう。

※この記事の情報は2025年11月時点のものです。Cookie規制やAccount Engagementの機能は変更される可能性があるため、最新情報はSalesforce公式サイトおよびGoogleの公式発表をご確認ください。

よくある質問

Q1Pardotトラッキングとは何か?

A1Account Engagement(旧Pardot)のトラッキングコードは、自社サイトを訪れた見込み顧客のアクティビティ(どのページを閲覧したか、サイトにどのくらいの頻度で訪問したか等)を追跡するためのコードです。Google Analyticsに似た測定タグの役割を果たします。

Q2トラッキングができない主な原因は?

A2トラッキングオプトイン設定によりvisitor_idが付与されない、Cookieブロック拡張機能が有効、トラッキングコードの実装ミス(改行の位置など)が主な原因です。設定を確認し、実装後は必ず動作確認を行うことが重要です。

Q3Cookie規制の影響はどうなっているか?

A3Googleが2024年末までにサードパーティCookieを廃止予定(2024年4月に3回目の延期)です。ファーストパーティトラッキング(2021年2月リリース)とサードパーティトラッキングの両方を併用することで、規制の影響を最小化できます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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