Pardot Account Engagementとは?機能・料金・導入メリットを解説

著者: B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部公開日: 2025/12/9

Pardot Account Engagementとは:BtoB向けMAツールの全貌

Salesforce製のマーケティングオートメーションツール「Pardot」が「Account Engagement」に名称変更されて以降、名前だけが独り歩きし、機能やメリットが分かりにくくなっているとの声が聞かれます。

B2B企業のマーケティング担当者にとって、MAツール選びは売上に直結する重要な判断です。「PardotとAccount Engagementは何が違うの?」「Marketing Cloudとはどう使い分けるの?」「料金はどれくらい?」といった疑問に、この記事では明確に回答します。

Salesforce公式情報と国内導入事例をもとに、Account Engagementの機能・料金・導入メリットを体系的に解説します。

この記事のポイント:

  • PardotとAccount Engagementは名称変更のみで機能は同じ(2022年4月変更)
  • Marketing CloudはBtoC向け、Account EngagementはBtoB向けと用途が明確に分かれる
  • 料金は月額15万円(Growth)〜で年間契約が基本、初期費用は無料
  • 国内MAツール市場でシェアトップクラス(2024年時点)
  • 2024年アップデートでAI機能とData Cloud連携が大幅強化

1. Pardot Account Engagementとは:名称変更の経緯と位置づけ

(1) PardotからAccount Engagementへの名称変更

2022年4月、SalesforceはMAツール「Pardot」を「Marketing Cloud Account Engagement」に名称変更しました。機能自体に変更はなく、純粋なブランド統一が目的です。

正式名称と通称:

  • 正式名称: Marketing Cloud Account Engagement
  • 通称: Account Engagement(一般的にはこちらで呼ばれる)
  • 旧名称: Pardot(2022年3月まで)

Salesforce公式ヘルプでも「Account Engagement」という名称で統一されており、今後新規導入する企業はこの名称で理解しておく必要があります。

(出典: Salesforce公式ヘルプ「Using Account Engagement with Salesforce」https://help.salesforce.com/s/articleView?id=mktg.pardot_sf_connector_using_pardot_parent.htm)

(2) Marketing CloudとAccount Engagementの違い(BtoB vs BtoC)

Salesforceには「Marketing Cloud」と「Account Engagement」という2つのマーケティングツールがあり、混同しやすいですが用途が明確に異なります。

Marketing Cloud:

  • 対象: BtoC企業(消費者向けビジネス)
  • 用途: 集客型マーケティング(メール配信、SNS広告、カスタマージャーニー管理)
  • 特徴: 大量の個人顧客に対する一斉配信・パーソナライゼーション

Account Engagement:

  • 対象: BtoB企業(法人向けビジネス)
  • 用途: 商談型マーケティング(リード管理、スコアリング、営業連携)
  • 特徴: 少数の企業顧客に対する関係構築・育成

(出典: frogwell「Account Engagement(旧:Pardot)とマーケティングクラウドは何が違うの?」https://frogwell.co.jp/blogs/marketingcloud/)

自社がBtoB企業であれば、Marketing CloudではなくAccount Engagementの導入を検討するのが適切です。

(3) 国内MAツール市場におけるシェアと位置づけ

矢野経済研究所の調査によると、国内のデジタルマーケティング市場は2024年に3,494億円規模、DMP/MA市場は2026年に865億円規模に達すると予測されています。

Account Engagementは国内MAツール市場でトップクラスのシェアを持つと言われています。特にSalesforceのCRMを既に利用している企業にとっては、連携のしやすさから第一候補となるケースが多いです。

(出典: 矢野経済研究所「国内のデジタルマーケティング市場に関する調査(2023年)」https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3239)

競合ツールとしてはHubSpot、Marketo、SATORI等がありますが、Salesforce連携を重視するBtoB企業にとってAccount Engagementは有力な選択肢です。

