Pardotのリストを使いこなしたいが、種類や使い分けがよく分からない...
「Pardotでリストを作成したいけれど、スタティックとダイナミックの違いが分からない」「どのようにリストを使い分ければいいのか」といった疑問をお持ちのマーケティング担当者は多いのではないでしょうか。Pardot(現Account Engagement)のリスト機能は、見込み顧客のセグメンテーションやメール配信の効率化に欠かせない機能ですが、適切に使いこなすには基礎知識と実践的なノウハウが必要です。
この記事では、Pardotのリスト機能の基本から、スタティックリスト・ダイナミックリストの使い分け、作成手順、実務での活用シーンまで、実践的なポイントを解説します。
この記事のポイント:
- Pardotのリストはスタティックリスト(固定)とダイナミックリスト(自動更新)の2種類がある
- 約80%をダイナミックリスト、残り20%をスタティックリストで作成する運用が効果的
- リストタイプ(スタティック/ダイナミック)は後から変更できないため、作成時に慎重に選択する
- ダイナミックリストは設定条件に基づいてプロスペクトが自動で追加・削除される
- リストを削除してもプロスペクト本体は削除されない
Pardotリスト機能の重要性とマーケティング活動での役割
Pardotのリスト機能は、B2Bマーケティング活動における見込み顧客管理の中核です。
(1) セグメンテーションとメール配信の効率化
リスト機能の役割:
- 見込み顧客(プロスペクト)を特定の条件でグループ化
- セグメント別のメール配信(コンテンツ最適化)
- 営業担当者へのホットリード共有
- マーケティング施策の効果測定
リスト機能がない場合の課題:
- 全プロスペクトに同じメールを送信し、開封率・クリック率が低下
- ホットリードの抽出が手動で非効率
- 営業とマーケティングのリード情報共有が煩雑
リスト機能の活用メリット:
- スコアや行動履歴に応じたターゲティングメール配信
- 条件に基づくプロスペクトの自動抽出
- Salesforceとの連携で営業への自動引き渡し
(2) Account Engagement(旧Pardot)の位置づけ
Pardotは2022年に「Marketing Cloud Account Engagement」にリブランドされましたが、実務では引き続き「Pardot」と呼ばれることが一般的です。
製品の位置づけ:
- SalesforceのB2B向けマーケティングオートメーション(MA)ツール
- Salesforce CRM/SFAとシームレスに連携
- 中堅〜大手企業を中心に導入が進んでいる
料金プラン(2024年時点):
- ADVANCEDプラン:月額48万円(最も人気、Pardot Einstein機能を含む)
- PREMIUMプラン:月額66万円(ABM機能等を含む)
※最新の料金・機能は公式サイトをご確認ください。
Pardotのリスト機能の基礎知識
リスト機能の基本概念を整理します。
(1) Pardotのリストとは何か
リストの定義: Pardotのリストは、プロスペクト(見込み顧客)を特定の条件でグループ化するための機能です。
主な用途:
- セグメント別メール配信
- オートメーションルールのターゲット指定
- 営業担当者へのホットリード共有
- レポート・効果測定
リストとプロスペクトの関係:
- リストはプロスペクトをグループ化するもの
- 1つのプロスペクトは複数のリストに所属可能
- リストを削除してもプロスペクト本体は削除されない
(2) リストの種類(スタティック・ダイナミック)の概要
Pardotのリストには以下の2種類があります:
スタティックリスト(静的リスト):
- 手動でプロスペクトを追加・削除する固定的なリスト
- 作成後にプロスペクトは自動で増減しない
- 例:「展示会A参加者リスト」「セミナーB申込者リスト」
ダイナミックリスト(動的リスト):
- 設定した条件に基づいてプロスペクトが自動で追加・削除されるリスト
- 条件に合致すれば自動でリストに追加、合致しなくなれば削除
