Pardotでできることとは:BtoB企業がMA導入で実現できること
「Pardotを導入したらどんなことができるの?」「具体的にどう活用すればいいの?」
BtoB企業のマーケティング担当者にとって、MAツール導入は大きな投資判断です。特にPardot(現Account Engagement)は機能が豊富なため、導入前に「何ができるか」を正確に把握することが重要です。
この記事では、Pardotの主要機能を活用シーン別に整理し、実際の導入事例とともに解説します。
この記事のポイント:
- Pardot(Account Engagement)はリード獲得から育成・選別まで一貫対応のBtoB向けMAツール
- 主要機能:リード管理、スコアリング、メール配信自動化、LP/フォーム作成、Salesforce連携
- ノーコード・ドラッグ&ドロップで操作可能。IT知識がなくても直感的に使える
- 2024年アップデートで生成AI機能とData Cloud連携が強化
- コニカミノルタは案件創出が3倍に増加した導入事例あり
1. Pardot(Account Engagement)とは:MA市場における位置づけ
(1) PardotからAccount Engagementへの名称変更
2022年4月、SalesforceはMAツール「Pardot」を「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更しました。機能自体に変更はなく、Salesforceのブランド統一が目的です。
名称の整理:
- 正式名称: Marketing Cloud Account Engagement
- 通称: Account Engagement(一般的にはこちら)
- 旧名称: Pardot(2022年3月まで)
この記事では「Pardot」「Account Engagement」を併記しますが、機能は同一です。
(2) BtoB向けMAツールとしての特徴
Account EngagementはBtoB企業向けに設計されたMAツールです。
BtoB向けの特徴:
- 商談型ビジネスに最適(リード育成→営業引き渡し→商談化のプロセス管理)
- Salesforce CRMとのネイティブ連携(マーケティングと営業のデータ統合)
- スコアリング・グレーディングで確度の高いリードを選別
- 長期的なナーチャリング(育成)に対応
競合ツールとしてHubSpot、Marketo、SATORI等がありますが、Salesforceを既に導入している企業にとってAccount Engagementは連携のしやすさで優位です。
(3) 国内MA市場規模とPardotのシェア
矢野経済研究所の調査によると、国内のDMP/MA市場は2026年に865億円規模に成長すると予測されています。
Account Engagementは国内MAツール市場でトップクラスのシェアを持つと言われています。特に大手企業や中堅企業での導入実績が豊富です。
(出典: 矢野経済研究所「国内のデジタルマーケティング市場に関する調査」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3239)
2. Pardotでできること:主要機能一覧
(1) リード管理・トラッキング機能
Account Engagementはリード(見込み顧客)の情報を一元管理し、行動を追跡します。
リード管理でできること:
- フォーム入力やLP訪問でリード情報を自動取得
- Webサイト閲覧履歴のトラッキング(どのページを何回見たか)
- メール開封・クリック履歴の記録
- リード情報のセグメント分類(業種、企業規模、関心領域等)
これにより、「どの企業が、どのページを、何回見ているか」を可視化し、営業アプローチのタイミングを逃しません。
(2) スコアリング・グレーディング機能
Account Engagementの特徴的な機能が、リードの優先順位を自動判定する2軸評価です。
スコアリング(行動ベースの興味度):
- 見込み顧客の行動(メール開封、Web閲覧、資料DL等)に点数を付けて興味度を数値化
- 例: メール開封+5点、LP訪問+10点、価格ページ閲覧+20点
グレーディング(属性ベースの適合度):
- 顧客の属性情報(企業規模、業種、役職等)から自社とのマッチ度を評価
- 例: 大企業A+、中堅企業B、小規模企業C
両者を組み合わせることで、「興味度が高く、自社とマッチする企業」を優先的に営業アプローチできます。
(出典: ワンマーケティング「Account Engagement(旧Pardot)とは?機能やメリット、使い方の手順を紹介」https://www.onemarketing.jp/contents/word-pardot/)
(3) メール配信自動化とA/Bテスト
Account Engagementではメール配信を自動化し、効果測定も可能です。
メール配信でできること:
- セグメント別の一斉配信(業種別、関心領域別等)
- 顧客の行動に応じた自動配信(資料DL後に事例紹介メール等)
- A/Bテスト機能で件名・本文・CTAを最適化
- 開封率・クリック率・コンバージョン率の測定
ある企業ではA/Bテスト機能を活用し、メール開封率が20%弱から30%に向上した事例があります。
(4) ランディングページ・フォーム作成
Account Engagementには、ランディングページやフォームの作成機能が標準搭載されています。
LP/フォーム作成でできること:
- ノーコード・ドラッグ&ドロップで作成(IT知識不要)
- テンプレート活用でキャンペーン立ち上げを迅速化
- フォーム入力情報を自動的にProspect(見込み顧客)レコードとして保存
- ABテスト機能で複数のLPを比較検証
専門知識がなくても直感的に操作でき、マーケティング担当者が自走できる点が利点です。
(出典: Digital Identity「Account Engagement(旧Pardot)の使い方と機能について」https://digitalidentity.co.jp/blog/marketing/how-to-use-pardot.html)