2. Account Engagementの主要機能:Salesforce連携とMA機能

(1) Salesforce連携:CRMデータとマーケティングデータの一元管理

Account Engagement最大の強みは、Salesforce CRMとのネイティブ連携です。

連携のメリット:

  • リード情報をCRMと双方向同期(リアルタイムまたは定期)
  • 商談化したリードの追跡(マーケティング施策と成約の紐付け)
  • 営業担当者がCRM画面から見込み顧客の行動履歴を確認可能

これにより、マーケティング部門が獲得したリードを営業部門がスムーズに引き継ぎ、リード獲得から商談化、成約までを一気通貫で管理できます。

(出典: Salesforce公式ヘルプ「Using Account Engagement with Salesforce」)

(2) スコアリング・グレーディング機能:見込み顧客の優先順位付け

Account Engagementには、リードの優先順位を自動的に判定する2つの機能があります。

スコアリング:

  • 見込み顧客の行動(メール開封、Web閲覧、資料DL等)に点数を付けて関心度を数値化
  • 例: メール開封+5点、LP訪問+10点、価格ページ閲覧+20点

グレーディング:

  • 顧客の属性情報(企業規模、業種、役職等)から自社とのマッチ度を評価
  • 例: 大企業A+、中堅企業B、小規模企業C

両者を組み合わせることで、「関心度が高く、自社とマッチする企業」を優先的に営業アプローチできます。

(出典: ワンマーケティング「Account Engagement(旧Pardot)とは?機能やメリット、使い方の手順を紹介」https://www.onemarketing.jp/contents/word-pardot/)

(3) Engagement Studio:マーケティング業務フローの自動化

Engagement Studioは、顧客の行動に応じた自動アクション(シナリオ)を設定する機能です。

活用例:

  • 資料DL後、3日後に事例紹介メールを自動送信
  • メール未開封の場合、1週間後にリマインドメール送信
  • 価格ページ訪問者に営業担当者へ自動通知

手動で行われていた定型的な業務フローを自動化することで、オペレーションミスの防止と作業効率化を実現できます。

(出典: Yahoo! JAPAN Tech Blog「Salesforce Account EngagementをGitHubで管理できるようにする」https://techblog.yahoo.co.jp/entry/2023070330427430/)

(4) フォーム・ランディングページ作成機能

Account Engagementには、ランディングページやフォームの作成機能が標準搭載されています。

特徴:

  • テンプレートを使えば専門知識がなくても作成可能
  • フォーム入力情報を自動的にProspect(見込み顧客)レコードとして保存
  • ABテスト機能で複数のLPを比較検証

迅速に顧客データを収集し、MAツール内で一元管理できる点が利点です。

(5) 2024年最新アップデート:生成AI機能とData Cloud連携

2024年のアップデートで、Account Engagementに大きな機能強化が行われました。

Spring '24リリース(2024年春):

  • 生成AI(Pardot Einstein)によるランディングページ・フォーム・メール自動生成機能追加(ADVANCED/Premiumエディションのみ)
  • Gmail/YahooのDKIM認証必須化対応(スパム対策)

Winter '25リリース(2024年後半):

  • 重複レコード管理機能(Account Engagement Optimizer)を全エディションに追加
  • Data Cloud連携強化(セグメント上限が5→25に増加、Growth/Plus)

(出典: Salesforce Ben「Spring '24 Release Highlights for Account Engagement」https://www.salesforceben.com/spring-24-release-highlights-for-account-engagement-pardot/、The Spot「Salesforce Winter '25 Highlights: Marketing Cloud Account Engagement」https://thespotforpardot.com/2024/08/16/salesforce-winter-25-highlights-marketing-cloud-account-engagement-pardot/)

これらのアップデートにより、データ品質の向上と生成AIによる業務効率化が期待できます。

3. エディション別料金プランと選び方

(1) 4つのエディション比較(Growth/Plus/Advanced/Premium)