- 例:「スコア100点以上のプロスペクト」「過去30日以内に資料ダウンロードしたプロスペクト」
(3) セグメンテーションルールとの違い
Pardotには「リスト」と「セグメンテーションルール」という類似機能がありますが、用途が異なります:
リスト:
- プロスペクトをグループ化するためのもの
- メール配信のターゲット指定、営業共有等に利用
- 複数のリストに同時に所属可能
セグメンテーションルール:
- オートメーションルールでアクションを実行する際の条件指定に利用
- 例:「特定のセグメントに該当したらスコアを加算」
リストの方が汎用的で、実務では主にリスト機能を使うケースが多いと言われています。
(4) Salesforceとの連携(CRM参照可能機能)
Pardotのリストは、Salesforceと連携して活用できます。
「CRM参照可能」機能:
- リスト作成時に「CRM参照可能」を有効にすると、営業担当がSalesforceからリストを編集できるようになる
- マーケティング部門が作成したホットリードリストを営業部門が参照・活用できる
- リードの営業へのスムーズな引き渡しが実現
連携のメリット:
- マーケティング・営業間のリード情報共有が効率化
- 営業担当者はSalesforce上でリストを確認し、架電・訪問計画を立てられる
- リードの商談化率・受注率を向上
スタティックリストとダイナミックリストの使い分け
2種類のリストを適切に使い分けることが、効率的なリスト運用の鍵です。
(1) スタティックリスト(静的リスト)の特徴と使い所
スタティックリストの特徴:
- 手動でプロスペクトを追加・削除
- 作成後にプロスペクトは自動で増減しない
- リスト作成時に条件を指定しない(手動追加のみ)
スタティックリストが適するケース:
- プロスペクトの状況が変動しないデータ
- 例:問い合わせフォーム通過者、展示会参加者、セミナー申込者
- 一時的なキャンペーン対象者
- 例:「12月限定キャンペーン対象者リスト」
- 営業担当者が個別に選定したプロスペクト
- 例:「重要顧客候補リスト」
スタティックリストのメリット:
- リスト内容を完全にコントロールできる
- 条件設定が不要で、直感的に作成できる
スタティックリストのデメリット:
- 作成後の精査が手動になるため、運用負荷が高い
- プロスペクトの状況変化に応じた自動更新ができない
(2) ダイナミックリスト(動的リスト)の特徴と使い所
ダイナミックリストの特徴:
- 設定した条件に基づいてプロスペクトが自動で追加・削除
- 条件に合致すれば自動でリストに追加、合致しなくなれば削除
- 手動でのプロスペクトの追加・削除はできない
ダイナミックリストが適するケース:
- プロスペクトの状況が頻繁に変更されるデータ
- 例:「スコア100点以上のホットリード」「過去30日以内にWebサイトを訪問したプロスペクト」
- 継続的なセグメンテーションが必要なケース
- 例:「役職が部長以上のプロスペクト」「特定業種のプロスペクト」
- 常に最新の状態を維持したいリスト
- 例:「メール開封率が高いプロスペクト」「資料ダウンロード未実施のプロスペクト」
ダイナミックリストのメリット:
- 条件に基づく自動更新で運用負荷が低い
- プロスペクトの状況変化にリアルタイムで対応
- スコアリングと組み合わせて、ホットリードの自動抽出が可能
ダイナミックリストのデメリット:
- 手動でのプロスペクトの追加・削除ができない
- 条件設定を誤るとリストが想定外の内容になる
(3) 運用の黄金比率(ダイナミック80%:スタティック20%)
実務では以下の比率で運用するのが効果的と言われています:
推奨される運用比率:
- ダイナミックリスト:約80%
- スタティックリスト:約20%
この比率が推奨される理由:
- ダイナミックリストは自動更新されるため、運用負荷が低い
- スタティックリストは手動管理が必要で、数が多いと運用が煩雑
- プロスペクトの状況変化に応じて自動でリストが更新されることで、常に最新の状態を維持できる
運用のポイント:
- まずはダイナミックリストで作成できないか検討する