(5) Engagement Studio:シナリオ自動化
Engagement Studioは、顧客の行動に応じた分岐シナリオを構築し、マーケティング業務を自動化する機能です。
Engagement Studioでできること:
- メール配信シナリオの自動実行(資料DL後→3日後に事例紹介メール)
- 行動に応じた分岐設定(メール開封者は次のステップへ、未開封者はリマインド送信)
- 営業への自動通知(スコアが一定以上になったら営業に通知)
- 休眠顧客の掘り起こし施策(一定期間反応がない場合は別のアプローチ)
手動で行われていた定型的な業務フローを自動化することで、オペレーションミスの防止と作業効率化を実現できます。
(出典: toBeマーケティング「【完全版】Account Engagementとは?4つのエディションとその機能を徹底解説」https://tobem.jp/pardot_blog/account_engagement/202410221436.html)
(6) Salesforce CRM連携とレポート機能
Account Engagement最大の強みは、Salesforce CRMとのシームレス連携です。
Salesforce連携でできること:
- リード情報をCRMと双方向同期(リアルタイムまたは定期)
- 商談化したリードの追跡(マーケティング施策と成約の紐付け)
- 営業担当者がCRM画面から見込み顧客の行動履歴を確認
- ROI測定(どのキャンペーンが成約に貢献したか)
これにより、マーケティング部門が獲得したリードを営業部門がスムーズに引き継ぎ、リード獲得から商談化、成約までを一気通貫で管理できます。
(出典: Salesforce サクセスナビ「Account Engagement はじめてガイド」https://successjp.salesforce.com/accountengagement/beginner-guide)
(7) 2024年最新機能:生成AI・Data Cloud連携
2024年のアップデートで、Account Engagementに大きな機能強化が行われました。
2024年Spring/Summerリリースの新機能:
- 生成AI(Einstein)がLP・フォーム・メールの作成をアシスト(Advancedエディション以上)
- オペレーショナルメールをEngagement Studioから送信可能に(登録解除済みユーザーへの重要通知が可能)
- Data Cloud連携強化(リストメールのエンゲージメントデータをData Cloudに連携、より細かいセグメント作成が可能)
(出典: toBeマーケティング「【Summer'24】Account Engagementのリリース内容をご紹介」https://tobem.jp/pardot_blog/account_engagement/202408061102.html)
これらのアップデートにより、コンテンツ作成の効率化とデータ活用の幅が広がっています。
3. 活用シーン別の実践方法
(1) メルマガ配信とナーチャリング自動化
Account Engagementは、定期的なメルマガ配信と見込み顧客の育成(ナーチャリング)を自動化できます。
活用例:
- 業種別・関心領域別にセグメント分けしたメルマガ配信
- 顧客の興味度に応じたコンテンツ配信(初期段階は基礎情報、興味度が高まったら事例紹介)
- 開封率・クリック率を測定し、効果的なコンテンツを特定
これにより、手動でのメール配信作業が削減され、マーケティング担当者はより戦略的な業務に集中できます。
(2) 展示会後のフォローアップ自動化
展示会で名刺交換したリードへのフォローアップは、Account Engagementで自動化できます。
活用例:
- 展示会後、即日でサンキューメール自動送信
- 3日後に製品資料を添付したフォローメール送信
- メール開封者にはさらに詳しい事例を送信、未開封者にはリマインド送信
- スコアが一定以上になった企業には営業担当者へ自動通知
これにより、展示会で獲得したリードを確実にフォローし、商談機会を逃しません。
(3) 休眠顧客の掘り起こし施策
一定期間反応がない休眠顧客に対して、Account Engagementで掘り起こし施策を自動実行できます。
活用例:
- 6ヶ月間反応がない顧客に「新サービスのご案内」メール送信
- 開封した顧客にはさらに詳細情報を送信、未開封なら別のアプローチ(電話営業へ通知)
- 休眠顧客専用のランディングページを作成し、興味関心を再度確認
これにより、既存のリードデータを有効活用し、新規リード獲得コストを削減できます。
(4) 営業への確度の高いリード引き渡し
Account Engagementのスコアリング・グレーディング機能を活用し、確度の高いリードのみを営業に引き渡します。
活用例:
- スコア100点以上かつグレードA以上のリードを「ホットリード」として営業に自動通知
- 営業担当者はCRM画面でリードの行動履歴を確認し、適切なアプローチを実施
- マーケティング部門は「どの施策がホットリードを生んだか」をレポートで分析
これにより、営業の無駄な動きが減り、商談化率の向上が期待できます。
4. 導入事例と成功のポイント
(1) 営業効率向上・商談化率の改善事例
Account Engagement導入企業からは、以下のような効果が報告されています。
導入効果の例:
- 営業効率向上:確度の高いリードに集中できるため、無駄な営業活動が削減
- 成約率上昇:マーケティング施策と営業活動の連携により、成約率が改善
- 商談機会増加:スコアリング機能で商談のタイミングを逃さない
(出典: テクバン「Pardot(現Account Engagement)の使い方と活用事例」https://biz.techvan.co.jp/tech-pardot/blog/pardot-case-study.html)
(2) コニカミノルタ:案件創出3倍の成功事例
コニカミノルタジャパンでは、Pardot活用により案件創出が3倍に増加しました。
成功のポイント:
- 事業部横断でのPardot活用(複数部門で統一ツールを使用)
- スコアリング機能でホットリードを営業に引き渡し
- Engagement Studioでナーチャリング施策を自動化
(出典: コニカミノルタジャパン「Pardot活用甲子園」優秀発表事例 https://businesssolution.konicaminolta.jp/business/solution/digitalmarketing/column/2021/1014_pardot_trailblazer.html)
大手企業での成功事例として、中堅企業にも参考になるポイントが多い事例です。
(3) ROI測定と効果測定のポイント
Account Engagement導入のROIは、以下の視点で測定します。
ROI測定のポイント:
- リード対応時間の短縮(月○○時間削減)
- 商談化率の向上(○○%改善)
- 成約率の向上(マーケティング施策と営業連携の強化)
- マーケティング施策のROI(どのキャンペーンが成約に貢献したか)
Salesforce連携により、「どのマーケティング施策が成約に貢献したか」を正確に測定できるため、効果的な施策に予算を集中できます。
5. 導入時の注意点とコスト
(1) エディション別料金プラン(Growth〜Premium)
Account Engagementには4つのエディションがあり、機能と料金が異なります。
| エディション | 月額料金(税抜) | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Growth | 15万円〜 | 基本機能(スコアリング、メール配信、LP/フォーム作成) |
| Plus | 要問合せ | Growthの機能 + 高度なレポート |
| Advanced | 要問合せ | AI機能(Pardot Einstein)、Marketing Data Sharing |
| Premium | 要問合せ | Advancedの機能 + 専任サポート |
(出典: Salesforce公式「Marketing Cloud Account Engagementの価格」https://www.salesforce.com/jp/marketing/b2b-automation/pricing/)
※2024年12月時点の情報です。最新料金は公式サイトをご確認ください。
年間契約が基本となるため、Growth(月額15万円)の場合、年間最低180万円のコストが発生します。
(2) 導入に必要なスキルと学習コスト
Account Engagementの基本操作はノーコードで可能ですが、一部機能には学習コストが必要です。
必要なスキル:
- LP/フォーム作成:ノーコード・ドラッグ&ドロップで可能(初心者OK)
- メール配信・セグメント設定:基本操作で可能
- Engagement Studioの設計:シナリオ設計には学習が必要(Salesforceのヘルプやサクセスナビで学習可能)
- Salesforce連携設定:CRM側の設定知識が必要
導入後に使いこなせないケースもあるため、事前の要件整理と段階的な導入が重要です。Salesforceサクセスナビでは初心者向けのガイドが提供されています。
(出典: Salesforce サクセスナビ「Account Engagementで行うことを決めましょう」https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000585)
(3) Salesforce連携の前提と単独利用の限界
Account EngagementはSalesforce CRM連携を前提に設計されています。
連携前提の理由:
- リード情報のCRMとの双方向同期が前提
- ROI測定(マーケティング施策と成約の紐付け)にはCRMデータが必要
- 営業担当者がCRM画面からリード行動履歴を確認する設計
単独利用も可能ですが、Salesforce CRMなしでは真価を発揮しにくいため、CRM未導入の場合は別途費用が発生します。
6. まとめ:Pardot導入の判断基準
Account Engagement(旧Pardot)は、BtoB企業向けMAツールとして豊富な機能を提供し、リード獲得から育成・選別まで一貫対応できます。
Pardotでできることのまとめ:
- リード管理・トラッキング(Webサイト閲覧履歴、メール反応の記録)
- スコアリング・グレーディング(興味度×マッチ度の2軸評価)
- メール配信自動化とA/Bテスト(効果測定も可能)
- LP/フォーム作成(ノーコード・ドラッグ&ドロップ)
- Engagement Studio(シナリオ自動化)
- Salesforce CRM連携(マーケティングと営業のデータ統合)
- 2024年アップデート(生成AI、Data Cloud連携)
導入を検討すべき企業:
- BtoB商材を扱い、商談型ビジネスを行う企業
- Salesforce CRMを既に導入している、または導入予定
- 月間リード数が100件以上
- マーケティング担当者が1名以上在籍
導入を見送るべき企業:
- 月間リード数が50件未満(スプレッドシート管理で十分)
- 年間180万円のコストが負担
- Salesforce CRM未導入で導入予定もない
料金プランはGrowth(月額15万円〜)から始められますが、AI機能やData Cloud連携を活用するならAdvanced以上が推奨です。導入前に無料トライアルで実際の操作性を確認し、ROI試算を行うことが成功の鍵です。
次のアクション:
- Salesforce公式サイトで最新の料金・機能を確認する
- 無料トライアルで実際に操作性を試す
- Salesforceサクセスナビで学習リソースを確認する
- 導入実績のある企業の事例を参考にする(コニカミノルタ等)
自社に合ったMAツールで、リード管理の効率化と商談化率の向上を実現しましょう。
※この記事は2024年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、導入検討時は公式サイトで最新情報をご確認ください。