Account Engagementには4つのエディションがあり、機能と料金が異なります。

エディション 月額料金(税抜) 主な特徴
Growth 15万円〜 基本機能(スコアリング、メール配信、LP/フォーム作成)
Plus 要問合せ Growthの機能 + 高度なレポート
Advanced 要問合せ AI機能(Pardot Einstein)、Marketing Data Sharing
Premium 要問合せ Advancedの機能 + 専任サポート

(出典: Salesforce公式「Marketing Cloud Account Engagementの価格」https://www.salesforce.com/jp/marketing/b2b-automation/pricing/)

※2024年12月時点の情報です。最新料金は公式サイトをご確認ください。

(2) 追加オプションと料金体系

基本エディションに加えて、以下の追加オプションがあります。

Sales Emails and Alert:

  • 営業担当者が個別にメール送信できる機能
  • 料金: 1ユーザーあたり月額6,000円(税抜)
  • 注意: 利用ユーザー数が多いと追加費用がかさむ

年間契約:

  • 基本的に年間契約が前提
  • Growth(月額15万円)の場合、年間最低180万円のコストが発生

(3) 企業規模・目的別の推奨プラン

小規模企業(従業員50人未満、リード数月100件以下):

  • Growth(月額15万円〜)で基本機能は十分
  • まずは無料トライアルで操作性を確認するのが推奨

中堅企業(従業員50〜500人、リード数月100〜1,000件):

  • Growth or Plus
  • レポート機能を重視するならPlus以上

大企業(従業員500人以上、リード数月1,000件以上):

  • Advanced or Premium
  • AI機能(Pardot Einstein)やData Cloud連携を活用したい場合は必須

最大限活用するなら「ADVANCED」以上のエディションがおすすめです。重要機能(Pardot Einstein、Marketing Data Sharing)はADVANCED以上のみ利用可能です。

4. 導入メリットと活用事例:BtoB企業での実践

(1) リード管理の効率化と商談化率の向上

Account Engagement導入の主なメリットは以下の通りです。

メリット:

  • リード管理の一元化(スプレッドシート管理からの脱却)
  • スコアリング・グレーディングによる優先順位付け
  • 営業部門とマーケティング部門のデータ共有
  • マーケティング施策と成約の紐付け(ROI測定)

これにより、商談化率の向上やリード対応時間の短縮が期待できます。

(2) 国内企業の導入事例(LayerX、TalentX等)

Salesforce サクセスナビでは、国内企業の具体的な導入事例が紹介されています。

LayerX:

  • Revenue全体を把握するためのデータ基盤としてAccount Engagementを活用
  • リード獲得から成約までのプロセスを可視化

TalentX:

  • マーケティング施策の効果測定を強化
  • スコアリング機能で優先度の高いリードに集中

(出典: Salesforce サクセスナビ「Account Engagement活用事例特集」https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000642)

導入企業の規模・業種・目的は様々ですが、共通するのは「Salesforce CRMとの連携」を重視している点です。

(3) ROI試算のポイント

Account Engagement導入のROIは、以下の視点で試算します。

コスト:

  • 年間ライセンス費用: 180万円〜(Growth)
  • 導入支援費用: 数十万円〜(Salesforceパートナー経由の場合)
  • 運用人件費: マーケティング担当者1名分

効果:

  • リード対応時間の短縮(月○○時間削減)
  • 商談化率の向上(○○%改善)
  • 成約率の向上(マーケティング施策と営業連携の強化)

ROI回収期間は6ヶ月〜1年が一般的ですが、リード数が少ない場合は効果が限定的なため、導入前の試算が不可欠です。

5. 導入時の注意点とリスク

(1) 年間契約と初期コスト

Account Engagementは年間契約が基本となるため、初期費用は無料でも年間コストは最低180万円(Growth)から発生します。

導入前にチェックすべき点:

  • 月間リード数(100件以上ならROI見込み)
  • Salesforce CRM導入状況(未導入の場合は別途費用)
  • 運用体制(マーケティング担当者の有無)

導入後すぐに解約すると、年間契約分の費用が無駄になるため、慎重な判断が求められます。

(2) Gmail/Yahooスパム対策(DKIM認証必須化)

2024年から、GmailとYahooのスパムフィルタリングが強化され、送信ドメインのDKIM認証が必須になりました。

対応が必要な設定:

  • 送信ドメインのDKIM認証設定
  • SPFレコードの設定
  • DMARCポリシーの設定

未設定のままメール配信を行うと、到達率が大幅に低下する可能性があります。導入時にIT部門と連携して設定を完了させることが重要です。

(出典: Salesforce Ben「Spring '24 Release Highlights for Account Engagement」)

(3) 既存ツールとの連携と運用体制

Account Engagementは、Salesforce CRM以外のツールとも連携可能です(API連携)。

連携例:

  • Google広告(広告キャンペーンデータとリードの紐付け)
  • Webサイト(フォーム埋め込み、トラッキングコード設置)
  • その他MAツール・SFAツール

ただし、連携設定には一定の技術知識が必要なため、社内にエンジニアがいない場合はSalesforceパートナー企業の支援を検討するのが現実的です。

運用体制としては、マーケティング担当者1名以上の専任配置が推奨されます。ツールを導入しても、運用できる人材がいなければ宝の持ち腐れになります。

6. まとめ:Account Engagementの導入判断基準

Account Engagement(旧Pardot)は、BtoB企業向けMAツールとして国内でトップクラスのシェアを持ち、Salesforce CRMとのネイティブ連携が最大の強みです。

導入を検討すべき企業:

  • Salesforce CRMを既に利用している、または導入予定
  • 月間リード数が100件以上
  • マーケティング担当者が1名以上在籍
  • 商談化率の向上を目指している

導入を見送るべき企業:

  • 月間リード数が50件未満(スプレッドシート管理で十分)
  • 年間180万円のコストが負担
  • マーケティング専任担当者がいない

料金プランはGrowth(月額15万円〜)から始められますが、AI機能やData Cloud連携を活用するならAdvanced以上が推奨です。導入前に無料トライアルで実際の操作性を確認し、ROI試算を行うことが成功の鍵です。

次のアクション:

  • Salesforce公式サイトで最新の料金・機能を確認する
  • 無料トライアルで実際に操作性を試す
  • 導入実績のある企業の事例を参考にする(Salesforce サクセスナビ等)
  • 社内のリード数・運用体制を整理し、ROI試算を行う

自社に合ったMAツールで、リード管理の効率化と商談化率の向上を実現しましょう。

※この記事は2024年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、導入検討時は公式サイトで最新情報をご確認ください。

よくある質問

Q1PardotとAccount Engagementの違いは何ですか?

A12022年4月に名称変更されただけで機能は同じです。正式名称は「Marketing Cloud Account Engagement」ですが、通称「Account Engagement」と呼ばれています。

Q2Marketing CloudとAccount Engagementの違いは何ですか?

A2Marketing CloudはBtoC向け(集客型)、Account EngagementはBtoB向け(商談型)です。対象顧客と用途が異なります。

Q3どのエディションを選べばよいですか?

A3Growth(月額15万円〜)で基本機能は利用可能です。AI機能(Pardot Einstein)やデータ共有機能を使うならADVANCED以上を推奨します。

Q4導入にどれくらいの期間がかかりますか?

A4企業規模や要件により異なりますが、基本設定は数週間、本格運用開始まで2-3ヶ月程度が一般的です。

Q5年間コストはどれくらいですか?

A5初期費用は無料ですが、年間契約が基本となり、最低でも180万円(Growth)から発生します。導入前にROI試算が必要です。

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B2Bデジタルプロダクト実践ガイド編集部

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