- 一時的なキャンペーンや手動選定が必要な場合のみスタティックリストを使う
(4) リストタイプの後からの変更はできない制約
重要な制約: 一度スタティックリストとして作成したリストを、後からダイナミックリストに変更することはできません(逆も同様)。
この制約による注意点:
- リスト作成時にスタティック/ダイナミックを慎重に選択する必要がある
- 誤って選択した場合は、リストを削除して再作成する必要がある
- リストを削除してもプロスペクト本体は削除されないため、リスト再作成は可能
選択のポイント:
- プロスペクトの状況が変動するか? → Yes:ダイナミック、No:スタティック
- 継続的に使うリストか? → Yes:ダイナミック、No:スタティック
- 手動で管理したいか? → Yes:スタティック、No:ダイナミック
リスト作成の具体的手順と設定方法
スタティックリスト・ダイナミックリストそれぞれの作成手順を解説します。
(1) スタティックリストの作成手順
作成手順:
- Pardot管理画面にログイン
- 「マーケティング」→「セグメンテーション」→「リスト」をクリック
- 「+ リストを追加」をクリック
- リスト名を入力(例:「展示会A参加者」)
- 「タイプ」で「スタティック」を選択
- (必要に応じて)「CRM参照可能」にチェック
- 「リストを作成」をクリック
- リスト作成後、「プロスペクトを追加」から手動でプロスペクトを追加
プロスペクトの追加方法:
- 個別追加:プロスペクト名で検索して追加
- CSV一括追加:CSVファイルをアップロードして追加
- 他のリストから追加:既存リストからコピー
(2) ダイナミックリストの作成手順とプレビュー機能
作成手順:
- Pardot管理画面にログイン
- 「マーケティング」→「セグメンテーション」→「リスト」をクリック
- 「+ リストを追加」をクリック
- リスト名を入力(例:「スコア100点以上のホットリード」)
- 「タイプ」で「ダイナミック」を選択
- (必要に応じて)「CRM参照可能」にチェック
- 「リストを作成」をクリック
- 「ルール」タブで条件を設定
- 「プレビュー」ボタンで該当プロスペクトを確認(重要)
- 「ルールを実行」をクリック
プレビュー機能の重要性:
- 条件設定を誤ると、想定外のプロスペクトがリストに含まれる
- プレビューで該当プロスペクトを確認してからルールを実行することで、ミスを防ぐ
- 条件設定後は必ずプレビューを実行する習慣をつける
(3) 条件設定のポイント(スコア・行動・属性)
ダイナミックリストの条件設定は、以下の3つの軸で考えると整理しやすいです:
1. スコア条件:
- 例:「スコアが100点以上」
- 例:「スコアが50点以上100点未満」
- ホットリードの抽出に活用
2. 行動条件:
- 例:「過去30日以内に特定のページを閲覧」
- 例:「特定のメールを開封した」
- 例:「資料をダウンロードした」
- 興味関心の高いプロスペクトの抽出に活用
3. 属性条件:
- 例:「役職が部長以上」
- 例:「業種がIT・通信」
- 例:「従業員数が100名以上」
- ターゲット企業の抽出に活用
複数条件の組み合わせ:
- AND条件:すべての条件を満たすプロスペクト
- 例:「スコア100点以上」AND「役職が部長以上」
- OR条件:いずれかの条件を満たすプロスペクト
- 例:「特定メールAを開封」OR「特定メールBを開封」
(4) CRM参照可能の設定方法
「CRM参照可能」の設定: リスト作成時に「CRM参照可能」にチェックを入れるだけで設定完了です。
「CRM参照可能」を有効にすべきケース:
- 営業担当者にホットリードを共有したい場合
- 営業部門とマーケティング部門でリード情報を共有したい場合
- Salesforce上でリストを編集・活用したい場合
「CRM参照可能」を無効にすべきケース:
- マーケティング部門内でのみ使うリスト
- テストやトライアル用のリスト
実務での活用シーンとベストプラクティス
リスト機能の実践的な活用方法を紹介します。
(1) 問い合わせフォーム通過者の管理(スタティックリスト活用)
