MAツール選びで「Marketo」の名前を聞くけれど、何が違うの?
B2B企業でMAツール導入を検討する際、必ずと言っていいほど名前が挙がるのがMarketo(マルケト)です。「世界で最も導入実績があるMAツール」という評判を耳にする一方で、「他のMAツールと何が違うのか」「自社に合っているのか」が分からないという声も多く聞かれます。
この記事では、Marketo Engageの基本機能から料金体系、他のMAツール(Pardot、HubSpot、SATORI)との違いまでを公平に比較し、導入判断のポイントを解説します。
この記事のポイント:
- Marketoは複雑なB2Bライフサイクルを持つエンタープライズ向けMAツール
- 4つの料金プランがあり、月額20万円〜が目安(個別見積もり)
- リードスコアリング、ABM、700以上の外部連携が強み
- HubSpotはSMB向け、PardotはSalesforce連携重視と棲み分けがある
- 小規模・シンプルな要件ではオーバースペックになる可能性も
1. MarketoとMAツールの関係—なぜMarketoが注目されるのか
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、マーケティング活動を自動化・効率化するためのシステムです。リード獲得からナーチャリング(育成)、スコアリング、営業への引き渡しまでを一元管理できます。
Marketoは、その中でもエンタープライズ向け(大企業向け)の代表的なMAツールとして知られています。世界6,000社以上が導入し、日本でも導入実績が多いMAツールの一つとして評価されています。
特にB2B企業で複雑な購買プロセスを持つ場合、Marketoの高度な機能が効果を発揮するケースが多いとされています。ただし、すべての企業にMarketoが最適というわけではなく、企業規模や要件によって適切なツールは異なります。
2. Marketo Engageの基礎知識
(1) Marketo Engageとは—Adobe製品としての位置づけ
Marketo Engageは、Adobe社が提供するエンタープライズ向けMAツールです。2018年にAdobe社がMarketoを買収し、Adobe Experience Cloudの一部として位置づけられています。
主な特徴として、複数チャネルをまたいでマーケティング施策を一元管理できる点が挙げられます。メール、Web、SNS、広告など様々なタッチポイントを統合し、一貫したカスタマージャーニーを設計できます。
(2) 4つの料金プラン(Select/Prime/Ultimate/Enterprise)
Marketo Engageには4つの料金プランがあります。
| プラン | 対象 | 主な機能 |
|---|---|---|
| Select | 中規模企業向け | 基本的なMA機能 |
| Prime | 成長企業向け | 高度なセグメント・パーソナライゼーション |
| Ultimate | 大企業向け | AI機能・高度な分析 |
| Enterprise | エンタープライズ向け | フルカスタマイズ |
料金は公式には非公開で、個別見積もりが必要です。一般的な目安として月額20万円〜とされていますが、データベースサイズや利用機能によって大きく変動します。無料トライアルは用意されていないため、導入前に詳細な費用確認が必須です。
※料金は2024年11月時点の情報です。最新情報は公式サイトでご確認ください。
(3) 日本での導入実績と市場での評価
Marketoは日本市場でも広く導入されており、日本ユーザーコミュニティ(Marketing Nation)には2,200名以上が参加しています。グローバル製品のため英語表記が主流ですが、コミュニティを通じて日本語での情報交換やノウハウ共有が活発に行われています。
導入企業としては、日立製作所やパナソニックなどの大手製造業をはじめ、IT・SaaS企業での導入事例も多く報告されています。
3. Marketoの主要機能と特徴
(1) リード管理とスコアリング機能
Marketoの中核機能として、リード管理とスコアリングがあります。
リードスコアリングとは: 見込み客の行動(Webサイト訪問、メール開封、資料ダウンロードなど)や属性(企業規模、役職、業種など)に基づいて点数を付け、購買意欲の高さを数値化する手法です。
Marketoでは、行動スコアと属性スコアを組み合わせた高度なスコアリングルールを設定でき、「今すぐ営業がアプローチすべきリード」を自動で抽出できます。
(2) クロスチャネルマーケティング
Marketoは、メール、Web、SNS、広告、イベントなど複数のチャネルを統合管理できます。
Webパーソナライズ機能の活用例: 訪問者の流入元や属性に応じてWebサイトの表示内容を自動的に変更する機能があります。日立製作所の事例では、この機能を活用してCTR(クリック率)約3割を達成したと報告されています。
(3) ABM(アカウントベースドマーケティング)対応
ABMとは、特定の企業(アカウント)をターゲットにしたマーケティング手法です。大手企業や特定業界を狙い撃ちでアプローチしたい場合に有効です。
MarketoはABM機能を標準で備えており、ターゲット企業ごとにカスタマイズされたコンテンツ配信やスコアリングが可能です。
(4) 700以上の外部連携と拡張性
Marketoは700以上の外部ソリューションとの連携に対応しています。
主な連携先:
- CRM:Salesforce、Microsoft Dynamics 365など
- SFA:各種営業支援ツール
- 広告プラットフォーム:Google Ads、Facebook Adsなど
- ウェビナーツール:Zoom、Webexなど
特にSalesforceとの連携では、顧客の検討状況や温度感をリアルタイムで把握でき、マーケティングと営業の連携強化に効果があるとされています。
