受発注業務を効率化したいけれど、基本から整理したい...
B2B取引に携わる営業・購買・経理担当者の多くが、受発注業務の効率化に課題を抱えています。「受注と発注の違いを正しく理解できているか不安」「書類のやり取りが煩雑」「システム化を検討したいが何から始めればいいか分からない」といった悩みは尽きません。
この記事では、受注と発注の基本的な違いから、業務フロー、書類の種類、受発注システムの活用まで、実務に役立つ情報を解説します。
この記事のポイント:
- 受注は注文を受ける側(売り手)、発注は注文する側(買い手)の行為
- 受発注業務は見積もり→注文確認→納品→支払いの流れで進行
- SaaS型受発注管理システム市場は2023年約1,286.7億円、2025年には1,446.6億円に拡大予測
- システム導入時は取引先への説明と合意形成が重要
- 業務の標準化と移行計画が導入成功の鍵
B2B取引における受発注業務の重要性
B2B取引では、受発注業務が商取引の根幹を担っています。発注から納品、請求・支払いまでの一連の流れを正確かつ効率的に行うことが、ビジネスの信頼性と収益性に直結します。
近年、BtoB EC市場は急速に拡大しています。経済産業省の調査によると、2022年のBtoB EC市場規模は420.2兆円(前年比12.8%増)に達し、EC化率は37.5%(前年比1.9ポイント増)となっています。2020年から2022年の間に、BtoB EC市場規模は85兆円以上増加しました。
このデジタル化の流れを受け、SaaS型受発注管理システム市場も成長を続けています。2023年の市場規模は約1,286.7億円、2025年には1,446.6億円に達すると予測されています。
受注と発注の基礎知識
(1) 受注とは:注文を受ける側(売り手)の業務
受注とは、顧客から商品の製造・納品を依頼されること、つまり注文を受ける側(売り手側)の行為です。
受注業務の主な内容:
- 注文内容の確認(商品、数量、納期、価格)
- 在庫確認・生産手配
- 受注請書の発行
- 納品・配送の手配
- 請求書の発行と入金確認
受注管理のポイント: 受注情報を正確に管理し、納期通りに商品・サービスを届けることが顧客満足と信頼構築につながります。受注情報の一元管理と可視化が重要です。
(2) 発注とは:注文する側(買い手)の業務
発注とは、自社の商品・サービス販売に必要なモノを仕入先に注文すること、つまり注文する側(買い手側)の行為です。
発注業務の主な内容:
- 購入計画の策定(何を、いつ、どれだけ必要か)
- 仕入先の選定と見積もり依頼
- 注文書の発行
- 納品物の検収
- 支払い処理
発注管理のポイント: 適切なタイミングで必要な量を発注し、在庫過多や欠品を防ぐことがコスト最適化と安定供給につながります。
受注と発注の関係: 同一の取引において、売り手側から見れば「受注」、買い手側から見れば「発注」となります。A社がB社に商品を注文した場合、A社にとっては「発注」、B社にとっては「受注」です。
受発注業務の流れと書類フロー
(1) 見積もり・注文確認・納品・支払いの流れ
一般的なB2B取引における受発注業務の流れは以下の通りです。
ステップ1:見積もり
- 買い手が売り手に見積もりを依頼
- 売り手が見積書を発行
- 買い手が内容を確認・検討
ステップ2:注文確認
- 買い手が注文書(発注書)を発行
- 売り手が注文内容を確認
- 売り手が受注請書(注文請書)を発行
ステップ3:納品
- 売り手が商品・サービスを納品
- 納品書を同封
- 買い手が検収を実施
ステップ4:支払い処理
- 売り手が請求書を発行
- 買い手が支払いを実行
- 売り手が入金を確認
(2) 注文書・受注請書・納品書・請求書の役割
B2B取引では、各段階で書類が発行されます。それぞれの役割を理解しておきましょう。
見積書: 商品・サービスの価格、数量、納期、支払条件などを記載した書類。正式な注文前の価格提示に使用します。
注文書(発注書): 買い手が売り手に対して正式に注文する書類。商品名、数量、金額、納期、納品場所などを記載します。
受注請書(注文請書): 売り手が買い手の注文を受け付けたことを証明する書類。注文内容を確認し、双方の合意を明確にします。
納品書: 商品を納品する際に同封する書類。納品した商品の内容、数量を証明します。
検収書: 買い手が納品物を検収し、問題がないことを確認したことを証明する書類。
請求書: 売り手が買い手に対して代金の支払いを請求する書類。金額、支払期限、振込先などを記載します。
SaaS企業の場合: SaaS企業ではサブスクリプション契約が一般的なため、従来の受発注フローと異なる点があります。初回契約時に注文書・受注請書のやり取りを行い、その後は契約更新や従量課金に基づく請求書発行が中心となります。
受発注システムの活用とメリット
(1) Web-EDIによる業務効率化とヒューマンエラー削減
