Excel管理からの脱却を検討中だけど、どのCRMを選べばいいの?
BtoB企業の営業マネージャーやIT担当者の多くが、顧客管理のExcel依存からの脱却やリモートワーク対応に課題を抱えています。「クラウド型CRMとオンプレミス型、どちらがいいの?」「導入費用はどれくらい?」「うちの規模に合うツールはどれ?」といった疑問は尽きません。
この記事では、オンラインCRM(クラウド型CRM)の選び方と導入メリットを、主要ツールの機能・料金比較とともに解説します。
この記事のポイント:
- クラウド型CRMは初期費用を抑えて短期間で導入でき、中小企業に特に適している
- クラウド型とオンプレミス型は初期コスト・導入期間・メンテナンス負荷で大きな差がある
- HubSpot CRMは永久無料、Zoho CRMは3人まで無料で利用可能
- 料金相場は1ユーザーあたり月額2,000〜10,000円程度、小規模なら数千円から始められる
- 長期利用時は累計コストがオンプレミス型を上回る可能性があるため、利用期間と規模を考慮した選定が必要
1. オンラインCRM(クラウド型CRM)が必要とされる背景
(1) Excel管理からの脱却とリモートワーク対応
BtoB企業の営業現場では、顧客情報をExcelで管理しているケースがまだまだ多いと言われています。しかし、リモートワーク環境では情報共有が難しく、最新データの所在が不明確になりがちです。
クラウド型CRMは、インターネット経由でどこからでもアクセスでき、リアルタイムで情報を共有できます。営業担当者が外出先から顧客情報を更新し、マネージャーが即座に確認できる環境が実現します。
(2) CRM・SFA・MAの統合による業務効率化
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)、MA(Marketing Automation:マーケティング自動化)は、それぞれ異なる役割を持ちますが、統合されたツールを使うことで業務効率が大きく向上すると言われています。
例えば、マーケティング部門がMAで獲得した見込み客情報をCRMで一元管理し、営業部門がSFA機能で商談を進める、という一連の流れがシームレスになります。
2. クラウド型CRMとオンプレミス型の違い
(1) 初期コスト・導入期間・メンテナンス負荷の比較
クラウド型CRMとオンプレミス型の主な違いは以下の通りです。
クラウド型CRM:
- 初期費用:無料〜10万円程度
- 導入期間:数日〜2週間程度
- メンテナンス:ベンダーが実施、自社負担なし
- 月額費用:1ユーザーあたり2,000〜10,000円が相場
オンプレミス型CRM:
- 初期費用:数百万円〜(サーバー購入・構築費用含む)
- 導入期間:数ヶ月〜
- メンテナンス:自社IT部門が実施、運用負荷が大きい
- 月額費用:基本的になし(ただし保守契約費用が発生するケースもある)
中小企業やスタートアップでは、初期費用を抑えて短期間で導入できるクラウド型が選ばれることが多いと言われています。
(2) 長期利用時のコスト試算と選定基準
クラウド型CRMは月額課金のため、長期利用の場合は累計コストがオンプレミス型を上回る可能性があります。
試算例(50ユーザー、月額5,000円/人の場合):
- 月額費用:25万円
- 年間費用:300万円
- 5年間累計:1,500万円
一方、オンプレミス型は初期費用500万円でも、5年間のメンテナンス費用を含めても総額1,000万円程度で収まるケースがあります。ただし、これはメンテナンス体制が整っている場合に限られます。
選定基準としては、以下のポイントが重要です:
- 利用期間(3年以内ならクラウド型、5年以上ならオンプレミス型も検討)
- ユーザー数(50人以下ならクラウド型が有利)
- IT部門のリソース(メンテナンス体制がなければクラウド型一択)
3. クラウド型CRMの導入メリットと注意点
(1) 5つの主要メリット(初期費用削減、導入スピード、メンテナンス不要など)
クラウド型CRMには以下のようなメリットがあると言われています。
1. 初期費用の削減: サーバー購入が不要で、初期費用を大幅に抑えられます。無料プランから始められるツールもあり、小規模企業でも導入しやすいです。
2. 短期間での導入: オンプレミス型は導入に数ヶ月かかるのに対し、クラウド型は数日〜2週間程度で運用開始できるケースが多いです。