活用シーン: 問い合わせフォームを通過したプロスペクトを「問い合わせ者リスト」として管理したい場合。
推奨されるリストタイプ: スタティックリスト
理由:
- 問い合わせフォーム通過は1回きりのイベントで、状況が変動しない
- 手動でプロスペクトを追加し、問い合わせ対応履歴を管理できる
運用フロー:
- 問い合わせフォーム通過者を「問い合わせ者リスト」に追加
- 営業担当者へリストを共有(CRM参照可能を有効化)
- 営業担当者がSalesforce上で対応履歴を記録
- 商談化したプロスペクトは「商談化リスト」に移動
(2) スコアベースのホットリード抽出(ダイナミックリスト活用)
活用シーン: スコアが100点以上のホットリードを自動で抽出し、営業へ引き渡したい場合。
推奨されるリストタイプ: ダイナミックリスト
理由:
- スコアは日々変動するため、自動更新が必要
- 条件に合致すれば自動でリストに追加され、営業への引き渡しが効率化
条件設定例:
- 「スコアが100点以上」
- 「役職が部長以上」
- 「過去30日以内にWebサイトを訪問」
運用フロー:
- ダイナミックリストで「スコア100点以上のホットリード」リストを作成
- CRM参照可能を有効化し、Salesforceで営業担当者に共有
- 営業担当者は毎日リストを確認し、架電・訪問計画を立てる
- スコアが100点を下回ったプロスペクトは自動でリストから削除
(3) 営業担当者とのリスト共有(Salesforce連携)
活用シーン: マーケティング部門が作成したホットリードリストを、営業部門がSalesforce上で活用したい場合。
推奨される設定:
- リスト作成時に「CRM参照可能」を有効化
- ダイナミックリストで常に最新のホットリードを抽出
連携のメリット:
- マーケティング・営業間のリード情報共有が効率化
- 営業担当者はSalesforce上でリストを確認し、リードの詳細情報を参照できる
- リードの商談化率・受注率を向上
運用フロー:
- マーケティング部門がPardotでホットリードリストを作成
- 営業担当者がSalesforce上でリストを確認
- リード情報を参照し、架電・訪問計画を立てる
- 商談化・受注状況をSalesforceに記録
- マーケティング部門が商談化率・受注率を分析し、施策改善に活用
(4) リスト削除時の注意(プロスペクトは削除されない)
重要な注意点: リストを削除してもプロスペクト本体は削除されません。
リストとプロスペクトの関係:
- リストはプロスペクトをグループ化するためのもの
- リストを削除してもプロスペクト本体は残る
- 誤ってリストを削除しても、プロスペクトデータは失われない
削除の判断基準:
- 不要になったリストは積極的に削除してOK
- リスト数が多すぎると管理が煩雑になるため、定期的に整理する
まとめ:効果的なリスト設計のために
Pardotのリスト機能は、見込み顧客のセグメンテーションとメール配信の効率化に欠かせない機能です。スタティックリストとダイナミックリストを適切に使い分け、実務での活用シーンに応じたリスト設計を行うことで、マーケティング活動の効果を最大化できます。
リスト設計のポイント:
- 約80%をダイナミックリスト、残り20%をスタティックリストで作成
- プロスペクトの状況が変動するデータはダイナミックリスト
- リストタイプは後から変更できないため、作成時に慎重に選択
- ダイナミックリスト作成時は必ずプレビューで確認してからルールを実行
- CRM参照可能を有効化し、営業担当者とリストを共有
次のアクション:
- 現在のリスト運用を見直し、ダイナミックリストに移行できるリストがないか確認する
- ホットリード抽出のダイナミックリストを作成し、営業へ共有する
- Salesforce連携を有効化し、マーケティング・営業間のリード情報共有を効率化する
- Account Engagementの最新料金・機能は公式サイトで確認する
効果的なリスト設計で、見込み顧客管理とメール配信を効率化し、マーケティングROIの最大化を目指しましょう。
