Pardotダイナミックリストの作成・活用ガイド|セグメント自動化の実践

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/13

リスト管理が手動で大変...見込み客の変化に追いつけない

Account Engagement(旧Pardot)を導入している企業のマーケティング担当者にとって、リスト管理は重要な業務の一つです。しかし、「見込み客の属性やスコアが変化するたびに手動でリストを更新するのが大変」「条件に該当する見込み客を毎回手作業で抽出している」といった課題を抱えているケースは少なくありません。

実際、スタティックリストでは見込み客の変化に自動で対応できず、メール配信のたびにリストを見直す必要があります。この手間を削減し、セグメント管理を自動化する機能が「ダイナミックリスト」です。

この記事では、Pardot(Account Engagement)のダイナミックリストの基礎知識から作成方法、スタティックリストとの違い、実践的な活用パターンまで、実務担当者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。

この記事のポイント:

  • ダイナミックリストは設定条件に基づいて見込み客を自動で追加・削除するスマートリスト
  • スタティックリストは手動管理、ダイナミックリストは自動更新という違いがある
  • 作成後のリストタイプ変更は不可のため、用途に応じた事前選択が重要
  • メルマガ配信、セミナー告知、スコアリング連動などで活用できる
  • 商談除外や失注企業除外など、高度な条件設定も可能

1. Pardotリスト管理の課題とダイナミックリストの役割

(1) 手動リスト管理の非効率性

スタティックリストで見込み客を管理している場合、以下のような課題が発生します:

  • 変化への対応が遅れる: 見込み客のスコアや属性が変化しても、リストは自動更新されない
  • 手作業の負担: 定期的にリストを見直し、該当者を手動で追加・削除する必要がある
  • ターゲット精度の低下: 更新漏れにより、条件に合わない見込み客にメールを送ってしまうリスクがある

これらの課題は、マーケティング施策の効率を低下させ、担当者の業務負荷を増大させます。

(2) ダイナミックリストによる自動化

ダイナミックリストを活用すると、設定した条件に基づいて見込み客が自動的に追加・削除されるため、以下のメリットが得られます:

  • 常に最新のセグメント: 見込み客の状態変化にリアルタイムで対応
  • 手作業の削減: リスト更新作業が不要になり、担当者の負担を軽減
  • ターゲット精度の向上: 条件に合致した見込み客だけに施策を実施できる

2. Pardotダイナミックリストの基礎知識

(1) ダイナミックリストとは

ダイナミックリストは、設定したルール(条件)に基づいてプロスペクト(見込み客)を自動的に追加または削除する「スマート」リストです。条件に一致した見込み客は自動で抽出・追加され、条件に一致しなくなった見込み客は自動で除外されます。

例えば、「スコアが100以上」という条件を設定すると、スコアが100に達した見込み客が自動でリストに追加され、スコアが100を下回った見込み客は自動でリストから除外されます。

(2) Account Engagement(旧Pardot)における位置づけ

Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceが提供するMAツールです。2022年にPardotからAccount Engagementに改称されましたが、機能の基本は同じです。

ダイナミックリストは、Account Engagementのセグメンテーション機能の一つで、見込み客をグループ化して管理し、メール配信やキャンペーン実施に活用します。

(3) 自動更新のメリット

ダイナミックリストの最大のメリットは、自動更新により常に最新のセグメントを維持できることです。これにより、以下のような施策が効率的に実施できます:

  • 定期的なメールマガジン配信: 毎回リストを見直す必要がない
  • スコアリング連動施策: スコアが一定基準を超えた見込み客に自動でアプローチ
  • ステージ別ナーチャリング: 見込み客のステージに応じた自動配信

3. スタティックリストとダイナミックリストの違いと使い分け

(1) 主な違い(自動更新 vs 手動管理)

スタティックリストとダイナミックリストの主な違いは、以下の通りです:

項目 スタティックリスト ダイナミックリスト
更新方法 手動で追加・削除 条件に基づいて自動更新
メンバー 固定(変更しない限り) 条件に応じて変動
Salesforce連携 可能 不可
手動追加・削除 可能 不可
用途 特定イベント参加者など固定グループ メルマガ配信、スコアリング連動など

(2) それぞれの特徴と制約

スタティックリストの特徴:

  • 手動でプロスペクトを追加・削除できる
  • Salesforceとの連携が可能
  • 固定メンバーの管理に適している

ダイナミックリストの特徴:

  • 条件に基づいて自動的に更新される
  • 手動による追加・削除ができない
  • Salesforceとの連携ができない

重要な注意点: 作成後、スタティックリストからダイナミックリストへの変換、またはその逆は不可能です。リストタイプは作成前に慎重に選択する必要があります。

(3) 用途別の使い分け基準

スタティックリストを使うべき場合:

  • 特定のイベント参加者リスト(セミナー、展示会等)
  • 固定メンバーへの一斉配信
  • Salesforceと連携したい場合
  • 手動で細かく調整したい場合

ダイナミックリストを使うべき場合:

  • 定期的なメールマガジン配信
  • スコアリング連動施策(スコア◯点以上)
  • 地域別・業種別のターゲット配信
  • 条件に応じた自動更新が必要な場合

4. ダイナミックリストの作成方法

(1) 作成手順(見込み客タブ→セグメンテーションリスト→リストを追加)

ダイナミックリストの作成手順は以下の通りです:

  1. 見込み客タブを開く: Account Engagementのナビゲーションから「見込み客」タブを選択
  2. セグメンテーションリストに移動: 「セグメンテーション」→「リスト」を選択
  3. リストを追加: 「リストを追加」ボタンをクリック
  4. ダイナミックリストを選択: 「ダイナミックリスト」チェックボックスにチェックを入れる
  5. リスト名を入力: 分かりやすい名前を設定(例:「スコア100以上_メルマガ配信用」)
  6. ルールを設定: 「ルールを設定」をクリックして条件を指定
  7. 保存: 設定完了後、処理が完了すると通知メールが届く

(2) ルール(条件)の設定方法

ダイナミックリストのルール設定では、以下のような条件を指定できます:

基本的な条件項目:

  • プロスペクトスコア(◯点以上、◯点以下等)
  • キャンペーン参加(特定キャンペーンに参加した/していない)
  • 地域(都道府県、国等)
  • 業種、企業規模
  • カスタムフィールド(自社で設定した項目)

条件の組み合わせ:

  • AND条件:すべての条件を満たす見込み客
  • OR条件:いずれかの条件を満たす見込み客

(3) よく使う条件設定例(スコア、キャンペーン、地域、商談状況等)

条件設定例1: スコアリング連動

条件: プロスペクトスコアが100以上
用途: 高スコアの見込み客に対する個別アプローチ

条件設定例2: 地域別配信

条件: 地域が「北海道」または「東北」
用途: 地域別セミナー告知

条件設定例3: 商談除外

条件: 商談状況が「商談中」ではない
AND: 失注日が3ヶ月以上前(または失注していない)
用途: 既存商談と重複しないターゲット配信

条件設定例4: キャンペーン参加者

条件: キャンペーン「2024年春セミナー」に参加した
AND: スコアが50以上
用途: セミナー参加後のフォローアップ

5. 実践的な活用パターンとセグメント設計

(1) メールマガジン配信での活用

定期的なメールマガジン配信では、ダイナミックリストを活用することで、常に最新のターゲットに配信できます。

活用例:

  • 「メルマガ購読希望」フラグがONの見込み客
  • オプトアウト(配信停止)していない見込み客
  • スコアが一定以上の見込み客

これにより、配信停止や属性変更があっても手動更新が不要になります。

(2) セミナー告知・ターゲット別キャンペーン

セミナーやキャンペーンの告知では、ターゲット条件に合致する見込み客を自動で抽出できます。

活用例:

  • 地域別セミナー:「東京都」在住の見込み客
  • 業種別ウェビナー:「製造業」の見込み客
  • 企業規模別:「従業員100名以上」の見込み客

(3) スコアリング連動とナーチャリング施策

スコアリング連動施策では、スコアの変化に応じて自動的にアプローチできます。

活用例:

  • スコア100以上:営業担当者への通知、個別フォローアップ
  • スコア50〜99:ナーチャリングメール配信
  • スコア50未満:定期メルマガ配信

スコアが上昇・下降すると自動的にリスト間で移動するため、見込み客の状態に応じた最適なアプローチが可能になります。

(4) 商談除外・失注企業除外の高度な活用

2024年の活用事例として、商談中の企業や失注から一定期間経過していない企業を除外する高度なリスト設計が増加しています。

活用例:

条件:
- 商談状況が「商談中」ではない
- 失注日が3ヶ月以上前(または失注していない)
- スコアが80以上

用途: 新規商談創出キャンペーン

この設定により、既存商談と重複せず、失注後一定期間を空けた見込み客に対して、適切なタイミングで再アプローチできます。

6. まとめ:効果的なリスト管理のポイント

Pardot(Account Engagement)のダイナミックリストは、設定条件に基づいて見込み客を自動で追加・削除するスマートリストです。スタティックリストとの違いを理解し、用途に応じて使い分けることで、リスト管理の効率化とターゲット精度の向上が実現できます。

作成後のリストタイプ変更は不可のため、事前に用途を明確にし、適切なリストタイプを選択しましょう。条件設定はシンプルなものから始め、段階的に高度な設計に移行することを推奨します。

次のアクション:

  • 現在のリスト管理の課題を洗い出す
  • ダイナミックリストで自動化できる施策を特定する
  • シンプルな条件設定から始めてテスト配信を実施する
  • 効果測定(開封率、クリック率、リスト更新時間削減)を行う
  • 段階的に条件を追加・最適化していく
  • Salesforce公式ヘルプで最新の仕様を確認する

効果的なリスト管理により、マーケティング施策の精度を高め、業務効率化と成果向上を目指しましょう。

よくある質問

Q1スタティックリストとダイナミックリストの違いは?

A1スタティックリストは手動でプロスペクトを追加・削除する固定リストです。ダイナミックリストは設定条件に基づいて自動的に追加・削除されるスマートリストです。固定メンバーならスタティック、条件で自動更新が必要ならダイナミックを選択します。

Q2作成後にリストタイプを変更できる?

A2作成後、スタティックリストからダイナミックリストへの変換、またはその逆は不可能です。リストタイプは作成前に慎重に選択する必要があります。用途が不明確な場合は、まずスタティックリストで試してから判断するのが安全です。

Q3ダイナミックリストの効果測定はどうする?

A3リスト作成・更新にかかる時間を導入前後で比較します。メール配信の開封率・クリック率、セグメント別のコンバージョン率を測定しましょう。条件設定の精度向上により、ターゲット精度とROIが改善することが期待できます。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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