3. メンテナンス不要: システムのアップデートやセキュリティパッチの適用はベンダーが自動で実施します。自社IT部門の負担が軽減されます。
4. どこからでもアクセス可能: インターネット接続があれば、オフィス・自宅・外出先からアクセスできます。リモートワークに最適です。
5. 柔軟なスケーラビリティ: ユーザー数の増減に応じて契約を変更できるため、事業成長に合わせて柔軟に対応できます。
(2) 注意点(累計コスト、オプション費用、ユーザー数増加時のコスト)
一方で、以下のような注意点もあります。
長期利用時の累計コスト: 前述の通り、5年以上の長期利用では累計コストがオンプレミス型を上回る可能性があります。
オプション費用の発生: 自社に必要な機能がオプション扱いで、追加費用が発生するケースがあります。導入前に必要機能を明確にし、料金体系を確認することが重要です。
ユーザー数増加時のコスト: ユーザー数が多い企業では、月額利用料がまとまったコストになる可能性があります。利用人数の増加ペースを見積もっておくことが推奨されます。
料金プランの変更: 料金プランは変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認するようにしてください。
(3) LINE連携CRMの活用事例(カゴ落ち配信、再入荷通知)
EC事業者向けには、LINE連携CRMという選択肢もあります。代表的なツールとして「CRM PLUS on LINE」があり、ShopifyとLINEを連携して顧客管理とコミュニケーションを強化できます。
主な機能:
- ID連携:LINEアカウントとCRM会員情報を紐づけ、顧客データを統合
- カゴ落ち配信:カートに商品を入れたまま離脱した顧客へのリマインド配信
- 再入荷通知:在庫切れ商品の再入荷を自動で通知
- セグメント配信:顧客属性に応じたパーソナライズ配信
導入事例では、SABON等の企業がLINE経由の売上を全体の3割まで伸ばしたケースが報告されています(出典: LTV-Lab「LINEと連携してECでCRM施策をおこなうメリット」2024年)。
※CRM PLUS on LINEはShopify専用アプリのため、他のECプラットフォーム利用企業は別ツールの検討が必要です。また、ID連携には顧客の同意取得が必要で、プライバシーポリシーの整備が前提となります。
4. 主要オンラインCRMツールの機能・料金比較
(1) Salesforce CRM:世界シェアNo.1の特徴
Salesforce CRMは世界No.1のシェアを持つクラウド型CRMです(出典: Salesforce公式サイト)。
特徴:
- AI搭載で顧客データの分析・予測が可能
- SFA・MA機能も統合されたオールインワン型
- 大企業向けのカスタマイズ性と拡張性
料金(2025年時点):
- Essentials: 月額3,000円/ユーザー〜
- Professional: 月額9,600円/ユーザー〜
- Enterprise: 月額19,800円/ユーザー〜
※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
(2) HubSpot CRM:永久無料プランと拡張性
HubSpot CRMは永久無料プランを提供しており、小規模企業やスタートアップに人気があります。
特徴:
- 無料プランで基本的なCRM機能が利用可能
- 1,900以上のアプリと連携可能
- 有料プランでMA・SFA機能を追加できる
料金(2025年時点):
- Free: 無料(永久)
- Starter: 月額2,160円/ユーザー〜
- Professional: 月額96,000円〜(5ユーザー込み)
※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
(3) Zoho CRM:中小企業向けコストパフォーマンス
Zoho CRMは中小企業向けにコストパフォーマンスの高いプランを提供しています。
特徴:
- 3人まで無料で利用可能
- 中小企業に必要な機能をコンパクトに提供
- 日本語サポートが充実
料金(2025年時点):
- Free: 無料(3ユーザーまで)
- Standard: 月額1,680円/ユーザー〜
- Professional: 月額2,760円/ユーザー〜
※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