受発注システムとは、受注・発注業務をデジタル化し、一元管理できるシステムです。従来の電話やFAX、紙、メールでのやり取りをシステム化することで、業務効率を大幅に向上させます。
Web-EDI(Electronic Data Interchange): 企業間で電子データを直接交換するシステムです。手入力を削減し、データの正確性を向上させます。
主なメリット:
1. 業務効率化:
- 手作業の転記が不要になり、処理時間を短縮
- 受注情報の自動取り込みでリードタイム短縮
- 複数チャネル(FAX、電話、メール)の情報を一元管理
2. ヒューマンエラーの削減:
- 手入力によるミス(数量、金額、納期の誤り)を防止
- データの整合性が保たれ、二重入力がなくなる
3. コスト削減:
- 紙の印刷・郵送コストの削減
- 人件費の最適化(繰り返し作業の自動化)
4. リモートワーク対応:
- クラウド型システムなら場所を問わず業務が可能
- 出社しなくても受発注処理ができる
(2) 受注情報の一元管理と可視化
受発注システムの根幹機能は、受注情報の一元管理と可視化です。
一元管理のメリット:
- 複数の担当者が同じ情報にアクセス可能
- 属人化を解消し、担当者不在時も業務が継続できる
- 過去の取引履歴を簡単に検索・参照できる
可視化のメリット:
- 受注状況をリアルタイムで把握
- 売上予測やトレンド分析が可能
- ボトルネックの発見と業務改善に活用
主な機能:
- 受注情報管理(顧客、商品、金額、納期)
- 在庫管理連携(在庫数との自動照合)
- 配送管理(出荷状況のトラッキング)
- 請求自動化(請求書の自動発行・送付)
- データ分析・レポート(売上分析、顧客分析)
受発注システム導入時の注意点
(1) 取引先への説明と合意形成の重要性
受発注システムの導入は、自社だけでなく取引先にも影響します。特に発注側が新システムを導入する場合、受注側(仕入先)の協力が不可欠です。
注意点:
- 取引先にも費用負担が発生する場合、導入に反対される可能性がある
- 事前に導入目的とメリットを十分に説明し、合意を得る
- 取引先が導入しやすい(操作が簡単、費用負担が少ない)システムを選ぶ
説明すべきポイント:
- なぜシステム化するのか(効率化、ミス削減など)
- 取引先にとってのメリット(発注ミス減少、納期確認の容易さなど)
- 操作方法・サポート体制
- 移行スケジュール
(2) 業務フローの標準化と移行計画
システム導入前に、現状の業務フローを整理し、標準化することが重要です。
導入の進め方:
1. 課題の洗い出し:
- 現在の受発注業務でどこに問題があるか
- 手作業が多い箇所、ミスが発生しやすい箇所
- 属人化している業務
2. 導入目的の明確化:
- 何を解決したいか(効率化、ミス削減、コスト削減など)
- 定量的な目標設定(処理時間○%削減など)
3. システム化する範囲の決定:
- 一度にすべてをシステム化せず、段階的に導入
- 優先度の高い業務から着手
4. 移行計画の策定:
- 既存データの移行方法
- 並行稼働期間の設定
- トレーニング・マニュアル整備
よくある失敗パターン:
- 現場の声を聞かずにシステムを選定
- 移行期間が短すぎて混乱が発生
- データ移行の準備不足
※システムの料金・機能は変更される可能性があります。最新情報は各社公式サイトをご確認ください(2025年時点の情報)。
まとめ:効率的な受発注業務の実現に向けて
受注と発注は、同一の取引を売り手と買い手の立場から見た呼び方です。受発注業務は見積もりから納品、支払いまでの一連の流れであり、B2B取引の根幹を担っています。
デジタル化が進む中、受発注システムの活用は業務効率化とヒューマンエラー削減に有効です。ただし、導入時には取引先への説明と合意形成、業務フローの標準化と移行計画が重要となります。
次のアクション:
- 自社の受発注業務の流れを整理し、課題を洗い出す
- 手作業が多い箇所、ミスが発生しやすい箇所を特定する
- 受発注システムの無料トライアルやデモを試す
- 取引先への影響を考慮し、導入計画を策定する
よくある質問:
Q: 受注と発注の違いは何ですか? A: 受注は注文を受ける側(売り手)の行為、発注は注文する側(買い手)の行為です。同一の取引を、立場によって異なる呼び方で表現しています。A社がB社に商品を注文した場合、A社にとっては「発注」、B社にとっては「受注」となります。
Q: 受発注システムを導入するメリットは? A: 業務効率化、手作業の転記ミス削減、受注情報の一元管理と可視化、リモートワーク対応が主なメリットです。紙やFAXでのやり取りをデジタル化することで、処理時間の短縮とコスト削減が期待できます。
Q: 受発注システムの市場規模はどのくらいですか? A: SaaS型受発注管理システム市場は2023年約1,286.7億円で、2025年には1,446.6億円に拡大すると予測されています。また、BtoB EC市場は2022年に420.2兆円(EC化率37.5%)に達しており、デジタル化が急速に進んでいます。