4. 他のMAツールとの比較
(1) Marketo vs Pardot(Account Engagement)
| 項目 | Marketo Engage | Pardot(Account Engagement) |
|---|---|---|
| 提供元 | Adobe | Salesforce |
| 対象企業 | エンタープライズ全般 | Salesforceユーザー |
| 強み | 高度な機能・拡張性 | Salesforceとのシームレス連携 |
| 価格帯 | 月額20万円〜(目安) | 月額15万円〜(目安) |
PardotはSalesforce製品であり、Salesforceを基幹システムとして利用している企業にとっては連携の容易さがメリットです。一方、Marketoは様々なCRM/SFAとの連携が可能で、より柔軟なシステム構成に対応できます。
(2) Marketo vs HubSpot
| 項目 | Marketo Engage | HubSpot |
|---|---|---|
| 対象企業 | エンタープライズ | SMB〜中堅企業 |
| 特徴 | 高機能・カスタマイズ性 | オールインワン・使いやすさ |
| 学習コスト | 高い | 低い |
| 無料プラン | なし | あり |
| 価格帯 | 月額20万円〜 | 無料〜月額数万円〜 |
HubSpotは、MA・CRM・CMS・CSを一体化したオールインワンプラットフォームで、中小企業でも導入しやすい価格設定と使いやすさが特徴です。一方、Marketoは機能の深さと拡張性で勝りますが、学習コストが高く、運用には専門知識が必要です。
(3) Marketo vs SATORI—機能・価格・適用範囲の違い
| 項目 | Marketo Engage | SATORI |
|---|---|---|
| 提供元 | Adobe(米国) | SATORI社(日本) |
| 対象企業 | エンタープライズ | SMB〜中堅企業 |
| 強み | グローバル対応・高機能 | 日本語サポート・導入しやすさ |
| 価格帯 | 月額20万円〜 | 月額14.8万円〜 |
SATORIは日本企業が開発・提供する国産MAツールで、日本語サポートが充実しています。機能面ではMarketoに比べてシンプルですが、その分導入・運用のハードルが低く、中小企業でも扱いやすいとされています。
※各ツールの料金は2024年11月時点の目安です。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
5. 導入判断のポイントと注意点
(1) 導入に適した企業規模・業種
Marketoが適している企業:
- 従業員500人以上の大企業
- 複雑なB2B購買プロセスを持つ企業
- グローバル展開を視野に入れている企業
- 複数チャネルを統合したマーケティングを行いたい企業
- Salesforce以外のCRM/SFAを利用している企業
Marketoがオーバースペックになる可能性がある企業:
- 従業員100人未満の小規模企業
- シンプルなリード管理で十分な企業
- MAツール運用の専任者を置けない企業
- 予算が月額20万円未満の企業
(2) 料金体系と予算確認のポイント
Marketoの料金は個別見積もりとなるため、導入検討時には以下の点を確認することが重要です。
確認すべき項目:
- 管理するデータベースサイズ(リード数)
- 必要な機能(ABM、Webパーソナライズなど)
- 年間契約か月額契約か
- 導入支援・トレーニングの費用
- 外部連携の追加費用
予算確認なしに導入を進めると、想定以上のコストがかかるリスクがあります。
(3) 導入時の課題と対策(英語表記、学習コスト)
課題1:英語表記が主流 グローバル製品のため、管理画面やドキュメントが英語表記です。日本語ドキュメンテーションが不十分な場合があり、運用担当者には一定の英語力が求められます。
→ 対策:日本ユーザーコミュニティ(Marketing Nation)を活用し、日本語での情報収集・ノウハウ共有を行う
課題2:学習コストが高い 機能が多いため、使いこなすまでに時間がかかります。初心者には扱いが難しいとされています。
→ 対策:Adobe公式のトレーニングコースや導入支援サービスを活用する
課題3:API仕様の変更 2024年版からSOAP APIが廃止され、REST APIのみのサポートに変更されています。また、2025年6月30日以降はREST API認証の仕様変更も予告されています。
→ 対策:既存システムとの連携がある場合は、API変更の影響を事前に確認する
6. まとめ:Marketoが適している企業・適していない企業
Marketo Engageは、複雑なB2Bマーケティングを効率化する高機能MAツールです。ただし、すべての企業に適しているわけではありません。
Marketoが適している企業:
- 大企業(従業員500人以上)
- 複雑なB2B購買プロセスを持つ
- グローバル展開を視野に入れている
- 月額20万円以上の予算を確保できる
- MAツール運用の専任者を配置できる
他のMAツールを検討すべき企業:
- 小規模企業(従業員100人未満)→ HubSpot、SATORIなど
- Salesforceを基幹システムとして利用 → Pardot(Account Engagement)
- シンプルな要件で導入しやすさ重視 → SATORI、HubSpot
次のアクション:
- 自社の要件(リード数、必要機能、予算)を整理する
- Marketo公式サイトで最新の料金・機能を確認する
- 2〜3社のMAツールから見積もりを取得して比較する
- 可能であればデモ・トライアルで操作性を確認する
MAツール選びでは、「最も高機能なツールが最適」とは限りません。自社の規模・要件・予算に合ったツールを選ぶことが、成功への第一歩です。