(4) CRM PLUS on LINE:Shopify×LINE連携の特化型
CRM PLUS on LINEは、EC事業者向けに特化したCRMツールです。
特徴:
- ShopifyとLINEを連携し、顧客管理とコミュニケーションを強化
- カゴ落ち配信、再入荷通知などEC特化機能
- 2025年3月時点で2,000ストア以上が導入
料金(2025年時点):
- Free: 無料
- Basic: 月額$20
- Professional: 月額$100
- Advanced: 月額$200
※料金は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
5. 目的別のCRM選定ポイントと導入ステップ
(1) 企業規模別の選び方(小規模・中規模・大規模)
小規模企業(従業員30人未満):
- 無料プランから始められるHubSpot CRMやZoho CRMが適切
- 初期費用を抑え、必要に応じて有料プランへ移行
中規模企業(従業員30〜200人):
- HubSpot Professional、Zoho Professionalなど月額数万円〜10万円程度のプランが一般的
- SFA・MA機能も含めた統合ツールの検討が推奨される
大規模企業(従業員200人以上):
- Salesforce EnterpriseやMarketo等の本格的なツールが適切
- カスタマイズ性と拡張性を重視した選定が必要
(2) 業種別の選び方(BtoB営業、EC事業者など)
BtoB営業中心の企業:
- SFA機能が充実したSalesforce、HubSpot、Zoho CRMなどが選択肢
- リードスコアリング、商談管理機能を重視
EC事業者(特にShopify利用):
- CRM PLUS on LINEなどLINE連携ツールが適切
- カゴ落ち配信、再入荷通知などEC特化機能を活用
多業種・汎用的な顧客管理:
- HubSpot CRM、Zoho CRMなど汎用性の高いツールから選定
(3) 無料トライアルと段階的導入の進め方
CRM導入は以下のステップで進めるのが推奨されます。
Step 1: 無料プランまたは無料トライアルで試す
- HubSpot CRM、Zoho CRMの無料プランを実際に操作してみる
- 操作性、必要機能の有無を確認
Step 2: 小規模導入(営業部門の一部など)
- 5〜10人程度で試験運用を開始
- データ移行や運用ルールを検証
Step 3: 全社展開
- 試験運用で得た知見を元に全社展開
- トレーニングとサポート体制を整備
Step 4: 継続的な改善
- 利用状況を定期的にレビュー
- 必要に応じてプラン変更やツール追加を検討
6. まとめ:企業規模・用途別のおすすめアプローチ
(1) 初めてのCRM導入なら無料プランから
オンラインCRM(クラウド型CRM)は、初期費用を抑えて短期間で導入でき、中小企業やスタートアップに特に適しています。HubSpot CRMやZoho CRMの無料プランから始め、実際に使ってみて自社に合うかを確認するのが推奨されます。
(2) 導入成功のためのポイント
CRM導入を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
1. 目的と必要機能を明確にする:
- 顧客管理、営業支援、マーケティング自動化のうち、どれを優先するか
- 自社の営業プロセスに必要な機能は何か
2. 利用期間と規模を考慮する:
- 3年以内の利用ならクラウド型が有利
- 5年以上の長期利用なら累計コストを試算し、オンプレミス型も検討
3. 無料プラン・無料トライアルを活用する:
- 複数ツールを実際に試して比較
- 操作性、サポート体制を確認
4. 段階的に導入する:
- 小規模から始めて徐々に拡大
- 導入後も継続的に改善
次のアクション:
- 自社の企業規模・予算・必要機能を整理する
- HubSpot CRM、Zoho CRM等の無料プランに登録して試す
- 3〜5社の公式サイトで料金・機能の最新情報を確認する
- 導入実績のある企業の事例を参考にする
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※この記事は2025年12月時点の情報です。料金・機能は変更される可能性があるため、公式サイトで最新情報をご確認ください。
